夏の記憶

外伝

5年後。。。vol.9

ロンドンで落ち合ってから2週間ほど過ぎた頃
ミカエルから連絡が入った。
現在、美咲と子供達とオーストリアに旅行に来ている
トランジットと偽ってヒースローに立ち寄り、そこで美咲達を孝志に引渡すというのだ。

ユーロ圏になったおかげで、ウィーン・ロンドン間は国内線扱いで移動が楽だ
フライト時間も2時間から長くて2時間半
子供達もぐずることなく、あっという間のフライトだった。
特に男の子の孝樹は飛行機のおもちゃをCAさんからもらってご機嫌だ。

しかし美咲だけは、なんとなく浮かない顔をしていた
何がおかしい。。。
グラナダ・ウィーン間は直行便だった
確かにフライト時間が5時間だったので少し長くは感じたが。。。
ミカエルからは直行便が取れなかったと説明されたので、一旦は納得したが
なんとなく胸がざわざわした。。。
そぅ。。。美咲は孝志がロンドンにいることを実家の母から聞いて知っていたのだ。

「グラナダまでの飛行機にまだ時間があるから少し休憩しよう」

と、ミカエルに提案されて
クレジット会社の設置しているラウンジに移動する。

室内に入り、こちら側に背を向け窓際にたたずむ背中を見て美咲は確信した

孝志！！

思わず隣にいるミカエルに視線を移すとミカエルも美咲を見ていた

なぜ？？

美咲は声を出さずに目で問う