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第21章 魔道具を作りながら生きていこう
442.事なかれ主義者は印章をあげた
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焼き菓子を食べながらレヴィさんとメグミさんの話し合いの様子を見ていたけど、メグミさんも和平条約を結びたいけど、そのためには彼女の立場を確たるものにする必要があるらしい。
戦争を止める事にはヤマトの中でも意見は一致していたけど、僕が結婚をしない宣言をしたら次期国王を誰にするかで意見が割れてしまったらしい。
「なんか、ごめん」
でも、メグミさんと結婚するつもりはないんだ。
凛々しくて女騎士っぽい雰囲気が漂う美人さんだけど、メグミさんと結婚したら、その後の展開は簡単に想像できてしまうから。
大陸間でのバランス調整とか言って、お嫁さんが倍になる可能性すらある。何としてでも死守せねば!
という事で、必死に過去の記憶を遡って思い出した事を提案してみる。
「証拠が欲しいって事だったら判子とかじゃ駄目なの?」
「判子?」
「そうそう。要は僕がヤマトの事を許したよ、って事と次期国王になる予定のメグミさんの後ろ盾をしているよ、って事が示せればいいんでしょう? だったら、僕しか作れない物を作って贈り物としてあげればそれでいいんじゃない?」
なんか内政干渉っぽくて嫌だし、僕なんかが後ろ盾になれるかは甚だ疑問だけど、許したよ、っていう証拠で結婚するくらいなら、何かしら作ってあげた方が手っ取り早い。
僕しか作れない物って言ったらアダマンタイト製の何かだ。
そして、あの金色に輝くアダマンタイトの事を想像していたら歴史の教科書に載っていた金印の事を思い出した。何で判子だったのかは僕も知らないから聞かないで欲しい。
僕の心の声を読んだのか、レヴィさんもサトリさんも何も言ってこなかった。
不思議そうに首を傾げていたメグミさんにサトリさんが耳打ちしている。
その間に僕はレヴィさんに確認をしよう。
「判子が微妙って事だったら何かしらの武器っぽい物でもいいけど、アダマンタイト製の武具はダンジョンから取れるんでしょ?」
「ごく稀に、ですわ」
「でもゼロじゃない。でも、判子は? ダンジョンから手に入れた事は?」
「私の知る限りではそんな物は存在しないのですわ」
「持ち運ぶ事も考えても、小さい方が良いでしょ? まあ、アダマンタイトだからビックリするくらい重いし、判子としての機能は果たさないかもしれないけど」
ジュリウスに視線を向けると、彼は既に僕の近くに来ていて、アイテムバッグの口を開け、中からアダマンタイトのインゴットを取り出した。
僕はそれに触れて「【加工】」と呟く。
アダマンタイトが液体のようにぐにゃっと形を変えると、メグミさんの口から「ひぃっ」という声が漏れると共に、彼女の様子を監視していた一部の兵士から野太い声が出た。
やっぱりこっちのドワーフたちもアダマンタイトの加工をしたいと考えているようで、今にもこっちに近寄ってきそうだったけど、近くにいた他の国の兵士に止められていた。
出来上がった物は手のひらサイズでも結構ずっしりとした重さで、身体強化を使う事ができない僕では持ち上げるだけで精一杯だろうけど、きっとメグミさんたちだったら大丈夫だろう。
「こんなもんでいいかな。字はどんな感じが良い?」
「どの様な物でも構いませんが……」
「じゃあ『大国大和大王』的な感じでいいか。いや、『大』が多すぎるかも……?」
字のバランスとか思うようにいかなかったので、加工し続けたけど、納得できる物になるまでに時間がかかった。
もうちょっと真面目に習字とか漢文の勉強しておけばよかったかな。
大国ヤマトとの和平条約は無事に結ばれた。アダマンタイト製の判子が僕の許しを得た証拠として扱われて、メグミさんは女王として認められたようだ。
ヤマトと隣接している四ヵ国は思う所はあるだろうけど、これから仲良くやって欲しい。
