にわか雨

ぬるあまい

文字の大きさ
上 下
11 / 19
本編その後(番外編)

洪水警報発令中 R-15

しおりを挟む
R-15/「暴風に立ち向かう」の続き/雷視点



順平の家はどうやら複雑な環境にあるようだ。滅多なことでは両親は家に帰って来ないらしい。
だからこそこの兄妹の絆は強いのだろう。二人の兄妹愛には感服する反面、どこか嫉妬してしまう自分も居る。
正直毎日一緒に居られるのがとても羨ましい。欲を言えばこのまま俺だってこの家に住みたいくらいだ。
……だがしかし、それを順平の妹に言えば「雷君はすぐお兄ちゃんに手を出しそうだから駄目ー」と間延びした喋り方で言われてしまうのだろう。

「……」

だが今は滅多に出ない許しが出たところだ。
「寝ている順平の寝顔を見てもいい」とのこと。手は出すなと言われてしまったが、順平の寝顔が見れるだけでも俺には十分過ぎる程の褒美。
階段を上り、順平が起きないように最善の注意を図りながら扉を開けた。

「………」

扉を開けれてすぐ視界に入ってきたのは、星柄の寝間着を着ている順平の姿。俺が邪な気持ちを抱いていることなど気付くはずもなく、可愛らしい顔をして寝ている。
より一層幼さが増す順平の顔に、そっと手を伸ばしてみた。

「………」

順平が起きないように優しく撫でる。
まずは頬、そして鼻、瞼、そして最後に唇。指の腹で触れるだけでも至福感を味わえる。
「寝顔を見るだけ」、「手を出すな」と言われていたが、こんな無防備な姿で寝ている順平に手を出さずに居られるはずがない。後で怒られてしまうのは承知の上で、俺は順平の口の中に指を入れてみた。

「…ん、ぅ」
「……」

順平はまだ起きない。
俺はそれを良いことに、少し奥まで指を入れる。そうすればクチュっと唾液が絡まるような水音が鳴り、より一層俺の興奮を高める。

「順平、」

本当に可愛い。愛おしくて堪らない。
俺の指に軽く歯を立てつつも、時折吸いついてくる。熱い舌に舐められる感触に、これが指ではなかったらと…卑猥なことを考えてしまうのは仕方がないことだろう。

俺は我慢ならずに指を抜き、そしてそのふっくらとした唇に噛み付くようにキスをした。もしかしたら順平を起こしてしまうかもしれないと思いながらも、もう自分を止めることなど出来なかった。配慮など出来そうにない。

「……、」
「…は、っ」

まだ目を閉じ寝ている順平の口の中に舌を忍ばせる。絡ませるように順平の舌を舐めれば、それに応えるように順平も舌を動かしてくれる。それが尚更嬉しい。

「…っ、ン」
「……、」

順平の口内を貪り夢中になっていると、あることに気が付いた。…順平のペニスが反応していることにだ。どうやら寝ているというのに俺のキスで感じてくれているらしい。

「……順平」

そっと首筋に舌を這わせながら、順平の下半身に手を伸ばしてみる。硬くなっているペニスを服の上から優しく撫でる。

「…ぁ、…ァ、っ」

そうすれば吐息が混じった喘ぎ声を出して反応してくれる。本当に可愛過ぎだ。

「………」

順平は起きない。
順平の妹も来ない。

これは千載一遇のチャンスではなかろうか。

俺はもう我慢することが出来ず、少し強めに手を動かす。段々と服に染みが出来ていくのを見ながら強弱をつけて服の上から順平のペニスを扱く。

「ひ、っ、…ァ」

そうすれば順平は身体を震わせて、精を吐き出した。
服の上から触っていただけなので、少量しか俺の手には付着しなかった。やはり直に触れるべきだったかと少しだけ後悔しながら、俺は自分の手の平を舐めた。

「……着替え」

このままではいけないだろう。そんなことは俺ですら分かる。
これは俺の責任なのだから、きちんと綺麗にしてあげよう。そう思いながら俺は濡れたタオルと着替えを取りに行くことにした。

道中で順平の妹に会ってしまい、「手出してないよね?」とジロリと睨まれつつも、茶を濁しながらその場を離れてすぐさま順平の元に戻る。

「た、武宮さん…っ、」

そうすればすでに目が覚めてしまったのか、真っ赤な顔をして布団で身体を隠そうとする順平の姿を見ておもわずムラっとしてしまった。

「あ、あの、…お、俺、汗掻いちゃったから、お風呂入ってきますっ」
「…ああ」

どうやら夢精してしまったと勘違いしている順平。俺のせいでそうなったと知らずに、俺に気付かれまいとコソコソしている。そのことに悪戯心が芽生えつつも、俺は後でこっ酷く妹に怒られることを覚悟しながら、誰にも気付かれないように一人ガッツポーズを作ったのだった。



END
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

召喚された美人サラリーマンは性欲悪魔兄弟達にイカされる

KUMA
BL
朱刃音碧(あかばねあおい)30歳。 ある有名な大人の玩具の開発部門で、働くサラリーマン。 ある日暇をモテ余す悪魔達に、逆召喚され混乱する余裕もなく悪魔達にセックスされる。 性欲悪魔(8人攻め)×人間 エロいリーマンに悪魔達は釘付け…『お前は俺達のもの。』

ダメですお義父さん! 妻が起きてしまいます……

周防
BL
居候は肩身が狭い

好きなあいつの嫉妬がすごい

カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。 ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。 教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。 「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」 ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」

熱中症

こじらせた処女
BL
会社で熱中症になってしまった木野瀬 遼(きのせ りょう)(26)は、同居人で恋人でもある八瀬希一(やせ きいち)(29)に迎えに来てもらおうと電話するが…?

【完結・BL】DT騎士団員は、騎士団長様に告白したい!【騎士団員×騎士団長】

彩華
BL
とある平和な国。「ある日」を境に、この国を守る騎士団へ入団することを夢見ていたトーマは、無事にその夢を叶えた。それもこれも、あの日の初恋。騎士団長・アランに一目惚れしたため。年若いトーマの恋心は、日々募っていくばかり。自身の気持ちを、アランに伝えるべきか? そんな悶々とする騎士団員の話。 「好きだって言えるなら、言いたい。いや、でもやっぱ、言わなくても良いな……。ああ゛―!でも、アラン様が好きだって言いてぇよー!!」

つぎはぎのよる

伊達きよ
BL
同窓会の次の日、俺が目覚めたのはラブホテルだった。なんで、まさか、誰と、どうして。焦って部屋から脱出しようと試みた俺の目の前に現れたのは、思いがけない人物だった……。 同窓会の夜と次の日の朝に起こった、アレやソレやコレなお話。

可愛い男の子が実はタチだった件について。

桜子あんこ
BL
イケメンで女にモテる男、裕也(ゆうや)と可愛くて男にモテる、凛(りん)が付き合い始め、裕也は自分が抱く側かと思っていた。 可愛いS攻め×快楽に弱い男前受け

女装趣味がバレてイケメン優等生のオモチャになりました

都茉莉
BL
仁科幸成15歳、趣味−−女装。 うっかり女装バレし、クラスメイト・宮下秀次に脅されて、オモチャと称され振り回される日々が始まった。

処理中です...