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ぷに
何かが僕の頬を突く。まだ眠いのに起こそうとしているんだろうか?
ぷにぷに
さらに突かれる頬。こんなに優しい突きでは起きれそうにはない。
ぷにぷにぷに
おおう……中々にしつこい。しかし、やめてと言い難いのはなんでだろう?
「うう……ん……?」
「あ……すまない、起きたか」
「あれ……パパ?」
どうやら犯人はパパだったようだ。あれで起こすつもりはなかったのか、どこか申し訳なさそうにしている。別に怒ってないのになあ。
「こんなに人に触れる機会がなくてだな……ラフィの頬があまりにも気持ちよくてやめられなかった」
「そっかあ……パパになら何されても嫌じゃないから大丈夫だよ」
寧ろそれほどに僕の頬を気に入ってくれたなら嬉しいくらいだ。嬉しさが抑えられなくてパパの胸に甘えるように擦り付く。
「ラフィが可愛すぎて親バカというものになってしまいそうだ」
「ふふ……僕もう16なのに?」
「年齢なんて関係ない。こんなに傍から離れ難いのも、気持ちが穏やかなままでいられるのも、何されても許してしまえる自信があるのも初めてなんだ。α性が発現する前だってこんなに気持ちが落ち着くなんてことはなかった」
第二性別は生まれてすぐではなく、遅くとも10歳前後で発現する。僕自身も発現するまでは父に放置される程度で教育も最低限受けれていたからこそ、何もかも無知のまま育つということがなかった。いっそ第二性別の検査が国からの強制じゃなかったら……いや、第二性別なんてなければ、僕はΩになって初の発情期からの辛い日々はなかっただろう。
第二性別でパパも同じように苦しんできたのがわかる。僕とは違った苦しみが。理想の父を求めた理由として僕は、何より僕自身を見てくれて、安心できる存在がほしかったという思いが強かったように、パパはきっと孤独を癒す存在がほしかったのかもしれない。
パパにリスクなく近づける人がいなかったから。だからこそ僕だけを見てくれるとより僕は安心しているのかもしれない。パパが苦しむ原因を喜ぶ僕は悪い子だろうか。
なんでΩである僕が平気なのかはわからないけど、元々初めての発情期から普通のΩではなかったのだから、パパのαにとっても例外の特殊さなんだと思う。この特殊さのせいで苦しめられてきたけど、今回ばかりはそのことに感謝した。特殊だからこそパパの傍にいても問題ないのだから。
パパもどこかでそれを感じ取っているから、僕の甘えを受け止めてくれるのだろう。きっとパパなら特殊な僕の発情期も心を狂わせずに耐え抜いてくれると、確信している。僕がパパと一緒にいても平気なように。
「僕もね、パパといるとすごく安心するんだ。ここにいれば大丈夫だって、怖いものから守ってくれるって」
「ああ、守るよ。もっと早く探し出すべきだった。怖い目にあったんだな?」
例え的に言ったつもりだったのに、パパはとても鋭いみたいだ。元々目元の隈も合わせることで強面な顔が、より怖さを増して僕に問いかけてくる。僕を心配してのことだと伝わるから、全然怖くはないのだけど。
パパに隠し事もしたくないから説明より見てもらった方が早いと僕はパパから離れて起き上がる。パパは僕が逃げようとしているわけじゃないことを理解してくれてか同じように起き上がるだけで僕をじっと見つめて言葉を待ってくれているようだ。
「まずはこれを見てもらうのが早いと思うんだ」
僕は恐る恐る自分の上の服を脱ぐ。恥ずかしさはあるけど、その恥ずかしさは傷だらけで醜い僕の肌を見せることにある。でもパパには隠し通せないだろうし、それなら自分で説明したいと思うから。
「これは……」
僕が脱ぎ始めたことでなんとなく察していたのか止めようとしなかったパパだけど服の中に隠されていた傷だらけの僕の上半身を見て、パパは驚きと怒りと悲痛な表情といった百面相をしたかと思えば堪らずといった風にそんな僕を思い切り抱きしめた。
「パパ……?」
「どうせ俺はずっと周りと距離をとり、αの癖に醜いと笑われ続ける地獄で生きるしかないと、自分のことばかり考えていた過去の自分が許せない……!もっと早くラフィの存在を探していればこんな痛みから守ってやれたというのに!」
「パパ……」
その気持ちだけで十分過去の自分は救われる。思い描いた理想の父以上に、パパは僕の辛い過去に憤慨してくれるのがわかるから。
「絶対もう痛い目に……怖い目に合わせてなるものか。そのためにはその原因からなんとかしないと……ラフィ、教えてくれるな?」
「う、うん」
父のことを話すのに躊躇う必要はない。パパが望むなら思い出すのすら怖くてもパパが傍にいる限り、安心して話せる。でも、瞳に濁りを見せたパパに対して、びりびりと身体の中を何かが駆け巡って、パパのαとしての圧を真正面から受け止めた気持ちになった。
だから一瞬ばかりぎこちない返事になったものの、それほどに僕を大事にしてくれるパパに感動すら覚える。
僕は一呼吸だけ置くと、今まで父にされてきたこと、研究材料にもなったことを覚えている限りをパパに話した。その地下に閉じ込められ、地獄が始まる原因になった発情期についても。
何かが僕の頬を突く。まだ眠いのに起こそうとしているんだろうか?
ぷにぷに
さらに突かれる頬。こんなに優しい突きでは起きれそうにはない。
ぷにぷにぷに
おおう……中々にしつこい。しかし、やめてと言い難いのはなんでだろう?
「うう……ん……?」
「あ……すまない、起きたか」
「あれ……パパ?」
どうやら犯人はパパだったようだ。あれで起こすつもりはなかったのか、どこか申し訳なさそうにしている。別に怒ってないのになあ。
「こんなに人に触れる機会がなくてだな……ラフィの頬があまりにも気持ちよくてやめられなかった」
「そっかあ……パパになら何されても嫌じゃないから大丈夫だよ」
寧ろそれほどに僕の頬を気に入ってくれたなら嬉しいくらいだ。嬉しさが抑えられなくてパパの胸に甘えるように擦り付く。
「ラフィが可愛すぎて親バカというものになってしまいそうだ」
「ふふ……僕もう16なのに?」
「年齢なんて関係ない。こんなに傍から離れ難いのも、気持ちが穏やかなままでいられるのも、何されても許してしまえる自信があるのも初めてなんだ。α性が発現する前だってこんなに気持ちが落ち着くなんてことはなかった」
第二性別は生まれてすぐではなく、遅くとも10歳前後で発現する。僕自身も発現するまでは父に放置される程度で教育も最低限受けれていたからこそ、何もかも無知のまま育つということがなかった。いっそ第二性別の検査が国からの強制じゃなかったら……いや、第二性別なんてなければ、僕はΩになって初の発情期からの辛い日々はなかっただろう。
第二性別でパパも同じように苦しんできたのがわかる。僕とは違った苦しみが。理想の父を求めた理由として僕は、何より僕自身を見てくれて、安心できる存在がほしかったという思いが強かったように、パパはきっと孤独を癒す存在がほしかったのかもしれない。
パパにリスクなく近づける人がいなかったから。だからこそ僕だけを見てくれるとより僕は安心しているのかもしれない。パパが苦しむ原因を喜ぶ僕は悪い子だろうか。
なんでΩである僕が平気なのかはわからないけど、元々初めての発情期から普通のΩではなかったのだから、パパのαにとっても例外の特殊さなんだと思う。この特殊さのせいで苦しめられてきたけど、今回ばかりはそのことに感謝した。特殊だからこそパパの傍にいても問題ないのだから。
パパもどこかでそれを感じ取っているから、僕の甘えを受け止めてくれるのだろう。きっとパパなら特殊な僕の発情期も心を狂わせずに耐え抜いてくれると、確信している。僕がパパと一緒にいても平気なように。
「僕もね、パパといるとすごく安心するんだ。ここにいれば大丈夫だって、怖いものから守ってくれるって」
「ああ、守るよ。もっと早く探し出すべきだった。怖い目にあったんだな?」
例え的に言ったつもりだったのに、パパはとても鋭いみたいだ。元々目元の隈も合わせることで強面な顔が、より怖さを増して僕に問いかけてくる。僕を心配してのことだと伝わるから、全然怖くはないのだけど。
パパに隠し事もしたくないから説明より見てもらった方が早いと僕はパパから離れて起き上がる。パパは僕が逃げようとしているわけじゃないことを理解してくれてか同じように起き上がるだけで僕をじっと見つめて言葉を待ってくれているようだ。
「まずはこれを見てもらうのが早いと思うんだ」
僕は恐る恐る自分の上の服を脱ぐ。恥ずかしさはあるけど、その恥ずかしさは傷だらけで醜い僕の肌を見せることにある。でもパパには隠し通せないだろうし、それなら自分で説明したいと思うから。
「これは……」
僕が脱ぎ始めたことでなんとなく察していたのか止めようとしなかったパパだけど服の中に隠されていた傷だらけの僕の上半身を見て、パパは驚きと怒りと悲痛な表情といった百面相をしたかと思えば堪らずといった風にそんな僕を思い切り抱きしめた。
「パパ……?」
「どうせ俺はずっと周りと距離をとり、αの癖に醜いと笑われ続ける地獄で生きるしかないと、自分のことばかり考えていた過去の自分が許せない……!もっと早くラフィの存在を探していればこんな痛みから守ってやれたというのに!」
「パパ……」
その気持ちだけで十分過去の自分は救われる。思い描いた理想の父以上に、パパは僕の辛い過去に憤慨してくれるのがわかるから。
「絶対もう痛い目に……怖い目に合わせてなるものか。そのためにはその原因からなんとかしないと……ラフィ、教えてくれるな?」
「う、うん」
父のことを話すのに躊躇う必要はない。パパが望むなら思い出すのすら怖くてもパパが傍にいる限り、安心して話せる。でも、瞳に濁りを見せたパパに対して、びりびりと身体の中を何かが駆け巡って、パパのαとしての圧を真正面から受け止めた気持ちになった。
だから一瞬ばかりぎこちない返事になったものの、それほどに僕を大事にしてくれるパパに感動すら覚える。
僕は一呼吸だけ置くと、今まで父にされてきたこと、研究材料にもなったことを覚えている限りをパパに話した。その地下に閉じ込められ、地獄が始まる原因になった発情期についても。
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