和平条約の条件として、ヤマトが奴隷にしたエルフは全員無償でもらう事になっている。他にもいろいろ受け取る物はあるようだけど、これで一先ず僕とヤマトの戦争は終結したようだ。
世界樹フソーはアダマンタイト製の鳥籠はもう必要ないだろう。
ただ、魔力が心許ないので明日以降に撤去する事にした。その後にフソーの根元に建物を建ててもらう予定だ。
北部同盟から要望されていた、ビッグマーケットの再開もする事になった。
同盟軍のお偉いさんっぽい人たちからお願いされて、断り辛かったのもあるけど、ビッグマーケットを回るだけでいろんな国の料理や名産品を見る事ができて面白かったからいつかは再開しようと思っていたんだ。
即日再開する事になるとは思わなかったけど……。
南と北のビッグマーケットは少しずつ人が増え、店が開かれて言っている。転移門の門番として派遣されているエルフが確認に時間をかけているからだろう。
「ヤマトと繋がる転移門はどこに置くの?」
「国の数のバランスを考えて北にする予定ですわ。ただ、ちょっと場所が足りないから周辺の使っていない建物は取り壊すから時間がかかるのですわ」
「転移門を運んでもらうのにも時間がかかるから、まあいいんじゃない?」
「それもそうですわね」
ヤマトが転移門を設置するにあたって、北部同盟の名称がまた変わってクレストラ国際連合になった。それにヤマトも加入する予定だ。
そのために、隣接している国々との協議が必要だろうけどい、そこら辺は僕たちが何かする事はない。
僕たちはただ転移門を貸し出して、ビッグマーケットを開くだけだ。
そう思っていたけど、北側のビッグマーケットを拡張し、ヤマトの転移門を設置した頃、クレストラ国際連合の方々から議長国として誰か出席してほしいと要望があった。
そもそも国じゃないんだけど、と思いつつもとりあえずムサシに今後の対応をお願いした。
観光でお邪魔する国もあるだろうから良好な関係は保っておきたい。
「なんかいい感じにやっておいてくれる?」
「分かったでござる」
そんな感じでクレストラ大陸での戦争は終わったのだった。
あとは邪神の信奉者の件が解決すればいいんだけど、相手は逃げ隠れするのがとても得意な面々だ。そう簡単にいかない。
まあ、積極的に関わりたい相手ではないので、対策はしっかりと整えつつ相手の出方を見る事にしよう。
戦争を止める事にはヤマトの中でも意見は一致していたけど、僕が結婚をしない宣言をしたら次期国王を誰にするかで意見が割れてしまったらしい。
「なんか、ごめん」
でも、メグミさんと結婚するつもりはないんだ。
凛々しくて女騎士っぽい雰囲気が漂う美人さんだけど、メグミさんと結婚したら、その後の展開は簡単に想像できてしまうから。
大陸間でのバランス調整とか言って、お嫁さんが倍になる可能性すらある。何としてでも死守せねば!
という事で、必死に過去の記憶を遡って思い出した事を提案してみる。
「証拠が欲しいって事だったら判子とかじゃ駄目なの?」
「判子?」
「そうそう。要は僕がヤマトの事を許したよ、って事と次期国王になる予定のメグミさんの後ろ盾をしているよ、って事が示せればいいんでしょう? だったら、僕しか作れない物を作って贈り物としてあげればそれでいいんじゃない?」
なんか内政干渉っぽくて嫌だし、僕なんかが後ろ盾になれるかは甚だ疑問だけど、許したよ、っていう証拠で結婚するくらいなら、何かしら作ってあげた方が手っ取り早い。
僕しか作れない物って言ったらアダマンタイト製の何かだ。
そして、あの金色に輝くアダマンタイトの事を想像していたら歴史の教科書に載っていた金印の事を思い出した。何で判子だったのかは僕も知らないから聞かないで欲しい。
僕の心の声を読んだのか、レヴィさんもサトリさんも何も言ってこなかった。
不思議そうに首を傾げていたメグミさんにサトリさんが耳打ちしている。
その間に僕はレヴィさんに確認をしよう。
「判子が微妙って事だったら何かしらの武器っぽい物でもいいけど、アダマンタイト製の武具はダンジョンから取れるんでしょ?」
「ごく稀に、ですわ」
「でもゼロじゃない。でも、判子は? ダンジョンから手に入れた事は?」
「私の知る限りではそんな物は存在しないのですわ」
