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第7章
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ダルン侯爵の登場によって、その場の主導権は明らかに私たちの方へと変わった。
ソファに座った侯爵は長い足を組むと、向かいに座る老女へと目を向ける。
「叔母上もご無沙汰しております」
おそらく、私の曾祖母にあたる老女が無言のまま、侯爵へと視線を向けている。
――まさか、ダルン侯爵家とマイア―ル男爵家が繋がってたの?
思わず、侯爵と老女を見比べる。
ダルン侯爵は50代半ばくらいだろうか。大柄な体格に豊かな金髪。鋭い目つきに濃い青い目。一方の老女のほうは、かなり小柄でぽっちゃりとしている。重い瞼にたれ目のせいで、目の色まではわからない。
正直、全然、似ているようには見えない。
「サカエラから、レイについて貴族が絡んできているというものでね」
「な、なぜ、ダルン侯爵様が」
「なぜ?」
ギロリと侯爵はマイア―ル男爵へと目を向けた。
「ロベルト……レイの祖父が病で倒れた時、うちの先代がメリンダの後見をすることを約束したのさ。当然、その娘のレイもね。それは叔母上もご存知だったはずだが」
単純に母の仕事関係で知っているだけだと思っていた。
まさか、遠いとはいえ、血縁関係があるなんて、思ってもみなかった。
「お、お祖母様!?」
「……知っていたが、それだけだよ」
焦ったような男爵に対して、老女はため息交じりに答えた。
「ロベルトは言ってたそうですよ……けしてマイア―ル家にだけは関わらせないでくれと」
「なっ!? なぜでございますか」
「なぜだって? それは、叔母上にでも聞いてみるといい」
皆の視線が老女に向かう。
老女は目を閉じ、再び開けると、冷ややかな眼差しを……私に向けた。
「……目の色は違うが、髪の色はニルデにそっくり。汚らしい黒い髪」
吐き出すようにに言う老女の言葉に、びくっと身体が震える。
ニルデという名前に聞き覚えがないけれど……もしかして、祖母の名前だろうか。
「本当に、憎らしいぐらいに。息子を誑かしたあの女、そっくりだ」
老婆に向けられた悪意に、身体が強張る。
「何度も殺してやろうとしたのに、なぜか死にやしない……本当にね。あんな女がいなければ、我が家は今でも伯爵家としてやっていけたはずなのに」
「お祖母様っ、何をおっしゃるんですっ」
「お黙り。男はロベルトしかいなかったのに、そのロベルトが女に誑かされて出ていくわ、妹のリリーに婿入りしてきたジークベルトは使えないわ。その息子のコレも、孫のマーヴィンも。なんだって、私はマイア―ルなんぞに嫁いできたんだか」
忌々しそうな眼差しに、男爵はびくりと身体を揺らした。
「二度とあの女の関係者と出会うことなどないと思ったのに。コレのせいで、再び関りを持つようになるとはね。離れにでも押し込んでおくんだったら我慢のしようもあったが、侯爵様が出てきてしまったんなら、諦めなさい。ルーファス」
ルーファスと呼ばれた男爵が、余計小さくなって見えてくる。
「……もういいかい。同じ部屋にいるのも、嫌で仕方がないの」
「お、お祖母様」
「ハロルド」
「はい、大奥様」
男爵の縋るような声を無視すると、老女はそれ以上は何も言わずに、執事に手を引かれながら部屋から出て行ってしまった。
***
すみません。56話が飛んでいましたので、追加しました^^;;;;
申し訳ございません。<m(__)m>
ソファに座った侯爵は長い足を組むと、向かいに座る老女へと目を向ける。
「叔母上もご無沙汰しております」
おそらく、私の曾祖母にあたる老女が無言のまま、侯爵へと視線を向けている。
――まさか、ダルン侯爵家とマイア―ル男爵家が繋がってたの?
思わず、侯爵と老女を見比べる。
ダルン侯爵は50代半ばくらいだろうか。大柄な体格に豊かな金髪。鋭い目つきに濃い青い目。一方の老女のほうは、かなり小柄でぽっちゃりとしている。重い瞼にたれ目のせいで、目の色まではわからない。
正直、全然、似ているようには見えない。
「サカエラから、レイについて貴族が絡んできているというものでね」
「な、なぜ、ダルン侯爵様が」
「なぜ?」
ギロリと侯爵はマイア―ル男爵へと目を向けた。
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単純に母の仕事関係で知っているだけだと思っていた。
まさか、遠いとはいえ、血縁関係があるなんて、思ってもみなかった。
「お、お祖母様!?」
「……知っていたが、それだけだよ」
焦ったような男爵に対して、老女はため息交じりに答えた。
「ロベルトは言ってたそうですよ……けしてマイア―ル家にだけは関わらせないでくれと」
「なっ!? なぜでございますか」
「なぜだって? それは、叔母上にでも聞いてみるといい」
皆の視線が老女に向かう。
老女は目を閉じ、再び開けると、冷ややかな眼差しを……私に向けた。
「……目の色は違うが、髪の色はニルデにそっくり。汚らしい黒い髪」
吐き出すようにに言う老女の言葉に、びくっと身体が震える。
ニルデという名前に聞き覚えがないけれど……もしかして、祖母の名前だろうか。
「本当に、憎らしいぐらいに。息子を誑かしたあの女、そっくりだ」
老婆に向けられた悪意に、身体が強張る。
「何度も殺してやろうとしたのに、なぜか死にやしない……本当にね。あんな女がいなければ、我が家は今でも伯爵家としてやっていけたはずなのに」
「お祖母様っ、何をおっしゃるんですっ」
「お黙り。男はロベルトしかいなかったのに、そのロベルトが女に誑かされて出ていくわ、妹のリリーに婿入りしてきたジークベルトは使えないわ。その息子のコレも、孫のマーヴィンも。なんだって、私はマイア―ルなんぞに嫁いできたんだか」
忌々しそうな眼差しに、男爵はびくりと身体を揺らした。
「二度とあの女の関係者と出会うことなどないと思ったのに。コレのせいで、再び関りを持つようになるとはね。離れにでも押し込んでおくんだったら我慢のしようもあったが、侯爵様が出てきてしまったんなら、諦めなさい。ルーファス」
ルーファスと呼ばれた男爵が、余計小さくなって見えてくる。
「……もういいかい。同じ部屋にいるのも、嫌で仕方がないの」
「お、お祖母様」
「ハロルド」
「はい、大奥様」
男爵の縋るような声を無視すると、老女はそれ以上は何も言わずに、執事に手を引かれながら部屋から出て行ってしまった。
***
すみません。56話が飛んでいましたので、追加しました^^;;;;
申し訳ございません。<m(__)m>
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