弟のために悪役になる!~ヒロインに会うまで可愛がった結果~

荷居人(にいと)

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番外編R18

番外編~後編・サプライズはもう考えない~

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「と、トア・・・ごめんな?」

壊れたレンガの壁を横にしてつい声が震えた。

「なんで、謝るのですか?また僕から離れる気だったんですか?」

「えっ?ちが」

なんでそうなる?と思い慌てて否定をしようとするが、トアにすぐ渡られる。

「逃がす気なんてありませんよ!?王命がだめなら身体で、身体でだめなら物理的に兄上を縛り、逃がさないようにします。そしたら兄上は僕なしじゃ生きられない兄上になるでしょう?」

ほの暗く笑うトアの目は、俺を必死に繋ぎ止めようとする言葉とは裏腹に、不安と恐怖が執着心と怒りを押し退けて渦巻いている。ここに来るまでに何か思うことでもあったのだろうか。執着を見せながら強いのは不安と恐怖、きっとトアの言うやり方では俺がいつ逃げるのかとトアはその目を宿し続けるだろう。

「トア、落ち着いて」

「聞きたくないです!兄上はすぐ僕を離そうとする!」

おかしいな、余裕をなくされるって一体何をとは思ったが、壊されるレンガの壁に、まさか殴り合い?と確かにそれに勝てる気もなければ余裕などあるはずもなく思わず謝ったのだが、どう見ても余裕がないのはトアの方である。

「え、何これ?」

突然俺とトアを包む結界のようなもの。だが、この結界は見たことがない。オリジナル魔法だろうか?でも何故今?

「兄上、すぐ逃げちゃうから・・・逃がさないようにしたんです。」

あ、まさか出られない結界?本来外側から入れない結界を逆発想して内側から出られなくされたわけか。

いやいや、何故ここで?

なんだろう、とても嫌な予感が・・・。

「まずは、兄上を魅了する外の世界に出るのが嫌になる格好からですね」

「と、トア・・・!?」

一歩離れたトアが護身用の剣で俺を斬る。いや、正しくは俺の衣服だけが物凄い剣捌きで斬られ跡形もない。え、いや、人目がないとはいえ、こんなところで全裸とかさすがにきつい。

せめてフード付きマントくらい残しておいてほしかった。トアとお揃いで気に入っていたのに・・・。そして何よりトアの誕生日プレゼントを守れなかった。

「兄上、変態ですね?」

「え、いや、これはトアが」

少しばかり落ち込んでいては、まるで自ら外で全裸になったみたいな言い方をされた。マジで見られたら洒落にならないし、こんな狭い結界から逃げられないとか恥さらしでしかない。

「服、ほしいですか?」

「いや、布切れになった服渡されてもな」

粉々とまではいかなくても、こんな切り刻まれた服を着た方が卑猥だろう。いや俺じゃあ、ただの変態野郎か?

「・・・兄上、全裸で外に歩いたことでもあるんですか?」

なんでそんな誤解受けたんだ、俺。

「いや、ないよ。あったら全裸王子で有名人だからな?」

さすがにそんな事実があれば、あんなに人に囲まれて、王子とバレないなんてことはまずないはずだ。俺ならそうだ。

「なら、何で恥ずかしがらないんですか」

あ、もしかしてこれが余裕をなくさせるやつだった?なんて兄だ。弟の期待に答えてやれないなんて。今更恥ずかしがっても仕方ない。素直に言うのが一番だな。

「そりゃ外とはいえ、トアがいるからな」

「僕、ですか?」

「トアは大好きな俺の裸を誰かに見せるようなことさせないだろ?現にここは人気がない。目の前に居るのはトアだけだからいくらでも見せるし、信じてる。他のやつにされたら、全裸を見られる前に俺がしゃがんで、火魔法使って自分燃やして焼死体になる覚悟はある」

勇気はないけど。

「死ぬ気ですか・・・!」

複雑さを絡めた目が怒りが覆う。え、これ、あくまでそうなったらの仮定だからな?

