男色官能小説短編集

明治通りの民

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クレールドリュンヌ

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 東名高速道路を降りると、まだ家まで遠いのになぜかほっとする。見慣れた夜の街並みが、懐かしくも寂しくもあった。
 助手席のケビンが言った。
「ちょっと眠くなってきたな。浩二は大丈夫?すぐそこの駐車場で休憩しない?」昼から交代で運転してきたが、やはり同じ体勢だと足腰に来る。浩二はケビンを見て微笑んだ。普段はかき消されていたのに、静寂にある二人だけの空間では、優しさは波紋する。
「夜空も澄んでるから、星でも見るか」
 
 浩二は市街地の手前にある山道の入り口の近くの駐車場に車を停めた。エンジンが止まると同時にケビンは、広大な駐車場のど真ん中まで駆け出し背伸びをした。浩二が近づいていくと、無邪気に微笑み返すケビンのエメラルドグリーンの瞳に、荒れ狂う己の性器を恥じた。長時間の運転で硬くなった下半身は、それが恍惚の印なのか、生体反応なのか、浩二には判断出来なかった。ケビンは夜空に広がる星々を見上げた。後ろから見える彼のスエットからけつの割れ目がはっきりと現れていた。
 
 ケビンは地べたに座り込み、持ってきた小型双眼鏡で、春の星座のおおぐま座を探した。まだひんやりとした駐車場のアスファルトが、ケビンのほてった身体を冷ました。その横で浩二が座り込んだ。
「春の星座ならこぐま座もいるはずだろ」
「まだ見つからない」
 ケビンは真っ暗な夜空を探し続けたが、一点の光も見当たらない。しばらくして望遠鏡に、暗闇の中にぼんやりと赤褐色の物体が映った。と同時にケビンの唇に、温かい液体と浩二の身体の一部が触れた。ケビンは赤面した。
「おおぐま座見つかったか」
 唇に微かに触れる浩二の男根。豊かな自然で育てられた確かな弾力。ケビンは無意識のうちに、スウェットをずらしていた。紅梅色に染まったケビンのけつは、浩二の性欲を誘った。
 ケビンは望遠鏡を外し、四つん這いで夜空を仰いだ。目前には満点の星空が輝いていた。熱く硬直した何かが、ゆっくりと入っていく感触に、ケビンの亀頭からねっとりとした液体がアスファルトと濡らす。ケビンの身体は今にもはちきれそうだった。
「うう、」
 浩二が吐息を漏らし、真上を見上げた瞬間、けつの中で逸物だけがかすかに動き、先頭から熱い液が漏れ出した。ケビンは身体の中に浩二の精子達を感じた。
 
 もうその流星は、小さなブラックホールへと飲み込まれ、消えて無くなっていった。
 二人はアスファルトで寝そべり、抱き合った。汗と精子の香りを共有しながら。
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