8 / 12
8
しおりを挟む
「その偽物の父がした所業に怒りを覚えるが、それ以上にそのことに気づかず助けられなかったばかりか、ぶくぶくと太っていた自分が情けない」
「さすがにまだ出会えてもなかったパパが悪いことなんて何もないよ?」
会えてすらいなかった過去だというのに、僕を助けられなかったと悔しそうにするパパ。さすがになんで僕を早く助けてくれなかったの?なんて思うはずもない。だってパパは僕のことを知りもしなかっただろうから。子爵家について調べていたとしても紙の上じゃわからないことなんて多数にあるし。
それにぶくぶく太っていたとは言うけど、ぽっちゃり程度だし、僕を抱き上げるだけの力もあることを思うと、ただぶくぶく太っていたとは思えない。公爵家の後継ぎが決まってるってことはそれだけのこともしてきたんだろうし……。
「俺はラフィの本物の父なんだろう?」
「それは……うん」
だってこんなにも安心する人初めてだったから。僕の理想のパパだと直感的にも思えたのは間違いない。だからこそ本物の父なんだ。あの日見た親子のような理想な親子にパパとならなれると思うから。
どうしようもない過去ですらここまで自分を責めるパパには悪いけれど、これでこそ僕の求めたパパだと実感する。
「なら息子の苦しみを感じ取れなかった責任は俺にもある」
「パパ……」
そんなできるはずもないことを言い切るパパだけど、それが僕を思ってのことなのだから嬉しくないわけがない。思わず感動で涙すら出そうになってぐりぐりと父の胸に頭を擦り付けて耐える。パパが僕のパパであろうとしてくれるのがとても伝わってきたから。
「すぐにでもラフィを苦しめた子爵家をどうにかしてやりたいが、この姿では示しがつかない。ダイエットを……実行しよう」
「パパはそのままでもかっこいいよ?」
「気持ちは嬉しいが俺は自分のことも客観的に見れると自負している。ラフィにとってかっこいいのは嬉しいが、俺のせいでラフィまでバカにされる自体は俺が許せないんだ」
「そんなの周りが見る目ないだけなのに……でもパパが僕のためだって言うなら嬉しいから僕も協力する!」
多分パパは何度かダイエットに挑戦してきたんだろう。でも失敗してきたのがわかる。だってどこか不安げに瞳が揺れていたから。誰だって失敗してきたことに挑戦するのは不安になるものだ。例えそれがパパだって。僕はパパに完璧を求めてるわけじゃないから、ダイエットに失敗して今のままでも構わないのに。
でも、パパがしたいと言うなら僕は応援する。それが僕のためだって言ってくれるパパのためならいくらだって。
「ラフィが協力してくれるなら百人力だな」
だと言っても僕にできることがあるのかもわからないのに、百人力だなんて……。
「百人力なんて期待しすぎだよ?」
「ラフィがいるだけで何でもできそうなんだ」
「ふふ、何それ~」
「本当だぞ?こんなにも心が落ち着いてるのもラフィがいるからだと断言できる」
「それは僕もパパだから安心して身を任せられるって断言できるよ」
パパと僕には互いを惹きつけ合う何かがあるのかもしれない。だってどちらも言葉に確信を持っているから。
そんな場面でぐうぅとお腹が鳴ったのはパパだった。
「う……っダイエットすると言いながらこれか」
「ふふ、ダイエットって言っても断食しろってことじゃないから。何か食べよう?僕もお腹空いちゃった」
「ラフィがそう言うなら……そうだな」
そういうことで起きてからも話していて時間が結構経ったようだけど、ようやく食事をすることになった。
「さすがにまだ出会えてもなかったパパが悪いことなんて何もないよ?」
会えてすらいなかった過去だというのに、僕を助けられなかったと悔しそうにするパパ。さすがになんで僕を早く助けてくれなかったの?なんて思うはずもない。だってパパは僕のことを知りもしなかっただろうから。子爵家について調べていたとしても紙の上じゃわからないことなんて多数にあるし。
それにぶくぶく太っていたとは言うけど、ぽっちゃり程度だし、僕を抱き上げるだけの力もあることを思うと、ただぶくぶく太っていたとは思えない。公爵家の後継ぎが決まってるってことはそれだけのこともしてきたんだろうし……。
「俺はラフィの本物の父なんだろう?」
「それは……うん」
だってこんなにも安心する人初めてだったから。僕の理想のパパだと直感的にも思えたのは間違いない。だからこそ本物の父なんだ。あの日見た親子のような理想な親子にパパとならなれると思うから。
どうしようもない過去ですらここまで自分を責めるパパには悪いけれど、これでこそ僕の求めたパパだと実感する。
「なら息子の苦しみを感じ取れなかった責任は俺にもある」
「パパ……」
そんなできるはずもないことを言い切るパパだけど、それが僕を思ってのことなのだから嬉しくないわけがない。思わず感動で涙すら出そうになってぐりぐりと父の胸に頭を擦り付けて耐える。パパが僕のパパであろうとしてくれるのがとても伝わってきたから。
「すぐにでもラフィを苦しめた子爵家をどうにかしてやりたいが、この姿では示しがつかない。ダイエットを……実行しよう」
「パパはそのままでもかっこいいよ?」
「気持ちは嬉しいが俺は自分のことも客観的に見れると自負している。ラフィにとってかっこいいのは嬉しいが、俺のせいでラフィまでバカにされる自体は俺が許せないんだ」
「そんなの周りが見る目ないだけなのに……でもパパが僕のためだって言うなら嬉しいから僕も協力する!」
多分パパは何度かダイエットに挑戦してきたんだろう。でも失敗してきたのがわかる。だってどこか不安げに瞳が揺れていたから。誰だって失敗してきたことに挑戦するのは不安になるものだ。例えそれがパパだって。僕はパパに完璧を求めてるわけじゃないから、ダイエットに失敗して今のままでも構わないのに。
でも、パパがしたいと言うなら僕は応援する。それが僕のためだって言ってくれるパパのためならいくらだって。
