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後日譚
後日譚17.事なかれ主義者は命令に慣れてない
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クイズ大会は特に大きな問題はなく終わった。強いてあげるとしたら僕の個人情報がたくさん漏れた事だろうか。
予選を運で勝ち上がった人たちは一回戦の早押しクイズで一気に数を減らし、十人ほどが残った。
そこからさらに減らすのかと思ったけど、いきなり決勝戦だった。
時短のため、というのもあったのかもしれないけど、クイズ大会ってこんな大勢で集まって観戦する物じゃないと思うし、それも理由の一つだと推測している。……大盛り上がりだったけど。
この世界の住人達には娯楽があんまりないのか、こういう事でも盛り上がれるのは良い事なのかも?
クイズ大会の次は何でもありの総合武闘会だ。
奴隷の部、一般の部、王侯貴族の部と分かれている。
分けないと諸々問題になるから分けたそうだけど、そもそも町に住んでいない王侯貴族の出場を止めればよかったのではないかと思っている。
「流石、シズト殿が教育している奴隷たちだな。粒ぞろいの物が揃っている」
「そうね。奴隷という立場じゃなければ、生まれてくる孫たちの護衛として雇いたいわね」
優勝賞品の候補として挙がっていたけど、公に伝えるのは避けた例のアレの事ですかね。
余計な事を話すとどこで誰が聞いているのか分からないので黙って焼き菓子を頬張る。美味しい紅茶も用意されているし、リヴァイさんたちが連れてきた宮廷侍女たちは流石だ。
ただ、完全アウェーな感じがするので誰か味方は欲しい。
そんな事を思いながら、もう一つ焼き菓子に手を伸ばした。
その後も雑談をしながら観戦をし続けて日が暮れ始めたので本日の大会は終了となった。王侯貴族の部ではガントさんが優勝していた。国の威信をかけて全力で戦ったらしい。
生誕祭の後も大会は続くようで、ここから一週間ほどお祭りが続くそうだ。
屋敷に戻って談話室でのんびりしていたレヴィさんたちに気になった事を尋ねる。
「生誕祭の前に一週間ほどお祭りしてなかった?」
「前週祭りですわね。生誕祭よりも早くついてしまった商人たちが屋台を出した事で始まってしまったみたいですわ。今後の風物詩になるんじゃないかと思うのですわ」
なるほど。祭り好きの日本人でもびっくりのお祭り期間の長さだ。
……知らないだけでこのくらい長い期間のお祭りとかあるのかな。
「ここでも映像は見る事ができた?」
「ばっちりですわ!」
「遠くにいてもシズトくんの様子が見れてお姉ちゃん嬉しいわ」
「いや、そこは大会の様子を見てよ」
魔力マシマシ飴を舐めながらスクリーンを見ていたルウさんが僕の方に視線を向けた。その表情は悪びれる様子もない。
ルウさんが先程見ていたスクリーンにはファマリアの様子が映っている。上空からの映像なのは、以前作った『ドローンゴーレム』で撮った内容を映し出しているからだろう。
本当は皆で大会の様子を見に行こうと思っていたんだけど、もうすぐ出産を控えた人もいたので、万が一のことを考えて屋敷で過ごしてもらった。
もしも見に行ったら警備をその分厳重にしないといけなくなってしまうし、物々しい大会になるのは本意ではない、というのが皆の総意だった。
ガレオールの女王であり、妊娠中でもあるランチェッタさんは僕の抗議に対して何やら悪戯っぽい笑みを浮かべた。彼女の侍女であるディアーヌさんがランチェッタさんを揶揄う時の笑顔に似ている気がする。
「ちゃんと見てたわ。シズトの知らない事をいろいろ知る事ができたけど……まだ秘密の事はあるのかしら?」
「ノーコメント」
「別にシズトは話さなくていいわ。ホムラに聞くから」
「ホムラ、答えちゃだめだからね」
「命令でしょうか、マスター?」
無表情のまま小首を傾げて尋ねてきたのは魔法使い然とした格好の少女ホムラだ。彼女はユキと同じく魔法生物と呼ばれる魔道具の一種だ。どこからどう見てもヒト種の少女のように見えるけど、そういう風にイメージして作った結果のようだ。
「あんまり命令はしたくないけど……そうだね、命令」
「かしこまりました、マスター。聞かれた事には答えないようにします」
「あ、なんでもかんでも答えないでってわけじゃないからね?」
日常的な会話とかも答えなくなってしまっては困る。
命令に忠実なホムラだけど、そこら辺が柔軟に対応できないのは魔石が彼女だけ低いからだろうか?
