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第8章
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へリウスに抱えられて走ること、三日。ようやく、少し大きめな町に到着した。
「くそっ、風呂に入りてぇ!」
わかる。すげー、わかる!
クリーンの魔法をかけても、なんか残ってる感じがして、すっきりしないのだ。
「しかし、問題は風呂付の宿があるかどうかだなぁ」
「う、やっぱ、そういうのは高いよね」
そんな宿は、たいがいお貴族様用らしく、この町にそういう宿があるかは微妙。あっても、当然、高いんだろうな、という予想がつく。
俺たちはまず、冒険者ギルドに向かった。何せ、へリウスが移動中に色々と倒したもんで、へリウスのマジックバッグがいっぱいになっているのだ。俺のバッグにも入れてくれ、と言われ、結局、俺のもいっぱいになってるのだ。
どうも冒険者不足なのか、解体窓口のおじさんには、かなり喜ばれた。
この町自体、高ランクの魔物が出ている場所から離れているらしく、町に留まる冒険者はあまり多くないようだ。それでも、周辺に現れる魔物の数は少なくはないし、また、討伐がされないせいで肉や素材が足りなくなってきているらしい。
「しばらく乗合馬車も行商人も来ないもんだから、他の物資もなかなか届かなくてなぁ」
この町の手前にあった村も、なかなかいい具合に寂れてたのを思い出す。
あのブラックヴァイパーたちのせいなんだろうなぁ、とは思うけど、もう、あれもいないし、少しずつ流通も生き返るはずだ。
ほくほく顔のおじさんから、解体の明細をもらい、受付窓口に行く。へリウスの顔つきを見ると、かなりいい金額で引き取ってもらえたようだ。
そこで、風呂付きの宿屋がないか聞いてみたが、やっぱり、この町では無理だった模様。
「この次のトリアデンであれば、かなり大きな街だから、そこならあるんじゃないかな」
「なんだ、もうトリアデンまで来てたのか」
何やら、へリウスはその地名を知っているらしい。
「あの街なら行ったことがあるんだ。あそこの町の宿は、風呂があったはずだ。」
「やったね」
「あ、あのっ! で、できれば少し、討伐依頼をお願いできませんでしょうかっ」
「あ?」
二人で気分よく話しているところに、受付のおじさんが割って入ってくる。
へリウス、顔、恐いぞ。受付のおじさんも、ビビってるし。
「も、申し訳ありませんっ、し、しかし、今、この町にいる者では荷が勝ちすぎておりまして」
掲示されている討伐依頼に目を向けるへリウス。確かに、高ランクの物がかなり残っているっぽい。渋い顔になるへリウス。
「俺たちも急いでいるんだがな」
それでも、ハッキリと断れないでいるへリウス。人が良すぎるぞ。
思わず、俺の方が溜息をついてしまう。
聞けば、護衛でついて行ったこの町のB級やC級の冒険者たちが、いまだに戻ってこないという。残っている連中では、なかなか討伐するには厳しいらしい。
「……やってあげれば?」
俺の呆れたような声に、へリウスがへにょりと耳を曲げる。
「しかしなぁ、お前をつれて行くのは厳しいぞ」
「あ、あの、でしたら、ギルド内でお預かりしますっ!」
突如、受付のおじさんの後ろから現れた女の人。十代後半くらいのその人は、キラキラした目で俺を見つめてくる。
「……ハル、留守番できるか?」
「仕方ないじゃん。でも、それ、明日以降でいいよね?」
「え?」
「俺たち、今、この町に着いたばっかりなの。宿、決めて、少し休みたいんだけど」
不機嫌そうな俺の声。子供らしさの欠片もない言い方になっちゃったけど、それいくらいの文句は言ってもいいと思うんだ。
「くそっ、風呂に入りてぇ!」
わかる。すげー、わかる!
クリーンの魔法をかけても、なんか残ってる感じがして、すっきりしないのだ。
「しかし、問題は風呂付の宿があるかどうかだなぁ」
「う、やっぱ、そういうのは高いよね」
そんな宿は、たいがいお貴族様用らしく、この町にそういう宿があるかは微妙。あっても、当然、高いんだろうな、という予想がつく。
俺たちはまず、冒険者ギルドに向かった。何せ、へリウスが移動中に色々と倒したもんで、へリウスのマジックバッグがいっぱいになっているのだ。俺のバッグにも入れてくれ、と言われ、結局、俺のもいっぱいになってるのだ。
どうも冒険者不足なのか、解体窓口のおじさんには、かなり喜ばれた。
この町自体、高ランクの魔物が出ている場所から離れているらしく、町に留まる冒険者はあまり多くないようだ。それでも、周辺に現れる魔物の数は少なくはないし、また、討伐がされないせいで肉や素材が足りなくなってきているらしい。
「しばらく乗合馬車も行商人も来ないもんだから、他の物資もなかなか届かなくてなぁ」
この町の手前にあった村も、なかなかいい具合に寂れてたのを思い出す。
あのブラックヴァイパーたちのせいなんだろうなぁ、とは思うけど、もう、あれもいないし、少しずつ流通も生き返るはずだ。
ほくほく顔のおじさんから、解体の明細をもらい、受付窓口に行く。へリウスの顔つきを見ると、かなりいい金額で引き取ってもらえたようだ。
そこで、風呂付きの宿屋がないか聞いてみたが、やっぱり、この町では無理だった模様。
「この次のトリアデンであれば、かなり大きな街だから、そこならあるんじゃないかな」
「なんだ、もうトリアデンまで来てたのか」
何やら、へリウスはその地名を知っているらしい。
「あの街なら行ったことがあるんだ。あそこの町の宿は、風呂があったはずだ。」
「やったね」
「あ、あのっ! で、できれば少し、討伐依頼をお願いできませんでしょうかっ」
「あ?」
二人で気分よく話しているところに、受付のおじさんが割って入ってくる。
へリウス、顔、恐いぞ。受付のおじさんも、ビビってるし。
「も、申し訳ありませんっ、し、しかし、今、この町にいる者では荷が勝ちすぎておりまして」
掲示されている討伐依頼に目を向けるへリウス。確かに、高ランクの物がかなり残っているっぽい。渋い顔になるへリウス。
「俺たちも急いでいるんだがな」
それでも、ハッキリと断れないでいるへリウス。人が良すぎるぞ。
思わず、俺の方が溜息をついてしまう。
聞けば、護衛でついて行ったこの町のB級やC級の冒険者たちが、いまだに戻ってこないという。残っている連中では、なかなか討伐するには厳しいらしい。
「……やってあげれば?」
俺の呆れたような声に、へリウスがへにょりと耳を曲げる。
「しかしなぁ、お前をつれて行くのは厳しいぞ」
「あ、あの、でしたら、ギルド内でお預かりしますっ!」
突如、受付のおじさんの後ろから現れた女の人。十代後半くらいのその人は、キラキラした目で俺を見つめてくる。
「……ハル、留守番できるか?」
「仕方ないじゃん。でも、それ、明日以降でいいよね?」
「え?」
「俺たち、今、この町に着いたばっかりなの。宿、決めて、少し休みたいんだけど」
不機嫌そうな俺の声。子供らしさの欠片もない言い方になっちゃったけど、それいくらいの文句は言ってもいいと思うんだ。
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