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「使えない使用人って?」
「行き遅れの令嬢のことだ。俺が出来損ないの醜いαだから簡単に落とせるだろうとそういうのが侍女として送られてくるんだが、これがまた面倒なやつらでな」
「プライドが高いだけの人たちなんです。仕事もなあなあで陰ではレイム様をバカにする始末……行き遅れでプライドが高いだけの無能がよく言えたものですよ、全く」
公爵家に雇われてる立場でもあるはずなのにパパの陰口だなんてメリーが腹を立てるのもわかる。
「でもそんな人たちをなんで雇わなきゃなの?パパの悪口言う人なんて僕嫌だよ」
「一言に言えば公爵家の威厳のためだな……。俺のせいで公爵家に仕える使用人が現状少なくてな。俺も人に当たるようなやつだから余計に使用人が減ったせいでそう言うのばっかが残ってしまったというわけだ」
「しかし、光明はあります。ラフィ様と出会った瞬間に悩まされていた睡眠もでき、起きてから今になってもレイム様は落ち着いているんで、正直ラフィエル様がいれば今の公爵家の現状が変わるのではと思っているんですよ」
その言い方、パパはこの短い時間でも情緒不安定になって周りに何かしら影響を与えていたことがよくあったんだろうか?僕はそんなパパをまだ見れていないからわかんないけど……。
「確かにラフィがいればずっと気持ちが安定しているというか……自分で制御できているんだ」
「だからずっと僕を抱えてるの?」
「……少しでも離れたらいつもの自分に戻りそうで怖いんだ。ラフィに辛く当たるようなことがあったらやりきれない」
そう言うパパの表情は何かを恐れているようで、パパ自身周りに当たってしまう自分が嫌なのだろうことが伝わってくる。それでもそれを抑えられないのはどこか僕の発情期のフェロモンと似たようなものを感じた。
このフェロモンが抑えられていたなら僕はもう少しマシな今までを送れたかもしれないから。周りを狂わせるフェロモンでパパが狂ってしまったらその時はいくら理解してくれていてもパパが離れていってしまいそうで怖くなる。
パパは今でも自分の心情の変化で周りに迷惑をかけることを怖がっているように見えるから。僕のフェロモンはきっとパパの望まないことをさせてしまうのと一緒だろう。
今でこそ何故か僕がパパの抑止剤になっているみたいだけど。
「パパ……僕は発情期に特殊なフェロモンを発するから今以上にパパの望まない結果を生む可能性だってあるよ?」
だからこそ傷つく前に改めて言うべきだと思った。パパはそのことについて知っていても経験したわけではないから甘く見ている可能性もあるから。
「それを言うと俺はΩの発情期に誘発されないんだ」
「誘発されない?」
「寧ろ発情期のΩに近づくと一時的にそのΩの発情期が落ち着くんですよね」
「そんなことがあるの……?」
それならもしかすると僕の厄介なフェロモンもパパがいれば抑えられる可能性も……?
「ラフィに関しては初めてのことばかりだから発情期に対して対処してやれるかわからないが傍にいれば役に立てる可能性はある」
「そんな……ことが……」
「ら、ラフィ?どうした?」
ああ、まだ確定したわけでもないのに。このフェロモンを抑えられるかもしれない希望に思わず涙が出た。このせいで僕は今まで辛い日々を送ってきたから。何よりそれをどうにかする手立てがパパなんて最早運命にさえ思えて胸がいっぱいだ。パパを困らせたくないのにしばらく僕は涙が止まらなかった。
「行き遅れの令嬢のことだ。俺が出来損ないの醜いαだから簡単に落とせるだろうとそういうのが侍女として送られてくるんだが、これがまた面倒なやつらでな」
「プライドが高いだけの人たちなんです。仕事もなあなあで陰ではレイム様をバカにする始末……行き遅れでプライドが高いだけの無能がよく言えたものですよ、全く」
公爵家に雇われてる立場でもあるはずなのにパパの陰口だなんてメリーが腹を立てるのもわかる。
「でもそんな人たちをなんで雇わなきゃなの?パパの悪口言う人なんて僕嫌だよ」
「一言に言えば公爵家の威厳のためだな……。俺のせいで公爵家に仕える使用人が現状少なくてな。俺も人に当たるようなやつだから余計に使用人が減ったせいでそう言うのばっかが残ってしまったというわけだ」
「しかし、光明はあります。ラフィ様と出会った瞬間に悩まされていた睡眠もでき、起きてから今になってもレイム様は落ち着いているんで、正直ラフィエル様がいれば今の公爵家の現状が変わるのではと思っているんですよ」
その言い方、パパはこの短い時間でも情緒不安定になって周りに何かしら影響を与えていたことがよくあったんだろうか?僕はそんなパパをまだ見れていないからわかんないけど……。
「確かにラフィがいればずっと気持ちが安定しているというか……自分で制御できているんだ」
「だからずっと僕を抱えてるの?」
「……少しでも離れたらいつもの自分に戻りそうで怖いんだ。ラフィに辛く当たるようなことがあったらやりきれない」
そう言うパパの表情は何かを恐れているようで、パパ自身周りに当たってしまう自分が嫌なのだろうことが伝わってくる。それでもそれを抑えられないのはどこか僕の発情期のフェロモンと似たようなものを感じた。
このフェロモンが抑えられていたなら僕はもう少しマシな今までを送れたかもしれないから。周りを狂わせるフェロモンでパパが狂ってしまったらその時はいくら理解してくれていてもパパが離れていってしまいそうで怖くなる。
パパは今でも自分の心情の変化で周りに迷惑をかけることを怖がっているように見えるから。僕のフェロモンはきっとパパの望まないことをさせてしまうのと一緒だろう。
今でこそ何故か僕がパパの抑止剤になっているみたいだけど。
「パパ……僕は発情期に特殊なフェロモンを発するから今以上にパパの望まない結果を生む可能性だってあるよ?」
だからこそ傷つく前に改めて言うべきだと思った。パパはそのことについて知っていても経験したわけではないから甘く見ている可能性もあるから。
「それを言うと俺はΩの発情期に誘発されないんだ」
「誘発されない?」
「寧ろ発情期のΩに近づくと一時的にそのΩの発情期が落ち着くんですよね」
「そんなことがあるの……?」
それならもしかすると僕の厄介なフェロモンもパパがいれば抑えられる可能性も……?
「ラフィに関しては初めてのことばかりだから発情期に対して対処してやれるかわからないが傍にいれば役に立てる可能性はある」
「そんな……ことが……」
「ら、ラフィ?どうした?」
ああ、まだ確定したわけでもないのに。このフェロモンを抑えられるかもしれない希望に思わず涙が出た。このせいで僕は今まで辛い日々を送ってきたから。何よりそれをどうにかする手立てがパパなんて最早運命にさえ思えて胸がいっぱいだ。パパを困らせたくないのにしばらく僕は涙が止まらなかった。
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