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第9章
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無事に上級学校に編入することになった私。
当然、ベイスとはクラスが違った。同じクラスになって、比べられるのは厳しいので、ちょうどよかった。
王妃殿下のお茶会の効果か、高位貴族のお嬢様方が、よく、声をかけてくださってびっくり。中でもメンゼン侯爵のご令嬢が登校初日から私のいる教室まで来てくださった。
なんでもメンゼン侯爵令嬢の上のお姉様(7歳離れているらしい)が、テオドア王子の乳母をしていたらしく、私の話を聞いていらしたのだとか。私なんて、たまにしか顔を出していないのに、覚えられてたことにびっくりしてしまった。
ちなみに、私と同じようにオルドン王国から留学しているヴェリーニ侯爵令嬢は、ベイスと同じクラスにいるらしい。私は名前はうろ覚えだったけれど、ベイスは覚えていた。
同郷だからといって、わざわざ挨拶に行くほどでもないだろうし、あちらが覚えているわけもないと思ってたら、意外にもあちらから呼び出しがあった。
ヴェリーニ侯爵令嬢以外にも、オルドンから来ていた人がいたとは、びっくり。ほんと、自分のことで精一杯で、周りが見えていなかったわ。
「ちょっとよろしいかしら」
呼び出されたのは、編入して3日目のお昼のこと。中庭にある四阿。
こんな綺麗な場所があったとは、まだまだ学校の中で知らない場所が多い。
「……ファルネーゼ子爵令嬢、貴女、学校にいらしたのなら、ヴェリーニ侯爵令嬢にご挨拶に来るのが、当たり前ではなくて?」
顔に見覚えがあるご令嬢が、キンキン声でオルドン語で言ってくる。あちらの学校ではクラスが違っていたので、名前までは覚えていない。
「そもそも、寮に入った時点でご挨拶に来るべきですっ。貴女、どちらにいらっしゃるのっ」
こちらもオルドンの貴族のご令嬢なのだろうなぁ。
彼女たちは留学してきているので、学校の寮に入っているのだろう。だから私も寮にいると思っているのだろうけれど、私はバーンズ伯爵家から通っているので当然、寮には入っていない。挨拶など、行けるわけないし、そもそも、行くつもりもない。
2人が私に文句を言っている間、呼び出した本人であるヴェリーニ侯爵令嬢は涼しい顔で、紅茶を飲んでいる。
ん~、ここで私から何か言うべきなんだろうか。めんどくさいなぁ、と思ってたら。
「レイ姉さん?」
なんと、ベイスがメンゼン侯爵令嬢と一緒に現れた。
え、もしや、デート!? 二人はそういう関係!?
「あら、バーンズ伯爵令息……と、メンゼン侯爵令嬢」
少しだけ慌てたようなヴェリーニ侯爵令嬢。ティーカップを置いてわざわざベイスのそばまでやってきた。
「……学校では爵位は不要と言われているはずですが」
「それは失礼しました……ところで、バーンズ様はファルネーゼ子爵令嬢とお知り合いで」
「レイ姉さんかい? 姉さんは、元々僕の従姉なんだけど、この前、うちの養女になったんだよ」
「……まぁ」
初耳って感じで、目をキョロキョロしだす、ヴェリーニ侯爵令嬢。
「ヴェリーニ様は、ご存知ないのかしら、バーンズ伯爵家といえば、今の王妃殿下とはご親戚にあたるのですけれど」
「そ、そうでしたわね」
「ええ。ですから……あまりレイ様を苛めにならないでくださいね?」
メンゼン侯爵令嬢、目が笑ってない。
「そ、そんなこと、しておりませんわっ……あら、もうこんな時間! もう戻りませんと」
オホホ、とか笑ってヴェリーニ侯爵令嬢たちは去っていった。
当然、ベイスとはクラスが違った。同じクラスになって、比べられるのは厳しいので、ちょうどよかった。
王妃殿下のお茶会の効果か、高位貴族のお嬢様方が、よく、声をかけてくださってびっくり。中でもメンゼン侯爵のご令嬢が登校初日から私のいる教室まで来てくださった。
なんでもメンゼン侯爵令嬢の上のお姉様(7歳離れているらしい)が、テオドア王子の乳母をしていたらしく、私の話を聞いていらしたのだとか。私なんて、たまにしか顔を出していないのに、覚えられてたことにびっくりしてしまった。
ちなみに、私と同じようにオルドン王国から留学しているヴェリーニ侯爵令嬢は、ベイスと同じクラスにいるらしい。私は名前はうろ覚えだったけれど、ベイスは覚えていた。
同郷だからといって、わざわざ挨拶に行くほどでもないだろうし、あちらが覚えているわけもないと思ってたら、意外にもあちらから呼び出しがあった。
ヴェリーニ侯爵令嬢以外にも、オルドンから来ていた人がいたとは、びっくり。ほんと、自分のことで精一杯で、周りが見えていなかったわ。
「ちょっとよろしいかしら」
呼び出されたのは、編入して3日目のお昼のこと。中庭にある四阿。
こんな綺麗な場所があったとは、まだまだ学校の中で知らない場所が多い。
「……ファルネーゼ子爵令嬢、貴女、学校にいらしたのなら、ヴェリーニ侯爵令嬢にご挨拶に来るのが、当たり前ではなくて?」
顔に見覚えがあるご令嬢が、キンキン声でオルドン語で言ってくる。あちらの学校ではクラスが違っていたので、名前までは覚えていない。
「そもそも、寮に入った時点でご挨拶に来るべきですっ。貴女、どちらにいらっしゃるのっ」
こちらもオルドンの貴族のご令嬢なのだろうなぁ。
彼女たちは留学してきているので、学校の寮に入っているのだろう。だから私も寮にいると思っているのだろうけれど、私はバーンズ伯爵家から通っているので当然、寮には入っていない。挨拶など、行けるわけないし、そもそも、行くつもりもない。
2人が私に文句を言っている間、呼び出した本人であるヴェリーニ侯爵令嬢は涼しい顔で、紅茶を飲んでいる。
ん~、ここで私から何か言うべきなんだろうか。めんどくさいなぁ、と思ってたら。
「レイ姉さん?」
なんと、ベイスがメンゼン侯爵令嬢と一緒に現れた。
え、もしや、デート!? 二人はそういう関係!?
「あら、バーンズ伯爵令息……と、メンゼン侯爵令嬢」
少しだけ慌てたようなヴェリーニ侯爵令嬢。ティーカップを置いてわざわざベイスのそばまでやってきた。
「……学校では爵位は不要と言われているはずですが」
「それは失礼しました……ところで、バーンズ様はファルネーゼ子爵令嬢とお知り合いで」
「レイ姉さんかい? 姉さんは、元々僕の従姉なんだけど、この前、うちの養女になったんだよ」
「……まぁ」
初耳って感じで、目をキョロキョロしだす、ヴェリーニ侯爵令嬢。
「ヴェリーニ様は、ご存知ないのかしら、バーンズ伯爵家といえば、今の王妃殿下とはご親戚にあたるのですけれど」
「そ、そうでしたわね」
「ええ。ですから……あまりレイ様を苛めにならないでくださいね?」
メンゼン侯爵令嬢、目が笑ってない。
「そ、そんなこと、しておりませんわっ……あら、もうこんな時間! もう戻りませんと」
オホホ、とか笑ってヴェリーニ侯爵令嬢たちは去っていった。
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