「ラフィが協力してくれるなら百人力だな」
だと言っても僕にできることがあるのかもわからないのに、百人力だなんて……。
「百人力なんて期待しすぎだよ?」
「ラフィがいるだけで何でもできそうなんだ」
「ふふ、何それ~」
「本当だぞ?こんなにも心が落ち着いてるのもラフィがいるからだと断言できる」
「それは僕もパパだから安心して身を任せられるって断言できるよ」
パパと僕には互いを惹きつけ合う何かがあるのかもしれない。だってどちらも言葉に確信を持っているから。
そんな場面でぐうぅとお腹が鳴ったのはパパだった。
「う……っダイエットすると言いながらこれか」
「ふふ、ダイエットって言っても断食しろってことじゃないから。何か食べよう?僕もお腹空いちゃった」
「ラフィがそう言うなら……そうだな」
そういうことで起きてからも話していて時間が結構経ったようだけど、ようやく食事をすることになった。
111
お気に入りに追加
150
あなたにおすすめの小説
中華マフィア若頭の寵愛が重すぎて頭を抱えています
橋本しら子
BL
あの時、あの場所に近づかなければ、変わらない日常の中にいることができたのかもしれない。居酒屋でアルバイトをしながら学費を稼ぐ苦学生の桃瀬朱兎(ももせあやと)は、バイト終わりに自宅近くの裏路地で怪我をしていた一人の男を助けた。その男こそ、朱龍会日本支部を取り仕切っている中華マフィアの若頭【鼬瓏(ゆうろん)】その人。彼に関わったことから事件に巻き込まれてしまい、気づけば闇オークションで人身売買に掛けられていた。偶然居合わせた鼬瓏に買われたことにより普通の日常から一変、非日常へ身を置くことになってしまったが……
想像していたような酷い扱いなどなく、ただ鼬瓏に甘やかされながら何時も通りの生活を送っていた。
※付きのお話は18指定になります。ご注意ください。
更新は不定期です。
ある日、義弟に突然「兄ちゃんが主人公で総受けとかウケるwww俺は絶対好きにならn…好き…」…いや、お前もかーい。
彩ノ華
BL
ある日、突然義弟からこの世界はBL小説の世界だと言われ俺はその中の〝主人公〟なのだとか…。
『兄ちゃんが主人公で総受けとかウケるwww俺は絶対好きにならないwww』
と笑っていたお前だが…
いや、お前もやないかい。
イケメン義弟×無自覚たらし兄
※ゆるゆる投稿
※素人作品
獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果
ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。
そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。
2023/04/06 後日談追加
こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡
なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。
あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。
♡♡♡
恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!
悪役令嬢のモブ兄に転生したら、攻略対象から溺愛されてしまいました
藍沢真啓/庚あき
BL
俺──ルシアン・イベリスは学園の卒業パーティで起こった、妹ルシアが我が国の王子で婚約者で友人でもあるジュリアンから断罪される光景を見て思い出す。
(あ、これ乙女ゲームの悪役令嬢断罪シーンだ)と。
ちなみに、普通だったら攻略対象の立ち位置にあるべき筈なのに、予算の関係かモブ兄の俺。
しかし、うちの可愛い妹は、ゲームとは別の展開をして、会場から立ち去るのを追いかけようとしたら、攻略対象の一人で親友のリュカ・チューベローズに引き止められ、そして……。
気づけば、親友にでろっでろに溺愛されてしまったモブ兄の運命は──
異世界転生ラブラブコメディです。
ご都合主義な展開が多いので、苦手な方はお気を付けください。
普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。
山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。
お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。
サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。
オメガの騎士は愛される
マメ
BL
隣国、レガラド国との長年に渡る戦に決着が着き、リノのいるリオス国は敗れてしまった。
騎士団に所属しているリノは、何度も剣を交えたことのあるレガラドの騎士団長・ユアンの希望で「彼の花嫁」となる事を要求される。
国のためになるならばと鎧を脱ぎ、ユアンに嫁いだリノだが、夫になったはずのユアンは婚礼の日を境に、数ヶ月経ってもリノの元に姿を現すことはなかった……。
健気な公爵令息は、王弟殿下に溺愛される。
りさあゆ
BL
ミリアリア国の、ナーヴァス公爵の次男のルーカス。
産まれた時から、少し体が弱い。
だが、国や、公爵家の為にと、自分に出来る事は何でもすると、優しい心を持った少年だ。
そのルーカスを産まれた時から、溺愛する
この国の王弟殿下。
可愛くて仕方ない。
それは、いつしか恋に変わっていく。
お互い好き同士だが、なかなか言い出せずに、すれ違っていく。
ご都合主義の世界です。
なので、ツッコミたい事は、心の中でお願いします。
暖かい目で見て頂ければと。
よろしくお願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる