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しかし誰が原因でも正直どうでもいい。エリーゼを泣かせた原因の元を片付けられるなら。
誤解だろうと私のためだろうとどうでもいいとすら思っている。私にとってはエリーゼだけが世界の中心なのだから。
「私のためというのを免罪符にしないでほしいな。エリーゼを泣かせる原因にされてはたまらない」
「あんな女が泣くのなんて嘘泣きに……ぐあああああああああああっ」
「きゃああああああっ」
こいつは何様なのだろうか?エリーゼをあんな女扱いとは脳筋だからと済まされる話ではない。礼儀以前の問題だ。思わず怒りで剣を抜いてしまったじゃないか。この私がこんなに衝動的に怒りの感情を出せるとは思いもしなかったが、二度も同じ感情を出したいとは思わないな。
にしてもあのバカな女はもう少し静かにできないものか。耳が割れそうだ。
「反省していても許す気はないんだ。あまり私を刺激しないでほしい。何故生かしてると思うんだ?弁明を聞くためじゃない。エリーゼが苦しんだ何倍も辛い地獄を味わってもらうためだ」
「で、殿下、そんなつもりは!ただ殿下に相応しい女性を知って欲しくて……」
私の怒りが伝わったのだろう。ムリイが慌てて弁解とばかりに口を開く。どうでもいい理由な上にやり方があまりにもバカすぎる。これが宰相の息子とは。子育ての才能には恵まれなかったようだな。
「私の相応しい女性を何故貴様如きが決める?」
不敬とも言える行動だ。側近如きが私の伴侶を選ぼうとするなど。そもそもエリーゼ以外の女をほしいと思ったことすらないというのに。
「お、恐れ多いですがファルセ公爵令嬢は身分こそ相応しくはありますが殿下を支えるには能力が劣りすぎています!だからこそ……あがっ」
「ああ、足がつい出てしまった。悪いとは思わないが、恐れ多いなら言うべきではないね?それについさっき言ったことを忘れるなんて能力不足は君だろう?何故貴様如きが私の伴侶を品定めするんだい?」
柵に飛びつく勢いだったから牢屋越しでも蹴りを入れれた。にしてもエリーゼをバカにするなんて本当許せないよね。
「……っで、殿下の側近として、正すべきことをしようとしただけです!!!」
「正すべきことが事実でもないことの噂を広めることだと?私に何の相談もなく私の婚約者を貶めようとするのが側近の役目だったとは。私もまだまだ勉強不足のようだ。でもわからないとでも思ったか?私のためではなくそこの女のためにしていただけだろう?貴族なりたての女に言いなりとは……信用問題だな」
そもそもエリーゼ以外に信用も信頼もないが。ああ、でもエリーゼなら騙されても許してしまいそうだが。どうにもエリーゼには甘くなってしまって困る。
「で、殿下!イヴァールの血が……」
「うう……殿下、何故そんなにあんな女ぐをおおおおおおおおおお」
ヨワーは自分のことより血を流すイヴァールが気になるらしい。女は叫んだ後真っ青に震えるだけで今は大人しいが、この脳筋は脳がないのかもしれない。私を怒らす才能に溢れているようだ。思わず傷口に剣の鞘をグリグリと押し付けてしまった。
「簡単に死なせる気はないよ。急所は外したし、後で包帯でも持って来させるくらいの慈悲はあげるしさ。身体に直接痛みを与える予定はなかったんだけど、私もまだまだ若いね。感情的になりすぎた。今日はね、いいものを後で送るから明日是非見てほしいなと思って伝えに来たんだよ。様子見ついでにね」
「今日は……って私ここから出られないの……?」
さっきから目の前で見て話を聞いていたはずの女は随分お花畑な脳をしているようだ。未だに自分は出されると思っているようだ。
「明日見て欲しいものを見たら出してあげるかもしれないね?」
「いやっリューシル様!!ここトイレもベットもないんですよ?それに同じ牢屋で男の中に一人なんて!」
「トイレはちゃんと用意されてるだろう?バケツトイレが。まあ丸見えだけど君たちの仲なら問題ないよね?ベットはないけど毛布はあるよ?洗ってないから不潔かもだけど」
「いや!こんなのいやあああああ!!!」
きっと明日にはここから出たくないと言ってくれることを願うよ。とっておきの準備をしたからね。ヒントも与えたけど気づいた様子はなさそうだ。すでに私が怒りを見せたことで呆然としてるし。
明日はエリーゼがされたこと身をもって知るといいよ?
