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第7章
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静かな部屋の中、マイア―ル男爵の声が響く。
「あ~、私が、マイア―ル男爵だ。サカエラと申したな、レイの面倒を見てもらっていたようだが、我々の方で引き取るので、早々に荷物があれば、持ってくるように」
「え」
いきなりそんなことを言われて固まる私たち。
「ああ、ハロルド、奥の離れが空いていたよな」
「はい、旦那様」
「よし、では」
「ちょ、ちょっと待ってください」
思わず会話を止めてしまう私。だって、勝手に決められるなんて。
「なんだ。レイ」
「なんだ、じゃないです。私、こちらにお世話になるつもりありませんから」
「……なんだと」
不機嫌そうに眉間にしわを寄せる男爵。隣に座る神経質そうな夫人も、睨みつけてくる。
「申し訳ありませんが、今日はお断りするつもりでお邪魔させていただいたんです。なのに、私たちの話を聞きもせず、そんな、どんどん……」
「貴族になれるというのに、何が不満だというのだ」
「いや、別に貴族になんてなりたくないですし」
「なんだとっ」
いきなり立ち上がる男爵は、顔を真っ赤に両手を握りしめ、ブルブルと震えている。
「ですから、私は貴族になりたいとは思っておりません。母と同じように、仕事をしたいと考えていますし」
「何を言っている。男爵家に連なる者が、女のくせに働くだと!」
あー。この人はそういうタイプなのか。
チラッと隣に座る夫人も、男爵同様に、馬鹿にしたような目で見てくる。そして、別の一人掛け用のソファに座っていた老婦人は、無表情に前を向いている。
「マイア―ル男爵様」
サカエラのおじさんが、いつになく低い声で男爵へと声をかけた。
……おう。怒りのオーラがにじみ出ている。その隣に座るショーンさんもしかり。
「な、なんだ。サカエラ」
「本日は、ご挨拶だけ、という話だったはずですが……どういうことですかな」
「何を言っている。わざわざ時間を割いてやったのだ。文句を言われる筋合いはない」
「こちらこそ、何を言ってるんですか、でございますよ」
スッと立ち上がるサカエラのおじさん。今まで見たことがないくらい怖い顔をしている。
「今回はお話を伺ってから、レイとも相談しようと思っておりましたが、そちらがそのような考えでしたら、こちらにも考えがございます」
「……平民風情が、何を言うか」
「その平民風情に、借金をしているのはどなたでしょうね」
「何をっ」
うわ。人って怒りでこんなに真っ赤になるのか。
こめかみあたりに太い血管が浮き上がっている姿に、驚いていると、遠慮がちなドアのノックの音がした。
「あ~、私が、マイア―ル男爵だ。サカエラと申したな、レイの面倒を見てもらっていたようだが、我々の方で引き取るので、早々に荷物があれば、持ってくるように」
「え」
いきなりそんなことを言われて固まる私たち。
「ああ、ハロルド、奥の離れが空いていたよな」
「はい、旦那様」
「よし、では」
「ちょ、ちょっと待ってください」
思わず会話を止めてしまう私。だって、勝手に決められるなんて。
「なんだ。レイ」
「なんだ、じゃないです。私、こちらにお世話になるつもりありませんから」
「……なんだと」
不機嫌そうに眉間にしわを寄せる男爵。隣に座る神経質そうな夫人も、睨みつけてくる。
「申し訳ありませんが、今日はお断りするつもりでお邪魔させていただいたんです。なのに、私たちの話を聞きもせず、そんな、どんどん……」
「貴族になれるというのに、何が不満だというのだ」
「いや、別に貴族になんてなりたくないですし」
「なんだとっ」
いきなり立ち上がる男爵は、顔を真っ赤に両手を握りしめ、ブルブルと震えている。
「ですから、私は貴族になりたいとは思っておりません。母と同じように、仕事をしたいと考えていますし」
「何を言っている。男爵家に連なる者が、女のくせに働くだと!」
あー。この人はそういうタイプなのか。
チラッと隣に座る夫人も、男爵同様に、馬鹿にしたような目で見てくる。そして、別の一人掛け用のソファに座っていた老婦人は、無表情に前を向いている。
「マイア―ル男爵様」
サカエラのおじさんが、いつになく低い声で男爵へと声をかけた。
……おう。怒りのオーラがにじみ出ている。その隣に座るショーンさんもしかり。
「な、なんだ。サカエラ」
「本日は、ご挨拶だけ、という話だったはずですが……どういうことですかな」
「何を言っている。わざわざ時間を割いてやったのだ。文句を言われる筋合いはない」
「こちらこそ、何を言ってるんですか、でございますよ」
スッと立ち上がるサカエラのおじさん。今まで見たことがないくらい怖い顔をしている。
「今回はお話を伺ってから、レイとも相談しようと思っておりましたが、そちらがそのような考えでしたら、こちらにも考えがございます」
「……平民風情が、何を言うか」
「その平民風情に、借金をしているのはどなたでしょうね」
「何をっ」
うわ。人って怒りでこんなに真っ赤になるのか。
こめかみあたりに太い血管が浮き上がっている姿に、驚いていると、遠慮がちなドアのノックの音がした。
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