「持ち運ぶ事も考えても、小さい方が良いでしょ? まあ、アダマンタイトだからビックリするくらい重いし、判子としての機能は果たさないかもしれないけど」
ジュリウスに視線を向けると、彼は既に僕の近くに来ていて、アイテムバッグの口を開け、中からアダマンタイトのインゴットを取り出した。
僕はそれに触れて「【加工】」と呟く。
アダマンタイトが液体のようにぐにゃっと形を変えると、メグミさんの口から「ひぃっ」という声が漏れると共に、彼女の様子を監視していた一部の兵士から野太い声が出た。
やっぱりこっちのドワーフたちもアダマンタイトの加工をしたいと考えているようで、今にもこっちに近寄ってきそうだったけど、近くにいた他の国の兵士に止められていた。
出来上がった物は手のひらサイズでも結構ずっしりとした重さで、身体強化を使う事ができない僕では持ち上げるだけで精一杯だろうけど、きっとメグミさんたちだったら大丈夫だろう。
「こんなもんでいいかな。字はどんな感じが良い?」
「どの様な物でも構いませんが……」
「じゃあ『大国大和大王』的な感じでいいか。いや、『大』が多すぎるかも……?」
字のバランスとか思うようにいかなかったので、加工し続けたけど、納得できる物になるまでに時間がかかった。
もうちょっと真面目に習字とか漢文の勉強しておけばよかったかな。
大国ヤマトとの和平条約は無事に結ばれた。アダマンタイト製の判子が僕の許しを得た証拠として扱われて、メグミさんは女王として認められたようだ。
ヤマトと隣接している四ヵ国は思う所はあるだろうけど、これから仲良くやって欲しい。
和平条約の条件として、ヤマトが奴隷にしたエルフは全員無償でもらう事になっている。他にもいろいろ受け取る物はあるようだけど、これで一先ず僕とヤマトの戦争は終結したようだ。
世界樹フソーはアダマンタイト製の鳥籠はもう必要ないだろう。
ただ、魔力が心許ないので明日以降に撤去する事にした。その後にフソーの根元に建物を建ててもらう予定だ。
北部同盟から要望されていた、ビッグマーケットの再開もする事になった。
同盟軍のお偉いさんっぽい人たちからお願いされて、断り辛かったのもあるけど、ビッグマーケットを回るだけでいろんな国の料理や名産品を見る事ができて面白かったからいつかは再開しようと思っていたんだ。
即日再開する事になるとは思わなかったけど……。
南と北のビッグマーケットは少しずつ人が増え、店が開かれて言っている。転移門の門番として派遣されているエルフが確認に時間をかけているからだろう。
「ヤマトと繋がる転移門はどこに置くの?」
「国の数のバランスを考えて北にする予定ですわ。ただ、ちょっと場所が足りないから周辺の使っていない建物は取り壊すから時間がかかるのですわ」
「転移門を運んでもらうのにも時間がかかるから、まあいいんじゃない?」
「それもそうですわね」
ヤマトが転移門を設置するにあたって、北部同盟の名称がまた変わってクレストラ国際連合になった。それにヤマトも加入する予定だ。
そのために、隣接している国々との協議が必要だろうけどい、そこら辺は僕たちが何かする事はない。
僕たちはただ転移門を貸し出して、ビッグマーケットを開くだけだ。
そう思っていたけど、北側のビッグマーケットを拡張し、ヤマトの転移門を設置した頃、クレストラ国際連合の方々から議長国として誰か出席してほしいと要望があった。
そもそも国じゃないんだけど、と思いつつもとりあえずムサシに今後の対応をお願いした。
観光でお邪魔する国もあるだろうから良好な関係は保っておきたい。
「なんかいい感じにやっておいてくれる?」
「分かったでござる」
そんな感じでクレストラ大陸での戦争は終わったのだった。
あとは邪神の信奉者の件が解決すればいいんだけど、相手は逃げ隠れするのがとても得意な面々だ。そう簡単にいかない。
まあ、積極的に関わりたい相手ではないので、対策はしっかりと整えつつ相手の出方を見る事にしよう。
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