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第5章
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思わず、「え?」と声をあげてしまう。
「こう見えても、私は国王だからねぇ。狙われる可能性があるから、護衛がいるわけだし」
そんな私に、お道化たふうに言うエルドおじさん。
「そ、そりゃそうだけど」
「早いところ、邪魔な王様は消してしまいたい奴等もいるわけさ」
「でも」
「私がいなくなれば、カイルが跡を継ぐ。しかし、もし、君が私の隠し子だとしたら、正当な後継者として、君が継ぐ可能性もある」
確かに、その昔、アストリアに女王がいたというのは、歴史で習った記憶がある。かなり、苛烈な女王だったからだけど。それだって100年以上前の話だ。
「でも、私はおじさんの子供じゃないよ」
「ああ、だから、それを知らない奴等が君を狙ってるかもしれない、ということだ」
それだって、なんだか、納得いかない。
「その、マイア―ル男爵が私へ接触してきた理由って」
「可能性としては、自分のところへの囲い込み、かな」
サカエラのおじさんが、首をかしげながら、そう答える。
「……跡継ぎとかいないんですか?」
「いや、一応、息子が一人いるようだ」
「だったら、私の必要性、なくないですか?」
「彼らが何を考えているのかはわからんがね。アストリアに戻ってこられないよう、マイア―ル男爵家に引き止めさせようとでもしてるのかもね」
「引き止めって」
「結婚とか?」
その言葉に、固まる私。
確かに、学校を卒業してすぐに結婚する子がいるにはいる。特に、お貴族様とか。
でも、私は平民で、結婚よりも母と同じ仕事がしたい。
いや、そもそも、私なんかと結婚させられるのって、まさか。
「ないない、私、平民ですし」
お貴族様的メリットなんて、ないでしょ。
「彼らは、君を王族の落としだねだと思ってるんだ。それをアストリアに来させないようにするだけで、何がしかの報奨があるとしたら?」
「え、でも、資産家なんじゃ」
「……資産はいくらあってもいい……そういう輩は、いくらでもいる」
思わず、げんなりする。
「それと、レイは忘れているようだけれど。君の父親は、アストリアでは伯爵家の長男だったんだよ」
「……」
「王妃であるイレーナに繋がる血筋だ。けして、ただの平民ではない」
苦笑いするエルドおじさん。
この前、アストリアに行って初めて会っただけなのに、王妃様からしてみれば、大した関係ではないと思うのだけれど。
「でも……たとえば、私が死んだとしても、カイル様が跡を継げば国としては安泰なのでは?」
「そんな悲しいことを言わないでおくれ。確かにカイルなら、よい王になるだろう」
エルドおじさんが、優しく微笑む。
「できれば、面倒なことは私の代で、始末してしまいたいものなんだがね」
遠くを見るように、天井を睨むエルドおじさんは、いつにも増して厳しい顔をしていた。
「こう見えても、私は国王だからねぇ。狙われる可能性があるから、護衛がいるわけだし」
そんな私に、お道化たふうに言うエルドおじさん。
「そ、そりゃそうだけど」
「早いところ、邪魔な王様は消してしまいたい奴等もいるわけさ」
「でも」
「私がいなくなれば、カイルが跡を継ぐ。しかし、もし、君が私の隠し子だとしたら、正当な後継者として、君が継ぐ可能性もある」
確かに、その昔、アストリアに女王がいたというのは、歴史で習った記憶がある。かなり、苛烈な女王だったからだけど。それだって100年以上前の話だ。
「でも、私はおじさんの子供じゃないよ」
「ああ、だから、それを知らない奴等が君を狙ってるかもしれない、ということだ」
それだって、なんだか、納得いかない。
「その、マイア―ル男爵が私へ接触してきた理由って」
「可能性としては、自分のところへの囲い込み、かな」
サカエラのおじさんが、首をかしげながら、そう答える。
「……跡継ぎとかいないんですか?」
「いや、一応、息子が一人いるようだ」
「だったら、私の必要性、なくないですか?」
「彼らが何を考えているのかはわからんがね。アストリアに戻ってこられないよう、マイア―ル男爵家に引き止めさせようとでもしてるのかもね」
「引き止めって」
「結婚とか?」
その言葉に、固まる私。
確かに、学校を卒業してすぐに結婚する子がいるにはいる。特に、お貴族様とか。
でも、私は平民で、結婚よりも母と同じ仕事がしたい。
いや、そもそも、私なんかと結婚させられるのって、まさか。
「ないない、私、平民ですし」
お貴族様的メリットなんて、ないでしょ。
「彼らは、君を王族の落としだねだと思ってるんだ。それをアストリアに来させないようにするだけで、何がしかの報奨があるとしたら?」
「え、でも、資産家なんじゃ」
「……資産はいくらあってもいい……そういう輩は、いくらでもいる」
思わず、げんなりする。
「それと、レイは忘れているようだけれど。君の父親は、アストリアでは伯爵家の長男だったんだよ」
「……」
「王妃であるイレーナに繋がる血筋だ。けして、ただの平民ではない」
苦笑いするエルドおじさん。
この前、アストリアに行って初めて会っただけなのに、王妃様からしてみれば、大した関係ではないと思うのだけれど。
「でも……たとえば、私が死んだとしても、カイル様が跡を継げば国としては安泰なのでは?」
「そんな悲しいことを言わないでおくれ。確かにカイルなら、よい王になるだろう」
エルドおじさんが、優しく微笑む。
「できれば、面倒なことは私の代で、始末してしまいたいものなんだがね」
遠くを見るように、天井を睨むエルドおじさんは、いつにも増して厳しい顔をしていた。
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