「かしこまりました、マスター」
本当に分かっているのか不安になるけど、僕の前世の記憶を完全に知っているのは彼女だけだ。
恥ずかしいと思うような過去を墓場まで持っていくためには彼女の口を封じるしかない。
どういう命令をすれば僕が暴露されて恥ずかしい思いをしなくて済むのか考え続けたけど、食事が始まるまでには間に合わなかった。
予選を運で勝ち上がった人たちは一回戦の早押しクイズで一気に数を減らし、十人ほどが残った。
そこからさらに減らすのかと思ったけど、いきなり決勝戦だった。
時短のため、というのもあったのかもしれないけど、クイズ大会ってこんな大勢で集まって観戦する物じゃないと思うし、それも理由の一つだと推測している。……大盛り上がりだったけど。
この世界の住人達には娯楽があんまりないのか、こういう事でも盛り上がれるのは良い事なのかも?
クイズ大会の次は何でもありの総合武闘会だ。
奴隷の部、一般の部、王侯貴族の部と分かれている。
分けないと諸々問題になるから分けたそうだけど、そもそも町に住んでいない王侯貴族の出場を止めればよかったのではないかと思っている。
「流石、シズト殿が教育している奴隷たちだな。粒ぞろいの物が揃っている」
「そうね。奴隷という立場じゃなければ、生まれてくる孫たちの護衛として雇いたいわね」
優勝賞品の候補として挙がっていたけど、公に伝えるのは避けた例のアレの事ですかね。
余計な事を話すとどこで誰が聞いているのか分からないので黙って焼き菓子を頬張る。美味しい紅茶も用意されているし、リヴァイさんたちが連れてきた宮廷侍女たちは流石だ。
ただ、完全アウェーな感じがするので誰か味方は欲しい。
そんな事を思いながら、もう一つ焼き菓子に手を伸ばした。
その後も雑談をしながら観戦をし続けて日が暮れ始めたので本日の大会は終了となった。王侯貴族の部ではガントさんが優勝していた。国の威信をかけて全力で戦ったらしい。
生誕祭の後も大会は続くようで、ここから一週間ほどお祭りが続くそうだ。
屋敷に戻って談話室でのんびりしていたレヴィさんたちに気になった事を尋ねる。
「生誕祭の前に一週間ほどお祭りしてなかった?」
「前週祭りですわね。生誕祭よりも早くついてしまった商人たちが屋台を出した事で始まってしまったみたいですわ。今後の風物詩になるんじゃないかと思うのですわ」
なるほど。祭り好きの日本人でもびっくりのお祭り期間の長さだ。
……知らないだけでこのくらい長い期間のお祭りとかあるのかな。
「ここでも映像は見る事ができた?」
「ばっちりですわ!」
「遠くにいてもシズトくんの様子が見れてお姉ちゃん嬉しいわ」
「いや、そこは大会の様子を見てよ」
魔力マシマシ飴を舐めながらスクリーンを見ていたルウさんが僕の方に視線を向けた。その表情は悪びれる様子もない。
ルウさんが先程見ていたスクリーンにはファマリアの様子が映っている。上空からの映像なのは、以前作った『ドローンゴーレム』で撮った内容を映し出しているからだろう。
本当は皆で大会の様子を見に行こうと思っていたんだけど、もうすぐ出産を控えた人もいたので、万が一のことを考えて屋敷で過ごしてもらった。
もしも見に行ったら警備をその分厳重にしないといけなくなってしまうし、物々しい大会になるのは本意ではない、というのが皆の総意だった。
ガレオールの女王であり、妊娠中でもあるランチェッタさんは僕の抗議に対して何やら悪戯っぽい笑みを浮かべた。彼女の侍女であるディアーヌさんがランチェッタさんを揶揄う時の笑顔に似ている気がする。
「ちゃんと見てたわ。シズトの知らない事をいろいろ知る事ができたけど……まだ秘密の事はあるのかしら?」
「ノーコメント」
「別にシズトは話さなくていいわ。ホムラに聞くから」
「ホムラ、答えちゃだめだからね」
「命令でしょうか、マスター?」
無表情のまま小首を傾げて尋ねてきたのは魔法使い然とした格好の少女ホムラだ。彼女はユキと同じく魔法生物と呼ばれる魔道具の一種だ。どこからどう見てもヒト種の少女のように見えるけど、そういう風にイメージして作った結果のようだ。
「あんまり命令はしたくないけど……そうだね、命令」
「かしこまりました、マスター。聞かれた事には答えないようにします」
「あ、なんでもかんでも答えないでってわけじゃないからね?」
日常的な会話とかも答えなくなってしまっては困る。
命令に忠実なホムラだけど、そこら辺が柔軟に対応できないのは魔石が彼女だけ低いからだろうか?
「かしこまりました、マスター」
本当に分かっているのか不安になるけど、僕の前世の記憶を完全に知っているのは彼女だけだ。
恥ずかしいと思うような過去を墓場まで持っていくためには彼女の口を封じるしかない。
どういう命令をすれば僕が暴露されて恥ずかしい思いをしなくて済むのか考え続けたけど、食事が始まるまでには間に合わなかった。
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