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第21章 魔道具を作りながら生きていこう
幕間の物語217.国王たちはいつも遊びながら話をしている
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シグニール大陸にあるドラゴニア王国は、多数のダンジョンを保有している国として有名だ。
そのダンジョンから取れる戦利品を求めやってくる者たちは、そのほとんどがシグニール大陸の者だった。ただ、中には異なる大陸からやってくる商人や冒険者もいた。
異大陸の者たちがやってくるのはドラコ侯爵領の領都ともなっている北の港街シドラだ。その街は珍しい交易品だけではなく、異大陸の情報も入ってくる。
小さなことから大きな事まで余す事無く集めた後、ドラゴニア国王に報告するのがドラコ侯爵家の代々の当主の仕事だった。
最近は民衆から好かれている三男と加護はないが優秀な次男の二人にもその仕事を担わせて情報を集めていたのだが、気になる情報がドラコ侯爵の下に届いた。
それはすぐに文に書き記され、飛竜便を使って最速でドラゴニア王都に届けられた。
ただその時、王は不在だった。そこからさらに転移陣を使ってドラン公爵領まで届けられた。
手紙を持った兵士が通されたのはドラン公爵の屋敷の一室だった。
そこにはドラゴニア国王であるリヴァイ・フォン・ドラゴニアと現ドラン公爵であるラグナ・フォン・ドランがすごろく系のボードゲームで遊んでいる所だった。二人だと面白みに欠ける、とその場について来ていたリヴァイの息子のガントも同じ机に座っている。
ゲームを一時中断しその手紙を読み終えたリヴァイはその手紙を他の二人に回した。
その内容を読み終えたガントが、小さな声で呟く。
「鎖国状態であった都市国家イルミンスールで革命が起きた、ですか」
「鎖国していても情報は漏れていたからな。外に漏れるっていう事は、中にも情報は入っていたんだろう。どうするんだ、リヴァイ」
「どうするもこうするもない。向こうからの動きがまだないからな」
都市国家イルミンスールとは、ミスティア大陸にある国の内の一つだ。
ミスティア大陸は、ドラゴニアの北に広がる海を真っすぐに進んだ先にある大陸だ。クレストラ大陸と同様、一本の世界樹がある事で知られている。
世界樹の名はイルミンスール。例のごとくエルフたちがその周囲に国を作り、管理していたのだが、一年以上前から鎖国状態になっていた。
世界樹の異変を隠すためもあったのだろうが、国の中にいるエルフたちに世界樹の真実について知られたくなかったからだろう。
ただ、その真実が何かの拍子に広まってしまい、怒れる民衆によって革命が起きた、と手紙に記されていた。
「次期国王に誰がなるのか揉めている事も気になりますが、イルミンスールで呪いが広まっている、というのも気になりますね」
「その内、シズト殿を求める声も届くだろうが……大事な婿殿だ。呪いを何とかしてもらってからじゃないと話にならんな」
「そうだな。それよりも、俺が気になるのはクレストラ大陸に新たに国際連合が作られた事だな。こっちではそういうのは作らないのか?」
ラグナの問いかけに、リヴァイはしばし考える素振りを見せたが、その間にもゲームは進む。
ラグナがサイコロを一つ振ると二の目が出たので、さらにもう一つサイコロを振った。出たのは六の目だった。「ついてない」と言いながらラグナは自身の駒をスタート地点に戻した。
「作るとしたら、ガレオールの女王に主導してもらう事になるだろうな。転移門が設置されているのはあの国だから。ただ、問題があるとしたらシグニール大陸の東側だな」
「いまだに小競り合いが続けられていますからね」
ガントは話をしながらも自分の番だったのでサイコロを振った。出た目は三だった。父親から「もっと振ればいいだろう」と言われるが、気にせずそこでサイコロを振るのをやめて駒を進める。止まったマスに父親の駒があったのでその上に自分の駒を重ねた。
「それを煽っているのはおそらくエンジェリアだろうな。小国同士で争っている間に人族至上主義と共に自国の宗教を広めていると聞くぞ」
「エンジェリアの者に聞いても知らぬ存ぜぬで躱されるが、まあ、十中八九そうだろうな。武器の輸出でも儲けている可能性もある」
リヴァイがサイコロを一つ振ると、一の目が出た。ガントに「もう一つ振ってください」と言われたのでサイコロを振ると再び一の目が出る。再度、ガントに視線を向けるリヴァイだったが、当たり前のようにガントは頷いたので三個目のサイコロを振った。出た目は五だった。
「なんで上に乗られてる時に出るんだ!」
「なぜでしょうね。二十一マス進むのでぐるっと一周するだけですね。駒はそのままで大丈夫です。卵は貰っておきますね。それで……父上はイルミンスールの件をシズト殿に伝えるのですか?」
「伝えるさ。変に隠して拗れる方が厄介だからな。イルミンスールで呪いが広まっているという事も踏まえて注意もしておく。ラグナ、次はお前の番だぞ。さっさとサイコロを振れ!」
「得るはずだった卵を取られたからって俺に八つ当たりするな。ゲームに熱くなるのはお前の悪い所だぞ」
それはラグナも同じなのだが、ガントは黙ってゲームを続ける事にした。
その後「勝つまで続ける!」と何度もゲームを繰り返したが、リヴァイの運が良くなってきたところで王妃であるパールがやってきて、ゲームは強制終了させられたのだった。
そのダンジョンから取れる戦利品を求めやってくる者たちは、そのほとんどがシグニール大陸の者だった。ただ、中には異なる大陸からやってくる商人や冒険者もいた。
異大陸の者たちがやってくるのはドラコ侯爵領の領都ともなっている北の港街シドラだ。その街は珍しい交易品だけではなく、異大陸の情報も入ってくる。
小さなことから大きな事まで余す事無く集めた後、ドラゴニア国王に報告するのがドラコ侯爵家の代々の当主の仕事だった。
最近は民衆から好かれている三男と加護はないが優秀な次男の二人にもその仕事を担わせて情報を集めていたのだが、気になる情報がドラコ侯爵の下に届いた。
それはすぐに文に書き記され、飛竜便を使って最速でドラゴニア王都に届けられた。
ただその時、王は不在だった。そこからさらに転移陣を使ってドラン公爵領まで届けられた。
手紙を持った兵士が通されたのはドラン公爵の屋敷の一室だった。
そこにはドラゴニア国王であるリヴァイ・フォン・ドラゴニアと現ドラン公爵であるラグナ・フォン・ドランがすごろく系のボードゲームで遊んでいる所だった。二人だと面白みに欠ける、とその場について来ていたリヴァイの息子のガントも同じ机に座っている。
ゲームを一時中断しその手紙を読み終えたリヴァイはその手紙を他の二人に回した。
その内容を読み終えたガントが、小さな声で呟く。
「鎖国状態であった都市国家イルミンスールで革命が起きた、ですか」
「鎖国していても情報は漏れていたからな。外に漏れるっていう事は、中にも情報は入っていたんだろう。どうするんだ、リヴァイ」
「どうするもこうするもない。向こうからの動きがまだないからな」
都市国家イルミンスールとは、ミスティア大陸にある国の内の一つだ。
ミスティア大陸は、ドラゴニアの北に広がる海を真っすぐに進んだ先にある大陸だ。クレストラ大陸と同様、一本の世界樹がある事で知られている。
世界樹の名はイルミンスール。例のごとくエルフたちがその周囲に国を作り、管理していたのだが、一年以上前から鎖国状態になっていた。
世界樹の異変を隠すためもあったのだろうが、国の中にいるエルフたちに世界樹の真実について知られたくなかったからだろう。
ただ、その真実が何かの拍子に広まってしまい、怒れる民衆によって革命が起きた、と手紙に記されていた。
「次期国王に誰がなるのか揉めている事も気になりますが、イルミンスールで呪いが広まっている、というのも気になりますね」
「その内、シズト殿を求める声も届くだろうが……大事な婿殿だ。呪いを何とかしてもらってからじゃないと話にならんな」
「そうだな。それよりも、俺が気になるのはクレストラ大陸に新たに国際連合が作られた事だな。こっちではそういうのは作らないのか?」
ラグナの問いかけに、リヴァイはしばし考える素振りを見せたが、その間にもゲームは進む。
ラグナがサイコロを一つ振ると二の目が出たので、さらにもう一つサイコロを振った。出たのは六の目だった。「ついてない」と言いながらラグナは自身の駒をスタート地点に戻した。
「作るとしたら、ガレオールの女王に主導してもらう事になるだろうな。転移門が設置されているのはあの国だから。ただ、問題があるとしたらシグニール大陸の東側だな」
「いまだに小競り合いが続けられていますからね」
ガントは話をしながらも自分の番だったのでサイコロを振った。出た目は三だった。父親から「もっと振ればいいだろう」と言われるが、気にせずそこでサイコロを振るのをやめて駒を進める。止まったマスに父親の駒があったのでその上に自分の駒を重ねた。
「それを煽っているのはおそらくエンジェリアだろうな。小国同士で争っている間に人族至上主義と共に自国の宗教を広めていると聞くぞ」
「エンジェリアの者に聞いても知らぬ存ぜぬで躱されるが、まあ、十中八九そうだろうな。武器の輸出でも儲けている可能性もある」
リヴァイがサイコロを一つ振ると、一の目が出た。ガントに「もう一つ振ってください」と言われたのでサイコロを振ると再び一の目が出る。再度、ガントに視線を向けるリヴァイだったが、当たり前のようにガントは頷いたので三個目のサイコロを振った。出た目は五だった。
「なんで上に乗られてる時に出るんだ!」
「なぜでしょうね。二十一マス進むのでぐるっと一周するだけですね。駒はそのままで大丈夫です。卵は貰っておきますね。それで……父上はイルミンスールの件をシズト殿に伝えるのですか?」
「伝えるさ。変に隠して拗れる方が厄介だからな。イルミンスールで呪いが広まっているという事も踏まえて注意もしておく。ラグナ、次はお前の番だぞ。さっさとサイコロを振れ!」
「得るはずだった卵を取られたからって俺に八つ当たりするな。ゲームに熱くなるのはお前の悪い所だぞ」
それはラグナも同じなのだが、ガントは黙ってゲームを続ける事にした。
その後「勝つまで続ける!」と何度もゲームを繰り返したが、リヴァイの運が良くなってきたところで王妃であるパールがやってきて、ゲームは強制終了させられたのだった。
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