「そりゃ今の俺の身体はトアのものだから、トア以外に見せるくらいなら死を選ぶさ。」

まあ、死ぬ勇気はやっぱりないけど。本当になったら勇気も出るかもしれない。あ、トアが少し嬉しそうな顔した。うん、やっぱそんな顔の方が可愛い。と思えばまた目どころか顔さえも、怒り顔。

「相手を殺せば・・・!」

「うーん、俺トアみたいに強くないからなぁ。無謀な賭けはするより、黒こげになる方が確実だろ?」

「兄上が死ぬなら僕も死にますからあぁっ!うえぇ・・・っ」

ちょ、何で泣いちゃってるの、トア。俺が死ぬの想像しちゃったか?なんかもう今日のトアはどうにも荒れているな。

あ、俺のせいか。

「いや、死なないから。今すぐ死ぬなんて言ってないから」

ってか寒い。これは寒い。もしかして、本当に死ぬ?これじゃあ凍死だ。

「・・・う・・・っひく・・・っ兄上、勃ってる」

「さっきから妙に寒くて反応したみたいだ。なんかごめん」

泣いている弟の前で勃起とかありえない。全裸なのもありえないけど。

「この結界、魔法冷蔵ボックスをイメージに作ったせいだと思います・・・ぐずっ」

ああ、あの前世の冷蔵庫みたいなやつか。今だ涙目で、興味が反れ、少し落ち着いたのか、鼻を啜るトアに申し訳ない気持ちになりながら聞く。

「冷気を出して、それを逃がさないように閉じ込めるためのものが、魔法冷蔵ボックスです。冷気を閉じ込めるという発想に、何かしら閉じ込めることが魔法で可能なら、外側の攻撃から守る結界を反転させることで、人を強固な結界に閉じ込められるんじゃないかって考えてみたらできたんです。まだ未完成で、主体を魔法冷蔵ボックスにしたからか、冷気を出さずに閉じ込める結界は調整中で完成していなくて・・・ 。」

結界の反転は予想通りだけど、まさか冷蔵庫もどきが主体に作られたものとは思わなかった。

にしても、寒い。

「ひゃぁ・・・っちょ、トア!?」

「ひゃひへふか?(何ですか?)」

「なん、で、くわあぁんっ」

どういう流れでそうなったのか、突然トアに加えられた俺のモノ。寒さのせいか、トアに加えられたそこだけに強い熱を感じ、物凄い快感が俺を襲う。

「はにふえ、あっふぁかいへふは?(兄上、あったかいですか?)」

「しゃ、べ・・・っあぁっも、だめぇ・・・アアアッ」

クチュリクチュリと舌で俺のモノのいい場所を攻めながら喋るのだから、只でさえ唯一温まる熱が集中する場所を刺激され我慢できるはずもなかった。まさか全裸どころか外でイかされるとは。

路地裏とはいえ、人が来たら一貫の終わりだ。

「んく・・・っ兄上の、薄いですね」

「はぁはぁ・・・っそれは、仕方ないだろ・・・」

俺の液を飲み込んで言われた言葉。荒い息を整えて、仕方ないで返すのは当然のこと。回数が増えてきつつあるトアに、俺の精液は濃くなる前に吐き出すことになる。そりゃもう薄くなるだろ。

なんでそう不満そうなんだ、トア。

「兄上の味が薄い・・・。兄上を全て最大限に感じたいのに口の中は兄上で満たされませんっ!死ぬ前に兄上を味わいたいのにっう・・・っぐす」

本当に不安定にもほどがある。あのトアが泣きながら勘違いすらしている。俺は死なないぞ、トア。というか、なんでそんな勘違いを?仮定の話しかしていないし、今俺を見るのはトアなんだから死ぬ理由もない。

ってか寧ろこのままヤり込んだら、それこそ俺、恥ずかし死しそう。全裸よりも、全裸で泣く弟相手にまたもや残る熱で勃っている俺のモノは自重しない。

もういっそ、先走ってないことを褒めるべきなのだろうか。

「トーア、俺は死なないし、死ぬ理由も今はないし、トアから離れる気もないし、今回のことは反省するから落ち着いて」

まずなんで俺とトアが死ぬ話になったのか聞きたい。そんな会話俺らしてないだろ?トアは頭の中で別のストーリー展開でも見ているのだろうか。もう涙腺壊れたかのように泣くトアを、さすがに俺も見てられない。

