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後日譚
後日譚86.ちびっこ神様ズは検討中
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シズトから加護を返還されたファマ、プロス、エントの三柱は、以前最高神に協力してもらって神託をした事から最高神のお手伝いをしていた。
だが、呪いの神チャムを下界から神界へと連れ戻した功績により、お手伝いが免除された。
それに加えて、彼女たちの拠点である領域の近くにそれぞれ彼女たちの新しい領域が作られた。
他の神々と比べるとまだ幼い見た目の三柱だったが、広大な領域を手に入れた事によって、正式に中級神の仲間入りをした。
中級神になった、といっても彼らがする事はそれほど変化はない。
数少ない変化といえば、最高神の手伝いとして朝からおやつの時間まで下界に堕ちたまじないの神の捜索と、その影響で生じる事がある次元の歪みの監視をする必要が無くなった事だろうか?
時間が余った三柱は、のんびりと自分の領域を作り替えながら、飽きてきたら三柱それぞれの領域に挟まれるような形である秘密基地に戻ってきてはのんびり過ごしていた。
秘密基地は最高神の計らいによって、現在では三柱共有の領域となっている。
「に、人間の成長は早いんだなぁ」
「すくすく育ってるね! 早く大きくならないかなぁ。そしたらお話しできるようになるよね!」
「お話ができるようになるのは三年くらい先らしいよ……?」
三柱の中で唯一の男神で、縦にも横にも一回り以上大きいのが生育の神ファマだ。
坊主頭で、ボーッとしたような表情をいつもしている彼は他の二柱と比べると縦にも横にも一回り以上大きい。はるか昔から下級神だったので二柱よりも先輩にあたるのだが、特に威張る様子もなく、遊びに来る小さな神々の求めに応じて水晶を使って下界の様子を見せたり、貢物を分け与えたりしている。
そんな彼は、今は椅子に座り、机の上に置かれた水晶に神力を込めて下界の様子を覗きこんでいる。
ファマの右隣から覗き込むような形でジッと見ているのは加工の神、プロスだ。
肩まで伸ばされた焦げ茶色の髪と同じ色の目は真ん丸で可愛らしい。
三柱の中で一番小柄で、いつになったら大きくなるのかな、と少々疑問を持ち始めている女神だった。
神々の中には小柄なまま上級神になった神もいる。彼女もまたそうなる可能性があった。
ファマを挟む形でプロスに話しかけているのは付与の神エント。プロスと同時期に生まれたおかっぱ頭の女神だ。
シズトがあった頃よりもさらに少し成長した様子で、どんどん大人びた見た目になってきている。
「三年後かぁ。遠い様な、近い様な……」
「シ、シズトに加護を授けてから三年も経っていない事を考えると、と、遠い気がするんだな」
「それまでに一人くらい加護を授けられるかもしれないね……?」
「た、確かにそうなんだな! お、大勢お祈りしてくれてるんだな!」
「この調子ならすぐあげれそうだね! どこの人にしよっかな~。二人はもう決めたの?」
「と、とりあえずシズトと仲が良さそうな人にするんだなぁ」
「世界樹の事で喧嘩になっちゃうかもしれないもんね……?」
「あ、あとすぐに発覚しやすそうなんだなぁ。エントはどうするんだな?」
「シズトくんのお嫁さんの誰かにあげようか迷ってるよ……?」
「あー、なるほど~。そういえば、シズトの子どもにまた神力を抑えて加護をあげれるって最高神様が言ってたもんね? でも一カ所に集中したらファマの時みたいになっちゃわないかなぁ」
「それも考えたよ……? でも、チヨちゃんが大変な事になりそうだから、ちょっとでも負担を軽くしてあげたいなって思ったんだよ……?」
なるほど~、とエントの話を聞いて二柱が考え始めたところで、秘密基地の玄関が外側から叩かれた。
考え込んでいる二柱は気づいていないようだったが、エントはその音に気付いた。
席から立ち上がって玄関の方へと向かう。先程までエントが座っていた椅子には三柱のもとで過ごしている光の球のような小さな神々が集まって水晶玉を覗き込んでいる。
その子たちを気にしつつも、エントは再びノックされた玄関の方へと向かった。
許可されている物であればわざわざノックをしなくても入る事ができるから、許可を得ていない者が来訪したのだろう。
そう思いながら玄関の扉を開くと、そこには黒いロングワンピースの上からこれまた黒いフード付きのマントを羽織った女性と、下半身が蛇で上半身が人族の男性のような見た目の少年がいた。
エントはその場で跪こうとしたが、女性の方がそれを手で制した。
「同じ中級神なんだ。そういうのはいらないよ。急に押しかけてしまって申し訳ないが、ちょっと相談に乗ってもらえないかねぇ?」
しわがれた声でそう問いかけたのは、占いの神であるディヴィネだ。
遥か昔、占い好きの勇者に加護を授けた事によって中級神になったのだが、長い事昇格していない。
彼女自身それを望んでいない事もあるが、とある国だけで信仰が止まってしまっているからだ。
エントは新しく中級神になったばかりの自分たちに相談事とはなんだろう? と疑問に思いつつも二柱を秘密基地に招き入れるのだった。
だが、呪いの神チャムを下界から神界へと連れ戻した功績により、お手伝いが免除された。
それに加えて、彼女たちの拠点である領域の近くにそれぞれ彼女たちの新しい領域が作られた。
他の神々と比べるとまだ幼い見た目の三柱だったが、広大な領域を手に入れた事によって、正式に中級神の仲間入りをした。
中級神になった、といっても彼らがする事はそれほど変化はない。
数少ない変化といえば、最高神の手伝いとして朝からおやつの時間まで下界に堕ちたまじないの神の捜索と、その影響で生じる事がある次元の歪みの監視をする必要が無くなった事だろうか?
時間が余った三柱は、のんびりと自分の領域を作り替えながら、飽きてきたら三柱それぞれの領域に挟まれるような形である秘密基地に戻ってきてはのんびり過ごしていた。
秘密基地は最高神の計らいによって、現在では三柱共有の領域となっている。
「に、人間の成長は早いんだなぁ」
「すくすく育ってるね! 早く大きくならないかなぁ。そしたらお話しできるようになるよね!」
「お話ができるようになるのは三年くらい先らしいよ……?」
三柱の中で唯一の男神で、縦にも横にも一回り以上大きいのが生育の神ファマだ。
坊主頭で、ボーッとしたような表情をいつもしている彼は他の二柱と比べると縦にも横にも一回り以上大きい。はるか昔から下級神だったので二柱よりも先輩にあたるのだが、特に威張る様子もなく、遊びに来る小さな神々の求めに応じて水晶を使って下界の様子を見せたり、貢物を分け与えたりしている。
そんな彼は、今は椅子に座り、机の上に置かれた水晶に神力を込めて下界の様子を覗きこんでいる。
ファマの右隣から覗き込むような形でジッと見ているのは加工の神、プロスだ。
肩まで伸ばされた焦げ茶色の髪と同じ色の目は真ん丸で可愛らしい。
三柱の中で一番小柄で、いつになったら大きくなるのかな、と少々疑問を持ち始めている女神だった。
神々の中には小柄なまま上級神になった神もいる。彼女もまたそうなる可能性があった。
ファマを挟む形でプロスに話しかけているのは付与の神エント。プロスと同時期に生まれたおかっぱ頭の女神だ。
シズトがあった頃よりもさらに少し成長した様子で、どんどん大人びた見た目になってきている。
「三年後かぁ。遠い様な、近い様な……」
「シ、シズトに加護を授けてから三年も経っていない事を考えると、と、遠い気がするんだな」
「それまでに一人くらい加護を授けられるかもしれないね……?」
「た、確かにそうなんだな! お、大勢お祈りしてくれてるんだな!」
「この調子ならすぐあげれそうだね! どこの人にしよっかな~。二人はもう決めたの?」
「と、とりあえずシズトと仲が良さそうな人にするんだなぁ」
「世界樹の事で喧嘩になっちゃうかもしれないもんね……?」
「あ、あとすぐに発覚しやすそうなんだなぁ。エントはどうするんだな?」
「シズトくんのお嫁さんの誰かにあげようか迷ってるよ……?」
「あー、なるほど~。そういえば、シズトの子どもにまた神力を抑えて加護をあげれるって最高神様が言ってたもんね? でも一カ所に集中したらファマの時みたいになっちゃわないかなぁ」
「それも考えたよ……? でも、チヨちゃんが大変な事になりそうだから、ちょっとでも負担を軽くしてあげたいなって思ったんだよ……?」
なるほど~、とエントの話を聞いて二柱が考え始めたところで、秘密基地の玄関が外側から叩かれた。
考え込んでいる二柱は気づいていないようだったが、エントはその音に気付いた。
席から立ち上がって玄関の方へと向かう。先程までエントが座っていた椅子には三柱のもとで過ごしている光の球のような小さな神々が集まって水晶玉を覗き込んでいる。
その子たちを気にしつつも、エントは再びノックされた玄関の方へと向かった。
許可されている物であればわざわざノックをしなくても入る事ができるから、許可を得ていない者が来訪したのだろう。
そう思いながら玄関の扉を開くと、そこには黒いロングワンピースの上からこれまた黒いフード付きのマントを羽織った女性と、下半身が蛇で上半身が人族の男性のような見た目の少年がいた。
エントはその場で跪こうとしたが、女性の方がそれを手で制した。
「同じ中級神なんだ。そういうのはいらないよ。急に押しかけてしまって申し訳ないが、ちょっと相談に乗ってもらえないかねぇ?」
しわがれた声でそう問いかけたのは、占いの神であるディヴィネだ。
遥か昔、占い好きの勇者に加護を授けた事によって中級神になったのだが、長い事昇格していない。
彼女自身それを望んでいない事もあるが、とある国だけで信仰が止まってしまっているからだ。
エントは新しく中級神になったばかりの自分たちに相談事とはなんだろう? と疑問に思いつつも二柱を秘密基地に招き入れるのだった。
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