嫌われ悪役令嬢と人形王子

生まれたときから何をしても完璧で、整いすぎた容姿と無機質とも言えるくらいに欠落した感情により、笑わない人物として、『人形王子』と影で言われてきた私は、その名の通り、周囲の言葉に惑わされるどころか心ひとつ動かなかった。

それが例え身内であろうとも。それでも、この国の王太子として国王である父の仕事も子供の頃から手伝い、失敗ひとつなく支えているのも知り渡っているため、舐められるようなことはない。

そんな私にも一人だけ感情を揺らがせるものがあった。唯一私が望み、叶えてもらった将来を約束した婚約者エリーゼ・ファルセ。

人形王子と言われる私を、人間とし動かしてくれる彼女は、嫌われものだった。幼い頃から公爵家の令嬢として生まれた彼女は、私と違い感情豊かで貴族としてはあるまじき姿を見せてきた。

幼い頃からいたずら好きで、不器用で、負けず嫌い。あまりに感情豊かでやりたい放題な彼女に周りは離れていって、残ったのは権力目当ての取り巻き。それでも私は、
ただただそんな彼女に惹かれた。

バカで我が儘で自分に素直な彼女に。

そんな彼女を誰が嫌おうと私は気にしなかった。彼女がそれで楽しくいられるなら私の権力すらもおもちゃにしよう。

だけどここ最近。どうやら彼女を悪く言う噂が流れているみたいだ。

「どうしてやろうかな…………」

エリーゼは我が儘だけど、決して悪い子ではないと教えてやらないとね……?
24h.ポイント 7pt
108
小説 37,082 位 / 195,729件 恋愛 16,698 位 / 58,134件

あなたにおすすめの小説

死んだはずの悪役聖女はなぜか逆行し、ヤンデレた周囲から溺愛されてます!

夕立悠理
恋愛
10歳の時、ロイゼ・グランヴェールはここは乙女ゲームの世界で、自分は悪役聖女だと思い出した。そんなロイゼは、悪役聖女らしく、周囲にトラウマを植え付け、何者かに鈍器で殴られ、シナリオ通り、死んだ……はずだった。 しかし、目を覚ますと、ロイゼは10歳の姿になっており、さらには周囲の攻略対象者たちが、みんなヤンデレ化してしまっているようで――……。

王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?

いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、 たまたま付き人と、 「婚約者のことが好きなわけじゃないー 王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」 と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。 私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、 「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」 なんで執着するんてすか?? 策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー 基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。

悪役令嬢は婚約破棄を告げられる前に美味しい料理を平らげる

monaca
恋愛
「あ、これ、悪役で乙女ゲーに転生してる」 どうせ婚約破棄されるなら、この空腹を満たしたい!

婚約破棄されたので、貴方の弟さんと婚約しますね

下菊みこと
恋愛
婚約者の弟が隠しキャラでした。 ベルティーユは婚約者に婚約破棄を言い渡される。ベルティーユもそれを受け入れた。しかし婚約者とその恋人は尚もベルティーユを責め立てる。ベルティーユはどうなってしまうのか。 小説家になろう様でも投稿しています。

【完結】極妻の悪役令嬢転生~あんたに払う安い命はひとつもないよ~

荷居人(にいと)
恋愛
「へぇ、それで悪役令嬢ってなんだい?」 「もうお母さん!話がさっきからループしてるんだけど!?」 「仕方ないだろう。げーむ?とやらがよくわからないんだから」 組同士の抗争に巻き込まれ、娘ともども亡くなったかと思えば違う人物として生まれ変わった私。しかも前世の娘が私の母になるんだから世の中何があるかわからないってもんだ。 娘が……ああ、今は母なわけだが、ここはおとめげぇむ?の世界で私は悪いやつらしい。ストーリー通り進めば処刑ということだけは理解したけど、私は私の道を進むだけさ。 けど、最高の夫がいた私に、この世界の婚約者はあまりにも気が合わないようだ。 「貴様とは婚約破棄だ!」 とはいえ娘の言う通り、本当に破棄されちまうとは。死ぬ覚悟はいつだってできているけど、こんな若造のために死ぬ安い命ではないよ。

【完結】悪役令嬢、ヒロインはいじめない

荷居人(にいと)
恋愛
「君とは婚約破棄だ!」 きっと睨み付けて私にそんなことを言い放ったのは、私の婚約者。婚約者の隣には私とは別のご令嬢を肩に抱き、大勢の前でざまぁみろとばかりに指をこちらに差して叫ぶ。 「人に指を差してはいけませんと習いませんでした?」 周囲がざわつく中で私はただ冷静に注意した。何故かって?元々この未来を私は知っていたから。だから趣旨を変えてみたけどゲームの強制力には抗えないみたい。 でもまあ、本番はここからよね。

大好きな旦那様が愛人を連れて帰還したので離縁を願い出ました

ネコ
恋愛
戦地に赴いていた侯爵令息の夫・ロウエルが、討伐成功の凱旋と共に“恩人の娘”を実質的な愛人として連れて帰ってきた。彼女の手当てが大事だからと、わたしの存在など空気同然。だが、見て見ぬふりをするのももう終わり。愛していたからこそ尽くしたけれど、報われないのなら仕方ない。では早速、離縁手続きをお願いしましょうか。

まさか、婚約者の心の声が聞こえるなんて……~婚約破棄はしない、絶対に~

紫宛
恋愛
子猫を膝の上に乗せ撫で、気が付いたら婚約者の心の声が聞こえていた……! (殿下は、妹が好きなのかしら?私とは、もうダメなのかしら?こんなに好きですのに……) 「え?」 (殿下、お慕いしておりますから……離れていかないで、お願いですわ) 悲しげな声で訴える声に顔を上げるが、彼女の顔は変わっておらず相変わらずの無表情。 だが、心の声は悲しげ。 神の悪戯か……理由は分からないが、この声を頼りに彼女との関係を修復しよう。 婚約破棄? するわけが無いだろう。 私を愛してくれる大事な女性が、ここにいるのだから。 ※素人作品ですが、皆様の暇潰しになれば幸いです※

処理中です...