「あにうっえぐっあにうえぇぇっ」

「ちょ、ほんと、これ以上は人来たら洒落にならないって!ってか怖い!怖い!怖い!」

今日のトアは話を聞いてくれないし、魔法同時発動なんて難易度の高いことを簡単にやってのける。結界と何の魔法を使ったかって?俺、今浮いてます。

空中で動いたことのない俺は、まともな動きもできなければ、冷えつつある身体に自由が効かなくなってきていた。だから抵抗の間なく、頭は地面に近くなり、V時の逆のポーズをさせられれば上へお尻を突き出すようなそれになり、浮く手を地面に伸ばすには、不安定さと固くなった腕では難しく、足も地面につくには遠く感じられ、全身浮遊感にあるそれは、いつ落ちるかわからず、初めて感覚は怖くて仕方ない。

しかも、突き出す俺のお尻にトアの温かい手が置かれた瞬間、考えられる行動に思わず慌てても仕方ないわけで、怖さを優先すべきか、トアがぐずぐず泣きながらしようとする行為を止めるべきか、もう何がなんだかわからない。

「ひあぁっ」

「ひく・・・っぐず・・・っへへへ・・・あにうえのあじです・・・」

ペロリと舐められた瞬間異様な快感が駆け巡る。冷たくなる身体に熱い舌は刺激的で、普段から使われる大事なソコは、毎日トアの愛によって敏感になっている。それが、冷たさの中の唯一の熱を感じることでより敏感になっているようだ。

俺のモノを舐められた時もそうだが、冷たさに触れる温かいトアの体温はもはや凶器でしかない。

なぜ、トアは温かい?寒いとき裸で抱き合えば温かいと言うアレか。あんなの迷信としか思わなかったけど。

恐怖を和らげて冷静になろうと努める。このままトアの暴走を止めないわけにはいかないのだ。これではトアが俺を襲っているように見える。それはそれで、王が野外で泣きながら欲まみれた姿など醜聞でしかない。

トアのためを思うのに、トアは考えひとつさせてくれはしない。

「あぁっんんっも、あつぅぅっ」

味わうかのように何度となく蕾を舐めあげられ、そこから心地のいい熱が伝わってくるようで気持ちがいい。何故そこばかり?もっと中を温めてと野外じゃなければそうなるように誘っていた。

ぽたりと先走り始めた液が地面に落ちる。心地はいい熱と気持ちよさは先走りはさせど、イくには物足りない。

イきたい、だめだ冷静になれ。もっと中をその舌で、だめだそれこそ俺は欲に先走る。いっそトアのモノで突いて、ああっだめだだめだ!もし、そのタイミングで誰かが来たら・・・。

「陛下はいたか?」

「いや、まだだ」

頭に血がのぼり始め、余計思考が混濁し、欲と否定の言葉の渦を繰り返していれば頭がすっと冷えるような声が聞こえてきた。トアを探しに来ただろう兵士の声。姿は見えないが近くに居る?

どくんどくんと胸を鳴らす俺に、周囲が見えていないトアは、先程まで物足りない刺激の先にタイミングも悪く進め始めた。舌が中へ。びくりと背筋から痺れる感覚。

「あ・・・っんっんっんんっ」

浮遊感に慣れてきたのかなんとか動かせた手は口を塞いだ。それでも喘ぎ声が漏れ出て隠せそうにない。頼むから、トア、気づいてくれとそう願う。

なのに、容赦なく舌が中で熱を帯ながら蠢く。そして急に抜かれた舌に安堵したとたん、トアの長い指が最近知った前立腺と言われる一点をつついた。

「んーーーーッあぁぁんっ」

「ふふっようやく、あにうえのこえきけた」

何度も何度も執拗に攻める指にしてやられ、大きな喘ぎ声。トアの嬉しそうな舌足らずな涙声と共にピュッと地面へ精液が放たれ、ようやくイけたものの、頭はひんやりとした。物理的にも、精神的にも身体は冷水を浴びた気分だ。こちらからあの程度の声量が聞こえたのならそれ以上の声は聞き取るだろう。

