741 / 1,023
第24章 異大陸を観光しながら生きていこう
496.事なかれ主義者には心当たりがない
しおりを挟む
朝食を食べ終えたホムラとユキは、ラオさんとルウさんと一緒に大国ヤマトに向かった。
僕はというと、いつも通り世界樹フソーのお世話を済ませた後、呪い用のポーションの材料を作るためにせっせと畑を回りながら【生育】を使っていった。
今回の呪いの蔓延がなかったらこんな大量生産する事はなかっただろうけど、食糧危機とかに直面したら使える加護だよなぁ、と改めて思った。
レヴィさんが無事に子どもを産んだら、この加護は子どもにも授けられているらしいし、それ以外にも生育の加護持ちは増えていくかもしれないので、今後食糧の事で頭を悩ませる事はなくなるかもしれない。
……まあ、それだけ大量に食べ物を量産したら経済に影響は大きいだろうし、他にも問題が出てくるんだろうけど。
それらに関しては、今考えても仕方がない事なので、ファマ様の加護が世界に広まってから考える事にした。
「もう終わりにするのですわ?」
「そうだね。この後の事を考えると、魔力もある程度残しておきたいし。レヴィさんたちはこのまま作業を続けるの?」
「そうですわ! ここの子たちとも仲良くなるのですわ!」
オーバーオールを着て、フソー周辺に生息している黄色人種っぽい肌の色のドライアドたちと一緒に収穫に励んでいたレヴィさんはやる気満々だ。
レヴィさんの妹であるラピスさんがドライアドたちに関する研究をしているんだけど、彼女たちと仲良くなるために手っ取り早いのが同じ行動をする事なのではないか、と推測しているらしい。
それでレヴィさんはここの子たちと一緒に作業をしようと考えたようだ。
ここのドライアドたちは他の大陸の子と比べるとレヴィさんの言う事を聞かない時があるそうだ。
それは、普段一緒に生活をしているムサシがいるからなんだろうけど、万が一の時に自分の言う事も聞いてもらえた方が良いだろうから、とドライアドたちと仲良くなるために作業をするらしい。
それに付き合わされるセシリアさんやモニカは大変そうだけど、ここ最近ずっと農作業をし続けているから慣れたそうだ。
「二人とも、お腹に気を付けてね」
「分かっているのですわ!」
「何が起きてもそこだけは守りますのでご安心ください」
「お腹以外もしっかり守ってほしいなぁ。……セシリアさん、二人の事よろしくね」
「しっかりと見張っておきます」
特にレヴィア様を、と視線だけで言うセシリアさんに後の事は任せて、僕はその場を後にした。
朝の日課を終わらせた僕は、珍しくドーラさんと二人だけで外に出た。
まあ、見た感じ二人だけなんだけど、ジュリウスを筆頭にエルフたちがどこかから見守ってくれているんだろうけど。
ドーラさんは全身鎧を身に着けておらず、つばが広い白い帽子とワンピースを着ていた。スカートは短めで、露になっている細い太腿が白く眩しい。
彼女の白くて細い指先は、僕の手を握って離さない。
人形のように整った顔立ちは周囲の人の視線を集めているけど、眠たそうな印象を与える青い目は、周囲の視線を気にした様子もなく前だけを見据えていた。あ、こっちみた。
「何?」
「いや、なんでもない。これからティエールの首都に行くんだよね?」
「ん、楽しみ」
以前、お留守番組だけで行われた麻雀大会では、ドーラさんは四位だったらしい。そのご褒美として、今回『美食の国』として有名らしいティエールに観光しに行く事となった。
ティエールの首都周辺でもやはり呪われた人はいたらしいけど、ドーラさんが「行きたい」と言ったので優先的に対応してもらったので今は落ち着いているとの事だった。完全に私利私欲のために優先順位を着けてるけど、このくらいは許してほしい。
ビッグマーケットまでのんびりと歩いて移動したけど、元都市国家フソーもだいぶ以前の賑わいを取り戻してきているようだ。
……いい加減、元都市国家フソーという呼び方だと面倒だから新しい国の名を考えたらどうか、とムサシを通してクレストラ国際連合の国々から打診されているようだけど、僕にはネーミングセンスないし、ムサシに適当に決めておいてもらおうかな?
ビッグマーケットのある広場に着くと、さらに人は増えた。
移動が大変そうだ、と思っていたらどこからともなく現れたエルフたちが交通整理を始めた。
露店と露天の間の道にたくさんの人がいて通れなさそうだったのに、通行人が左右に分かれて道ができた。
「人が予想よりも多かったため、転移門までお供いたします」
「ありがと……?」
目立つのは嫌だけど、この場合は仕方がないんだろうか。
そんな事を思いながらジュリウスに先導をしてもらいつつ、ドーラさんと並んで転移門に向かう。
左右に分かれた人たちからじろじろと見られるのは仕方がない。
仕方がないし、獲物を狙う狩人のような鋭い眼差しの女性や商人がいたり、羨ましそうに見られたりするのは分かるけど、僕を見て青ざめる人がいるのは解せぬ。目が合ったら声にならない悲鳴のような物を出してそうな顔で人ごみの中に消えて行ったし、なんかあの人たちにやったかなぁ?
僕はというと、いつも通り世界樹フソーのお世話を済ませた後、呪い用のポーションの材料を作るためにせっせと畑を回りながら【生育】を使っていった。
今回の呪いの蔓延がなかったらこんな大量生産する事はなかっただろうけど、食糧危機とかに直面したら使える加護だよなぁ、と改めて思った。
レヴィさんが無事に子どもを産んだら、この加護は子どもにも授けられているらしいし、それ以外にも生育の加護持ちは増えていくかもしれないので、今後食糧の事で頭を悩ませる事はなくなるかもしれない。
……まあ、それだけ大量に食べ物を量産したら経済に影響は大きいだろうし、他にも問題が出てくるんだろうけど。
それらに関しては、今考えても仕方がない事なので、ファマ様の加護が世界に広まってから考える事にした。
「もう終わりにするのですわ?」
「そうだね。この後の事を考えると、魔力もある程度残しておきたいし。レヴィさんたちはこのまま作業を続けるの?」
「そうですわ! ここの子たちとも仲良くなるのですわ!」
オーバーオールを着て、フソー周辺に生息している黄色人種っぽい肌の色のドライアドたちと一緒に収穫に励んでいたレヴィさんはやる気満々だ。
レヴィさんの妹であるラピスさんがドライアドたちに関する研究をしているんだけど、彼女たちと仲良くなるために手っ取り早いのが同じ行動をする事なのではないか、と推測しているらしい。
それでレヴィさんはここの子たちと一緒に作業をしようと考えたようだ。
ここのドライアドたちは他の大陸の子と比べるとレヴィさんの言う事を聞かない時があるそうだ。
それは、普段一緒に生活をしているムサシがいるからなんだろうけど、万が一の時に自分の言う事も聞いてもらえた方が良いだろうから、とドライアドたちと仲良くなるために作業をするらしい。
それに付き合わされるセシリアさんやモニカは大変そうだけど、ここ最近ずっと農作業をし続けているから慣れたそうだ。
「二人とも、お腹に気を付けてね」
「分かっているのですわ!」
「何が起きてもそこだけは守りますのでご安心ください」
「お腹以外もしっかり守ってほしいなぁ。……セシリアさん、二人の事よろしくね」
「しっかりと見張っておきます」
特にレヴィア様を、と視線だけで言うセシリアさんに後の事は任せて、僕はその場を後にした。
朝の日課を終わらせた僕は、珍しくドーラさんと二人だけで外に出た。
まあ、見た感じ二人だけなんだけど、ジュリウスを筆頭にエルフたちがどこかから見守ってくれているんだろうけど。
ドーラさんは全身鎧を身に着けておらず、つばが広い白い帽子とワンピースを着ていた。スカートは短めで、露になっている細い太腿が白く眩しい。
彼女の白くて細い指先は、僕の手を握って離さない。
人形のように整った顔立ちは周囲の人の視線を集めているけど、眠たそうな印象を与える青い目は、周囲の視線を気にした様子もなく前だけを見据えていた。あ、こっちみた。
「何?」
「いや、なんでもない。これからティエールの首都に行くんだよね?」
「ん、楽しみ」
以前、お留守番組だけで行われた麻雀大会では、ドーラさんは四位だったらしい。そのご褒美として、今回『美食の国』として有名らしいティエールに観光しに行く事となった。
ティエールの首都周辺でもやはり呪われた人はいたらしいけど、ドーラさんが「行きたい」と言ったので優先的に対応してもらったので今は落ち着いているとの事だった。完全に私利私欲のために優先順位を着けてるけど、このくらいは許してほしい。
ビッグマーケットまでのんびりと歩いて移動したけど、元都市国家フソーもだいぶ以前の賑わいを取り戻してきているようだ。
……いい加減、元都市国家フソーという呼び方だと面倒だから新しい国の名を考えたらどうか、とムサシを通してクレストラ国際連合の国々から打診されているようだけど、僕にはネーミングセンスないし、ムサシに適当に決めておいてもらおうかな?
ビッグマーケットのある広場に着くと、さらに人は増えた。
移動が大変そうだ、と思っていたらどこからともなく現れたエルフたちが交通整理を始めた。
露店と露天の間の道にたくさんの人がいて通れなさそうだったのに、通行人が左右に分かれて道ができた。
「人が予想よりも多かったため、転移門までお供いたします」
「ありがと……?」
目立つのは嫌だけど、この場合は仕方がないんだろうか。
そんな事を思いながらジュリウスに先導をしてもらいつつ、ドーラさんと並んで転移門に向かう。
左右に分かれた人たちからじろじろと見られるのは仕方がない。
仕方がないし、獲物を狙う狩人のような鋭い眼差しの女性や商人がいたり、羨ましそうに見られたりするのは分かるけど、僕を見て青ざめる人がいるのは解せぬ。目が合ったら声にならない悲鳴のような物を出してそうな顔で人ごみの中に消えて行ったし、なんかあの人たちにやったかなぁ?
48
お気に入りに追加
417
あなたにおすすめの小説
異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい
増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。
目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた
3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ
いくらなんでもこれはおかしいだろ!
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~
樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。
無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。
そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。
そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。
色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。
※この作品はカクヨム様でも掲載しています。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
異世界でタロと一緒に冒険者生活を始めました
ももがぶ
ファンタジー
俺「佐々木光太」二十六歳はある日気付けばタロに導かれ異世界へ来てしまった。
会社から帰宅してタロと一緒に散歩していたハズが気が付けば異世界で魔法をぶっ放していた。
タロは喋るし、俺は十二歳になりましたと言われるし、これからどうなるんだろう。
転生チートは家族のために~ユニークスキルで、快適な異世界生活を送りたい!~
りーさん
ファンタジー
ある日、異世界に転生したルイ。
前世では、両親が共働きの鍵っ子だったため、寂しい思いをしていたが、今世は優しい家族に囲まれた。
そんな家族と異世界でも楽しく過ごすために、ユニークスキルをいろいろと便利に使っていたら、様々なトラブルに巻き込まれていく。
「家族といたいからほっといてよ!」
※スキルを本格的に使い出すのは二章からです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる