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第24章 異大陸を観光しながら生きていこう
499.事なかれ主義者は綺麗なものは分かる
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ドーラさんと美食の国ティエールの首都にあるお店をいくつか巡った翌日、僕はジューンさんとノーブリ―という国を訪れていた。
ノーブリーでは芸術が盛んで、過去の勇者が作ったとされている観光名所がいくつもあるらしい。
美術館など過去の勇者や芸術家たちが作ったとされている物を展示している物もいくつかあった。
美食の国ティエールとは国境が接していないにも関わらず以前から関係は悪かったらしいんだけど、ティエールとノーブリーのどちらに先に訪れるかでだいぶ議論が交わされたとムサシが言っていた。
最終的に決めるのは僕だと言って双方を抑えたらしいんだけど、出来れば日を開けずにもう片方の国に言って欲しいとムサシからお願いされたので、芸術とかあんまり興味ないけどやってきた。
ラオさんは芸術に興味はないからと冒険者組を連れて依頼を受けに出かけた。夕方前には帰れる日帰りの仕事を探して腕が鈍らないようにするらしい。
ホムラとユキはなにやらする事があるらしい。詳しい事は教えてくれなかったし、聞かない方がなんかいい気がしたので黙って見送った。
なぜか今日はセシリアさんがついて行った。レヴィさんと基本的に別行動をしようとしない彼女だからビックリしたけど、レヴィさんは「私の分もお願いするのですわ!」と見送っていたので話は通っているのだろう。
モニカとレヴィさんは妊娠中なので世界樹フソーの根元に待機だ。今日も一日農作業をしつつ日向ぼっこをして過ごすらしい。
エミリーは屋敷の警備をするそうだ。
エミリーって戦えたっけ? って思ったけど、警備と言っても窓から入ってこようとするドライアドを窓越しに監視したり、玄関から堂々と入ってきたドライアドたちにお帰りを願ったりと忙しいらしい。
あと単純に芸術はよく分からないそうだ。
「私も芸術はよく分からないんですけどねぇ」
「僕もだよ。まあ、適当に見て回ろうよ。観光名所って芸術品ばかりじゃないんでしょ、きっと」
そんな事を思いつつノーブリーの街を歩く。
道には等間隔で誰かが作った何かの像が置かれていて、建物もなんだか奇抜な物もある。
道を歩いている人たちが着ている服も二度見、三度見するくらい奇抜な物もあったけど、僕たち……というよりジューンさんはもっと注目されていた。
「ぜひモデルになって頂きたい! アトリエはすぐそこだから!」
そう言って誘ってきた青年は何人目だろうか。
たぶん彼はアトリエ? というか自分の仕事場で集中して作るタイプの人なんだろう。
「ごめんなさい~。デート中なんですぅ」
「お相手の人も一緒にいていいですから! ほら、こっちに来てください!」
「でもぉ」
「お触り禁止!」
ジューンさんの白くてほっそりとした手首を強引に握った男の人の手をチョップする。
当然邪魔した僕はギロリと睨まれる事になるんだけど、何かを言われる前にどこからともなく現れたエルフの集団が彼を連れ去っていく。
何度目になるか分かんないけど、一応「すぐに解放してあげてね」と言ってジュリウスたちを見送った。
「……それじゃ、また話しかけられる前に行こっか」
「ご迷惑をおかけしてごめんなさぁい」
「ジューンさんが綺麗って事だから仕方ないよ」
「そうでしょうかぁ?」
「そうだと思うよ。さっきから僕たちの周りをついて来ている人たちを見て見なよ。ジューンさんが綺麗だからスケッチしてるんでしょ?」
話しかけてこない人たちはずっと僕たち……というかジューンさんを追いかけてスケッチしている。
まあ、ジューンさんはエルフらしからぬ体つきをしていてとても目立つのは分かるし、エルフだから容姿は整っているから猶更人の目を引くのだろう。
腰まである髪は緩く波打っていて、歩く度にキラキラと輝いているように見えるし、歩く度に揺れる大きな膨らみは露出されてないのにどうしても目が行ってしまうのは分かる。
だからと言って、さっきみたいに強引に連れて行こうとするのは困るけど、ジューンさんが嫌がらない限りは見る分には諦めよう。多分この街にいる以上、どれだけ追い払っても湧いて来るだろうから。
「それでぇ、今度はどこに行きますかぁ?」
「そうだねぇ。ステンドグラスが綺麗っていってたし、参考にしたいから教会を見に行こうかな」
「ステンドグラスですかぁ。ではぁ、ちょっと歩く事になりますけどぉ、創造神様の教会はどうでしょうかぁ。一神教の国じゃない限りはぁ、創造神様の教会が一番力を入れて作られますからぁ」
「そうだね。じゃあ、そこにしようか」
創造神様の教会までは目に入る物についてお喋りをしながらゆっくりと歩いた。
道中も何度か強引なアプローチはあったけど、ジュリウスたちのおかげで何事もなく、教会に辿り着く事ができた。
ちょっとドキドキしながらお祈りをしたけど、何事もなかったのでステンドグラスを二人で鑑賞した。
「……もしも作るなら誰かに頼まないと。せっかく作るなら立派な物が良いだろうし」
「どうでしょうかぁ。シズトちゃんが頑張って作った物なら神様たちも喜ぶと思いますけどぉ」
「そうかなぁ」
「そうですよぉ」
長椅子に二人並んで座りながらのんびりと話をしている間は邪魔が入る事はなかった。っていうか、教会の中にはスケッチをしている人たちも流石に追いかけて来なかった。
……もうずっと教会にいようかな。
そんな事を思うくらいには、嫌だなぁ、って思ってたんだと自覚した。
ノーブリーでは芸術が盛んで、過去の勇者が作ったとされている観光名所がいくつもあるらしい。
美術館など過去の勇者や芸術家たちが作ったとされている物を展示している物もいくつかあった。
美食の国ティエールとは国境が接していないにも関わらず以前から関係は悪かったらしいんだけど、ティエールとノーブリーのどちらに先に訪れるかでだいぶ議論が交わされたとムサシが言っていた。
最終的に決めるのは僕だと言って双方を抑えたらしいんだけど、出来れば日を開けずにもう片方の国に言って欲しいとムサシからお願いされたので、芸術とかあんまり興味ないけどやってきた。
ラオさんは芸術に興味はないからと冒険者組を連れて依頼を受けに出かけた。夕方前には帰れる日帰りの仕事を探して腕が鈍らないようにするらしい。
ホムラとユキはなにやらする事があるらしい。詳しい事は教えてくれなかったし、聞かない方がなんかいい気がしたので黙って見送った。
なぜか今日はセシリアさんがついて行った。レヴィさんと基本的に別行動をしようとしない彼女だからビックリしたけど、レヴィさんは「私の分もお願いするのですわ!」と見送っていたので話は通っているのだろう。
モニカとレヴィさんは妊娠中なので世界樹フソーの根元に待機だ。今日も一日農作業をしつつ日向ぼっこをして過ごすらしい。
エミリーは屋敷の警備をするそうだ。
エミリーって戦えたっけ? って思ったけど、警備と言っても窓から入ってこようとするドライアドを窓越しに監視したり、玄関から堂々と入ってきたドライアドたちにお帰りを願ったりと忙しいらしい。
あと単純に芸術はよく分からないそうだ。
「私も芸術はよく分からないんですけどねぇ」
「僕もだよ。まあ、適当に見て回ろうよ。観光名所って芸術品ばかりじゃないんでしょ、きっと」
そんな事を思いつつノーブリーの街を歩く。
道には等間隔で誰かが作った何かの像が置かれていて、建物もなんだか奇抜な物もある。
道を歩いている人たちが着ている服も二度見、三度見するくらい奇抜な物もあったけど、僕たち……というよりジューンさんはもっと注目されていた。
「ぜひモデルになって頂きたい! アトリエはすぐそこだから!」
そう言って誘ってきた青年は何人目だろうか。
たぶん彼はアトリエ? というか自分の仕事場で集中して作るタイプの人なんだろう。
「ごめんなさい~。デート中なんですぅ」
「お相手の人も一緒にいていいですから! ほら、こっちに来てください!」
「でもぉ」
「お触り禁止!」
ジューンさんの白くてほっそりとした手首を強引に握った男の人の手をチョップする。
当然邪魔した僕はギロリと睨まれる事になるんだけど、何かを言われる前にどこからともなく現れたエルフの集団が彼を連れ去っていく。
何度目になるか分かんないけど、一応「すぐに解放してあげてね」と言ってジュリウスたちを見送った。
「……それじゃ、また話しかけられる前に行こっか」
「ご迷惑をおかけしてごめんなさぁい」
「ジューンさんが綺麗って事だから仕方ないよ」
「そうでしょうかぁ?」
「そうだと思うよ。さっきから僕たちの周りをついて来ている人たちを見て見なよ。ジューンさんが綺麗だからスケッチしてるんでしょ?」
話しかけてこない人たちはずっと僕たち……というかジューンさんを追いかけてスケッチしている。
まあ、ジューンさんはエルフらしからぬ体つきをしていてとても目立つのは分かるし、エルフだから容姿は整っているから猶更人の目を引くのだろう。
腰まである髪は緩く波打っていて、歩く度にキラキラと輝いているように見えるし、歩く度に揺れる大きな膨らみは露出されてないのにどうしても目が行ってしまうのは分かる。
だからと言って、さっきみたいに強引に連れて行こうとするのは困るけど、ジューンさんが嫌がらない限りは見る分には諦めよう。多分この街にいる以上、どれだけ追い払っても湧いて来るだろうから。
「それでぇ、今度はどこに行きますかぁ?」
「そうだねぇ。ステンドグラスが綺麗っていってたし、参考にしたいから教会を見に行こうかな」
「ステンドグラスですかぁ。ではぁ、ちょっと歩く事になりますけどぉ、創造神様の教会はどうでしょうかぁ。一神教の国じゃない限りはぁ、創造神様の教会が一番力を入れて作られますからぁ」
「そうだね。じゃあ、そこにしようか」
創造神様の教会までは目に入る物についてお喋りをしながらゆっくりと歩いた。
道中も何度か強引なアプローチはあったけど、ジュリウスたちのおかげで何事もなく、教会に辿り着く事ができた。
ちょっとドキドキしながらお祈りをしたけど、何事もなかったのでステンドグラスを二人で鑑賞した。
「……もしも作るなら誰かに頼まないと。せっかく作るなら立派な物が良いだろうし」
「どうでしょうかぁ。シズトちゃんが頑張って作った物なら神様たちも喜ぶと思いますけどぉ」
「そうかなぁ」
「そうですよぉ」
長椅子に二人並んで座りながらのんびりと話をしている間は邪魔が入る事はなかった。っていうか、教会の中にはスケッチをしている人たちも流石に追いかけて来なかった。
……もうずっと教会にいようかな。
そんな事を思うくらいには、嫌だなぁ、って思ってたんだと自覚した。
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