5 / 5
酒井、再びタイムスリップ
しおりを挟む
「トイレ、トイレ」
と言いながら、酒井はトイレに駆けこみました(ゴンちゃんの家のトイレ)。
ジャーと水を流し、いつものように便器の傍に屈みこんで水が流れるのを見つめていました。
すると突然、酒井は便器の中に引きつけられました。
「わ~!なんだこりゃ~!!」
そのまま便器の中に吸い込まれてしまいました。
どのくらいの時間が経ったのでしょう。気がつくと、酒井は便座に座っていました。ズボンは穿いたままです。
すると突然、ドンドンと扉をノックされました。
「お~い!酒井!やっぱり外で用を足すなんて恥ずかしすぎるよ!早くここから出てくれよ~!もう我慢の限界だ!」
齢41歳の堀川権蔵の声でした。
どうやら、元の時代に戻って来れたようです。しかし時間はあれからあまり経過していないようでした。
酒井はトイレから出て来るなり、堀川に聞きました。
「ねぇ、先生のお母さんて、今家にいる?」
「え?俺の母ちゃん?なんで?」
堀川が不思議そうに眉を寄せました。
「ちょっと個人的に用があって。会わせてくれない?」
「ああ、別にいいけど…」
堀川はさっそく母を連れて来ました。
「母ちゃん、俺の教え子が、母ちゃんに会いたいって言うんだけど」
「ほう?誰じゃ?」
酒井は堀川の母の傍に行き、名を名乗りました。
酒井の顔を見た途端、母は怪訝そうに首を傾げ、それからおずおずとこう聞きました。
「あのう、お嬢さん…。失礼なことをお聞きしますが、前にどこかでお会いしませんでしたかのう?」
「えーと…」
酒井は口ごもりながら、
「勘違いじゃありませんか?」
と適当に誤魔化しました。
「それより、お母さんに見て頂きたいものがあるんです」
そう言って、酒井はよぼよぼになった堀川の母を庭へ連れて行きました。
「ちょっと待っていてください」
酒井は花壇の前にしゃがみこみ、「ええっと、確かこの辺だったかな~」と呟きながら、土を掘り返し始めました。
「あった!」
酒井は土まみれのジャム瓶を拾い上げ、喜々として叫びました。
瓶の中には、小さく折りたたまれた紙が入っています。
酒井は瓶の中からその紙を取り出し、堀川の母の手に渡しました。
「お母さん、堀川先生が隠した算数のテストです」
「なんじゃと?」
母は紙を広げ、素早く中身に目を走らせました。
その表情が、みるみるうちに変わっていきます。
「こりゃー!権蔵ー!」
母の怒声に驚き、堀川が庭にやってきました。
「どうしたの、母ちゃん?」
「このテストは何なんだい?」
「え?」
突き付けられた答案を目にし、堀川は仰天しました。
「ゲッ!なんでこんなものがここに?」
「まったく!教師がこんな悪い点を取って!」
「いや、これはその…」
「言い訳は無用じゃ!」
母は堀川の耳を引っ張り、家の中へと連れて行きました。
「いてててて…!やめてよ、ママ~!」
「だっせ~」と酒井は密かに呟きました。
――END――
と言いながら、酒井はトイレに駆けこみました(ゴンちゃんの家のトイレ)。
ジャーと水を流し、いつものように便器の傍に屈みこんで水が流れるのを見つめていました。
すると突然、酒井は便器の中に引きつけられました。
「わ~!なんだこりゃ~!!」
そのまま便器の中に吸い込まれてしまいました。
どのくらいの時間が経ったのでしょう。気がつくと、酒井は便座に座っていました。ズボンは穿いたままです。
すると突然、ドンドンと扉をノックされました。
「お~い!酒井!やっぱり外で用を足すなんて恥ずかしすぎるよ!早くここから出てくれよ~!もう我慢の限界だ!」
齢41歳の堀川権蔵の声でした。
どうやら、元の時代に戻って来れたようです。しかし時間はあれからあまり経過していないようでした。
酒井はトイレから出て来るなり、堀川に聞きました。
「ねぇ、先生のお母さんて、今家にいる?」
「え?俺の母ちゃん?なんで?」
堀川が不思議そうに眉を寄せました。
「ちょっと個人的に用があって。会わせてくれない?」
