無能Ωと言われた僕が理想の父を求めすぎて10歳離れたαの婚約者にパパ代わりになってもらった結果に待っていたのは溺愛過保護でした

荷居人(にいと)

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「本当にあれで足りたのか?」

「大丈夫だよ、今までそこまで食べれなかったのもあるし、ちょっとずつ多く食べれるようになるはずだから」

「まあ無理に食べてもよくないか……。気が利かなくて悪かった。次はもう少しお腹に優しいものを……用意させる」

「それは助かるかも」

と言ってもここに来ることが決まってから子爵家で食事に気を遣われたわけではなかったから、今更感もあるけど……その気持ちが嬉しい。

食事を終えて部屋に戻るまでの間もパパに抱えられて未だに心配されるのだからパパは結構心配性みたいだ。さっきと違うのはメリーが斜め後ろに着いてきていることだろうか?さっきも食事前から近くにいたようだけど……気づかなかったんだよね。

「本来なら専属となった私の方で調整すべきだったんですが……申し訳ありません」

「そんな、メリーは悪くないよ」

「優しいお言葉、ありがとうございます」

「そういう意味では元々専属メイドを決めるのが遅れた原因の俺が謝罪すべきだろう」

「遅れた原因って?」

「どうせまた失敗すると思い、必要ないと後回しにしたんだ。結果、キュウジンがメリーを仮専属とした」

「仮専属?」

それってもしかして専属がメリーから変わる可能性があるんだろうか?というかキュウジンにそういう決定権があるならパパが後回しにしてもキュウジンが決めればよかったんじゃ……。

「婚約関連での決定権は俺にある。それでも父の持ってくる婚約を断ることはできなかったが、婚約者に対しての準備は俺に決定権があったからな。専属メイドも最終的に俺が決定しないことには確実にできなかったんだ。最初の方こそ気持ちが安定している間に真面目にしたこともあったが、無駄に終わってきたせいでろくな準備もしなくなった。ほぼキュウジンに任せっきりだったと言える」

少し表情を歪めるパパはそれだけ婚約に対して嫌な想いをしてきたんだろう。そう思うと責める気なんてならない。まあ、どんな理由でも責める気なんてなかったけどね。

「そうなんだ……メリーは今でも仮なの?」

「専属にしてもいいんだが……メリーはメイド長でもあるからな。もう一人くらい専属入るだろう。専属とメイド長の両立は厳しいからな」

「メリーにばかり無理はさせられないもんね」

メイド長が専属なんてこともあるんだ……と思いつつも、婚約がまた無しになる可能性を配慮してだったのかもしれない。

「いっそメイド長をやめる手もありますが」

「いやいやさすがに悪いよ!」

さすがに冗談だとは思うけど、メリーの表情が真剣な顔だから、本気っぽくて恐ろしい。本当にやめるつもりなのかって。

「ラフィのためを思えばそれが一番だが、公爵家を思えばそれは困るな……」

「公爵家の使えない使用人たちにも困ったものですね」

メリーは公爵家に仕える存在ながらもどうも遠慮がない気がするのは気のせいだろうか?特にパパは気にしてないみたいだし……。それに使えない使用人とはどういうことだろう?






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