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第7章
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へリウスが言っていた『肉』は、ブラックヴァイパーのことだった。
そう、なんと、俺がテントにこもっている間、へリウスが戦っていたのはブラックヴァイパーだったのだ。もしかしたら、あの『剛腕の獅子』が襲われたという奴らが、こっちまで遠征してきたのか。
村にいたのは大きいのが一匹と、それより一回り小さいのが三匹。村人の姿はなく、すでに、逃げたのか、それとも食われてしまったのかは、定かではない。
しかし、あの生臭い臭いは……まぁ、考えたくはない。
「ほれ、食え」
へリウスが差し出したのは、ブラックヴァイパーの塩焼き。鉄の串に差したやつで、見た目はまるで、ウナギの白焼きみたい。こっちの世界に来てから、多少のゲテモノには慣れたので、この程度だったら、問題なし。むしろ、皮の部分の焦げた匂いが香ばしくて、余計に食欲をそそる。
「うっ!? うめぇっ!」
思いのほか、ジューシーで、ふっくらした食感に驚く。
「だろ? いやぁ、ちゃんと魔物除け置いて、血抜きしといて正解だったわぁ」
てっきり、ブラックヴァイパーを討伐して、死体は放置してきたのかと思ったら、村の中で、血抜きした上に、天日干しまでしておいていたらしい。
自身も血を流してたのに、そんなことをする余裕があったのかと思うと、さすがへリウス、なんだろうけど。
だからって、日が暮れるまで戻って来なかったなんて!
こっちは、不安で心配で仕方がなかったのにっ!
……しかし、この旨さには、文句は言えず。黙々と食べ続ける俺たち。
「……おい」
そんな俺たちに声をかけてきたのは、転がされてる大男。
「ハル、これも食え」
「う? うん」
「おいって言ってんだろっ」
「……あ゛?」
へリウスの凍り付くような視線に、大男はピシリと音が聞こえそうなくらいに固まる。
そして、もう一人、こいつの影に隠れてるけれど、ひょろい男がオドオドしながらこっそりと覗いている。
「あれ……へリウス、あいつの首に付いてるのって?」
そう、俺が気になったのは、ひょろい男の首に付けられている首輪。黒いゴムっぽい感じのそれは、なんだか、見ているだけで気持ち悪く感じる。
「……あれは、隷属の輪だな」
「れいぞく?」
「ん~、奴隷ってわかるか?」
あ。『れいぞく』は『隷属』か。
そうか。この世界には奴隷制度があったっけ。もしかしたら、俺も追手に捕まったら、そうなっているかもしれない『奴隷』。
「……わかる」
ひょろい男に目を向ける。ヤツの視線はへリウスに向けられているから、じっくりと観察してみる。背は大して大きくないのは、大男のそばにいるせいだろうか。ひょろいだけあって、栄養状態はけして良さそうには見えない。そして……なんとも、嫌な感じに昏い目をしている。
「お、俺たちをどうしようってんだ」
大男が、声を震わせながら言ってきた。
「どうすっか、ハル」
「放置でいいんじゃね?」
「だとよ」
「なっ、ちょ、おい、縄、外せよ」
「うるさいなぁ……おっさん、結界の外に出すよ?」
「お、おっさん、だと! チビガキ、俺は、まだおっさんじゃねぇ!」
……どう見たって、おっさんなんだけど。
「大人しくしてりゃぁ、朝までは置いといてやる。出来なきゃ」
へリウスはジロリと熊男を睨んでから、外へと目を向ける。
「そのまま、外に出してやるさ。言っとくが、その縄は、そこいらの店で売ってるようなナイフじゃ、切れねぇぜ」
ニヤリと笑ったへリウスは、どこの悪役だよ、とツッコミたくなる悪人面をしていた。
そう、なんと、俺がテントにこもっている間、へリウスが戦っていたのはブラックヴァイパーだったのだ。もしかしたら、あの『剛腕の獅子』が襲われたという奴らが、こっちまで遠征してきたのか。
村にいたのは大きいのが一匹と、それより一回り小さいのが三匹。村人の姿はなく、すでに、逃げたのか、それとも食われてしまったのかは、定かではない。
しかし、あの生臭い臭いは……まぁ、考えたくはない。
「ほれ、食え」
へリウスが差し出したのは、ブラックヴァイパーの塩焼き。鉄の串に差したやつで、見た目はまるで、ウナギの白焼きみたい。こっちの世界に来てから、多少のゲテモノには慣れたので、この程度だったら、問題なし。むしろ、皮の部分の焦げた匂いが香ばしくて、余計に食欲をそそる。
「うっ!? うめぇっ!」
思いのほか、ジューシーで、ふっくらした食感に驚く。
「だろ? いやぁ、ちゃんと魔物除け置いて、血抜きしといて正解だったわぁ」
てっきり、ブラックヴァイパーを討伐して、死体は放置してきたのかと思ったら、村の中で、血抜きした上に、天日干しまでしておいていたらしい。
自身も血を流してたのに、そんなことをする余裕があったのかと思うと、さすがへリウス、なんだろうけど。
だからって、日が暮れるまで戻って来なかったなんて!
こっちは、不安で心配で仕方がなかったのにっ!
……しかし、この旨さには、文句は言えず。黙々と食べ続ける俺たち。
「……おい」
そんな俺たちに声をかけてきたのは、転がされてる大男。
「ハル、これも食え」
「う? うん」
「おいって言ってんだろっ」
「……あ゛?」
へリウスの凍り付くような視線に、大男はピシリと音が聞こえそうなくらいに固まる。
そして、もう一人、こいつの影に隠れてるけれど、ひょろい男がオドオドしながらこっそりと覗いている。
「あれ……へリウス、あいつの首に付いてるのって?」
そう、俺が気になったのは、ひょろい男の首に付けられている首輪。黒いゴムっぽい感じのそれは、なんだか、見ているだけで気持ち悪く感じる。
「……あれは、隷属の輪だな」
「れいぞく?」
「ん~、奴隷ってわかるか?」
あ。『れいぞく』は『隷属』か。
そうか。この世界には奴隷制度があったっけ。もしかしたら、俺も追手に捕まったら、そうなっているかもしれない『奴隷』。
「……わかる」
ひょろい男に目を向ける。ヤツの視線はへリウスに向けられているから、じっくりと観察してみる。背は大して大きくないのは、大男のそばにいるせいだろうか。ひょろいだけあって、栄養状態はけして良さそうには見えない。そして……なんとも、嫌な感じに昏い目をしている。
「お、俺たちをどうしようってんだ」
大男が、声を震わせながら言ってきた。
「どうすっか、ハル」
「放置でいいんじゃね?」
「だとよ」
「なっ、ちょ、おい、縄、外せよ」
「うるさいなぁ……おっさん、結界の外に出すよ?」
「お、おっさん、だと! チビガキ、俺は、まだおっさんじゃねぇ!」
……どう見たって、おっさんなんだけど。
「大人しくしてりゃぁ、朝までは置いといてやる。出来なきゃ」
へリウスはジロリと熊男を睨んでから、外へと目を向ける。
「そのまま、外に出してやるさ。言っとくが、その縄は、そこいらの店で売ってるようなナイフじゃ、切れねぇぜ」
ニヤリと笑ったへリウスは、どこの悪役だよ、とツッコミたくなる悪人面をしていた。
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