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第6章

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 森の木々が赤く変わる頃、エルドおじさんが、帰国することになった。
 どうも、前におじさんたちがふざけて送った写真を見て、『そんなに元気なら、帰ってきてください』と、カイルからお怒り(?)の手紙が届いたらしい。
 私たちは王都の城壁の門まで、エルドおじさんたちを見送りに行った。

「もっとレイと一緒にいたかったのにぃっ!」

 おじさんはわざわざ馬車から降りると、私のことを抱きしめながら、グズグズと文句を言う。しかし、そんなおじさんも、護衛の力には敵わないらしく、引きずられるように馬車に乗り込んだ。

「レイ! 次の長期の休みには、また遊びにおいで!」

 それだけを叫ぶと、馬車はさっさと王都から出ていった。

「……エルドたちがいる間は楽しかったのになぁ」

 かなり残念そうなサカエラのおじさん。
 サカエラのおじさんは仕事で忙しくしていて、家にも仕事を持ち帰るほど。それをエルドおじさんが楽しそうに手伝っている姿を思い出す。そして、仕事を終えれば、いつも楽しそうにエルドおじさんとお酒を酌み交わしていた。
 そんな姿を見ているから、おじさんが、本当に寂しそうに見える。私も、けっこう寂しいけど。

「今度は一緒に、エルドおじさんのところに遊びに行きましょうよ」
「……そうだな。久しぶりにちゃんと休みをとるか」

 ようやく、おじさんに笑顔が戻った。



 そして屋敷の中に戻ると、執事のギヨームさんが出迎えてくれた。

「旦那様、ショーン様が、お帰りです」
「ショーンが?」

 おじさんは驚いてたけれど、すごく嬉しそうな顔をしたのを、私は見逃さなかった。

「おかえり」

 サロンのソファに座りながらコーヒーを飲もうとしていたショーンさんが、少しぶっきらぼうに、おじさんに声をかけた。

「戻ってくるなら連絡ぐらいよこしなさい。お前、大学は?」
「……ちょっと早めに秋休みだよ。」

 私が通う学校には秋休みなんてものはない。大学って、こんな時期から秋休みなんだ、と驚いてしまった。

「ショーンさん、おかえりなさい」

 おじさんの後ろから、ショーンさんに声をかけると、私の存在に気づいたのか、真っ赤になって固まった。
 ぶっきらぼうに振舞ったことに照れたのかな。
 ちょっとだけ、子供っぽいと思ったら、思わず、微笑んでしまった。

「熱っ!」
「え、だ、大丈夫ですかっ?」

 何に驚いたのか、ショーンさんはコーヒーをズボンの上にこぼしてしまった。

「だ、大丈夫、大丈夫」

 よっぽど熱かったのか、ショーンさんは、顔が真っ赤なまま。
 メイドさんがタオルを持ってきてくれたので、私が受け取って、零れたところを拭こうとしたら。

「だ、大丈夫だからっ!」

 慌てて、私の手からタオルを奪って、自分で軽くたたくと、すぐにサロンから出て行ってしまった。
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