婚約破棄された悪役令嬢にはヤンデレ婚約者が宛がわれました

2章元婚約者と旦那様

ダメージはこちらにも

「で……いつ四角関係に？」

「「「なってないです！」」」

これはプロポーズ騒動後、攻略対象さんがしまったと声をあげたことが発端。手紙に結婚することを書いてしまったと。その時はレイジさんはいつの間に！と項垂れていましたし、旦那様は笑いを堪えていたわ。

たまに誰もが思わぬことを気づかぬ間にしてしまうのがこの攻略対象さんなわけですが、どうレイジさんを出し抜いて手紙を出したのやら……。

それは後にしてとりあえず内容は確認しなければと判断したのか旦那様が口を開こうとした瞬間。

「あ、写しもあります！」

助かるけど何故？という疑問のままそれを読むことにした私たち。

『バレました。伯爵様の男と結婚して伯爵様に逆らわなければ生きれるみたいなんで裏切りますね』

「ふ、ふふ……っ」

誤解に誤解が招く手紙に笑わずにはいられない。その誤解の被害者たちは素直に笑えないでしょうけど。

「何かな、これは……伯爵様の男って明らかに誤解を生むんだけど？」

「裏切り宣言……するバカっていたんですね。若様は私をからかうからその罰ですよ。よくやりましたバカなりに」

「お、褒められた！けど、そろそろ名前呼んでもらえません？」

「落ち着いてください。まだ続きありますよ？」

『追記、女にモテないと思ってましたが俺は男にモテるんですかね？もしかして殿下も俺のこと好きでした？ごめんなさい、結婚してしまいます』

「あははは………っもう、だめ……っお腹痛い……ふふっ」

もうだめだった。はしたないと言われようと笑いが止まらない。不貞働く殿下にはいい気味ではないかしら？勝手に勘違いされて振られる殿下なんて最高じゃない！

次々と誤解と勘違いを生み出すこの攻略対象さんはある意味強敵かもしれない。ああ、この手紙を読んだ殿下の顔が見れないのだけが残念だわ。

ようやく笑いが治まり他の二人も少しおかしそうにしていたところに最初の質問。

「で……いつ四角関係に？」

「「「なってないです！」」」

素晴らしく揃っていました。誤解が解けた今、元凶である攻略対象さんも強く否定している。色んなざまあを知っているけどどちらも痛手を負う場合ってどうなのかしら？

からかう人が近くにいなければ殿下は涼しい顔で気にしないかもしれないし……そうなると旦那様やレイジさんは元凶の攻略対象さんが実際にいる分ダメージが大きく互いを互いで争っているようにも見えるからこれはまさか………ざまあ返し？

「旦那様、これは罠ですわ！」

「罠？」

「誤解に誤解を呼んで私たちを仲割れさせる罠です！だってこの手紙で実害がないのは殿下だけですよ！自分が痛手を負ってるように見せて……」

「なるほど……勘違いをさせているよう見せかけて実はあれがそういう趣味を隠すためのものとも考えられますね」

「そう言われると……！さすが旦那様よい深読みかと！」

ふん、残念だったわね！私たちは手紙じゃ揺さぶられないわ！

「いや……この手紙は俺が……」

そんな攻略対象さんの声は誰にも届かなかった。