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第24章 異大陸を観光しながら生きていこう
493.事なかれ主義者はお店を見て回った
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ちょっとドライアドたちが集合するのに時間がかかってしまったけど、世界樹フソー周辺に生息しているドライアドたちは小柄だけど働き者だから当初の予定通りに作業が終わった。
この後にも予定があるので魔力切れ寸前までは使わなかったけど、珍しい薬草は十分な量集める事ができた。
お昼ごはん前に作業を終える事ができたので、予定通りランチェッタさんとディアーヌさんを連れて元都市国家フソーを回る事となった。
バタバタしていて宙ぶらりん状態になっていた麻雀大会のご褒美をランチェッタさんが求めたから観光する事になったんだけど、ディアーヌさんも一緒に、とランチェッタさんが熱望したので、三人で出かける事となっている。
両手に花状態のまま禁足地として指定されている森を抜けて街に踏み出そうとしたら、左側にいたディアーヌさんが立ち止まった。
「本当に私もご一緒してよろしいのですか? 二人でイチャイチャできるチャンスですよ?」
「貴女だってご褒美なのにわたくしを含めたじゃない」
「あれはランチェッタ様の練習のためにシズト様にご協力を頂いただけですよ。これは何の練習なのでしょうか」
「メイド服以外でデートをする練習よ」
なるほど。セシリアさんもそうだけど、ディアーヌさんも寝間着と湯浴み着以外は基本的にメイド服なんだよな。
侍女の拘りか分からないけど、どこに行くにしてもメイド服以外着ないし、今度セシリアさんにもお願いして着てもらおうかな?
そんな事を思いつつディアーヌさんを見ると、彼女は袖のないタイプの白いトップスに黒のショートパンツを履いていた。
ファッションの事はよく分からないけど、健康的に焼けた肌とスタイルの良さがよく分かる。いつも複雑に編み込まれたシニヨンにしている灰色の髪は、今日は一カ所で結われていてポニーテールにしているだけだった。
「私はランチェッタ様の侍女ですからその様な練習は不要です」
「今後必要になるかもしれないじゃない」
「つまり、私を解雇する予定があるという事ですか?」
「そんなわけないでしょ!」
「ディアーヌさんが妊娠したらしばらく侍女は難しいとか、そういう感じ?」
「そう、それよ」
「そのような状況でしたらお出かけをする事もないと思いますが?」
まあ、確かに安全第一でレヴィさんとモニカは世界樹周辺にいるようにお願いしているしなぁ。
だいぶ安定しているって聞いたけど、それは神様の加護をお腹の子たちが授かっているからだし。
ディアーヌさんとランチェッタさんはファマ様の教会で式を挙げたから、子どもが授かる可能性がある加護はファマ様の加護くらいだけど、ファマ様は神力が足りないから僕の子どもに追加で加護を授ける事は今の所ないだろう。
そうなると、普通(?)の妊娠になるから体調不良とか諸々ある可能性がある。
……うん、レヴィさんたち以上に僕が心配性になる気がするわ。
「と、とにかく! 四時間は一緒に散歩デートをするわよ。対等な関係で、ね。これは命令よ」
「……そうですか。命令ならば仕方ないですね。対等な関係という事はランチェッタ様を揶揄って遊んでも何も問題ないという事ですね」
そう言って悪戯っぽい笑みを浮かべたディアーヌさんだけど、僕とランチェッタさんは同じような表情になったと思う。
「いつもしてる事じゃない」
「あれでも加減してる方なんですよ?」
「僕に対しても加減してるの?」
「抑えてる方です。でも今回は命令だから仕方ないですね。シズト様が恥ずかしそうにしても私がしたいからたいろいろな事をしますね」
そう言うと、立ち止まっていたディアーヌさんが歩き始めた。
いつもよりも歩くのが早く、引っ張られる形になって彼女の顔は見えないけど、きっと僕を揶揄って楽しんでる時のような顔をしているんだろうなぁ。
四時間もあればいろいろ回れるだろう、と思っていたけど、旧市街地に建設されたビッグマーケットを回るので精いっぱいだった。
元都市国家フソーの住人だった奴隷たちを集めて、彼らの仕事を作るためにビッグマーケット周辺の店舗もたくさん増えているから猶更時間が足りない。ランチェッタさんの希望でビッグマーケットに出店されている露天商を見る事はなく、執念の住宅街を改築して新たに建てられたお店を中心に見て回った。
クレストラ大陸にある各国の専門店のようなところがあったり、武器や防具、装飾品などジャンルごとの専門店もあった。青果店のような場所では、エンシェントツリードラゴンの背中に生ると言われている幻の果実の競りが行われるそうだ。
慣れない食べ歩きに苦戦しているランチェッタさんが「直接各国に行けるようになったらもっといろんなものを買い付けに行く事ができるのに」と呟いた。
「各国の商人に頼んで持ってきてもらうだけじゃダメなの?」
「それだとどうしても商人の好みで選ばれない物とか出てくるのよ。それに、路地裏とか住宅街の片隅でひっそりと作られている物とかもあるかもしれないし。そういう所に今まで知られていなかった掘り出し物があったりするのよ」
「ランチェッタ様が時折城下町に視察に行くのはご自身の足で新しい物がないか見て回るためでもあるんですよ。私たちとしては城下町とはいえ気が気ではないんですけどね。ランチェッタ様、口元が汚れてます」
「分かってるわ。後で自分で拭くから大丈夫よ」
そうだね。今拭いてもまた付くもんね。
時間がもったいないからと食べ歩きする事になったけど、やっぱりどこかで座って食べた方がよかったかなぁ。
そんな事を思いつつ、どうしたらランチェッタさんが求める珍しい品物が集まるのか考えるのだった。
この後にも予定があるので魔力切れ寸前までは使わなかったけど、珍しい薬草は十分な量集める事ができた。
お昼ごはん前に作業を終える事ができたので、予定通りランチェッタさんとディアーヌさんを連れて元都市国家フソーを回る事となった。
バタバタしていて宙ぶらりん状態になっていた麻雀大会のご褒美をランチェッタさんが求めたから観光する事になったんだけど、ディアーヌさんも一緒に、とランチェッタさんが熱望したので、三人で出かける事となっている。
両手に花状態のまま禁足地として指定されている森を抜けて街に踏み出そうとしたら、左側にいたディアーヌさんが立ち止まった。
「本当に私もご一緒してよろしいのですか? 二人でイチャイチャできるチャンスですよ?」
「貴女だってご褒美なのにわたくしを含めたじゃない」
「あれはランチェッタ様の練習のためにシズト様にご協力を頂いただけですよ。これは何の練習なのでしょうか」
「メイド服以外でデートをする練習よ」
なるほど。セシリアさんもそうだけど、ディアーヌさんも寝間着と湯浴み着以外は基本的にメイド服なんだよな。
侍女の拘りか分からないけど、どこに行くにしてもメイド服以外着ないし、今度セシリアさんにもお願いして着てもらおうかな?
そんな事を思いつつディアーヌさんを見ると、彼女は袖のないタイプの白いトップスに黒のショートパンツを履いていた。
ファッションの事はよく分からないけど、健康的に焼けた肌とスタイルの良さがよく分かる。いつも複雑に編み込まれたシニヨンにしている灰色の髪は、今日は一カ所で結われていてポニーテールにしているだけだった。
「私はランチェッタ様の侍女ですからその様な練習は不要です」
「今後必要になるかもしれないじゃない」
「つまり、私を解雇する予定があるという事ですか?」
「そんなわけないでしょ!」
「ディアーヌさんが妊娠したらしばらく侍女は難しいとか、そういう感じ?」
「そう、それよ」
「そのような状況でしたらお出かけをする事もないと思いますが?」
まあ、確かに安全第一でレヴィさんとモニカは世界樹周辺にいるようにお願いしているしなぁ。
だいぶ安定しているって聞いたけど、それは神様の加護をお腹の子たちが授かっているからだし。
ディアーヌさんとランチェッタさんはファマ様の教会で式を挙げたから、子どもが授かる可能性がある加護はファマ様の加護くらいだけど、ファマ様は神力が足りないから僕の子どもに追加で加護を授ける事は今の所ないだろう。
そうなると、普通(?)の妊娠になるから体調不良とか諸々ある可能性がある。
……うん、レヴィさんたち以上に僕が心配性になる気がするわ。
「と、とにかく! 四時間は一緒に散歩デートをするわよ。対等な関係で、ね。これは命令よ」
「……そうですか。命令ならば仕方ないですね。対等な関係という事はランチェッタ様を揶揄って遊んでも何も問題ないという事ですね」
そう言って悪戯っぽい笑みを浮かべたディアーヌさんだけど、僕とランチェッタさんは同じような表情になったと思う。
「いつもしてる事じゃない」
「あれでも加減してる方なんですよ?」
「僕に対しても加減してるの?」
「抑えてる方です。でも今回は命令だから仕方ないですね。シズト様が恥ずかしそうにしても私がしたいからたいろいろな事をしますね」
そう言うと、立ち止まっていたディアーヌさんが歩き始めた。
いつもよりも歩くのが早く、引っ張られる形になって彼女の顔は見えないけど、きっと僕を揶揄って楽しんでる時のような顔をしているんだろうなぁ。
四時間もあればいろいろ回れるだろう、と思っていたけど、旧市街地に建設されたビッグマーケットを回るので精いっぱいだった。
元都市国家フソーの住人だった奴隷たちを集めて、彼らの仕事を作るためにビッグマーケット周辺の店舗もたくさん増えているから猶更時間が足りない。ランチェッタさんの希望でビッグマーケットに出店されている露天商を見る事はなく、執念の住宅街を改築して新たに建てられたお店を中心に見て回った。
クレストラ大陸にある各国の専門店のようなところがあったり、武器や防具、装飾品などジャンルごとの専門店もあった。青果店のような場所では、エンシェントツリードラゴンの背中に生ると言われている幻の果実の競りが行われるそうだ。
慣れない食べ歩きに苦戦しているランチェッタさんが「直接各国に行けるようになったらもっといろんなものを買い付けに行く事ができるのに」と呟いた。
「各国の商人に頼んで持ってきてもらうだけじゃダメなの?」
「それだとどうしても商人の好みで選ばれない物とか出てくるのよ。それに、路地裏とか住宅街の片隅でひっそりと作られている物とかもあるかもしれないし。そういう所に今まで知られていなかった掘り出し物があったりするのよ」
「ランチェッタ様が時折城下町に視察に行くのはご自身の足で新しい物がないか見て回るためでもあるんですよ。私たちとしては城下町とはいえ気が気ではないんですけどね。ランチェッタ様、口元が汚れてます」
「分かってるわ。後で自分で拭くから大丈夫よ」
そうだね。今拭いてもまた付くもんね。
時間がもったいないからと食べ歩きする事になったけど、やっぱりどこかで座って食べた方がよかったかなぁ。
そんな事を思いつつ、どうしたらランチェッタさんが求める珍しい品物が集まるのか考えるのだった。
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