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第18章 ニホン観光をしながら生きていこう
幕間の物語178.ちびっこ神様ズは節約中!
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シズトたちに加護を与えた神々が住まう世界にある、荘厳な建物の一室で、生育の神ファマと加工の神プロス、付与の神エントの三柱は水晶玉をジッと見ていた。
その部屋には三柱以外にもたくさんの下級神がいるが、三柱ほど大きくなかった。
彼らはこの部屋で、創造神のお手伝いとして、下界の監視をしていた。
「……ぜ、全然見つからないんだなぁ」
「そんなに簡単に見つからないと思うよ……?」
「シズトを見てた方が見つかるんじゃないかなー。だって少し前に襲われてたし」
創造神の手伝いとして下界を見守っている神々が探しているのは、神の世界から下界へと堕ちた者だ。
下界では『邪神』と呼ばれているその神か、もしくは信者がいないかを定期的に探していた。
見つかり次第、下界の者に神託として知らせ、注意喚起していた。
「力を使わずに下界の様子を見れるのはたのしーけどー、シズトを映してくれたらもっとたのしーのになぁ」
「創造神様は別にシズトくんに加護を授けてないから、そうする必要性ないんじゃないかな……?」
「で、でも、昔の事を考えると、シズトたちのような立場の人の所に信者が現われる事が多かった気がするんだなぁ」
「有名になるからそれだけ狙われやすいだけだと思うよ……? そういう人たちは、何かあったら私たちにお祈りしてくれるから、ここで見る必要はないって創造神様がいっていたよ……?」
「そうだけどー。最近、シズトの様子を見てないから心配なの! ファマもそうでしょ?」
「そ、そうだなぁ。し、シズトは放っておくとオイラたちの事を忘れちゃいそうなんだあなぁ」
過去、自分の加護を使う事を忘れられていたファマは根に持っているようだ。
プロスは我が意を得たり、と言った様子でうんうんと頷いた。
「でも、この前決めたでしょ……? シズトくんの子どもができるまでに神力を貯めて、加護を授けようって……? シズトくんが万が一死んじゃったら大変だから、早めに渡そうって……?」
「そうだけどー。心配なのー!」
「サボってる気がしてきたんだな!」
プロスが勢いよく立ち上がると、ファマもその後に続いた。
エントはおろおろと二人を見ていたが、二人の背後に視線が向かって表情が固まった。
「これこれ、お前たちがサボってどうするんじゃ。そんな様子じゃあ、いつまで経っても下級神のままじゃぞ?」
「「創造神様!?」」
「ご、ごめんなさいなんだな!」
「プロスはちゃんとやってます!」
「ず、ずるいんだな! オイラも今からちゃんとやるんだな!」
プロスは素早く座って何事もなく水晶を覗き始めていた。
ファマも半べそをかきながら水晶玉の前に腰かける。
そんな二人の背中を、真っ白な髭がモジャモジャと伸びている老神が見守っていた。
優しげな瞳が二人の背中から、残りの一人に向かうと、エントは既に黙々と下界を見ていた。
創造神は満足そうに頷いて、のんびりと部屋から出て行った。
今日のお手伝いが終わった三柱は自分たちの領域へと戻ってきていた。
建物を囲う草木は真っ白な雪で覆われ、巨大な雪だるまが森の中をドスンドスンと飛び跳ねている。
建物の近くに一列に並んでいる雪だるまは、成長している三柱と同じようにだんだん大きくなっていた。
また、雪原の中には所々歪な雪だるまがぽつんと立っていた。
「ただいま~」
「か、帰ったんだな!」
「今日もお手伝い頑張ったね……?」
三柱が建物の玄関から中に入ると、奥の部屋から複数の足音が聞こえた。
三柱も廊下を進んで、皆で使っているリビングに入ると、そこには三柱よりも小さな神々がいた。
まだ加護を与えるほどの力もなく、いつかどこかの神とくっついて消えてしまうかもしれない彼らは下級神ですらない。いつか神になるかもしれない子たちだった。
「ご、ご飯を食べるんだなー」
「今日は何をたべちゃおっかな~」
「楽しみだね……? みんなも一緒に食べようね……?」
本来、神々には食事は不要なのだが、食事をする事もできる。
この世界の神々は、貢物として食べ物や飲み物が捧げられたものを嗜好品として楽しんでいた。
自分たちでも作り出す事はできるが、祈りと共に捧げられた供物は、捧げた者の信仰心が上乗せされるのか特に美味なのだ。
そのため、特に信仰心が篤いシズトに近い人物から送られてくる物は三柱が独占をしていた。
ただ、ファマリアの町の子どもたちや、エルフ、それからアクスファースやガレオールの国の人々から捧げられる貢物は小さな子たちに分け与えていた。
今日も仲良く一柱一つずつ配るが、それでも貢物は余る。
「残りは仕舞っておくね……?」
いつか信仰されなくなってしまった時に備えて蓄えておこうと、エントが作った魔道具の中に詰め込んでいく。
中に入れられた物は時間すらも止まってしまう魔道具で、下界にはない代物だ。
小さな神々がわいわいと楽しそうに食事をしている様子を見ながら、三柱も思い思いの物を食べる。
「そ、そういえば、最近シズトからお土産が送られてこないんだな……」
「忘れちゃってるのかも!」
「ちょっと忙しいだけじゃないかな……?」
最近、シズトの様子を見る事を控えていたため、シズトの状況は三柱とも分かっていなかった。
毎日行われるお祈りでは、シズトは特に何も言わないため、情報も入って来ない。
「今度お祈りしてきたときにお話ししちゃう?」
「ん、ん~~~難しい所なんだな。し、神力を貯めておきたいんだな」
「いつ子どもができるか分からないもんね……?」
「生まれてからエイッてあげちゃえばいいんじゃない?」
「で、でも大きくなってからだとその分神力が必要になるんだなぁ。す、少ない時に与えた方がお得なんだな」
「お供え物は、たくさん送られてくるから、もう少し様子見てみる……?」
「でも、新しい食べ物は欲しい!」
「そ、そう言うんだったらプロスが伝えればいいんだなぁ」
「この中で一番信仰されているファマがすればいいでしょ!」
「お、オイラは別にもう少し様子を見てもいいと思うんだな。だ、だからしないんだな!」
「シズトくんが大変な時だったら嫌われちゃうかもしれないよ……?」
「むー……」
膨れっ面になったプロスだったが、結局シズトに話しかける事はなかった。
三柱はシズトの配偶者が身籠るまで、極力神力を使わないようにして過ごすのだった。
その部屋には三柱以外にもたくさんの下級神がいるが、三柱ほど大きくなかった。
彼らはこの部屋で、創造神のお手伝いとして、下界の監視をしていた。
「……ぜ、全然見つからないんだなぁ」
「そんなに簡単に見つからないと思うよ……?」
「シズトを見てた方が見つかるんじゃないかなー。だって少し前に襲われてたし」
創造神の手伝いとして下界を見守っている神々が探しているのは、神の世界から下界へと堕ちた者だ。
下界では『邪神』と呼ばれているその神か、もしくは信者がいないかを定期的に探していた。
見つかり次第、下界の者に神託として知らせ、注意喚起していた。
「力を使わずに下界の様子を見れるのはたのしーけどー、シズトを映してくれたらもっとたのしーのになぁ」
「創造神様は別にシズトくんに加護を授けてないから、そうする必要性ないんじゃないかな……?」
「で、でも、昔の事を考えると、シズトたちのような立場の人の所に信者が現われる事が多かった気がするんだなぁ」
「有名になるからそれだけ狙われやすいだけだと思うよ……? そういう人たちは、何かあったら私たちにお祈りしてくれるから、ここで見る必要はないって創造神様がいっていたよ……?」
「そうだけどー。最近、シズトの様子を見てないから心配なの! ファマもそうでしょ?」
「そ、そうだなぁ。し、シズトは放っておくとオイラたちの事を忘れちゃいそうなんだあなぁ」
過去、自分の加護を使う事を忘れられていたファマは根に持っているようだ。
プロスは我が意を得たり、と言った様子でうんうんと頷いた。
「でも、この前決めたでしょ……? シズトくんの子どもができるまでに神力を貯めて、加護を授けようって……? シズトくんが万が一死んじゃったら大変だから、早めに渡そうって……?」
「そうだけどー。心配なのー!」
「サボってる気がしてきたんだな!」
プロスが勢いよく立ち上がると、ファマもその後に続いた。
エントはおろおろと二人を見ていたが、二人の背後に視線が向かって表情が固まった。
「これこれ、お前たちがサボってどうするんじゃ。そんな様子じゃあ、いつまで経っても下級神のままじゃぞ?」
「「創造神様!?」」
「ご、ごめんなさいなんだな!」
「プロスはちゃんとやってます!」
「ず、ずるいんだな! オイラも今からちゃんとやるんだな!」
プロスは素早く座って何事もなく水晶を覗き始めていた。
ファマも半べそをかきながら水晶玉の前に腰かける。
そんな二人の背中を、真っ白な髭がモジャモジャと伸びている老神が見守っていた。
優しげな瞳が二人の背中から、残りの一人に向かうと、エントは既に黙々と下界を見ていた。
創造神は満足そうに頷いて、のんびりと部屋から出て行った。
今日のお手伝いが終わった三柱は自分たちの領域へと戻ってきていた。
建物を囲う草木は真っ白な雪で覆われ、巨大な雪だるまが森の中をドスンドスンと飛び跳ねている。
建物の近くに一列に並んでいる雪だるまは、成長している三柱と同じようにだんだん大きくなっていた。
また、雪原の中には所々歪な雪だるまがぽつんと立っていた。
「ただいま~」
「か、帰ったんだな!」
「今日もお手伝い頑張ったね……?」
三柱が建物の玄関から中に入ると、奥の部屋から複数の足音が聞こえた。
三柱も廊下を進んで、皆で使っているリビングに入ると、そこには三柱よりも小さな神々がいた。
まだ加護を与えるほどの力もなく、いつかどこかの神とくっついて消えてしまうかもしれない彼らは下級神ですらない。いつか神になるかもしれない子たちだった。
「ご、ご飯を食べるんだなー」
「今日は何をたべちゃおっかな~」
「楽しみだね……? みんなも一緒に食べようね……?」
本来、神々には食事は不要なのだが、食事をする事もできる。
この世界の神々は、貢物として食べ物や飲み物が捧げられたものを嗜好品として楽しんでいた。
自分たちでも作り出す事はできるが、祈りと共に捧げられた供物は、捧げた者の信仰心が上乗せされるのか特に美味なのだ。
そのため、特に信仰心が篤いシズトに近い人物から送られてくる物は三柱が独占をしていた。
ただ、ファマリアの町の子どもたちや、エルフ、それからアクスファースやガレオールの国の人々から捧げられる貢物は小さな子たちに分け与えていた。
今日も仲良く一柱一つずつ配るが、それでも貢物は余る。
「残りは仕舞っておくね……?」
いつか信仰されなくなってしまった時に備えて蓄えておこうと、エントが作った魔道具の中に詰め込んでいく。
中に入れられた物は時間すらも止まってしまう魔道具で、下界にはない代物だ。
小さな神々がわいわいと楽しそうに食事をしている様子を見ながら、三柱も思い思いの物を食べる。
「そ、そういえば、最近シズトからお土産が送られてこないんだな……」
「忘れちゃってるのかも!」
「ちょっと忙しいだけじゃないかな……?」
最近、シズトの様子を見る事を控えていたため、シズトの状況は三柱とも分かっていなかった。
毎日行われるお祈りでは、シズトは特に何も言わないため、情報も入って来ない。
「今度お祈りしてきたときにお話ししちゃう?」
「ん、ん~~~難しい所なんだな。し、神力を貯めておきたいんだな」
「いつ子どもができるか分からないもんね……?」
「生まれてからエイッてあげちゃえばいいんじゃない?」
「で、でも大きくなってからだとその分神力が必要になるんだなぁ。す、少ない時に与えた方がお得なんだな」
「お供え物は、たくさん送られてくるから、もう少し様子見てみる……?」
「でも、新しい食べ物は欲しい!」
「そ、そう言うんだったらプロスが伝えればいいんだなぁ」
「この中で一番信仰されているファマがすればいいでしょ!」
「お、オイラは別にもう少し様子を見てもいいと思うんだな。だ、だからしないんだな!」
「シズトくんが大変な時だったら嫌われちゃうかもしれないよ……?」
「むー……」
膨れっ面になったプロスだったが、結局シズトに話しかける事はなかった。
三柱はシズトの配偶者が身籠るまで、極力神力を使わないようにして過ごすのだった。
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