誤解だろうと私のためだろうとどうでもいいとすら思っている。私にとってはエリーゼだけが世界の中心なのだから。
「私のためというのを免罪符にしないでほしいな。エリーゼを泣かせる原因にされてはたまらない」
「あんな女が泣くのなんて嘘泣きに……ぐあああああああああああっ」
「きゃああああああっ」
こいつは何様なのだろうか?エリーゼをあんな女扱いとは脳筋だからと済まされる話ではない。礼儀以前の問題だ。思わず怒りで剣を抜いてしまったじゃないか。この私がこんなに衝動的に怒りの感情を出せるとは思いもしなかったが、二度も同じ感情を出したいとは思わないな。
にしてもあのバカな女はもう少し静かにできないものか。耳が割れそうだ。
「反省していても許す気はないんだ。あまり私を刺激しないでほしい。何故生かしてると思うんだ?弁明を聞くためじゃない。エリーゼが苦しんだ何倍も辛い地獄を味わってもらうためだ」
「で、殿下、そんなつもりは!ただ殿下に相応しい女性を知って欲しくて……」
私の怒りが伝わったのだろう。ムリイが慌てて弁解とばかりに口を開く。どうでもいい理由な上にやり方があまりにもバカすぎる。これが宰相の息子とは。子育ての才能には恵まれなかったようだな。
「私の相応しい女性を何故貴様如きが決める?」
不敬とも言える行動だ。側近如きが私の伴侶を選ぼうとするなど。そもそもエリーゼ以外の女をほしいと思ったことすらないというのに。
「お、恐れ多いですがファルセ公爵令嬢は身分こそ相応しくはありますが殿下を支えるには能力が劣りすぎています!だからこそ……あがっ」
「ああ、足がつい出てしまった。悪いとは思わないが、恐れ多いなら言うべきではないね?それについさっき言ったことを忘れるなんて能力不足は君だろう?何故貴様如きが私の伴侶を品定めするんだい?」
柵に飛びつく勢いだったから牢屋越しでも蹴りを入れれた。にしてもエリーゼをバカにするなんて本当許せないよね。
「……っで、殿下の側近として、正すべきことをしようとしただけです!!!」
「正すべきことが事実でもないことの噂を広めることだと?私に何の相談もなく私の婚約者を貶めようとするのが側近の役目だったとは。私もまだまだ勉強不足のようだ。でもわからないとでも思ったか?私のためではなくそこの女のためにしていただけだろう?貴族なりたての女に言いなりとは……信用問題だな」
そもそもエリーゼ以外に信用も信頼もないが。ああ、でもエリーゼなら騙されても許してしまいそうだが。どうにもエリーゼには甘くなってしまって困る。
「で、殿下!イヴァールの血が……」
「うう……殿下、何故そんなにあんな女ぐをおおおおおおおおおお」
ヨワーは自分のことより血を流すイヴァールが気になるらしい。女は叫んだ後真っ青に震えるだけで今は大人しいが、この脳筋は脳がないのかもしれない。私を怒らす才能に溢れているようだ。思わず傷口に剣の鞘をグリグリと押し付けてしまった。
「簡単に死なせる気はないよ。急所は外したし、後で包帯でも持って来させるくらいの慈悲はあげるしさ。身体に直接痛みを与える予定はなかったんだけど、私もまだまだ若いね。感情的になりすぎた。今日はね、いいものを後で送るから明日是非見てほしいなと思って伝えに来たんだよ。様子見ついでにね」
「今日は……って私ここから出られないの……?」
さっきから目の前で見て話を聞いていたはずの女は随分お花畑な脳をしているようだ。未だに自分は出されると思っているようだ。
「明日見て欲しいものを見たら出してあげるかもしれないね?」
「いやっリューシル様!!ここトイレもベットもないんですよ?それに同じ牢屋で男の中に一人なんて!」
「トイレはちゃんと用意されてるだろう?バケツトイレが。まあ丸見えだけど君たちの仲なら問題ないよね?ベットはないけど毛布はあるよ?洗ってないから不潔かもだけど」
「いや!こんなのいやあああああ!!!」
きっと明日にはここから出たくないと言ってくれることを願うよ。とっておきの準備をしたからね。ヒントも与えたけど気づいた様子はなさそうだ。すでに私が怒りを見せたことで呆然としてるし。
明日はエリーゼがされたこと身をもって知るといいよ?
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