「ああ、別にいいけど…」
堀川はさっそく母を連れて来ました。
「母ちゃん、俺の教え子が、母ちゃんに会いたいって言うんだけど」
「ほう?誰じゃ?」
酒井は堀川の母の傍に行き、名を名乗りました。
酒井の顔を見た途端、母は怪訝そうに首を傾げ、それからおずおずとこう聞きました。
「あのう、お嬢さん…。失礼なことをお聞きしますが、前にどこかでお会いしませんでしたかのう?」
「えーと…」
酒井は口ごもりながら、
「勘違いじゃありませんか?」
と適当に誤魔化しました。
「それより、お母さんに見て頂きたいものがあるんです」
そう言って、酒井はよぼよぼになった堀川の母を庭へ連れて行きました。
「ちょっと待っていてください」
酒井は花壇の前にしゃがみこみ、「ええっと、確かこの辺だったかな~」と呟きながら、土を掘り返し始めました。
「あった!」
酒井は土まみれのジャム瓶を拾い上げ、喜々として叫びました。
瓶の中には、小さく折りたたまれた紙が入っています。
酒井は瓶の中からその紙を取り出し、堀川の母の手に渡しました。
「お母さん、堀川先生が隠した算数のテストです」
「なんじゃと?」
母は紙を広げ、素早く中身に目を走らせました。
その表情が、みるみるうちに変わっていきます。
「こりゃー!権蔵ー!」
母の怒声に驚き、堀川が庭にやってきました。
「どうしたの、母ちゃん?」
「このテストは何なんだい?」
「え?」
突き付けられた答案を目にし、堀川は仰天しました。
「ゲッ!なんでこんなものがここに?」
「まったく!教師がこんな悪い点を取って!」
「いや、これはその…」
「言い訳は無用じゃ!」
母は堀川の耳を引っ張り、家の中へと連れて行きました。
「いてててて…!やめてよ、ママ~!」
「だっせ~」と酒井は密かに呟きました。
――END――
0
お気に入りに追加
2
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冬馬君の夏
だかずお
大衆娯楽
あの冬馬君が帰ってきた。
今回は夏の日々のお話
愉快な人達とともに
色んな思い出と出会いに出発!!
祭りやら、キャンプ 旅行などに行く
夏の日々。
(この作品はシリーズで繋がっています。
ここからでも、すぐに話は分かりますが。
登場人物などを知りたい場合には過去作品から読むと分かり易いと思います。)
作品の順番
シリーズ1
「冬馬君の夏休み」
シリーズ2
「冬馬君の日常」
シリーズ3
「冬馬君の冬休み」
短編
「冬休みの思い出を振り返る冬馬君」
の順になっています。
冬馬家族と共に素敵な思い出をどうぞ。

たまき酒
猫正宗
大衆娯楽
主人公の宵宮環《よいみやたまき》は都会で暮らす小説家。
そんな彼女のマンションに、就職のために上京してきた妹の宵宮いのりが転がり込んできた。
いのりは言う。
「ねえ、お姉ちゃん。わたし、二十歳になったんだ。だからお酒のこと、たくさん教えて欲しいな」
これは姉妹の柔らかな日常と、彼女たちを取り巻く温かな人々との交流の日々を描いたお酒とグルメの物語。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
クエスチョントーク
流音あい
大衆娯楽
『クエスチョントーク』というラジオ番組に呼ばれた人たちが、トークテーマとして出されるお題について話します。
「このラジオは、毎回呼ばれたゲストさん達にテーマに沿って話してもらうトーク番組です」
「真剣に聴くもよし、何も考えずに聞くもよし。何気ない会話に何を見出すかはあなた次第」
「このラジオの周波数に合わせちゃったあなたは、今もこれからもきっとハッピー」
「深く考えたり、気楽に楽しんだり、しっかり自分で生き方を決めていきましょう」
トークテーマが違うだけなのでどこからでも読めます。会話形式です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
便器の中wwwwwwwww