2 / 5
酒井、ゴンちゃんを助ける
しおりを挟む
酒井は30年前の町並みを歩いて散歩していました。
「あ~あ…つまんな~い。30年前ってつまんないものばっかり。どっかにゲーセンないかな~」
と、独り言を言っていると、30メートルほど前方に、先ほど会ったゴンちゃんを見つけました。
「ゴンちゃーん!」と声を掛けましたが、無視されてしまいました。
「おい!堀川権蔵!」と、フルネームで呼び直してみましたが、やはり無視されました。
ゴンちゃんはそのままどこかへ走って行ってしまいました。
酒井はこっそりと彼の後を追いかけていきました。
いきなり飛び出して行って、驚かしてやろうと思っていたのです。
あとをつけてから、2,3分が経過しました。
すると突然、ゴンちゃんの目の前に数人の男子中学生達が現れました。
どうやらゴンちゃんは、その中学生達にからまれているようです。
酒井はしばらくその様子を隠れてじっと見ていました。
「おい、権蔵!お前、金持ってんだろ!貸せよ!」
中学生の一人が脅すように言いました。
ゴンちゃんはビクビクしながら言い返しました。
「や…やだよ~。ボクんだもん!」
「な~にが“ボクんだもん”だ!生意気なんだよ!ハゲ!お前野球部にでも入ってんのかよ?」
「違うやい!ボクが入ってるのはサッカー少年団だもん!」とゴンちゃんは得意げに言いました。
「は?意味わかんねー!」と不良中学生は言いました。
「野球部でもないくせになんで坊主頭なんだよ!」
「知らないよ!」
「は?自分でもわかんないのかよ?つーかさっさと金出せよ!」
「ヤダ!」
「何だと?おい、みんな、コイツに思い知らせてやれ!」
中学生達はゴンちゃんをリンチし始めました。
「いたいよ~!やめてよ~!」
酒井は影でそれを見ながら、密かに「堀川ダッセ~」と思いましたが、あまりにもゴンちゃんがみじめなので、仕方なく助けてやることにしました。
「うえ~ん!うえ~ん!」
ゴンちゃんは泣きだしました。
「泣いて許してもらえると思ってんのか!ふざけんな!金出すまでいじめてやるからな!」
「うえ~ん!うえ~ん!ママ~!」
「ちょっと、ちょっと!あんた達!」
酒井は仲裁に入りました。
中学生達はギロリと酒井を睨んできました。
「なんだ?オバハンもリンチされてぇのか?」
「“オバハン”とは生意気な!このクソガキ!」
酒井は腹を立て、中学生達を一人一人蹴り倒していきました。
そして、ようやくゴンちゃんを救いだすことができました。
「なんだよ、お前なんでここにいるんだよ?」
ゴンちゃんは不思議そうに酒井を見つめています。
「なんでって、そりゃ…ずっとあんたを尾行してたから」
ゴンちゃんは些かドン引いているようでした。
「そうそう」と、酒井は得意げに言いました。
「あんたの本名、堀川権蔵っていうでしょ」
「えっ?」とゴンちゃんはかなり驚いているようです。
「なんで知ってるの?」
酒井はふふんと鼻を鳴らし、「ヒ・ミ・ツ」とウインクしました。
ゴンちゃんはまたまたドン引いているようでした。
「あ、そうそう」と、酒井は再び話し始めました。
「私、今日泊まる家がないんだよね。あんたの家に泊めてくれない?」
「は?!なんで泊まる家がないんだよ?」
「事情話してもいいけど、頭の悪そうなあんたには理解できないと思うよ」
「じゃあ、言ってみろよ」
「あんた、タイムスリップって知ってる?」
「なにそれ?」
「やっぱ知らないか。じゃ、いいや」
「なんだよ。気になるじゃんか」
「私を今夜あんたの家に泊めてくれたら教えてあげてもいいよ」
「ちぇっ!わかったよ」
ゴンちゃんは酒井を家に泊めてやることにした。
「あ~あ…つまんな~い。30年前ってつまんないものばっかり。どっかにゲーセンないかな~」
と、独り言を言っていると、30メートルほど前方に、先ほど会ったゴンちゃんを見つけました。
「ゴンちゃーん!」と声を掛けましたが、無視されてしまいました。
「おい!堀川権蔵!」と、フルネームで呼び直してみましたが、やはり無視されました。
ゴンちゃんはそのままどこかへ走って行ってしまいました。
酒井はこっそりと彼の後を追いかけていきました。
いきなり飛び出して行って、驚かしてやろうと思っていたのです。
あとをつけてから、2,3分が経過しました。
すると突然、ゴンちゃんの目の前に数人の男子中学生達が現れました。
どうやらゴンちゃんは、その中学生達にからまれているようです。
酒井はしばらくその様子を隠れてじっと見ていました。
「おい、権蔵!お前、金持ってんだろ!貸せよ!」
中学生の一人が脅すように言いました。
ゴンちゃんはビクビクしながら言い返しました。
「や…やだよ~。ボクんだもん!」
「な~にが“ボクんだもん”だ!生意気なんだよ!ハゲ!お前野球部にでも入ってんのかよ?」
「違うやい!ボクが入ってるのはサッカー少年団だもん!」とゴンちゃんは得意げに言いました。
「は?意味わかんねー!」と不良中学生は言いました。
「野球部でもないくせになんで坊主頭なんだよ!」
「知らないよ!」
「は?自分でもわかんないのかよ?つーかさっさと金出せよ!」
「ヤダ!」
「何だと?おい、みんな、コイツに思い知らせてやれ!」
中学生達はゴンちゃんをリンチし始めました。
「いたいよ~!やめてよ~!」
酒井は影でそれを見ながら、密かに「堀川ダッセ~」と思いましたが、あまりにもゴンちゃんがみじめなので、仕方なく助けてやることにしました。
「うえ~ん!うえ~ん!」
ゴンちゃんは泣きだしました。
「泣いて許してもらえると思ってんのか!ふざけんな!金出すまでいじめてやるからな!」
「うえ~ん!うえ~ん!ママ~!」
「ちょっと、ちょっと!あんた達!」
酒井は仲裁に入りました。
中学生達はギロリと酒井を睨んできました。
「なんだ?オバハンもリンチされてぇのか?」
「“オバハン”とは生意気な!このクソガキ!」
酒井は腹を立て、中学生達を一人一人蹴り倒していきました。
そして、ようやくゴンちゃんを救いだすことができました。
「なんだよ、お前なんでここにいるんだよ?」
ゴンちゃんは不思議そうに酒井を見つめています。
「なんでって、そりゃ…ずっとあんたを尾行してたから」
ゴンちゃんは些かドン引いているようでした。
「そうそう」と、酒井は得意げに言いました。
「あんたの本名、堀川権蔵っていうでしょ」
「えっ?」とゴンちゃんはかなり驚いているようです。
「なんで知ってるの?」
酒井はふふんと鼻を鳴らし、「ヒ・ミ・ツ」とウインクしました。
ゴンちゃんはまたまたドン引いているようでした。
「あ、そうそう」と、酒井は再び話し始めました。
「私、今日泊まる家がないんだよね。あんたの家に泊めてくれない?」
「は?!なんで泊まる家がないんだよ?」
「事情話してもいいけど、頭の悪そうなあんたには理解できないと思うよ」
「じゃあ、言ってみろよ」
「あんた、タイムスリップって知ってる?」
「なにそれ?」
「やっぱ知らないか。じゃ、いいや」
「なんだよ。気になるじゃんか」
「私を今夜あんたの家に泊めてくれたら教えてあげてもいいよ」
「ちぇっ!わかったよ」
ゴンちゃんは酒井を家に泊めてやることにした。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


冬馬君の夏
だかずお
大衆娯楽
あの冬馬君が帰ってきた。
今回は夏の日々のお話
愉快な人達とともに
色んな思い出と出会いに出発!!
祭りやら、キャンプ 旅行などに行く
夏の日々。
(この作品はシリーズで繋がっています。
ここからでも、すぐに話は分かりますが。
登場人物などを知りたい場合には過去作品から読むと分かり易いと思います。)
作品の順番
シリーズ1
「冬馬君の夏休み」
シリーズ2
「冬馬君の日常」
シリーズ3
「冬馬君の冬休み」
短編
「冬休みの思い出を振り返る冬馬君」
の順になっています。
冬馬家族と共に素敵な思い出をどうぞ。

たまき酒
猫正宗
大衆娯楽
主人公の宵宮環《よいみやたまき》は都会で暮らす小説家。
そんな彼女のマンションに、就職のために上京してきた妹の宵宮いのりが転がり込んできた。
いのりは言う。
「ねえ、お姉ちゃん。わたし、二十歳になったんだ。だからお酒のこと、たくさん教えて欲しいな」
これは姉妹の柔らかな日常と、彼女たちを取り巻く温かな人々との交流の日々を描いたお酒とグルメの物語。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる