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第25章 片手間にサポートしながら生きていこう
533.事なかれ主義者は変わるまでは会いたくない
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ビデオ通話ができる魔道具を作って数日が経った。
この数日間は世界樹イルミンスールのお世話を終えたらこっちの大陸の安全が確保できた他国の街を観光して過ごした。
ウィズダム魔法王国には特にこれと言って困りごとはなかった。シグニール大陸にある魔法の研究が盛んな国ドタウィッチのように魔法が使えるものと使えないものの間に確執があるかも? とか思っていたけど、そういうのはないらしい。
国ではなく、国教となっている知識の神様を信奉している教会には邪教徒狩りに関する問題があるみたいだけど、それは年が経つにつれて解決していく事だろう。……たぶん。
ドワーフの国ルンベルクでは予想通りドーラさんが大人気だった。
ドワーフの女性のように小柄で華奢な体格をしているからドワーフの男性から見たら魅力的に見えるのだろう。顔立ちは人形のように整っているし、綺麗な白い肌に金髪碧眼だからドワーフじゃなくても魅力に感じるけど。
中にはドーラさんにいいところを見せようとしてか、僕にどっちがたくさんお酒を飲めるかとか大食い勝負とか仕掛けてくる人もいたけど、そういう人はドーラさんが率先して潰していた。
全身鎧を身に着けていないから人形のような可愛らしい見た目の彼女だったけど、筋骨隆々のドワーフに腕相撲を挑まれても問題なく勝っていた。
「勝負、したかった?」
「いや、避けられるなら避けたいかな」
「そう。よかった」
絡まれるのは煩わしかったけど、ドワーフたちのおかげでドーラさんの口数が増えた一日だった。
ダークエルフの国ノルマノンでは特に大きなトラブルはなかった。
ノルマノンは平野が大部分を占めているそうだ。大樹海から流れている大河が他国との国境線となっているらしい。
西の方に魔物たちの領域である大樹海があるし、大樹海から川を下ってくる魔物もいるため魔物対策が課題となっているらしい。
人族の国は母数が多いから人海戦術で対応できるそうだけど、ダークエルフは長命種故に出生率が低く、育つのも時間がかかるため人材が貴重だから人族のような対応は難しいんだとか。
ただその代わり、人族よりも魔力が多く、扱いにもたけているので一人ひとりの戦闘力が高いからある程度は抑えられているらしい。
「ただぁ、年々大樹海が広がっていてぇ、国土が徐々に減って行ってるそうですぅ。大樹海から溢れた魔物たちに大樹海の植物の種子がついていたりぃ、糞に含まれているからだと考えられていますぅ。植物の成長が他の物よりも早いのでぇ開拓地が森にのまれてしまう事もあるそうですよぉ」
「どこも大変なんだねぇ」
「そうですねぇ」
ノルマノンの観光にもついて来ていたジューンさんがキラリーさんから聞いた事を教えてくれた。
観光をするだけだったので、ジューンさんはエルフの正装ではなく、ニットのワンピースを着ていた。
ダークエルフはエルフと違って豊満な体型の人も普通にいるので奇異な視線を向けられる事はないけど、別の視線はたくさんジューンさんに向いていた。
パメラやドーラさんにはそういう視線が向いていなかったのは個人の好みの問題なのか、子どもに見えたからなのか……。たぶん子どもに見えたんだろうな。パメラもドーラさんもどこかの店で買い物をする度におまけを貰ってたし。
子どもが少ないからこそ、子どもに優しい国民性なのだろう。
そんな感じで観光していたけど、それぞれの国の観光をするときにビデオ通話ができる魔道具を常に使っていたので新しい魔道具を作る余力はそこまでなかった。
まあ、明たちは無事にフロアボスを倒して三十六階層以降で採掘に専念しているらしいから特に必要となる魔道具は多くなかったからいいんだけど。
ああ、でも毒ガス対策で嗅覚遮断マスクをアップグレードはしたか。
マスクを通過した空気を無毒化する魔法を【付与】したのでガスに気をつける必要は無くなったらしい。
落とし穴や落盤などの他のトラップは生体が通過したら発動するタイプのトラップらしいので魔道具を試作して様子を見てもらっている段階だけど、うまく行くかは分からない。
でも、うまくいかなくても誰も困る事はないから別にいいか。
そんな事を思いつつ、転移門が設置されていない他国からの使節団を出迎え、対応していたらあっという間に日が暮れた。
「こっちの魚人族とは友好的に関われそうで良かったね」
「そうですねぇ。特に他種族を見下している様子もありませんでしたしぃ、仲良くやっていけそうで良かったですぅ。クレストラ大陸周辺の魚人族も友好的らしいですからぁ、そこまで心配してなかったですけどぉ」
「他種族を見下す傾向にあるのは魚人族の文化っていう訳じゃないって事だね」
他の大陸の魚人族がまともであればまともであるほど、シグニール大陸にある魚人族の国アトランティアの評価が落ちてしまうけど、未だに態度を改める様子はないらしいから仕方がないだろう。
まあ、今までの関係性とか諸々あるから一気にがらりと変わる事はないだろうけど、時代が変わってしまったと諦めて、アトランティアの人たちが変わる事を祈っておこう。
この数日間は世界樹イルミンスールのお世話を終えたらこっちの大陸の安全が確保できた他国の街を観光して過ごした。
ウィズダム魔法王国には特にこれと言って困りごとはなかった。シグニール大陸にある魔法の研究が盛んな国ドタウィッチのように魔法が使えるものと使えないものの間に確執があるかも? とか思っていたけど、そういうのはないらしい。
国ではなく、国教となっている知識の神様を信奉している教会には邪教徒狩りに関する問題があるみたいだけど、それは年が経つにつれて解決していく事だろう。……たぶん。
ドワーフの国ルンベルクでは予想通りドーラさんが大人気だった。
ドワーフの女性のように小柄で華奢な体格をしているからドワーフの男性から見たら魅力的に見えるのだろう。顔立ちは人形のように整っているし、綺麗な白い肌に金髪碧眼だからドワーフじゃなくても魅力に感じるけど。
中にはドーラさんにいいところを見せようとしてか、僕にどっちがたくさんお酒を飲めるかとか大食い勝負とか仕掛けてくる人もいたけど、そういう人はドーラさんが率先して潰していた。
全身鎧を身に着けていないから人形のような可愛らしい見た目の彼女だったけど、筋骨隆々のドワーフに腕相撲を挑まれても問題なく勝っていた。
「勝負、したかった?」
「いや、避けられるなら避けたいかな」
「そう。よかった」
絡まれるのは煩わしかったけど、ドワーフたちのおかげでドーラさんの口数が増えた一日だった。
ダークエルフの国ノルマノンでは特に大きなトラブルはなかった。
ノルマノンは平野が大部分を占めているそうだ。大樹海から流れている大河が他国との国境線となっているらしい。
西の方に魔物たちの領域である大樹海があるし、大樹海から川を下ってくる魔物もいるため魔物対策が課題となっているらしい。
人族の国は母数が多いから人海戦術で対応できるそうだけど、ダークエルフは長命種故に出生率が低く、育つのも時間がかかるため人材が貴重だから人族のような対応は難しいんだとか。
ただその代わり、人族よりも魔力が多く、扱いにもたけているので一人ひとりの戦闘力が高いからある程度は抑えられているらしい。
「ただぁ、年々大樹海が広がっていてぇ、国土が徐々に減って行ってるそうですぅ。大樹海から溢れた魔物たちに大樹海の植物の種子がついていたりぃ、糞に含まれているからだと考えられていますぅ。植物の成長が他の物よりも早いのでぇ開拓地が森にのまれてしまう事もあるそうですよぉ」
「どこも大変なんだねぇ」
「そうですねぇ」
ノルマノンの観光にもついて来ていたジューンさんがキラリーさんから聞いた事を教えてくれた。
観光をするだけだったので、ジューンさんはエルフの正装ではなく、ニットのワンピースを着ていた。
ダークエルフはエルフと違って豊満な体型の人も普通にいるので奇異な視線を向けられる事はないけど、別の視線はたくさんジューンさんに向いていた。
パメラやドーラさんにはそういう視線が向いていなかったのは個人の好みの問題なのか、子どもに見えたからなのか……。たぶん子どもに見えたんだろうな。パメラもドーラさんもどこかの店で買い物をする度におまけを貰ってたし。
子どもが少ないからこそ、子どもに優しい国民性なのだろう。
そんな感じで観光していたけど、それぞれの国の観光をするときにビデオ通話ができる魔道具を常に使っていたので新しい魔道具を作る余力はそこまでなかった。
まあ、明たちは無事にフロアボスを倒して三十六階層以降で採掘に専念しているらしいから特に必要となる魔道具は多くなかったからいいんだけど。
ああ、でも毒ガス対策で嗅覚遮断マスクをアップグレードはしたか。
マスクを通過した空気を無毒化する魔法を【付与】したのでガスに気をつける必要は無くなったらしい。
落とし穴や落盤などの他のトラップは生体が通過したら発動するタイプのトラップらしいので魔道具を試作して様子を見てもらっている段階だけど、うまく行くかは分からない。
でも、うまくいかなくても誰も困る事はないから別にいいか。
そんな事を思いつつ、転移門が設置されていない他国からの使節団を出迎え、対応していたらあっという間に日が暮れた。
「こっちの魚人族とは友好的に関われそうで良かったね」
「そうですねぇ。特に他種族を見下している様子もありませんでしたしぃ、仲良くやっていけそうで良かったですぅ。クレストラ大陸周辺の魚人族も友好的らしいですからぁ、そこまで心配してなかったですけどぉ」
「他種族を見下す傾向にあるのは魚人族の文化っていう訳じゃないって事だね」
他の大陸の魚人族がまともであればまともであるほど、シグニール大陸にある魚人族の国アトランティアの評価が落ちてしまうけど、未だに態度を改める様子はないらしいから仕方がないだろう。
まあ、今までの関係性とか諸々あるから一気にがらりと変わる事はないだろうけど、時代が変わってしまったと諦めて、アトランティアの人たちが変わる事を祈っておこう。
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