男色官能小説短編集

明治通りの民

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ワンミニッツマン

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 今夜のラジオは、星空の下のライブ音楽が流れていた。もうすぐリアル相手が来る時間だ。晩御飯もお風呂も済ませて、ベッドで寝転がる。ミント味の歯磨き粉がまだ口の中に残っていた。寝室のディヒューザーと、ラジオのメロディが、眠気を誘った。
 インターフォンが鳴る。見ると画面には、三十代らしき男性が見えた。地元のお兄さんのような素朴系な彼は、鼻を啜って恥ずかしそうに立っていた。すぐにロックを解除して玄関の扉を開けると、彼はすぐに言った。
「タイプじゃなかったら、遠慮なく言ってね。俺そういうの全然気にしないタイプだから」
「ううん、大丈夫」恥ずかしさを隠して僕は伝えた。
「ちょっとだけ眠たい。少し眠っていい?」
 星空のラジオを聴きながら、僕達はベッドの上で寄り添った。いつもならすぐにでもガン掘りされる僕のケツが、今夜はアンビエントだった。年上の彼は、僕の鼓動も気にせず、爆睡した。彼のすやすやと眠っている顔を確認した。
 可愛かった。
 僕は自慢のケツを、爆睡している彼の股間に押しつけた。彼は優しく僕の腕を包み込んで、抱きしめた。起きてたんだ、と気づいた時にはもう、彼の股間が膨らんでいた。そそり立つ彼の股間からものを取り出して、僕のケツに入れてみた。
 あったかい。
 彼がゆっくりと腰を振って、僕はゆっくり拒絶する。この無言のやりとりが、眠りの気持ちよさと、ケツにぴったりと繋がった感触と、星空のラジオに調和していた。
 
「あ、やばい」
 二十代のケツはこんなに気持ちいいのか。眠たいから出来ないと言っていたのに、こんなにエロいのか。孝介は部屋に入ってからのやりとりを反芻した。扉を開けた時のあいつの顔、添い寝することになった会話のやりとり、ケツをゆっくり腰を押し付ける仕草、知らない間に入っていった直立した逸物。それらを思い返してしまった時、どくどくと背徳の液体が身体から滲み出た。
「あ、ごめん。出ちゃった。ケツが気持ちよすぎて」
 紅潮した頬と、乳白色の液体を手で押さえてうつむく孝介は、すぐにでも帰りたかった。
 孝介は早漏だった。今は時短の時代なんだと自分に言い聞かせていたが、やはり恥ずかしかった。日が沈み薄暗くなったあいつの部屋は、まるで高校生の頃の夏のキャンプファイヤーを思い出させた。あの風呂場で、あどけない俺たちが身体だけは立派に成長し、キャンプファイヤーで紅潮した顔を眺めて、夢精したあの頃のことを。
 
 ワンミニッツマンは、申し訳ない気持ちで部屋を後にした。
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