「何か、鳴き声、いや悲鳴みたいなの聞こえなかったか?」

「ここは性犯罪も起こりやすいからな、確認すべきか」

だめ、来ないで。こんな痴態見られるのは嫌だ。トアの醜聞になるようなことも避けたい。頼むから、頼むから・・・っ

「なら、行くか」

「行くならどこだ?どこから聞こえた?」

「え、わかんねぇわ」

「・・・お前な」

王宮の兵士ならどうかと思うがバカそうな兵士で安堵がした。しかし、鮮明に聞こえる声は一体どこから聞こえるのか、わからない。

こちらに気づけとばかりに、逆V字から空中でまた姿勢を変えられ、次は顔は空を見て、足はトアによって左右に大きく開かれ、どう見ても俺のお尻はトアの腰辺りに来ており、トントンと蕾がノックされた気がした。まさか・・・?

「あにうえ、だいじょうぶだよ」

幼い頃を思い出すトアのはにかんだ笑顔。しかし、俺は安心なんてできない。トアにもすぐそこから声が聞こえているだろ?何が?何が大丈夫?本当だめ、気づかれるからやめて。欲しいけど、いや違う。こんな外でヤるべきことじゃないから本当だめだって!

グチュリと抵抗できない俺に容赦なく、入ってくるのは馴染んだトアのモノ。待っていたとばかりに中は、指と舌でじんわりとあった熱をさらに凌駕するように熱く、全身に熱が広がるような錯覚さえした。

「ふっんっふっ」

唯一自由にと言えば、まだ冷たさで動かしづらさはあるが、浮遊感でままならない足などに比べれば、動かせる手。その手はやはり俺の口を塞ぐ役割以外与えられない。

「あにうえ、だめです」

ぷくりと子供のように頬を膨らませ怒るような仕草は可愛い。こんな状況じゃなければ、いくらでも甘やかしただろう。今の俺は気が気じゃないのでそんな余裕はない。

これが視界の見えない側近ならば着替えをくれと寧ろ助けを求めに行くのに。空中に浮かせられている時点で無理とはいえ、人間思う気持ちが大事なのだ。

トアによって残酷にも風で押さえつけられるように手は広げさせられ、口を塞ぐ許可さえもらえなくなった。唇を噛んでと思えばトアのキスが舌を絡め、口内に広がる熱に、快楽の渦で酔いそうになる。

「ふぁ・・・っはぁ・・・んあっらめぇえぇっ」

前立腺をこれでもかと襲うソレは俺の感じるソコを的確に突く。奥の気持ちよさは前立腺を突くからだと知ったのは今更に読んだ男同士のセックス本による知識。トアも一緒に読み、試し、優秀なトアはどこにあるか覚えたとばかりに指の時と同じようにそこばかりを攻め立て、俺はトアのモノを同時に締め付けて一緒にイった。

攻め立てるのは不安定さの現れか、幼い頃に戻ったかのようなトアで、俺から口を離し、笑みを浮かべながらもう離れない?と聞くような目に、もう場所など気にしてはいられなかった。

「あに、うえっ!?」

イったばかりで少しぐったりしたトアの風の威力が、押さえつけるには弱いくらいになっており、
こちらを近くで見るトアの頭をその腕でなく。腕に伝わる熱はまるで氷を解かすようだ。

「すこ、しは・・・落ち、着いた?離れて、ごめん。トアの、誕生日プレゼント・・・びっくり、させたかったんだ」

息が辛く、詰まるような話し方になってしまった。ようやく話を聞き入れてくれたのか、僕の腕から逃げ、目を見開くトアは何を思ったのか、ばっと切り刻まれた布を見る。そこには先ほどトアが眼中になかった安物の宝石が散らばったブレスレットだったものが形をなくし壊れている。

