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後日譚
後日譚131.事なかれ主義者は余計なトラブルは避けたい
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赤ちゃんたちの午前の運動を見守った後はジュリウスとレモンちゃんと一緒にシグニール大陸に唯一あるドワーフの国ウェルズブラに向かった。以前まではあんなにたくさん引っ付いていたドライアドたちも、今はもう他の事に意識が向いているようでレモンちゃんだけだ。
「レモンちゃんも離れていいんだよ」
「れもん?」
「すっとぼけている気がするのは僕だけかなぁ」
「れもーん?」
レモンちゃんの様子は見えないけれど、ジュリウスは特に何も言わなかった。
転移陣を使って魔道具店『サイレンス』のウェルランド支店に転移すると、青い薔薇を咲かせたドライアド『青バラちゃん』が出迎えてくれた。
「人間さん、エルフさん、こんにちは~」
「こんにちは。こっちの店は特に混乱とかない?」
「ないですよー。ぬくぬくコートが主力商品だったから~」
青バラちゃんはバイトとしてこの魔道具店『サイレンス』で働いてもらっている。バイトとはいっているけど、この店の店長だ。
青バラちゃんはドライアドたちの中では大きいけれど、人族の女性と比べるとずいぶん小柄だ。百センチはあると思うけど、人族の幼女……ではなく、女の子のアンジェラは彼女よりも大きくなってしまった。子どもの成長とは早いものである。赤ちゃんたちを見ていると特にそう思う。
「それならよかった。他の所は僕が作ってた物を求める人もちょくちょく来てたから、特に相談がなかったここの事ちょっと心配してたんだよね」
「心配しなくても大丈夫だよ、人間さん。困った事があったら人間さんたちに言うから」
この場合、言う相手はきっとホムラやユキではなくレヴィさんなんだろうけど、まあこっちに情報が伝わればだれでもいいや。
転移陣が置かれていた部屋から出て、階段を下りると道路に面している大きなガラスが目立つ広い部屋に出た。ガラスの向こう側には大勢の毛むくじゃらの男性たちがいて、青バラちゃんが姿を現すとニィッと笑ってブンブンと手を振っている。
…………青バラちゃんがここの店主でいいんだろうか?
なんて不安を覚えつつも、店員として雇われているドワーフの女性たちが男たちを追っ払っていた。
「いいの、あれ?」
「お店に入らない人はお客さんじゃないんだって~」
なるほど。ただ青バラちゃんを見るために集まっていたのか。それは客じゃないね。
頭の花さえなければドワーフの女性と言われてもまあ不思議ではない見た目をしているからなぁ、青バラちゃん。
レモンちゃんに視線を向けるようなドワーフたちはいなかったので、小さければ何でもいい、という訳じゃないからまだよかったけれど……問題が起きないようにエルフの護衛を着けてもらった方が良いかもしれない。
青バラちゃんとのお話が一区切りつくと、チラチラと様子を窺っていたドワーフの女性店員さんたちから話しかけられ、感謝された。彼女たち曰く「過ごしやすい天気になって助かっている」との事だった。
感謝しているのならそのままチャム様の教会でお祈りをしてください、と布教活動をしてみたけど、もうとっくに礼拝を毎日しているとの事だった。
実際、魔道具店のすぐ近くに建てられたチャム様の教会に行ってみると、女性のドワーフたちが手分けをして掃除をしたり、お祈りをしたりしていた。
「順調に信仰が広まっているみたいだねぇ」
「そのようです。我々が特に行動する必要はなくて助かってます」
「司祭さんは誰か派遣してるの?」
「一応しておりますが、礼拝の時間以外は基本ドワーフたちの好きにさせてます」
「なるほどなぁ」
細かい装飾がされた建物の柱やら壁面やら眺めて回った後、最後に新しい加護である『天気祈願』をチャム様の像の前で使った。
温かい気候にすると変化が大きすぎるから、とりあえず太陽が出ている間は快晴を祈るだけなんだけど、それでも多少魔力が持っていかれるのでやっぱりこの地は豪雪地帯なんだと思う。
「依頼だから別にいいんだけど、夜も吹雪かないように祈らなくてもいいのかちょっと気になるよね」
「夜は基本的に穴倉で生活しているそうなので必要ないのでしょう。魔動車の準備はできていますがいかがなさいますか?」
「さっさと回って終わらせたいし、すぐに行こうか」
「かしこまりました」
転移門を通じて移動してきた魔動車は僕が加護を返還する前に作ったうちの一台だ。
それが教会の前に止まっていて、その周囲をドワーフの男性たちが集まってじろじろと見ている。
アダマンタイト製の魔動車は一応シグニール大陸の国々にも納品はしていたけど、それらは全て同じような見た目をしている。ただ、僕たちの魔動車はドワーフのドフリックさんに協力してもらっていろいろ試行錯誤しながら作ったので、見た目がまず違う。それで興味が湧いているのかもしれない。
金色は目立ちすぎるのでコーティングしているけど、一応アダマンタイト製なので壊される事はないと思うけど余計なトラブルに発展しない内にさっさと移動しよう。
「レモンちゃんも離れていいんだよ」
「れもん?」
「すっとぼけている気がするのは僕だけかなぁ」
「れもーん?」
レモンちゃんの様子は見えないけれど、ジュリウスは特に何も言わなかった。
転移陣を使って魔道具店『サイレンス』のウェルランド支店に転移すると、青い薔薇を咲かせたドライアド『青バラちゃん』が出迎えてくれた。
「人間さん、エルフさん、こんにちは~」
「こんにちは。こっちの店は特に混乱とかない?」
「ないですよー。ぬくぬくコートが主力商品だったから~」
青バラちゃんはバイトとしてこの魔道具店『サイレンス』で働いてもらっている。バイトとはいっているけど、この店の店長だ。
青バラちゃんはドライアドたちの中では大きいけれど、人族の女性と比べるとずいぶん小柄だ。百センチはあると思うけど、人族の幼女……ではなく、女の子のアンジェラは彼女よりも大きくなってしまった。子どもの成長とは早いものである。赤ちゃんたちを見ていると特にそう思う。
「それならよかった。他の所は僕が作ってた物を求める人もちょくちょく来てたから、特に相談がなかったここの事ちょっと心配してたんだよね」
「心配しなくても大丈夫だよ、人間さん。困った事があったら人間さんたちに言うから」
この場合、言う相手はきっとホムラやユキではなくレヴィさんなんだろうけど、まあこっちに情報が伝わればだれでもいいや。
転移陣が置かれていた部屋から出て、階段を下りると道路に面している大きなガラスが目立つ広い部屋に出た。ガラスの向こう側には大勢の毛むくじゃらの男性たちがいて、青バラちゃんが姿を現すとニィッと笑ってブンブンと手を振っている。
…………青バラちゃんがここの店主でいいんだろうか?
なんて不安を覚えつつも、店員として雇われているドワーフの女性たちが男たちを追っ払っていた。
「いいの、あれ?」
「お店に入らない人はお客さんじゃないんだって~」
なるほど。ただ青バラちゃんを見るために集まっていたのか。それは客じゃないね。
頭の花さえなければドワーフの女性と言われてもまあ不思議ではない見た目をしているからなぁ、青バラちゃん。
レモンちゃんに視線を向けるようなドワーフたちはいなかったので、小さければ何でもいい、という訳じゃないからまだよかったけれど……問題が起きないようにエルフの護衛を着けてもらった方が良いかもしれない。
青バラちゃんとのお話が一区切りつくと、チラチラと様子を窺っていたドワーフの女性店員さんたちから話しかけられ、感謝された。彼女たち曰く「過ごしやすい天気になって助かっている」との事だった。
感謝しているのならそのままチャム様の教会でお祈りをしてください、と布教活動をしてみたけど、もうとっくに礼拝を毎日しているとの事だった。
実際、魔道具店のすぐ近くに建てられたチャム様の教会に行ってみると、女性のドワーフたちが手分けをして掃除をしたり、お祈りをしたりしていた。
「順調に信仰が広まっているみたいだねぇ」
「そのようです。我々が特に行動する必要はなくて助かってます」
「司祭さんは誰か派遣してるの?」
「一応しておりますが、礼拝の時間以外は基本ドワーフたちの好きにさせてます」
「なるほどなぁ」
細かい装飾がされた建物の柱やら壁面やら眺めて回った後、最後に新しい加護である『天気祈願』をチャム様の像の前で使った。
温かい気候にすると変化が大きすぎるから、とりあえず太陽が出ている間は快晴を祈るだけなんだけど、それでも多少魔力が持っていかれるのでやっぱりこの地は豪雪地帯なんだと思う。
「依頼だから別にいいんだけど、夜も吹雪かないように祈らなくてもいいのかちょっと気になるよね」
「夜は基本的に穴倉で生活しているそうなので必要ないのでしょう。魔動車の準備はできていますがいかがなさいますか?」
「さっさと回って終わらせたいし、すぐに行こうか」
「かしこまりました」
転移門を通じて移動してきた魔動車は僕が加護を返還する前に作ったうちの一台だ。
それが教会の前に止まっていて、その周囲をドワーフの男性たちが集まってじろじろと見ている。
アダマンタイト製の魔動車は一応シグニール大陸の国々にも納品はしていたけど、それらは全て同じような見た目をしている。ただ、僕たちの魔動車はドワーフのドフリックさんに協力してもらっていろいろ試行錯誤しながら作ったので、見た目がまず違う。それで興味が湧いているのかもしれない。
金色は目立ちすぎるのでコーティングしているけど、一応アダマンタイト製なので壊される事はないと思うけど余計なトラブルに発展しない内にさっさと移動しよう。
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