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第25章 片手間にサポートしながら生きていこう
528.事なかれ主義者はカメラを回し続けた
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朝ご飯を食べ終わった後は世界樹フソーのお世話をサクッと終わらせるとやる事が無くなってしまった。
こっちの大陸は全ての国が加盟している国際連盟があるからか、伝播する呪いの対策もとんとん拍子に進んだおかげで転移門経由であろう呪いの広がりはほとんどなくなってきたらしい。
だからドライアドたちを総動員して貴重な薬草を大量生産したリ、世界樹フソーの葉っぱを大量にむしってもらったりする必要が無くなったので時間も魔力も余るようになってしまった。
「何をしようかなぁ」
「新しく建てられた屋敷を見学するでござるか?」
そう提案してきたのは近くで僕の様子を見守っていた大柄な男、ムサシだ。
大国ヤマトとトラブルになった際に、僕が不在の時に何かあったら困るからと作った魔法生物だ。
イメージのせいか、ござる口調になってしまったし、格好も侍大将という感じで甲冑を身にまとい、腰には刀を差している。
惜しみなく高ランクの魔石を使ったので戦闘力はもちろん高い……らしい。
戦闘力を測る魔道具とか作ったら可視化できて僕にも分かりやすいんだけど………その戦闘力を何をもとに測るのかでブレが出るだろう。
純粋な魔力量だったら僕でも上位に食い込んでしまうだろうし、筋力だと身体強化で補っている人が弱くなってしまう。
総合的に測る物にすればもしかしたら……なんて事を考えていたら「主殿?」とムサシが首を傾げて僕の様子を窺ってきた。
「何でもない。新しい屋敷って、ムサシが住んでいるとこだっけ?」
「そうでござるよ」
「私たちも住んでるよ!」
「私たちのお家です~!」
ムサシにしがみ付いているドライアドたちが主張してきた。
こっちのドライアドたちは他の大陸の子たちと比べても小柄だけど、話し方は丁寧で大人びている。
きっとお菊ちゃんの影響もあるのだろう。
そのお菊ちゃんはというと、世界樹フソーの上の方でフクちゃんと呼ばれる大きな梟のような魔物と一緒に日向ぼっこをしているようだ。
「それじゃ、案内してもらおうかな」
「分かったでござる」
ムサシが動けば周りにいたドライアドたちもぞろぞろと後をついて来る。
後ろを振り返ると小柄なドライアドたちが列を成してついて来るので微笑ましい。
ただ、何かに気を取られたのか一斉に同じ方を向いたので僕もそちらを見ると、僕たちが暮らしている屋敷に侵入を試みようとしているドライアドたちが一定数いた。
「主殿が来るまでは向こうに入ろうとしなかったのに、不思議でござるなぁ」
ムサシも僕の視線に気づいたのか、同じところを見ながらしみじみと呟いた。
そうして見ている間にも換気するために空けられていた窓から中に入ろうとしたドライアドはエミリーに見つかってすごすごと退散し、玄関から堂々と入っていったドライアドはジューンさんに優しく追い出されていた。
「きっと、主殿に懐いている子が一緒になりたいと思ってしているのでござるよ」
「そうかなぁ。テリトリーを増やしたいって感じな気もするけど」
「それもあるかもしれないでござるなぁ」
ムサシが開けてくれた大きな扉をくぐって建物の中に入ると、植木鉢に入れられた植物がずらりと窓際に並んでいた。
「大きめな窓を多めに設置してもらったでござる。最上階は天窓を作ってたくさん光が入るようにしてあるでござるよ」
「中庭もあるんだね」
「そうでござるな。基本的にはファマリアと同じような作りにしているでござるから中庭もしっかり作ってもらったでござる。ドライアドたちも喜んでくれているでござるよ」
中庭は鬱蒼と色々な植物が茂っていた。時折草木の隙間から色とりどりの花が動いて見えるけど、きっとどこかにドライアドがいるんだろう。背の高い草でほとんど見えないけど。
「こんなにも窓ばかりで耐久性とかは大丈夫なの?」
「そこら辺は魔法で何とでもなるでござるよ」
「なるほど……? ムサシはどこで寝泊まりしてるの?」
「拙者は入り口近くの部屋を貰って自室にしているでござるよ」
ファマリアの屋敷で言う所の執務室がある部屋がムサシの部屋になっているようだ。
そこにお邪魔させてもらうと、ここにも窓際には植木鉢が並んでいた。
その他にあるのは大きなベッドくらいだった。
「ここは基本寝る所でござるからな」
「食事はどこで食べてるの?」
「基本は外でござるな。雨の日は避難してきたドライアドたちと一緒にそこら辺で食べる事もあるでござる」
「料理は誰が作ってるの?」
「自分で作っているでござるよ。禁足地の中に入る事ができるのは世界樹の番人と拙者くらいでござる。ただ、この建物の中にはエルフすら入れようとしてないでござるからな。自分でするしかないでござる」
自炊できるなんてすごいなぁ、なんて感心しながら部屋の外に出ると、何やら玄関の所にドライアドたちが大量に集まっていた。
「入れて欲しいのですわ」
「ダメです~」
「私たちのお家です!」
「人間さんのお家はあっちです!」
ワサワサワサッと髪の毛を動かして威嚇しているドライアドにたじたじなレヴィさんなんて随分貴重な光景じゃないだろうか。
そう思ってアイテムバッグから取り出した魔動カメラで様子を撮っていたら「早く助けて欲しいのですわ!」と怒られた。
こっちの大陸は全ての国が加盟している国際連盟があるからか、伝播する呪いの対策もとんとん拍子に進んだおかげで転移門経由であろう呪いの広がりはほとんどなくなってきたらしい。
だからドライアドたちを総動員して貴重な薬草を大量生産したリ、世界樹フソーの葉っぱを大量にむしってもらったりする必要が無くなったので時間も魔力も余るようになってしまった。
「何をしようかなぁ」
「新しく建てられた屋敷を見学するでござるか?」
そう提案してきたのは近くで僕の様子を見守っていた大柄な男、ムサシだ。
大国ヤマトとトラブルになった際に、僕が不在の時に何かあったら困るからと作った魔法生物だ。
イメージのせいか、ござる口調になってしまったし、格好も侍大将という感じで甲冑を身にまとい、腰には刀を差している。
惜しみなく高ランクの魔石を使ったので戦闘力はもちろん高い……らしい。
戦闘力を測る魔道具とか作ったら可視化できて僕にも分かりやすいんだけど………その戦闘力を何をもとに測るのかでブレが出るだろう。
純粋な魔力量だったら僕でも上位に食い込んでしまうだろうし、筋力だと身体強化で補っている人が弱くなってしまう。
総合的に測る物にすればもしかしたら……なんて事を考えていたら「主殿?」とムサシが首を傾げて僕の様子を窺ってきた。
「何でもない。新しい屋敷って、ムサシが住んでいるとこだっけ?」
「そうでござるよ」
「私たちも住んでるよ!」
「私たちのお家です~!」
ムサシにしがみ付いているドライアドたちが主張してきた。
こっちのドライアドたちは他の大陸の子たちと比べても小柄だけど、話し方は丁寧で大人びている。
きっとお菊ちゃんの影響もあるのだろう。
そのお菊ちゃんはというと、世界樹フソーの上の方でフクちゃんと呼ばれる大きな梟のような魔物と一緒に日向ぼっこをしているようだ。
「それじゃ、案内してもらおうかな」
「分かったでござる」
ムサシが動けば周りにいたドライアドたちもぞろぞろと後をついて来る。
後ろを振り返ると小柄なドライアドたちが列を成してついて来るので微笑ましい。
ただ、何かに気を取られたのか一斉に同じ方を向いたので僕もそちらを見ると、僕たちが暮らしている屋敷に侵入を試みようとしているドライアドたちが一定数いた。
「主殿が来るまでは向こうに入ろうとしなかったのに、不思議でござるなぁ」
ムサシも僕の視線に気づいたのか、同じところを見ながらしみじみと呟いた。
そうして見ている間にも換気するために空けられていた窓から中に入ろうとしたドライアドはエミリーに見つかってすごすごと退散し、玄関から堂々と入っていったドライアドはジューンさんに優しく追い出されていた。
「きっと、主殿に懐いている子が一緒になりたいと思ってしているのでござるよ」
「そうかなぁ。テリトリーを増やしたいって感じな気もするけど」
「それもあるかもしれないでござるなぁ」
ムサシが開けてくれた大きな扉をくぐって建物の中に入ると、植木鉢に入れられた植物がずらりと窓際に並んでいた。
「大きめな窓を多めに設置してもらったでござる。最上階は天窓を作ってたくさん光が入るようにしてあるでござるよ」
「中庭もあるんだね」
「そうでござるな。基本的にはファマリアと同じような作りにしているでござるから中庭もしっかり作ってもらったでござる。ドライアドたちも喜んでくれているでござるよ」
中庭は鬱蒼と色々な植物が茂っていた。時折草木の隙間から色とりどりの花が動いて見えるけど、きっとどこかにドライアドがいるんだろう。背の高い草でほとんど見えないけど。
「こんなにも窓ばかりで耐久性とかは大丈夫なの?」
「そこら辺は魔法で何とでもなるでござるよ」
「なるほど……? ムサシはどこで寝泊まりしてるの?」
「拙者は入り口近くの部屋を貰って自室にしているでござるよ」
ファマリアの屋敷で言う所の執務室がある部屋がムサシの部屋になっているようだ。
そこにお邪魔させてもらうと、ここにも窓際には植木鉢が並んでいた。
その他にあるのは大きなベッドくらいだった。
「ここは基本寝る所でござるからな」
「食事はどこで食べてるの?」
「基本は外でござるな。雨の日は避難してきたドライアドたちと一緒にそこら辺で食べる事もあるでござる」
「料理は誰が作ってるの?」
「自分で作っているでござるよ。禁足地の中に入る事ができるのは世界樹の番人と拙者くらいでござる。ただ、この建物の中にはエルフすら入れようとしてないでござるからな。自分でするしかないでござる」
自炊できるなんてすごいなぁ、なんて感心しながら部屋の外に出ると、何やら玄関の所にドライアドたちが大量に集まっていた。
「入れて欲しいのですわ」
「ダメです~」
「私たちのお家です!」
「人間さんのお家はあっちです!」
ワサワサワサッと髪の毛を動かして威嚇しているドライアドにたじたじなレヴィさんなんて随分貴重な光景じゃないだろうか。
そう思ってアイテムバッグから取り出した魔動カメラで様子を撮っていたら「早く助けて欲しいのですわ!」と怒られた。
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