18 / 81
第2章
17 side ショーン
しおりを挟む
部屋を出ると、トンッとドアに背中を預ける。
自分でも信じられない。
あんなに頭にきてたはずなのに、あの子の……レイの金色の瞳をみたら、そんな感情はふっとんでしまった。
印象的な瞳もそうだけれど、メガネや地味な髪型に騙された。
目の前にしてみたら、頬をピンクに染めたレイの綺麗な顔立ちが、俺のハートを簡単に撃ち抜いていた。
大学校で一年付き合ってた彼女が、気が付いたら俺のルームメイトと浮気していた。それを責めたら、そのまま離れていった。
凹んで母親のところに戻ったら、父親の言った通り、新しい恋人ができたからと、追い出された。
いい年して、ふざけんなよって、思った。
そんな最悪の気分で父親の屋敷に帰ってみたら、当然自分の部屋だと思ってたところが、レイに侵食されていた。
俺だって、自分でもガキだと思う。
だけど、長い時間をかけて帰ってきて、疲れ果てていたせいもあって、感情のコントロールなんてできなかった。
でも。
レイの顔を見たら……もう、そんなのどうでもいいかもって思えてしまった。
レイに撫でられた頭に手を触れる。あんな風に他人に優しく撫でられたのは、いつ以来だろう。
自然と口元に笑みが浮かぶ。
「ふぅーっ」
俺は大きく深呼吸すると、気持ちを切り替えて、廊下を進む。
空いている部屋がどこにあるのか、メイドの誰かに聞かなきゃなぁ、と思いながら。
自分でも信じられない。
あんなに頭にきてたはずなのに、あの子の……レイの金色の瞳をみたら、そんな感情はふっとんでしまった。
印象的な瞳もそうだけれど、メガネや地味な髪型に騙された。
目の前にしてみたら、頬をピンクに染めたレイの綺麗な顔立ちが、俺のハートを簡単に撃ち抜いていた。
大学校で一年付き合ってた彼女が、気が付いたら俺のルームメイトと浮気していた。それを責めたら、そのまま離れていった。
凹んで母親のところに戻ったら、父親の言った通り、新しい恋人ができたからと、追い出された。
いい年して、ふざけんなよって、思った。
そんな最悪の気分で父親の屋敷に帰ってみたら、当然自分の部屋だと思ってたところが、レイに侵食されていた。
俺だって、自分でもガキだと思う。
だけど、長い時間をかけて帰ってきて、疲れ果てていたせいもあって、感情のコントロールなんてできなかった。
でも。
レイの顔を見たら……もう、そんなのどうでもいいかもって思えてしまった。
レイに撫でられた頭に手を触れる。あんな風に他人に優しく撫でられたのは、いつ以来だろう。
自然と口元に笑みが浮かぶ。
「ふぅーっ」
俺は大きく深呼吸すると、気持ちを切り替えて、廊下を進む。
空いている部屋がどこにあるのか、メイドの誰かに聞かなきゃなぁ、と思いながら。
0
お気に入りに追加
165
あなたにおすすめの小説

思い出してしまったのです
月樹《つき》
恋愛
同じ姉妹なのに、私だけ愛されない。
妹のルルだけが特別なのはどうして?
婚約者のレオナルド王子も、どうして妹ばかり可愛がるの?
でもある時、鏡を見て思い出してしまったのです。
愛されないのは当然です。
だって私は…。
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
「あなたの好きなひとを盗るつもりなんてなかった。どうか許して」と親友に謝られたけど、その男性は私の好きなひとではありません。まあいっか。
石河 翠
恋愛
真面目が取り柄のハリエットには、同い年の従姉妹エミリーがいる。母親同士の仲が悪く、二人は何かにつけ比較されてきた。
ある日招待されたお茶会にて、ハリエットは突然エミリーから謝られる。なんとエミリーは、ハリエットの好きなひとを盗ってしまったのだという。エミリーの母親は、ハリエットを出し抜けてご機嫌の様子。
ところが、紹介された男性はハリエットの好きなひととは全くの別人。しかもエミリーは勘違いしているわけではないらしい。そこでハリエットは伯母の誤解を解かないまま、エミリーの結婚式への出席を希望し……。
母親の束縛から逃れて初恋を叶えるしたたかなヒロインと恋人を溺愛する腹黒ヒーローの恋物語。ハッピーエンドです。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:23852097)をお借りしております。
【完結】今更魅了と言われても
おのまとぺ
恋愛
ダコタ・ヒューストンには自慢の恋人が居る。彼の名前はエディで、同じ魔法学校の同級生だ。二人の交際三ヶ月記念日の日、ダコタはエディから突然別れ話をされた。
「悪かった、ダコタ。どうやら僕は魅了に掛かっていたらしい……」
ダコタがショックに打ちひしがれている間に、エディは友人のルイーズと婚約してしまう。呆然とするダコタが出会ったのは、意外な協力者だった。
◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています
◇全17話で完結予定です

