735 / 1,094
第24章 異大陸を観光しながら生きていこう
492.事なかれ主義者は空を自由に飛びたい
しおりを挟む
ファマ様たちに久しぶりに呼び出されてから一週間ほど経った。
神様たちの像はお手本を【加工】でササッと作って、ドワーフやエルフに依頼を出した。
各地に点在している教会に設置するための像はそれぞれの大陸で作ってもらって、世界樹の根元に建てた祠には僕が作った神像を飾ってもらった。
あれからファマ様たちから話しかけられる事もないから出来栄えには満足してもらえているようだ。
もう一つのお願いの方は食事の時に皆に伝えた。
ラオさんとドーラさんは最近お世話係になる事を辞退する事もあったけど、再開する事になった。
夫婦の営みについてはタイミング次第な所もあるので、順番通りじゃなかったり、複数人だったりする時もあるけど、何とか枯れずに生活する事ができている。
今日も日課となっている朝風呂を済ませた後、脱衣所から出ると、ランチェッタさんとディアーヌさんが待っていた。
二人とも海洋国家ガレオール出身だからか、肌は黒い。
髪と目の色が同じなのは遠縁にあたるかららしいけど、スタイルは全く違う。
ランチェッタさんは小柄で顔立ちもどこか幼さが残っているけど、ビックリするくらい胸が大きい。魔道具『育乳ブラ』を使って大きくなったレヴィさんに匹敵するくらいの大きさだ。
ディアーヌさんはすらりとした長身の女性だ。ランチェッタさんと比べて小さいと卑下する時があるけど、十分だと思う。
ランチェッタさんが可愛い系だとするなら、ディアーヌさんはカッコいい系だろう。メイド服も似合ってるけど、男装したら僕よりもモテるんじゃないかなぁ。
「二人ともおはよう」
「おはよう、シズト」
「おはようございます、シズト様」
「わざわざ待ってなくてもいいのに」
「入ってもよろしかったのですか?」
「いや、食堂に向かってって意味なんだけどね?」
悪戯っぽい笑みを浮かべたディアーヌさんにツッコミを入れつつ食堂へと向かう。
ランチェッタさんは僕の隣に並んで見上げてきた。
「お世話係だから待ってたのよ。今日は仕事を全部任せてきたからずっと一緒にいる事ができるわ!」
「ああ、だから今日は普段着ているドレスを着てないんだね」
ランチェッタさんは最近は露出の少ないドレスを好んで着ていた。
謁見する相手にじろじろと見られるのが不快だかららしい。
少しでも背を高く見せようとヒールの高い靴もよく履いているし、今かけている丸眼鏡も基本的にかけてない。目が悪いから睨むような感じで相手を見る事になってしまうけど、それはそれでいいんじゃないかしら、なんて言ってたな。
ただ今日は僕と一緒に過ごすという事で動きやすくするために靴にヒールはないし、丸眼鏡もかけている。眼鏡をかけているから大きな目がぱっちりと開かれていた。いつもこの方が良いんじゃないかな。
「あの仕事中毒だったランチェッタ様が他の者たちに任せる事ができるようになるなんて……感無量です」
「うるさいわよ、ディアーヌ!」
「まあ、ディアーヌさんの気持ちも分からなくもないかなぁ。朝から晩まで仕事漬けで、食事も簡単に食べられる物しか食べなかったって、料理長さんが言ってたよ」
「いつの間に彼と話をしたの!?」
「ランチェッタ様をお待ちになられている間にお話しされてましたよ」
「貴女の差し金ね!」
「何の事かさっぱりでございます」
ランチェッタさんがディアーヌさんを再度睨んだけど、ディアーヌさんはそっぽを向いて素知らぬ顔をしていた。
朝食を済ませたらクレストラ大陸へと転移した。
お薬の素材を大量に納品したからか、ここ一週間でだいぶ呪われた人が減ってきていたし、なによりプロス様から神託が下った、とお嫁さんたちが張り切ってしまっているので、今回は皆もついて来た。クーは別館で暮らしている人たちと一緒にお留守番だけど、今回は特に文句は言ってこなかった。
皆はムサシに案内してもらいながら世界樹フソーの根元に新しく建てられた建物を見に行っている。
屋敷の中にたくさんあるドライアドたちが好き勝手置いて行った植物がどうなるのかちょっと心配だけど、レヴィさんたちに任せて、僕は世界樹の世話をするために別行動をしていた。
「ランチェッタさんたち、本当についてきちゃって大丈夫だったの? しばらく転移陣は使わないけど」
「大丈夫よ。明日、ガレオールと繋がっている転移門が開く日だから、それを使って帰るわ」
「私としては、敵対派閥だった公爵派も最近大人しくしていますし、少しくらい長居してもいいんじゃないかと思うんですけどね」
「ただでさえ呪い関係で混乱しているんだから、これ以上混乱の種を蒔く必要はないわ。予定通り、明日帰るから」
「うん、分かった」
「シズト様は本日、やる事を済ませたらどう過ごされるのですか?」
「特には決めてないけど……あっちの手伝いになるかもしれないね」
屋敷の方に視線を向けると植木鉢を外に出す作業をラオさんたちがしていたけど、ドライアドたちは出された植木鉢を中に移動させようとしている。交渉は上手くいっていないようだ。
もうドライアドたち用の建物を作った方が良いんじゃないかなぁ、なんて思いながらフソーに【生育】の加護を使った。
魔力はだいぶ余ったので、呪い対策用の上級ポーションやらエリクサーの素材を今日も量産できそうだ。ただ、ドライアドたちがいればの話だけど。
事前に用意しておいてもらった急成長用の畑の広さを考えると、僕たち四人だけじゃ到底回らない。
とりあえず、フクちゃんと一緒に高みの見物をしているお菊ちゃんを呼んでもらおうかな。
「ジュリウス、お菊ちゃん連れてきて」
「かしこまりました」
それまで気配を殺していたジュリウスがすぐに返事をすると、(たぶん)精霊魔法を使ってフクちゃんとお菊ちゃんがいる枝まで飛んでいく。
その姿をランチェッタさんたちと一緒に見送った。
……やっぱり自由に空を飛べるっていいよなぁ。
神様たちの像はお手本を【加工】でササッと作って、ドワーフやエルフに依頼を出した。
各地に点在している教会に設置するための像はそれぞれの大陸で作ってもらって、世界樹の根元に建てた祠には僕が作った神像を飾ってもらった。
あれからファマ様たちから話しかけられる事もないから出来栄えには満足してもらえているようだ。
もう一つのお願いの方は食事の時に皆に伝えた。
ラオさんとドーラさんは最近お世話係になる事を辞退する事もあったけど、再開する事になった。
夫婦の営みについてはタイミング次第な所もあるので、順番通りじゃなかったり、複数人だったりする時もあるけど、何とか枯れずに生活する事ができている。
今日も日課となっている朝風呂を済ませた後、脱衣所から出ると、ランチェッタさんとディアーヌさんが待っていた。
二人とも海洋国家ガレオール出身だからか、肌は黒い。
髪と目の色が同じなのは遠縁にあたるかららしいけど、スタイルは全く違う。
ランチェッタさんは小柄で顔立ちもどこか幼さが残っているけど、ビックリするくらい胸が大きい。魔道具『育乳ブラ』を使って大きくなったレヴィさんに匹敵するくらいの大きさだ。
ディアーヌさんはすらりとした長身の女性だ。ランチェッタさんと比べて小さいと卑下する時があるけど、十分だと思う。
ランチェッタさんが可愛い系だとするなら、ディアーヌさんはカッコいい系だろう。メイド服も似合ってるけど、男装したら僕よりもモテるんじゃないかなぁ。
「二人ともおはよう」
「おはよう、シズト」
「おはようございます、シズト様」
「わざわざ待ってなくてもいいのに」
「入ってもよろしかったのですか?」
「いや、食堂に向かってって意味なんだけどね?」
悪戯っぽい笑みを浮かべたディアーヌさんにツッコミを入れつつ食堂へと向かう。
ランチェッタさんは僕の隣に並んで見上げてきた。
「お世話係だから待ってたのよ。今日は仕事を全部任せてきたからずっと一緒にいる事ができるわ!」
「ああ、だから今日は普段着ているドレスを着てないんだね」
ランチェッタさんは最近は露出の少ないドレスを好んで着ていた。
謁見する相手にじろじろと見られるのが不快だかららしい。
少しでも背を高く見せようとヒールの高い靴もよく履いているし、今かけている丸眼鏡も基本的にかけてない。目が悪いから睨むような感じで相手を見る事になってしまうけど、それはそれでいいんじゃないかしら、なんて言ってたな。
ただ今日は僕と一緒に過ごすという事で動きやすくするために靴にヒールはないし、丸眼鏡もかけている。眼鏡をかけているから大きな目がぱっちりと開かれていた。いつもこの方が良いんじゃないかな。
「あの仕事中毒だったランチェッタ様が他の者たちに任せる事ができるようになるなんて……感無量です」
「うるさいわよ、ディアーヌ!」
「まあ、ディアーヌさんの気持ちも分からなくもないかなぁ。朝から晩まで仕事漬けで、食事も簡単に食べられる物しか食べなかったって、料理長さんが言ってたよ」
「いつの間に彼と話をしたの!?」
「ランチェッタ様をお待ちになられている間にお話しされてましたよ」
「貴女の差し金ね!」
「何の事かさっぱりでございます」
ランチェッタさんがディアーヌさんを再度睨んだけど、ディアーヌさんはそっぽを向いて素知らぬ顔をしていた。
朝食を済ませたらクレストラ大陸へと転移した。
お薬の素材を大量に納品したからか、ここ一週間でだいぶ呪われた人が減ってきていたし、なによりプロス様から神託が下った、とお嫁さんたちが張り切ってしまっているので、今回は皆もついて来た。クーは別館で暮らしている人たちと一緒にお留守番だけど、今回は特に文句は言ってこなかった。
皆はムサシに案内してもらいながら世界樹フソーの根元に新しく建てられた建物を見に行っている。
屋敷の中にたくさんあるドライアドたちが好き勝手置いて行った植物がどうなるのかちょっと心配だけど、レヴィさんたちに任せて、僕は世界樹の世話をするために別行動をしていた。
「ランチェッタさんたち、本当についてきちゃって大丈夫だったの? しばらく転移陣は使わないけど」
「大丈夫よ。明日、ガレオールと繋がっている転移門が開く日だから、それを使って帰るわ」
「私としては、敵対派閥だった公爵派も最近大人しくしていますし、少しくらい長居してもいいんじゃないかと思うんですけどね」
「ただでさえ呪い関係で混乱しているんだから、これ以上混乱の種を蒔く必要はないわ。予定通り、明日帰るから」
「うん、分かった」
「シズト様は本日、やる事を済ませたらどう過ごされるのですか?」
「特には決めてないけど……あっちの手伝いになるかもしれないね」
屋敷の方に視線を向けると植木鉢を外に出す作業をラオさんたちがしていたけど、ドライアドたちは出された植木鉢を中に移動させようとしている。交渉は上手くいっていないようだ。
もうドライアドたち用の建物を作った方が良いんじゃないかなぁ、なんて思いながらフソーに【生育】の加護を使った。
魔力はだいぶ余ったので、呪い対策用の上級ポーションやらエリクサーの素材を今日も量産できそうだ。ただ、ドライアドたちがいればの話だけど。
事前に用意しておいてもらった急成長用の畑の広さを考えると、僕たち四人だけじゃ到底回らない。
とりあえず、フクちゃんと一緒に高みの見物をしているお菊ちゃんを呼んでもらおうかな。
「ジュリウス、お菊ちゃん連れてきて」
「かしこまりました」
それまで気配を殺していたジュリウスがすぐに返事をすると、(たぶん)精霊魔法を使ってフクちゃんとお菊ちゃんがいる枝まで飛んでいく。
その姿をランチェッタさんたちと一緒に見送った。
……やっぱり自由に空を飛べるっていいよなぁ。
58
お気に入りに追加
454
あなたにおすすめの小説

こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。

異世界転生~目指せ!内乱を防いで、みんな幸せ♪
紅子
ファンタジー
いつの間にかこの国の王子に転生していた俺。物語の世界にいるなんて、想定外だ。このままでは、この国は近い未来に内乱の末、乗っ取られてしまう。俺、まだ4歳。誰がこんな途方もない話を信じてくれるだろうか?既に物語と差異が発生しちゃってるし。俺自身もバグり始めてる。
4歳から始まる俺の奮闘記?物語に逆らって、みんな幸せを目指してみよう♪
毎日00:00に更新します。
完結済み
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
異世界で俺だけレベルが上がらない! だけど努力したら最強になれるらしいです?
澤檸檬
ファンタジー
旧題 努力=結果
異世界の神の勝手によって異世界に転移することになった倉野。
実際に異世界で確認した常識と自分に与えられた能力が全く違うことに少しずつ気付く。
異世界の住人はレベルアップによってステータスが上がっていくようだったが、倉野にだけレベルが存在せず、行動を繰り返すことによってスキルを習得するシステムが採用されていた。
そのスキル習得システムと異世界の常識の差が倉野を最強の人間へと押し上げていく。
だが、倉野はその能力を活かして英雄になろうだとか、悪用しようだとかそういった上昇志向を見せるわけでもなく、第二の人生と割り切ってファンタジーな世界を旅することにした。
最強を隠して異世界を巡る倉野。各地での出会いと別れ、冒険と楽しみ。元居た世界にはない刺激が倉野の第二の人生を彩っていく。

やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる