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第24章 異大陸を観光しながら生きていこう
506.事なかれ主義者はめちゃくちゃ尻尾を擦りつけられた
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食事の後は大変だった。
今日のお世話係であるパメラに加えて、エミリーとシンシーラが一緒にお風呂に入る事になったのだ。
湯浴み着に着替えた三人に体の隅々まで洗われるのかと思ったけど、僕の体……というか背中と両腕を洗ったのはパメラだった。
「今日はパメラの日ですから」
「別にパメラは気にしないデスよ?」
「少しは気にするじゃん。あと遊んでないでしっかりと洗うじゃん」
パメラによって背中と両腕がもこもこになる事はいつもの事だけど、エミリーとシンシーラは洗い方に納得がいっていないようだ。
お湯で泡を洗い流した後、三回やり直しとなった。
……石鹸の使い過ぎで皮膚が荒れるとかないかな、とは思ったけど問題なかった。
僕を洗い終わった後、パメラは泡風呂に飛び込んでいった。エミリーとシンシーラも満足したのか、パメラの後を追っていったので、僕は髪の毛と洗われていない場所をササッと洗い、三人が入っている泡風呂へと向かったんだけど、エミリーとシンシーラの目が据わっていた。
「シズト様、まだ臭いが残ってます」
「しっかりと洗うじゃん」
「え、どこらへん?」
「太ももやお腹、脛……満遍なくですね」
「どういうサービスを受けたらそうなるのか気になるじゃん」
「いや、どういうって言われても特にこれと言って問題になるような事はされてないよ? だよね、パメラ」
泡の山を作ろうとせっせと魔道具によって発生する泡を集めていたパメラがきょとんとした表情で僕を見た。
それからしばらく首を傾げた後、にっこりといい笑顔で「覚えてないデス!」と言い切った。
そうだね、パメラはそういう子だったね。
とりあえずシンシーラとエミリーが納得するように洗い場に戻って、しっかりと体を洗う。
今度こそ大丈夫だろう、と思ってパメラたちが待つ泡風呂へと足を向けた。
パメラは大きな雪だるまのような物を泡で作っていた。わざわざバサバサと飛んで上の方の形にこだわっている。
エミリーとシンシーラは、僕が近づいてきたら彼女たちは泡風呂から出て僕の前に立ち塞がった。
スンスンスン、と二人がかりで臭いを嗅がれ「もう私たちで洗った方が早いかもしれません」とエミリーが言うと「それもそうじゃん」とシンシーラが頷いた。
「いや、自分で洗うから!」
「分かりました」
「次は私たちが洗うじゃん」
慌てて洗い場に戻って念入りに体を洗う。
今度からはハイランズの首都にある喫茶店には行かないようにしよう。
そう心の中で固く誓い、追加で二回ほど石鹸とお湯で体を洗った後に二人のもとに戻ると、やっとお許しいただけた。
パメラの渾身の力作である泡だるまも完成していたので三人で一緒にお風呂に入ったんだけど、両側はエミリーとシンシーラが確保していたのでパメラは僕の膝の上に乗ってきた。
パメラはスクール水着のような湯浴み着を着ているとはいえいろいろと危うかったけど、両手をがっしりと握られていたので逃げられなかった。
お風呂から上がって脱衣所で甚兵衛を着たタイミングで一度廊下に出ていたエミリーとシンシーラが戻ってきた。
パメラはどうしたんだろう、と思っていたらエミリーが「先に寝室へと向かってます」と教えてくれた。
「シズト様もすぐに向かいましょう」
「一緒に行くじゃん」
エミリーとシンシーラはそれぞれ僕の腕に抱き着いて来て、脱衣所の外へと僕を連れ出した。
廊下を歩く度に二人の尻尾が僕の体に当たるのはわざとなんだろう。
「シズト様は尻尾がお好きですから仕方ないとはわかっているんですよ? でも、他の女の臭いをたっぷりとつけて帰ってくるのは……正直に申し上げますと、嫌です」
「はい、すみません」
「身内だったら我慢できるじゃん。他所に女を作るくらいなら娶るじゃん」
「気をつけます。娶るのは勘弁してください。これ以上増えたら体力持たないので」
「大丈夫ですよ。エルフとダークエルフの秘薬はまだまだありますから」
「…………え?」
「何でもありません」
「ほら、階段だから気を付けて歩くじゃん」
「二人が尻尾を足にこすりつけて来なければ問題ないと思うんだけど?」
「それは無理な相談です。私たちの匂いも消えてしまいましたからしっかりとつけておかないと」
「こけそうになったら支えるから大丈夫じゃん」
まあ、身体強化を使えるシンシーラに支えられたら怪我はしないだろうけど……。
何とも言えない気持ちになりつつも無事に自室の前へと戻って来れた。
「それじゃ、また明日ね」
「何を言っているのですか?」
ギュッとエミリーが僕の腕を離さないように抱きしめた。
「今日は四人で寝るじゃん」
もう片方の腕をシンシーラががっしりとロックしている。
「いや、エミリーは良いとしてもシンシーラは妊娠しているんじゃ……」
「大丈夫じゃん。手伝うくらいはできるじゃん」
「そういう訳ですから、ほら、行きますよ」
「シズト様、やっと来たデスか。早く入るデスよ!」
部屋の扉はパメラによって中から開けられた。
予想はしていたけど、アイテムバッグから取り出した遊び道具で部屋の中は散らかっている。
「今日は何して遊ぶデスか?」
そう言ってわくわくしているパメラに遠慮したのか、夫婦の営みはすぐには始まらなかったけど、独楽やらけん玉やらで一通り遊んだ後から始まったので、夜遅くまで眠ることが出来なかった。
今日のお世話係であるパメラに加えて、エミリーとシンシーラが一緒にお風呂に入る事になったのだ。
湯浴み着に着替えた三人に体の隅々まで洗われるのかと思ったけど、僕の体……というか背中と両腕を洗ったのはパメラだった。
「今日はパメラの日ですから」
「別にパメラは気にしないデスよ?」
「少しは気にするじゃん。あと遊んでないでしっかりと洗うじゃん」
パメラによって背中と両腕がもこもこになる事はいつもの事だけど、エミリーとシンシーラは洗い方に納得がいっていないようだ。
お湯で泡を洗い流した後、三回やり直しとなった。
……石鹸の使い過ぎで皮膚が荒れるとかないかな、とは思ったけど問題なかった。
僕を洗い終わった後、パメラは泡風呂に飛び込んでいった。エミリーとシンシーラも満足したのか、パメラの後を追っていったので、僕は髪の毛と洗われていない場所をササッと洗い、三人が入っている泡風呂へと向かったんだけど、エミリーとシンシーラの目が据わっていた。
「シズト様、まだ臭いが残ってます」
「しっかりと洗うじゃん」
「え、どこらへん?」
「太ももやお腹、脛……満遍なくですね」
「どういうサービスを受けたらそうなるのか気になるじゃん」
「いや、どういうって言われても特にこれと言って問題になるような事はされてないよ? だよね、パメラ」
泡の山を作ろうとせっせと魔道具によって発生する泡を集めていたパメラがきょとんとした表情で僕を見た。
それからしばらく首を傾げた後、にっこりといい笑顔で「覚えてないデス!」と言い切った。
そうだね、パメラはそういう子だったね。
とりあえずシンシーラとエミリーが納得するように洗い場に戻って、しっかりと体を洗う。
今度こそ大丈夫だろう、と思ってパメラたちが待つ泡風呂へと足を向けた。
パメラは大きな雪だるまのような物を泡で作っていた。わざわざバサバサと飛んで上の方の形にこだわっている。
エミリーとシンシーラは、僕が近づいてきたら彼女たちは泡風呂から出て僕の前に立ち塞がった。
スンスンスン、と二人がかりで臭いを嗅がれ「もう私たちで洗った方が早いかもしれません」とエミリーが言うと「それもそうじゃん」とシンシーラが頷いた。
「いや、自分で洗うから!」
「分かりました」
「次は私たちが洗うじゃん」
慌てて洗い場に戻って念入りに体を洗う。
今度からはハイランズの首都にある喫茶店には行かないようにしよう。
そう心の中で固く誓い、追加で二回ほど石鹸とお湯で体を洗った後に二人のもとに戻ると、やっとお許しいただけた。
パメラの渾身の力作である泡だるまも完成していたので三人で一緒にお風呂に入ったんだけど、両側はエミリーとシンシーラが確保していたのでパメラは僕の膝の上に乗ってきた。
パメラはスクール水着のような湯浴み着を着ているとはいえいろいろと危うかったけど、両手をがっしりと握られていたので逃げられなかった。
お風呂から上がって脱衣所で甚兵衛を着たタイミングで一度廊下に出ていたエミリーとシンシーラが戻ってきた。
パメラはどうしたんだろう、と思っていたらエミリーが「先に寝室へと向かってます」と教えてくれた。
「シズト様もすぐに向かいましょう」
「一緒に行くじゃん」
エミリーとシンシーラはそれぞれ僕の腕に抱き着いて来て、脱衣所の外へと僕を連れ出した。
廊下を歩く度に二人の尻尾が僕の体に当たるのはわざとなんだろう。
「シズト様は尻尾がお好きですから仕方ないとはわかっているんですよ? でも、他の女の臭いをたっぷりとつけて帰ってくるのは……正直に申し上げますと、嫌です」
「はい、すみません」
「身内だったら我慢できるじゃん。他所に女を作るくらいなら娶るじゃん」
「気をつけます。娶るのは勘弁してください。これ以上増えたら体力持たないので」
「大丈夫ですよ。エルフとダークエルフの秘薬はまだまだありますから」
「…………え?」
「何でもありません」
「ほら、階段だから気を付けて歩くじゃん」
「二人が尻尾を足にこすりつけて来なければ問題ないと思うんだけど?」
「それは無理な相談です。私たちの匂いも消えてしまいましたからしっかりとつけておかないと」
「こけそうになったら支えるから大丈夫じゃん」
まあ、身体強化を使えるシンシーラに支えられたら怪我はしないだろうけど……。
何とも言えない気持ちになりつつも無事に自室の前へと戻って来れた。
「それじゃ、また明日ね」
「何を言っているのですか?」
ギュッとエミリーが僕の腕を離さないように抱きしめた。
「今日は四人で寝るじゃん」
もう片方の腕をシンシーラががっしりとロックしている。
「いや、エミリーは良いとしてもシンシーラは妊娠しているんじゃ……」
「大丈夫じゃん。手伝うくらいはできるじゃん」
「そういう訳ですから、ほら、行きますよ」
「シズト様、やっと来たデスか。早く入るデスよ!」
部屋の扉はパメラによって中から開けられた。
予想はしていたけど、アイテムバッグから取り出した遊び道具で部屋の中は散らかっている。
「今日は何して遊ぶデスか?」
そう言ってわくわくしているパメラに遠慮したのか、夫婦の営みはすぐには始まらなかったけど、独楽やらけん玉やらで一通り遊んだ後から始まったので、夜遅くまで眠ることが出来なかった。
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