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第24章 異大陸を観光しながら生きていこう
495.事なかれ主義者は信頼している
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朝、目が覚めるとモニカがベッドの近くに椅子を持ってきて、僕が起きるのを待っていたようだ。
「お腹だいじょうぶだった?」
「何も問題ありませんでしたよ。安眠カバーを使っている時はシズト様は寝相が良いですから」
「それならいいんだけど……」
寝ている間にお腹を叩いちゃったら大変だからベッドの端っこで寝ようとしたんだけど、結局ベッドの真ん中で眠らされていた。
昨日の記憶が途中からないのはモニカに『安眠カバー』が付いた枕を押し付けられたからかもしれない。
「先程エミリーがやってきて、朝食の準備が終わったとの事でしたがいかがなさいますか? 入浴されるのであればすぐに準備します」
「いや、今日は別にいいや」
昨日の夜も今もする事をしていないから汚れてないし。
モニカは既にすでにオーバーオールに着替えていた。
僕も着替えるためにベッドから抜けだそうとしたら既にベッドの上に着替えが準備されていた。
「それでは、扉の向こうでお待ちしておりますね」
僕が何も言わずともモニカは部屋から出て行った。
一部の人たちは着替えも手伝おうとしようとしてくるけど、モニカはそういう事をしてこないので安心できる。
僕は用意された服に袖を通して、寝間着としていた甚兵衛はベッドの上に置いておいた。
どこに置いておいても気が付いたら回収されていて、新しい寝間着が用意されているのでもうベッドの上に置いておく事にしている。
部屋から出ると、モニカが立って待っていた。
「お腹だいじょうぶ?」
「はい。問題ありません」
「そっか。それならよかった」
お腹に手を当てていたので何かあったのかと一瞬焦ったけど、ただ撫でていただけだった。
昨日の夜にちょっと触らせてもらったけど、膨らんでいるような、そうでないような感じだった。
お腹が出てくるのはいつからだったかなぁ、なんて思いながらモニカと一緒に並んで食堂へと向かう。
世界樹フソーの根元に作られたこの屋敷は、僕のお嫁さんたちそれぞれの個室と、僕の部屋がすべて同じ階にある。
部屋の広さも僕以外全員同じなので、元々奴隷だったエミリーやシンシーラは持て余しているそうだ。
ラオさんとルウさんなど元平民組はファマリーの方の屋敷と同じ広さなので、もう特に気にする事はなくなったらしい。
階段をゆっくりと下りたモニカと僕は、そのまま一階にある食堂へと向かった。
食堂にはランチェッタさんとディアーヌさん以外揃っていた。二人は別の大陸で仕事中なのでしばらく同席出来ない。
「おはよう、みんな」
それぞれ挨拶をしてきたみんなにまとめて挨拶を返して、空いていたお誕生日席のようなところに座ると、エミリーとジューンさんが給仕をし始めた。
エミリーは昨日着てもらった巫女服ではなく、いつも通りのメイド服を着ている。
ジューンさんはこちらでは世界樹の代理人としての仕事がないので、真っ白な服を着ていなかった。
エルフらしからぬ女性らしい体のラインがよく分かるニットのワンピースを着ていた。
食卓に料理を並べ終えたらジューンさんは自分の席に着いたけど、エミリーは座らずに壁際に控えた。
そこにはシンシーラやパメラもいた。やっぱりこっちでも一緒に食事をしないらしい。
命令すれば一緒に食べてくれるだろうけど、そういうのはなんか違う気がするし、こればっかりは仕方がない、と諦めて食前の挨拶を唱和した。
いつものごとく、ラオさんとルウさんは食事をすぐに終えるし、ノエルは口の中に一杯詰め込めるだけ詰め込むと嵐のように食堂から出ていく。
ホムラとユキはわざと口の周りを汚しているので、僕も食事をしながら彼女たちの口周りを近くに置かれている布で拭う。
みんなと他愛もない話をしながら食事を進め、食後のティータイムに入った頃にホムラが思い出したかのように口を開いた。
「本日、ヤマトへ向かいます、マスター」
「ヤマトへ? なんかあったの?」
「いえ、特には何もありません、マスター。この目で見て有用なものがないか見てこようかと」
「……ホムラだけだとちょっと心配なんだけど、一人で行くの?」
「私も行くわ、ご主人様」
ホムラだけじゃ心配だけど、ユキが加わった所であまりストッパーになりそうにないんだよなぁ。
そう思ってラオさんの方を見たら、彼女もまた僕の方を見ていた。
「ラオさん、今日何か予定ある?」
「特にねぇよけど、あんまり行きたくねぇな」
「私も行くから一緒に行きましょ、ラオちゃん!」
「だがなぁ」
いつもだったら了承してくれるラオさんだけど、今日は何だか歯切れが悪い。
喧嘩をしているわけでもなさそうだし、ヤマトに行く事に何か問題でもあるのだろうか。
「私はいなくても問題ありません、マスター」
「ホムラにとってはそうなんだろうね」
「ラオちゃんラオちゃん」
「あんだよ」
「一緒について行った方が良いと思うわ」
「なんでだよ」
「それは……」
ルウさんが僕の方に視線を向けた後に口籠った。
それから彼女は席を立つと机を回り込んでラオさんのすぐ隣に行き、何やらこそこそと耳打ちしている。
ラオさんは難しい顔をした後「まあ、そうだな」とため息交じりに言った。
どうやらホムラたちについていってくれるようだ。
ヤマトで何が起こるか分からないけど、まあラオさんがいるなら大丈夫でしょ。
「お腹だいじょうぶだった?」
「何も問題ありませんでしたよ。安眠カバーを使っている時はシズト様は寝相が良いですから」
「それならいいんだけど……」
寝ている間にお腹を叩いちゃったら大変だからベッドの端っこで寝ようとしたんだけど、結局ベッドの真ん中で眠らされていた。
昨日の記憶が途中からないのはモニカに『安眠カバー』が付いた枕を押し付けられたからかもしれない。
「先程エミリーがやってきて、朝食の準備が終わったとの事でしたがいかがなさいますか? 入浴されるのであればすぐに準備します」
「いや、今日は別にいいや」
昨日の夜も今もする事をしていないから汚れてないし。
モニカは既にすでにオーバーオールに着替えていた。
僕も着替えるためにベッドから抜けだそうとしたら既にベッドの上に着替えが準備されていた。
「それでは、扉の向こうでお待ちしておりますね」
僕が何も言わずともモニカは部屋から出て行った。
一部の人たちは着替えも手伝おうとしようとしてくるけど、モニカはそういう事をしてこないので安心できる。
僕は用意された服に袖を通して、寝間着としていた甚兵衛はベッドの上に置いておいた。
どこに置いておいても気が付いたら回収されていて、新しい寝間着が用意されているのでもうベッドの上に置いておく事にしている。
部屋から出ると、モニカが立って待っていた。
「お腹だいじょうぶ?」
「はい。問題ありません」
「そっか。それならよかった」
お腹に手を当てていたので何かあったのかと一瞬焦ったけど、ただ撫でていただけだった。
昨日の夜にちょっと触らせてもらったけど、膨らんでいるような、そうでないような感じだった。
お腹が出てくるのはいつからだったかなぁ、なんて思いながらモニカと一緒に並んで食堂へと向かう。
世界樹フソーの根元に作られたこの屋敷は、僕のお嫁さんたちそれぞれの個室と、僕の部屋がすべて同じ階にある。
部屋の広さも僕以外全員同じなので、元々奴隷だったエミリーやシンシーラは持て余しているそうだ。
ラオさんとルウさんなど元平民組はファマリーの方の屋敷と同じ広さなので、もう特に気にする事はなくなったらしい。
階段をゆっくりと下りたモニカと僕は、そのまま一階にある食堂へと向かった。
食堂にはランチェッタさんとディアーヌさん以外揃っていた。二人は別の大陸で仕事中なのでしばらく同席出来ない。
「おはよう、みんな」
それぞれ挨拶をしてきたみんなにまとめて挨拶を返して、空いていたお誕生日席のようなところに座ると、エミリーとジューンさんが給仕をし始めた。
エミリーは昨日着てもらった巫女服ではなく、いつも通りのメイド服を着ている。
ジューンさんはこちらでは世界樹の代理人としての仕事がないので、真っ白な服を着ていなかった。
エルフらしからぬ女性らしい体のラインがよく分かるニットのワンピースを着ていた。
食卓に料理を並べ終えたらジューンさんは自分の席に着いたけど、エミリーは座らずに壁際に控えた。
そこにはシンシーラやパメラもいた。やっぱりこっちでも一緒に食事をしないらしい。
命令すれば一緒に食べてくれるだろうけど、そういうのはなんか違う気がするし、こればっかりは仕方がない、と諦めて食前の挨拶を唱和した。
いつものごとく、ラオさんとルウさんは食事をすぐに終えるし、ノエルは口の中に一杯詰め込めるだけ詰め込むと嵐のように食堂から出ていく。
ホムラとユキはわざと口の周りを汚しているので、僕も食事をしながら彼女たちの口周りを近くに置かれている布で拭う。
みんなと他愛もない話をしながら食事を進め、食後のティータイムに入った頃にホムラが思い出したかのように口を開いた。
「本日、ヤマトへ向かいます、マスター」
「ヤマトへ? なんかあったの?」
「いえ、特には何もありません、マスター。この目で見て有用なものがないか見てこようかと」
「……ホムラだけだとちょっと心配なんだけど、一人で行くの?」
「私も行くわ、ご主人様」
ホムラだけじゃ心配だけど、ユキが加わった所であまりストッパーになりそうにないんだよなぁ。
そう思ってラオさんの方を見たら、彼女もまた僕の方を見ていた。
「ラオさん、今日何か予定ある?」
「特にねぇよけど、あんまり行きたくねぇな」
「私も行くから一緒に行きましょ、ラオちゃん!」
「だがなぁ」
いつもだったら了承してくれるラオさんだけど、今日は何だか歯切れが悪い。
喧嘩をしているわけでもなさそうだし、ヤマトに行く事に何か問題でもあるのだろうか。
「私はいなくても問題ありません、マスター」
「ホムラにとってはそうなんだろうね」
「ラオちゃんラオちゃん」
「あんだよ」
「一緒について行った方が良いと思うわ」
「なんでだよ」
「それは……」
ルウさんが僕の方に視線を向けた後に口籠った。
それから彼女は席を立つと机を回り込んでラオさんのすぐ隣に行き、何やらこそこそと耳打ちしている。
ラオさんは難しい顔をした後「まあ、そうだな」とため息交じりに言った。
どうやらホムラたちについていってくれるようだ。
ヤマトで何が起こるか分からないけど、まあラオさんがいるなら大丈夫でしょ。
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