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第27話迷子の子供
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ゆっくりと目を開けて横を向いてみると そこにいるのが当たり前のように僕の横でモモさんが寝ていた。
『だから何でモモさん僕の横でわざわざ寝るんですか!』
僕の横で寝ているというのも正しくはあるのだがもっと詳しく言うと僕のベッドの中に入ってきている。
もはや日常茶飯時となっているような気がするこの下りもそろそろ慣れてくる頃かと思ってはいるのだがなかなかそうはいかないらしい。
『だってモモさん何の恥ずかしげもなく僕のこと見てくるんだもん』
「勇者様の顔を見ることを私は恥ずかしいとは思いません」
『モモさんはそうなのかもしれないけど僕の話だよ!』
『モモさんの場合なんでかよくわからないけど時々やたらといろんな部分を強調する服を着るから目のやり場に困る』
「そんなにあからさまに目をそらさなくても勇者様になら見られても構いませんよ」
少しふざけた口調でそう言いながら僕との距離を詰めてくる。
『いやそういう問題じゃないでしょ』
さっきよりもふざけた口調でそう言いながら顔にいたずらっぽい笑みを浮かべて僕の顔を下から覗き込んでくる。
『間違いないこれはいつもと同じようにモモさんに遊ばれてる』
『ていうか出会ったばっかりと比べるとやっぱり僕に対してのいじりがだんだんだんだんエスカレートしていってるような気がする』
「ええ私は勇者様に少しでも魅力がある女性だと思われたいので」
僕との距離をほぼ0距離まで詰めてきて耳元でいきなり囁くようにそう言った
『それはつまり…』
モモさんの冗談とも本気ともつかないその口調は僕には結局どっちか分からなかったが反応を見て楽しんでいることは確かだ。
そしてその言葉を聞いた瞬間自分の胸の鼓動が早くなるのを感じた。
「どうです勇者さま少しはドキッとしていただけましたか?」
再びいたずらっぽい笑みを顔に浮かべてそう聞いてくる。
『べべ別にそんなんでもなかったよ!』
口調からして明らかに動揺しているのが丸分かりだった。
「そうですかそれじゃあえい」
そう言っていきなり僕のことを押し倒す。
「これで少しは私のことを意識してくれましたか?」
ナギに聞こえないようにという考えなのか小声でそう言ってくる。
その言葉に首を振って否定する。
「そうですかでも勇者様のお顔をとても赤いですよ」
『それはそうなるでしょう こんな状況なんだから』
モモさんの来ている服が 少しはだけているため白い両肩の肌が見えてしまっている。
『モモさんなんで今日はよりにもよってこんな僕をからかってくるんですか、 ていうかこんなところをナギに見られたどう説明するんですか?』
『隣にいる人に横取りされる前に早く決着をつけないとと思って』
そんな会話をしているとナギがゆっくりと体を起こしてこっちのほうに顔を向ける。
「おはよう2人とも!」
途中までぼーっとした口調でそう言ってきたが後半の口調からは驚きの感情が混ざっていた。
「何あなたクロリスに変なことしてるのよ!」
「変なことなんて少しもしてませんよ私はただ勇者様とスキンシップをとっていただけです」
「そんなスキンシップの取り方があるわけないでしょ!」
「ところで今日はどうやって情報を集めますか?」
モモさんが強引に話を変える。
「はぁとりあえずは昨日と同じように村の人達に聞き込みをするしかないでしょ」
ナギはモモさんにこれ以上言っても無駄だと思ったのかため息をついてそう言葉を返す。
「そうですねとりあえず情報を集めないとどうにもできませんからね」
僕達は一旦宿を出て昨日と同じように聞き込みをした。
しかし帰ってくる言葉は昨日聞き込みをした時とそんなに変わらなかった。
「村の皆さん似たようなことしか言いませんね」
モモさんがため息をつきつつそう言葉を口にする。
昨日と似たような会話をしながら村の中を歩いていると、後ろの方から一人の女の子がゆっくりと歩いてきてナギの体をポンポンと叩く。
ナギが後ろを振り向く。
「あらどうしたの?」
その女の子と目線を合わせるように少ししゃがんでその女の子に優しく疑問の言葉を投げかける。
その女の子の見た目は3歳ぐらいで目の端に涙を浮かべていた。
僕の今の見た目よりも少し背が高い。
「お母さんとはぐれちゃった」
女の子は泣くのを我慢しながら短くそう言った。
目の端から少し涙が溢れているので我慢しきれてはいなかったが。
「迷子か」
「とりあえず情報収集はここで一旦止めてこの女の子のお母さんを探してあげましょうよ」
モモさんがそう提案をする。
「そうねこのままはぐれたままじゃこの女の子が可哀想だし」
「ねえあなたのお母さんは見た目どんな感じなのかなぁ、よかったら私達に教えてくれない?」
「例えば髪が長いとか 何色の服を着てるとかそういう細かいことでもいいんだけど」
ナギが 引き続きやさしい口調で女の子にそう尋ねる。
「うん…」
「髪は長めかも?」
少し悩んだ後曖昧にそう答えた。
「あとはお母さんの特徴何かある?」
「後は…よくわからない」
女の子は少し困ったような表情を顔に浮かべてそう答える。
「色々教えてくれてありがとねよしそれじゃあお姉ちゃん達が一緒に探してあげる」
その女の子のお母さんを探しため一緒に街中を歩く。
「お母さんと普段はどんなことをして遊んだりするの?」
女の子が感じている緊張をほぐすようにナギが話題を振る。
「お母さんとはいつも一緒にお散歩したり一緒に蝶々探したりお花を見つけたりしてるよ」
そう話す女の子の表情は暗い表情から少し明るい表情へと変わった。
『ナギって子供をあやすのうまかったんだな、なんか意外』
『それどういう意味?』
『いや特に深い意味はないけど』
それからしばらくその女の子のお母さんを探したがそれらしい見た目をした人は見当たらなかった。
というより髪が長い女の人なんてそこらじゅうにいるのでやっぱりもう少し細かい情報がないと探せそうにない。
「お母さんのことについてもうちょっと詳しい情報を教えてもらった方が良くないですか?」
モモさんがそう言った。
「お母さんのことについてもうちょっと詳しく教えてくれる?」
そう言いながらナギが後ろの方に顔を向ける。
「ちょっとあの女の子はどこいったの!」
いつのまにかその女の子の姿はどこかに消えていた。
「1人でどこかに行ってしまったんでしょうか?」
『とりあえずあの女の子を先に探そう』
「ええ!」
「はい!」
女の子を探すため足を前に進めようとしたその時、少し遠くの方から男の人たちのしゃべり声が聞こえてきた。
「それにしてもあの小さいガキ赤ん坊を連れてる女2人の冒険者に近づいて俺達のアジトに連れて来いって言ったら素直に言うことを聞くなんてな」
「こっちはあいつの母親を人質に取ってるんだいくら3歳のガキとはいえそうしないとやばいことぐらいさすがにわかるだろう」
「それもそうか気の弱そうなガキだったしなおさらか」
「そろそろあいつに頼んでおいた時間だしアジトに戻るか」
「ああそうだな」
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