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第19章 自衛しながら生きていこう
379.事なかれ主義者は触るのを我慢した
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世界樹フソー周辺を覆うほどの巨大な鳥籠もどきを作り、シグニール大陸に戻ってきた翌日。
安眠カバーのおかげで今日もすっきりと目を覚ます事ができた。
昨日のお世話係だったモニカは既にメイド服に着替えていて、ベッドの傍に立って僕を見ていた。
「おはようございます、シズト様」
「おはよう、モニカ」
綺麗なお辞儀をしたモニカは「着替えはそちらにご用意しております」と言って畳まれている服を示した後、部屋から出て行った。
クレストラ大陸で過ごす間は夫婦の営みとかは全くなかったからか、昨日も夜遅くまでしちゃったけど疲れた様子が見えないのはすごい。
僕は安眠カバーがなかったらきっと寝不足だったと思う。
用意されていた服は動きやすいラフな物だった。
甚兵衛からさっさとそれに着替えて立ち上がったタイミングで、部屋の扉がノックされた。
「シズト様、お着替えはお済でしょうか」
「もう終わったよ」
答えながら声がした方の扉へと足を向ける。
扉を開いた先にはメイド服を着た狐人族の少女エミリーが立っていた。
彼女の赤い瞳が僕を映すと、「おはようございます」と言いながらぺこりと頭を下げられた。
白い髪とふさふさの狐耳が目に映る。
触りたくなる衝動を抑えながら挨拶を返すと、僕の考えを見透かしているかのようにフフッと笑って「触ってもいいんですよ?」とエミリーが頭頂部をスッと近づけてくる。
いい香りがしたし、ふさふさの耳がピコピコ動いているけど、グッと堪えて歩き出すと、後ろからまたくすくすと笑う声が聞こえてきた。
「朝ご飯はもうできてるの?」
「はい。もう準備を終えております」
後から追いかけてきて腕と腕が触れ合うほどの近さで並んだエミリーが僕を見上げながら答えた。
仕事の話をする時は真面目な顔をするエミリーだけど、彼女の自慢の白い尻尾はブンブンと荒ぶっており、僕の体にモフッモフッとあたる。
「……当ててるんですよ?」
「ですよね」
「シズト様は耳と尻尾がお気に入りの様ですから」
「否定はできないなぁ」
なんであんなに魅力的なんだろうなぁ、と考えながら階段を下りて食堂に向かうと、既に皆揃っていた。
席に座って食事の前の挨拶を唱和すると、食事が始まる。
いつものごとくラオさんとルウさんはすぐに食べ終えてしまった。
量は二人の方が多いはずなんだけどなぁ。
「ラオさんたちは今日、どこかでかけるの?」
「冒険者ギルドにちょっとな」
「ベラちゃんからお願いされた仕事があるから受けてくるわ。しばらく依頼をしないとランクが下がっちゃうからそれを心配して手配してくれたみたいだし、ご厚意に甘えようかなって」
「まあ、冒険者じゃなくなっても別にいいんだけどな。ただ、高ランクの魔石を取りに行くってなると、ダンジョンに潜った方が確実だから冒険者のままの方が何かと都合がいいからな」
「ふーん。……ダンジョンだったら出てくる魔物も基本的に同じだもんね」
「そういう事だ。……町のチビ共がある程度力をつけたら低ランクの魔石は大量に出回るようになるだろうな」
町の子たちの希望者には、ガレオール国内にある離れ小島のダンジョンを探索してもらっている。
ガレオールから貰った小さな島にはダンジョンがあったので、そのダンジョンのすぐ近くとファマリーを転移陣で繋いでいるのだ。
町の子たちが探索をするようになってからだいぶ経っているけど、今の所けが人が出たという報告は受けていない。
些細な怪我は報告をしないようにしているのかもしれないけど、冒険者の些細な怪我と僕の些細な怪我は多分乖離があると思うから、もうそろそろ様子を見に行こうと思っている。
モシャモシャとサラダを食べていると窓の外から感じていた視線がなくなった。
そちらに視線を向けると、遠くへと散り散りに去っていくドライアドたちの背中が見える。
「やっぱりクレストラ大陸にいるドライアドたちの気配を感じてるのかな? いつもよりも覗いている子たちが多かったけど」
「そうかもしれないですわね。今日も早朝に畑を耕していたらいつも以上に集まってきてジロジロと観察されたのですわ」
今日のプレゼント攻撃は激しい物になりそうだな、と思いつつ咀嚼し終えたサラダを飲み込むと、口をパンパンに膨らませたノエルが何やら言いながら足早に部屋から出て行った。
たぶん「ごちそうさまでした」って言おうとしたんだろうけど、口に物が詰まりすぎていて聞き取れなかった。
転移門の観察のために疎かにしていた分、大量のノルマが課せられたから必死なのかも?
ノルマを課したホムラとユキはいつものように口元を汚しながら食事をしていたので、二人用に用意していた布を使って口の周りを拭ってやる。
「二人は今日も店番? 店を任せる人を探しているって話はどんな感じ?」
「知識奴隷は既に購入しております、マスター」
「奴隷契約に加えて、誓文も交わしているわ、ご主人様。今は私たちの代わりに仕事をしてもらっているけれど、まだまだだから今日も店番に行くわ」
「そうなんだ。よろしくね。……ジューンさんは?」
二人の口の周りを拭き終わったので、布を近くに置いてからジューンさんに視線を向けると彼女は首を傾げて考えていた。
腕を組んで考えると、エルフらしからぬ胸が強調されるんですけど……。
今日は蔦の刺繍がされたエルフの正装を着ていないのでエルフの国には行く予定がないのだろうと予想して聞いてみたけど、予想は当たっていたようだ。
「特に予定はありませんからぁ、エミリーちゃんと一緒にぃ、厨房の子たちに料理を教えようかと思いますぅ」
「厨房で働き始めてそこそこ経っている気がするけど、順調?」
「順調ですよぉ。関係はちょっと複雑ですけどぉ、仲は悪くなさそうですしぃ、問題ないかとぉ」
「それならよかった」
全然厨房の子たちと話す時間がないからどういう子なのか掴み切れてない。
今度時間を作って様子を見に行ってみよう。
「シズトは午前中何をするのですわ?」
「とりあえずトネリコのお世話かな。その後は特に決めてないけど、たぶんこっちで時間を潰すと思う」
「分かったのですわ~。それまでは畑の手入れでもしているのですわ!」
セシリアさんが後ろでため息をついているけど、ドレス姿で農作業をするのはもう止められないんじゃないかなぁ。
そんな事を思いながら、食事を進めた。
安眠カバーのおかげで今日もすっきりと目を覚ます事ができた。
昨日のお世話係だったモニカは既にメイド服に着替えていて、ベッドの傍に立って僕を見ていた。
「おはようございます、シズト様」
「おはよう、モニカ」
綺麗なお辞儀をしたモニカは「着替えはそちらにご用意しております」と言って畳まれている服を示した後、部屋から出て行った。
クレストラ大陸で過ごす間は夫婦の営みとかは全くなかったからか、昨日も夜遅くまでしちゃったけど疲れた様子が見えないのはすごい。
僕は安眠カバーがなかったらきっと寝不足だったと思う。
用意されていた服は動きやすいラフな物だった。
甚兵衛からさっさとそれに着替えて立ち上がったタイミングで、部屋の扉がノックされた。
「シズト様、お着替えはお済でしょうか」
「もう終わったよ」
答えながら声がした方の扉へと足を向ける。
扉を開いた先にはメイド服を着た狐人族の少女エミリーが立っていた。
彼女の赤い瞳が僕を映すと、「おはようございます」と言いながらぺこりと頭を下げられた。
白い髪とふさふさの狐耳が目に映る。
触りたくなる衝動を抑えながら挨拶を返すと、僕の考えを見透かしているかのようにフフッと笑って「触ってもいいんですよ?」とエミリーが頭頂部をスッと近づけてくる。
いい香りがしたし、ふさふさの耳がピコピコ動いているけど、グッと堪えて歩き出すと、後ろからまたくすくすと笑う声が聞こえてきた。
「朝ご飯はもうできてるの?」
「はい。もう準備を終えております」
後から追いかけてきて腕と腕が触れ合うほどの近さで並んだエミリーが僕を見上げながら答えた。
仕事の話をする時は真面目な顔をするエミリーだけど、彼女の自慢の白い尻尾はブンブンと荒ぶっており、僕の体にモフッモフッとあたる。
「……当ててるんですよ?」
「ですよね」
「シズト様は耳と尻尾がお気に入りの様ですから」
「否定はできないなぁ」
なんであんなに魅力的なんだろうなぁ、と考えながら階段を下りて食堂に向かうと、既に皆揃っていた。
席に座って食事の前の挨拶を唱和すると、食事が始まる。
いつものごとくラオさんとルウさんはすぐに食べ終えてしまった。
量は二人の方が多いはずなんだけどなぁ。
「ラオさんたちは今日、どこかでかけるの?」
「冒険者ギルドにちょっとな」
「ベラちゃんからお願いされた仕事があるから受けてくるわ。しばらく依頼をしないとランクが下がっちゃうからそれを心配して手配してくれたみたいだし、ご厚意に甘えようかなって」
「まあ、冒険者じゃなくなっても別にいいんだけどな。ただ、高ランクの魔石を取りに行くってなると、ダンジョンに潜った方が確実だから冒険者のままの方が何かと都合がいいからな」
「ふーん。……ダンジョンだったら出てくる魔物も基本的に同じだもんね」
「そういう事だ。……町のチビ共がある程度力をつけたら低ランクの魔石は大量に出回るようになるだろうな」
町の子たちの希望者には、ガレオール国内にある離れ小島のダンジョンを探索してもらっている。
ガレオールから貰った小さな島にはダンジョンがあったので、そのダンジョンのすぐ近くとファマリーを転移陣で繋いでいるのだ。
町の子たちが探索をするようになってからだいぶ経っているけど、今の所けが人が出たという報告は受けていない。
些細な怪我は報告をしないようにしているのかもしれないけど、冒険者の些細な怪我と僕の些細な怪我は多分乖離があると思うから、もうそろそろ様子を見に行こうと思っている。
モシャモシャとサラダを食べていると窓の外から感じていた視線がなくなった。
そちらに視線を向けると、遠くへと散り散りに去っていくドライアドたちの背中が見える。
「やっぱりクレストラ大陸にいるドライアドたちの気配を感じてるのかな? いつもよりも覗いている子たちが多かったけど」
「そうかもしれないですわね。今日も早朝に畑を耕していたらいつも以上に集まってきてジロジロと観察されたのですわ」
今日のプレゼント攻撃は激しい物になりそうだな、と思いつつ咀嚼し終えたサラダを飲み込むと、口をパンパンに膨らませたノエルが何やら言いながら足早に部屋から出て行った。
たぶん「ごちそうさまでした」って言おうとしたんだろうけど、口に物が詰まりすぎていて聞き取れなかった。
転移門の観察のために疎かにしていた分、大量のノルマが課せられたから必死なのかも?
ノルマを課したホムラとユキはいつものように口元を汚しながら食事をしていたので、二人用に用意していた布を使って口の周りを拭ってやる。
「二人は今日も店番? 店を任せる人を探しているって話はどんな感じ?」
「知識奴隷は既に購入しております、マスター」
「奴隷契約に加えて、誓文も交わしているわ、ご主人様。今は私たちの代わりに仕事をしてもらっているけれど、まだまだだから今日も店番に行くわ」
「そうなんだ。よろしくね。……ジューンさんは?」
二人の口の周りを拭き終わったので、布を近くに置いてからジューンさんに視線を向けると彼女は首を傾げて考えていた。
腕を組んで考えると、エルフらしからぬ胸が強調されるんですけど……。
今日は蔦の刺繍がされたエルフの正装を着ていないのでエルフの国には行く予定がないのだろうと予想して聞いてみたけど、予想は当たっていたようだ。
「特に予定はありませんからぁ、エミリーちゃんと一緒にぃ、厨房の子たちに料理を教えようかと思いますぅ」
「厨房で働き始めてそこそこ経っている気がするけど、順調?」
「順調ですよぉ。関係はちょっと複雑ですけどぉ、仲は悪くなさそうですしぃ、問題ないかとぉ」
「それならよかった」
全然厨房の子たちと話す時間がないからどういう子なのか掴み切れてない。
今度時間を作って様子を見に行ってみよう。
「シズトは午前中何をするのですわ?」
「とりあえずトネリコのお世話かな。その後は特に決めてないけど、たぶんこっちで時間を潰すと思う」
「分かったのですわ~。それまでは畑の手入れでもしているのですわ!」
セシリアさんが後ろでため息をついているけど、ドレス姿で農作業をするのはもう止められないんじゃないかなぁ。
そんな事を思いながら、食事を進めた。
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