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第6章 信じたい私と人気俳優の彼
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けして長いわけではない年末年始の休みは、ただ、だらだらと過ぎていく。兄ちゃんは、三が日だけいて、「なんかあったら、すぐに連絡しろよ」と言って、すぐに大阪に戻っていった。
一馬は、毎日、顔をみせにくるけど、ずっと不機嫌な顔。機嫌悪くなるのは、私の方じゃないの?って思いながら、一緒にこたつに入って昼間っからケーブルテレビで流れる海外ドラマを見てる。
あの日から、勇気がなくて、スマホを見ることができなかった。でも、そろそろ現実に戻らなきゃ、ダメだよね。
今日は、一馬が、まだ顔をだしていない。
だるい身体を起こして、小さいバックの底にあったスマホを取り出すと、バッテリーの残量が一桁。通知にはいくつものアイコンが表示されている。電話の着信のアイコンや、LINEのアイコン。
とりあえず、充電しよう、と充電用のケーブルをコンセントに繋ぐ。待ってる時っていうのは、本当に時間が進むのが遅い。
こたつに入って、テーブルの上にこてんと頭をのせて、スマホとにらめっこ。二十パーセントを超えたのを見て、すぐにチェック。
着信は全部、遼ちゃん。でも、留守電には入ってなくて、L〇NEのメッセージも、ほとんど遼ちゃん。
『あけましておめでとう』
『電話してもでないけど、忙しい?』
『お願いだから、連絡ちょうだい』
『頼む。スタンプだけでもいいから』
最後には、遼ちゃんの悲鳴のようなメッセージ。すごく、胸がきゅーっと痛くなる。
ごめん、ごめんね。私が、弱虫だから。
目が熱くなってきた。だめだ、涙、止まれ。遼ちゃんに余計な心配かけちゃった。『ごめんね』の気持ちをのせて、ぺこりと頭を下げてる猫のスタンプを押して、送信。
テーブルに置こうした瞬間、スマホに着信。画面には『遼ちゃん』の文字。慌てて、電話に出たけど、声が上ずる。
「は……い」
『美輪さんっ!』
どこから電話してるんだろう。遼ちゃんは声を押し殺してる。車の中? 移動中なのだろうか。
「……はい」
『よ、よかった。』
「ごめん」
『……こっちこそ、ごめん』
「……」
『ずっと既読つかないから心配で』
「……」
『え、えっと、みっともないのはわかってるけど、言い訳だけさせて』
「……」
『あ、あの兵頭さんとは、本当になんでもないからっ』
「……」
『今度の映画で共演してるから、それで』
「遼ちゃん」
『う、うん』
「いいよ。もう」
『で、でも』
「私が……バカなだけだから」
『美輪さんは、バカじゃない』
「ごめん、もう充電きれるから」
『え、えっ?』
「……じゃあね」
一方的に通話を終えると、こてんと額をテーブルにのせる。
久しぶりに遼ちゃんの声を聞けて嬉しかったのに、まだまだ、胸が痛くって、ずっと声を聞いてると、また、あの遼ちゃんを思い出してしまう。こんなんじゃ、ずっと遼ちゃんの出ている作品、見られないな。
テーブルに置いたスマホを見ていると、L〇NEのメッセージが届いた。片手でスマホを握り、画面を見つめる。
『僕の話、ちゃんと聞いて欲しい』
『今日、夜、どこにいる?』
休みの最後まで実家にいるつもりだったけど、ちゃんと話をするんだったら、二人きりになりたい。ここじゃ、一馬が心配する。早いけど、マンションに戻ろう、と心に決めた。
『今日の夜には、マンションに戻るつもり』
『何時になっても行くから。』
その言葉を、すごく、すごく、信じたい。信じても、いいよね?
一馬は、毎日、顔をみせにくるけど、ずっと不機嫌な顔。機嫌悪くなるのは、私の方じゃないの?って思いながら、一緒にこたつに入って昼間っからケーブルテレビで流れる海外ドラマを見てる。
あの日から、勇気がなくて、スマホを見ることができなかった。でも、そろそろ現実に戻らなきゃ、ダメだよね。
今日は、一馬が、まだ顔をだしていない。
だるい身体を起こして、小さいバックの底にあったスマホを取り出すと、バッテリーの残量が一桁。通知にはいくつものアイコンが表示されている。電話の着信のアイコンや、LINEのアイコン。
とりあえず、充電しよう、と充電用のケーブルをコンセントに繋ぐ。待ってる時っていうのは、本当に時間が進むのが遅い。
こたつに入って、テーブルの上にこてんと頭をのせて、スマホとにらめっこ。二十パーセントを超えたのを見て、すぐにチェック。
着信は全部、遼ちゃん。でも、留守電には入ってなくて、L〇NEのメッセージも、ほとんど遼ちゃん。
『あけましておめでとう』
『電話してもでないけど、忙しい?』
『お願いだから、連絡ちょうだい』
『頼む。スタンプだけでもいいから』
最後には、遼ちゃんの悲鳴のようなメッセージ。すごく、胸がきゅーっと痛くなる。
ごめん、ごめんね。私が、弱虫だから。
目が熱くなってきた。だめだ、涙、止まれ。遼ちゃんに余計な心配かけちゃった。『ごめんね』の気持ちをのせて、ぺこりと頭を下げてる猫のスタンプを押して、送信。
テーブルに置こうした瞬間、スマホに着信。画面には『遼ちゃん』の文字。慌てて、電話に出たけど、声が上ずる。
「は……い」
『美輪さんっ!』
どこから電話してるんだろう。遼ちゃんは声を押し殺してる。車の中? 移動中なのだろうか。
「……はい」
『よ、よかった。』
「ごめん」
『……こっちこそ、ごめん』
「……」
『ずっと既読つかないから心配で』
「……」
『え、えっと、みっともないのはわかってるけど、言い訳だけさせて』
「……」
『あ、あの兵頭さんとは、本当になんでもないからっ』
「……」
『今度の映画で共演してるから、それで』
「遼ちゃん」
『う、うん』
「いいよ。もう」
『で、でも』
「私が……バカなだけだから」
『美輪さんは、バカじゃない』
「ごめん、もう充電きれるから」
『え、えっ?』
「……じゃあね」
一方的に通話を終えると、こてんと額をテーブルにのせる。
久しぶりに遼ちゃんの声を聞けて嬉しかったのに、まだまだ、胸が痛くって、ずっと声を聞いてると、また、あの遼ちゃんを思い出してしまう。こんなんじゃ、ずっと遼ちゃんの出ている作品、見られないな。
テーブルに置いたスマホを見ていると、L〇NEのメッセージが届いた。片手でスマホを握り、画面を見つめる。
『僕の話、ちゃんと聞いて欲しい』
『今日、夜、どこにいる?』
休みの最後まで実家にいるつもりだったけど、ちゃんと話をするんだったら、二人きりになりたい。ここじゃ、一馬が心配する。早いけど、マンションに戻ろう、と心に決めた。
『今日の夜には、マンションに戻るつもり』
『何時になっても行くから。』
その言葉を、すごく、すごく、信じたい。信じても、いいよね?
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