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1章これがモブだと?

す・て・き

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なんだかんだ二人して独り言を呟いたりしてとりあえず旦那様がひとりの世界から戻られて驚きの顔で私と自分の屋敷だろう家を見て混乱した様子を見せている。

「な、何故!?」

「私たち夫婦ですから」

言葉にすると少し照れるなぁと頬が熱くなるのを感じながら言えばまたタラリと鼻血を出される旦那様。次はもう自分の中で区切りがなんとかつけられたのか既に血だらけのハンカチを自ら血を拭くのに使っている。

「ま、まだ決まったのは婚約だけですから!」

「ですが、もう私たち学園の卒業間近。結婚したも同然ですよね?」

「そんなに長い家名が嫌なんですか……?」

「それもありますけど、私旦那様となら夢の恋愛結婚できそうだなって……」

「……っその、ミリーナ嬢、あまり私を信用しないでほしいのですが」

あれ?と思わぬ言葉に首を傾げる。恋愛結婚が嫌なわけではないのは真っ赤な旦那様を見ればわかるから不安こそないが、信用しないでとは一体?

「私は貴女が思うほど軽い想いではないんです」

おや?おやおや?

「ストーカーするほどですものね。私の抜け落ちた髪も集めていらっしゃるんでしょう?」

「な、何故それを……」

ゲームでの貴方の台詞で知りましたとは言えない。

「んんっ!いや、今は、その、それはともかく、私はミリーナ様への想いを抑えきれないがために普通なら気味悪がられるようなことをしてきました。それが今貴女が私の婚約者!それだけでも想いが溢れそうなのに、家に貴女を連れてしまえば我慢できなくなります!」

あらあらあらまあまあ……ああっ胸がどきどきしてきました。旦那様ったらそんな強い瞳もできるなんて……ますます惚れそう!

「何を我慢できなくなりますの?」

ねえ、ほら、私をもっと愛して?

「誰にも見せたくなくなります」

なんて素晴らしい答え……。

「それで?」

「きっと私は貴女を閉じ込めてしまう」

ああっ予想以上にいい!監禁だなんて!

「部屋はもう既に?」

「はい……いつかと夢見て」

ゲームでは監禁なんてなかったけれど、私が彼の抑えていた欲を溢れだしてしまったのかもしれない。ゲームでは隠されていた彼の奥底の欲。ストーカーでさえ我慢していたものを抑える蓋でしかなかったという事実。

「監禁したいほどに愛してくれるなんてとても嬉しいです……。でも私、だからどうぞと監禁されるほど簡単な女ではないんですの」

「貴女の……ミリーナ嬢の自由を奪いたいわけじゃないんです」

「仕方のない旦那様」

今はまだこれで満足するけれど、いずれは自由を許せないほどに互いに愛しましょうね?旦那様。
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