「あれ、ぼくの?」

振っていた腰を止め、聞いてくるトア。

「そう、だよ。安物、だけど、手作りだから、たくさん、考えて、愛を・・・なんでもない」

これは言うべきじゃないかもと言うのを止めた。

「愛を、なに?教えてください!」

ようやく今のトアが過去から帰ってきたみたいだ。焦るようにして聞いてくる。最初から素直に言うんだったと誕生日プレゼントを隠してしまったことを今更後悔した。

「愛を込めて、作った・・・んだけど」

「━━━━━━ッ!」

気づいたのだろう。その愛を込めて作ったものを壊してしまったその行為は、知らぬ間に俺のトアへの愛をいらないと切り捨てたようなものだと。

隠した俺が、トアの幼少期の、俺が離れたことでできたトラウマを舐めて、離れた俺が悪いのだから、悲しいとは思うし、落ち込んだが、そんなトアはいらないとか、壊された怒りとかはない。

だから気にしないで欲しいのだけど。今更な本音は傷つけるだけだったろうかと胸が痛くなる。いつでもトアには笑っていてほしいから。

「兄上、僕・・・っ僕・・・っ捨てないでっ!」

「捨てないよ」

よしよしと頭を撫でてやればごめんなさいと謝り泣くトア。サプライズなんて考えなければよかったと思うのは当然で、話し声が・・・と聞こえる兵士たちの声に俺はようやく結界の存在を理解した。

これは恐らく俺たちを隠して、俺たちからも相手が見えないようになる結界でもあるようだと。どこでもヤれるように開発したのか?と困った子だなと笑みを最後に、俺は頭を撫でる手がぎこちなくなっていき、止まる。

「あ、兄上?兄上!兄上!」

まさかの結界内で凍死寸前。身体は痙攣を起こし始め、意識を朦朧としだし、ついには結局意識を失う自体となり、俺からモノを慌てて取りだせば、最低限服を整えて結界共々浮遊魔法も継続して使って、王宮まで帰り、部屋に行くなりすぐ結界を解いて応急処置をし、知識はあるが念のためと宮廷医に見させたらしい。

当分側近の二人にも心配され、特にトアなんかは泣き過ぎて目を腫らすくらいで、未完成の結界に思うところがあるんだろう。と思っていれば、不安定になりすぎて、俺に身体を温めるヒート魔法をかけ忘れていたようだ。

冷える身体に触れることで感じるそれに気づいてしまったが故に、欲が優先されたらしい。俺を繋ぎ止めるのに必死さもあり、それが忘れていた原因の根元であると、項垂れているトア。

トアは一体どれだけ同時無詠唱魔法を使えるのかは知らないが、ただわかることは、感情を不安定にさせても魔法は常に冷静になれるらしい。並列思考を持つことで可能にしているのだとか。

魔力が多いだけに暴走は危険とされ、成される処置法らしい。魔法よりも並列思考習得の法が大変だったみたいだ。

そんな話はさておき、俺から離れるなんて無理だろうことがわかったトアは隣で眠っている。すぐにスイレンに頼んで市場の手作りアクセサリーから何点かの宝石とブレスレットの糸を頼んでおき、トアが隣で眠る度に、ひそかに壊れた同じ物のブレスレットを思い出しながら無理をしない程度でなんとか作り、完成したのは、トアの誕生日前日。

清々しい朝の誕生日当日。主役の顔色は悪い。原因はひとつしかなく、トラウマにならないよう昨晩しあがったブレスレットをトアの手をとりつければ感謝と謝罪で兄上、兄上と大の大人がすり寄って嬉しそうにする。

とはいえ、トアはいつまでも俺の可愛い子でよしよしと頭を撫でて、誕生日の日は一日中べったりするトアを堪能した。トアの誕生日なのに俺がプレゼント(トア)をもらった気分だ。体調も回復した俺は今日もトアの傍から離れない。

来年からサプライズを考えることは二度とないだろう。嬉しそうにブレスレットを眺めるトアを見て、幸せで仕方ないと溢れだすオーラを醸し出すトアに自然と笑みが零れた。
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