ひとりぼっちだった魔女の薬師は、壊れた騎士の腕の中で眠る
gacchi
恋愛
両親亡き後、薬師として店を続けていたルーラ。お忍びの貴族が店にやってきたと思ったら、突然担ぎ上げられ馬車で連れ出されてしまう。行き先は王城!?陛下のお妃さまって、なんの冗談ですか!助けてくれた王宮薬師のユキ様に弟子入りしたけど、修行が終わらないと店に帰れないなんて…噓でしょう?12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

愛など初めからありませんが。
ましろ
恋愛
お金で売られるように嫁がされた。
お相手はバツイチ子持ちの伯爵32歳。
「君は子供の面倒だけ見てくれればいい」
「要するに貴方様は幸せ家族の演技をしろと仰るのですよね?ですが、子供達にその様な演技力はありますでしょうか?」
「……何を言っている?」
仕事一筋の鈍感不器用夫に嫁いだミッシェルの未来はいかに?
✻基本ゆるふわ設定。箸休め程度に楽しんでいただけると幸いです。

【完結】あなたに抱きしめられたくてー。
彩華(あやはな)
恋愛
細い指が私の首を絞めた。泣く母の顔に、私は自分が生まれてきたことを後悔したー。
そして、母の言われるままに言われ孤児院にお世話になることになる。
やがて学園にいくことになるが、王子殿下にからまれるようになり・・・。
大きな秘密を抱えた私は、彼から逃げるのだった。
同時に母の事実も知ることになってゆく・・・。
*ヤバめの男あり。ヒーローの出現は遅め。
もやもや(いつもながら・・・)、ポロポロありになると思います。初めから重めです。
妹の身代わり人生です。愛してくれた辺境伯の腕の中さえ妹のものになるようです。
桗梛葉 (たなは)
恋愛
タイトルを変更しました。
※※※※※※※※※※※※※
双子として生まれたエレナとエレン。
かつては忌み子とされていた双子も何代か前の王によって、そういった扱いは禁止されたはずだった。
だけどいつの時代でも古い因習に囚われてしまう人達がいる。
エレナにとって不幸だったのはそれが実の両親だったということだった。
両親は妹のエレンだけを我が子(長女)として溺愛し、エレナは家族とさえ認められない日々を過ごしていた。
そんな中でエレンのミスによって辺境伯カナトス卿の令息リオネルがケガを負ってしまう。
療養期間の1年間、娘を差し出すよう求めてくるカナトス卿へ両親が差し出したのは、エレンではなくエレナだった。
エレンのフリをして初恋の相手のリオネルの元に向かうエレナは、そんな中でリオネルから優しさをむけてもらえる。
だが、その優しささえも本当はエレンへ向けられたものなのだ。
自分がニセモノだと知っている。
だから、この1年限りの恋をしよう。
そう心に決めてエレナは1年を過ごし始める。
※※※※※※※※※※※※※
異世界として、その世界特有の法や産物、鉱物、身分制度がある前提で書いています。
現実と違うな、という場面も多いと思います(すみません💦)
ファンタジーという事でゆるくとらえて頂けると助かります💦
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる