531 / 1,023
第18章 ニホン観光をしながら生きていこう
356.事なかれ主義者は断れた
しおりを挟む
今、僕の目の前には同じ世界からやってきた男性がいた。
見た目的に大学生くらいだろうか。
髪の毛をオールバックにしていて、側頭部は短く刈り上げられている。
強気な印象を与える黒い目は若干吊り上がっている。
その視線は時折僕から両隣に座っている女性の胸元に吸い寄せられているが……まあ、気持ちは分かる。
「はじめまして。大和修一だ。君の名前は?」
「音無静人です」
「珍しい苗字だね。あ、僕は婿養子だから元の苗字は違うんだよ」
「そうなんですね」
誓文を交わしてもらった事もあるのか、にこやかな表情のまま自己紹介が始まった。
右隣に座っている青いドレスを着たレヴィさんが何も言わない所を見ると問題ないのだろう。
レヴィさんはしきりに左手の薬指に嵌められた指輪についている黒い宝石を触っていた。
左隣に座っているジューンさんに目を向けると、彼女は視線を落として左手の薬指に嵌められている黒い宝石が付いた指輪を見ていた。
二人が着けている指輪は、ホムラとユキにお願いして手に入れたブラックダイヤモンドを加工して作った物だ。
なかなか数が揃わなくて時間がかかってしまったけど、丁度良い機会だからと取り急ぎある分は指輪にしてもらってレヴィさんやジューンさんたちに渡した。
皆喜んでくれて良かったけど、興奮したルウさんに捕まってシュウイチさんとの会談が昼過ぎになってしまった。
「シズトくんは名前が変わってないんだね?」
シュウイチさんの視線がチラッと僕の右隣に座っているレヴィさんの方へと移った。
彼女の顔を見る前に、一度彼女の規格外の胸に視線が吸い寄せられたのは仕方ない事なのだと理解している。
まあ、つい見ちゃうよね。
ただ、ランチェッタ様の時のように口説かれてないらしい。
流石に人妻に手を出すような人ではなかったようだ。
指輪を左手の薬指に着けていたら手を出さないんじゃね? と思ったけど上手くいって良かった。
……ただ、脳内では気持ち悪い妄想が繰り広げられていたと、うんざりした表情でレヴィさんが言っていたな。一応気を付けてもらおう。
……思考がどっかに脱線してしまったけど、彼の質問に答える。
「そうですね。結婚はしましたが、王族にはなりたくなかったのでそのままの地位にしてもらいました」
「なんで? 王族になったらやりたい放題できるじゃん」
「別に今でもやりたい放題できているからそれでいいんです」
「ふーん。……てか、俺普通にため口で話してるけど、シズトくん年下であってる? 俺、二十歳」
「あってますよ、年下です」
「高校生くらいだったん?」
「はい、そうです」
「そりゃー大変だっただろうねぇ。いや、俺も大学生だったけど大して状況変わらんし同じような物だっただろうけど」
「んー、まあ、そうですね」
冒険者になるために血判を押す事になったり、昇格試験で色々あって血がやっぱり駄目だと再確認したり、世界樹のごたごたや龍の巣とかいう勝負に参加させられたり……。
特に冒険者は大変だった。継続は難しそうだよな。
相手を傷つける事無く依頼をこなせたらいいんだけど……ん、なんか閃きそうかも……?
「加護とかも使いこなすまで時間がかかるよなぁ」
「そうですねぇ」
……ちょっと一つ忘れている事に気付かない程、使いこなせてはいなかった。
今も完璧に使いこなせているかと問われると微妙だ。
「君の加護は世界樹を育てる加護って聞いたけど、本当にそうなのかい?」
「まあ、世界樹を育てる事は出来ますね」
他にも二柱から加護を貰っているけど、その事は心の内に秘めておいた。
ラオさんにもレヴィさんにも基本的に加護について向こうから言われない限りは隠しておけばいいと言われているから。
「それじゃあ、今回我が国に協力するための力はある、という事だね。実際先程トネリコに対してやっていたのを見たから、証明なんてしなくていいよ」
「信じていただきありがとうございます」
一応向こうの方が年上っぽいから敬語と丁寧な行動を心掛けつつ話をしていると、シュウイチさんから今回の訪問の目的を話し始めた。
「エルフ共が神様の存在を秘匿して好き勝手やっていた事をフソーの周辺諸国が知り、我慢の限界になって起きた戦争はすでに終わってる。都市国家フソーは現在、大和と他の国々がそれぞれ境界線を決めて運営している所だ。世界樹に関しては、戦争の一番の功労国であり、外洋へと向かうための特別な船を持っていた事もあって大和に一任される事になった。ただ、任されたはいいけど、世界樹を世話する事なんてできねぇし、山分けする予定だった世界樹の素材が前の世界樹の使徒にごっそりと盗まれたみたいで利益がほとんどなくて困ってんだよ。同郷の者同士、助け合っていこうぜ? な?」
……この表情、利用するだけして利用して、こっちが求めた時は何もしてくれないような気がする。
なんか口元は笑っているけど、目が笑っていないというかなんというか……。
事前にレヴィさんから教えてもらっていなかったらそんな風には感じなかったかもしれないけどね。
レヴィさんをチラッと見ると、首を横に振った。どうやら心境の変化は期待できないらしい。
「……そうですね。僕としても神様からお願いされてますし、信仰を広める意味でそちらの世界樹の世話をするのもありですね。ただ、いくつか条件があります。その条件を飲んで頂けないのであれば、お断りさせていただきます」
慎重に言葉を選んで相手の様子を窺うが、嘘くさい笑顔のままだ。
ただ、先程までチラチラとジューンさんやレヴィさんの胸元を見ていたのに、まっすぐ僕を見返してきた。視線があっちこっち行く様子もない。
しばらくの沈黙の後、シュウイチさんが口を開いた。
「その条件を決めるために、一度ヤマトに来いよ。船はもう準備してあるし、今すぐにでも行けるぜ?」
「結構です。こちらにはこちらの独自ルートがありますから」
「あー、そういえばガレオールの女王とも懇意にしてるんだったか。いやぁ、羨ましい限りだわ」
なんか誤解されちゃったみたいだけど、まあいいや。
「そういう事なんで、自分たちでそちらの大陸に向かうので大丈夫です。交渉相手は大国ヤマトの国王様ですか?」
「大王様、な。そう呼ばねぇと面倒だから気をつけろよ」
「ご忠告ありがとうございます。大王様と交渉するために一筆書いてもらってもいいですか?」
「いや、俺もついて行くわ。その方が手っ取り早いだろ? それに、海には危険な魔物がうじゃうじゃいるからな。俺の力があった方が良いと思うぜ?」
「いやー、大丈夫ですー。それに、独自ルートは秘密のルートなんで、ついて来るんだったらこの話はなかった事にしてもいいんですよ?」
僕がそうきっぱりと断ったからか、それとも他の理由があるからかは分からないけど、静かに控えていたシュウイチさんの仲間が彼に耳打ちをすると、彼は諦めたようだ。
「後悔しても知らねぇからな」
なんて事を言っていたけど、国王様……じゃなくて大王様宛の手紙は書いてくれたし、レヴィさんは特に何も言わなかったので良し!
見た目的に大学生くらいだろうか。
髪の毛をオールバックにしていて、側頭部は短く刈り上げられている。
強気な印象を与える黒い目は若干吊り上がっている。
その視線は時折僕から両隣に座っている女性の胸元に吸い寄せられているが……まあ、気持ちは分かる。
「はじめまして。大和修一だ。君の名前は?」
「音無静人です」
「珍しい苗字だね。あ、僕は婿養子だから元の苗字は違うんだよ」
「そうなんですね」
誓文を交わしてもらった事もあるのか、にこやかな表情のまま自己紹介が始まった。
右隣に座っている青いドレスを着たレヴィさんが何も言わない所を見ると問題ないのだろう。
レヴィさんはしきりに左手の薬指に嵌められた指輪についている黒い宝石を触っていた。
左隣に座っているジューンさんに目を向けると、彼女は視線を落として左手の薬指に嵌められている黒い宝石が付いた指輪を見ていた。
二人が着けている指輪は、ホムラとユキにお願いして手に入れたブラックダイヤモンドを加工して作った物だ。
なかなか数が揃わなくて時間がかかってしまったけど、丁度良い機会だからと取り急ぎある分は指輪にしてもらってレヴィさんやジューンさんたちに渡した。
皆喜んでくれて良かったけど、興奮したルウさんに捕まってシュウイチさんとの会談が昼過ぎになってしまった。
「シズトくんは名前が変わってないんだね?」
シュウイチさんの視線がチラッと僕の右隣に座っているレヴィさんの方へと移った。
彼女の顔を見る前に、一度彼女の規格外の胸に視線が吸い寄せられたのは仕方ない事なのだと理解している。
まあ、つい見ちゃうよね。
ただ、ランチェッタ様の時のように口説かれてないらしい。
流石に人妻に手を出すような人ではなかったようだ。
指輪を左手の薬指に着けていたら手を出さないんじゃね? と思ったけど上手くいって良かった。
……ただ、脳内では気持ち悪い妄想が繰り広げられていたと、うんざりした表情でレヴィさんが言っていたな。一応気を付けてもらおう。
……思考がどっかに脱線してしまったけど、彼の質問に答える。
「そうですね。結婚はしましたが、王族にはなりたくなかったのでそのままの地位にしてもらいました」
「なんで? 王族になったらやりたい放題できるじゃん」
「別に今でもやりたい放題できているからそれでいいんです」
「ふーん。……てか、俺普通にため口で話してるけど、シズトくん年下であってる? 俺、二十歳」
「あってますよ、年下です」
「高校生くらいだったん?」
「はい、そうです」
「そりゃー大変だっただろうねぇ。いや、俺も大学生だったけど大して状況変わらんし同じような物だっただろうけど」
「んー、まあ、そうですね」
冒険者になるために血判を押す事になったり、昇格試験で色々あって血がやっぱり駄目だと再確認したり、世界樹のごたごたや龍の巣とかいう勝負に参加させられたり……。
特に冒険者は大変だった。継続は難しそうだよな。
相手を傷つける事無く依頼をこなせたらいいんだけど……ん、なんか閃きそうかも……?
「加護とかも使いこなすまで時間がかかるよなぁ」
「そうですねぇ」
……ちょっと一つ忘れている事に気付かない程、使いこなせてはいなかった。
今も完璧に使いこなせているかと問われると微妙だ。
「君の加護は世界樹を育てる加護って聞いたけど、本当にそうなのかい?」
「まあ、世界樹を育てる事は出来ますね」
他にも二柱から加護を貰っているけど、その事は心の内に秘めておいた。
ラオさんにもレヴィさんにも基本的に加護について向こうから言われない限りは隠しておけばいいと言われているから。
「それじゃあ、今回我が国に協力するための力はある、という事だね。実際先程トネリコに対してやっていたのを見たから、証明なんてしなくていいよ」
「信じていただきありがとうございます」
一応向こうの方が年上っぽいから敬語と丁寧な行動を心掛けつつ話をしていると、シュウイチさんから今回の訪問の目的を話し始めた。
「エルフ共が神様の存在を秘匿して好き勝手やっていた事をフソーの周辺諸国が知り、我慢の限界になって起きた戦争はすでに終わってる。都市国家フソーは現在、大和と他の国々がそれぞれ境界線を決めて運営している所だ。世界樹に関しては、戦争の一番の功労国であり、外洋へと向かうための特別な船を持っていた事もあって大和に一任される事になった。ただ、任されたはいいけど、世界樹を世話する事なんてできねぇし、山分けする予定だった世界樹の素材が前の世界樹の使徒にごっそりと盗まれたみたいで利益がほとんどなくて困ってんだよ。同郷の者同士、助け合っていこうぜ? な?」
……この表情、利用するだけして利用して、こっちが求めた時は何もしてくれないような気がする。
なんか口元は笑っているけど、目が笑っていないというかなんというか……。
事前にレヴィさんから教えてもらっていなかったらそんな風には感じなかったかもしれないけどね。
レヴィさんをチラッと見ると、首を横に振った。どうやら心境の変化は期待できないらしい。
「……そうですね。僕としても神様からお願いされてますし、信仰を広める意味でそちらの世界樹の世話をするのもありですね。ただ、いくつか条件があります。その条件を飲んで頂けないのであれば、お断りさせていただきます」
慎重に言葉を選んで相手の様子を窺うが、嘘くさい笑顔のままだ。
ただ、先程までチラチラとジューンさんやレヴィさんの胸元を見ていたのに、まっすぐ僕を見返してきた。視線があっちこっち行く様子もない。
しばらくの沈黙の後、シュウイチさんが口を開いた。
「その条件を決めるために、一度ヤマトに来いよ。船はもう準備してあるし、今すぐにでも行けるぜ?」
「結構です。こちらにはこちらの独自ルートがありますから」
「あー、そういえばガレオールの女王とも懇意にしてるんだったか。いやぁ、羨ましい限りだわ」
なんか誤解されちゃったみたいだけど、まあいいや。
「そういう事なんで、自分たちでそちらの大陸に向かうので大丈夫です。交渉相手は大国ヤマトの国王様ですか?」
「大王様、な。そう呼ばねぇと面倒だから気をつけろよ」
「ご忠告ありがとうございます。大王様と交渉するために一筆書いてもらってもいいですか?」
「いや、俺もついて行くわ。その方が手っ取り早いだろ? それに、海には危険な魔物がうじゃうじゃいるからな。俺の力があった方が良いと思うぜ?」
「いやー、大丈夫ですー。それに、独自ルートは秘密のルートなんで、ついて来るんだったらこの話はなかった事にしてもいいんですよ?」
僕がそうきっぱりと断ったからか、それとも他の理由があるからかは分からないけど、静かに控えていたシュウイチさんの仲間が彼に耳打ちをすると、彼は諦めたようだ。
「後悔しても知らねぇからな」
なんて事を言っていたけど、国王様……じゃなくて大王様宛の手紙は書いてくれたし、レヴィさんは特に何も言わなかったので良し!
58
お気に入りに追加
417
あなたにおすすめの小説
異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい
増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。
目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた
3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ
いくらなんでもこれはおかしいだろ!
異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~
樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。
無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。
そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。
そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。
色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。
※この作品はカクヨム様でも掲載しています。
異世界に転生した俺は元の世界に帰りたい……て思ってたけど気が付いたら世界最強になってました
ゆーき@書籍発売中
ファンタジー
ゲームが好きな俺、荒木優斗はある日、元クラスメイトの桜井幸太によって殺されてしまう。しかし、神のおかげで世界最高の力を持って別世界に転生することになる。ただ、神の未来視でも逮捕されないとでている桜井を逮捕させてあげるために元の世界に戻ることを決意する。元の世界に戻るため、〈転移〉の魔法を求めて異世界を無双する。ただ案外異世界ライフが楽しくてちょくちょくそのことを忘れてしまうが……
なろう、カクヨムでも投稿しています。
転生チートは家族のために~ユニークスキルで、快適な異世界生活を送りたい!~
りーさん
ファンタジー
ある日、異世界に転生したルイ。
前世では、両親が共働きの鍵っ子だったため、寂しい思いをしていたが、今世は優しい家族に囲まれた。
そんな家族と異世界でも楽しく過ごすために、ユニークスキルをいろいろと便利に使っていたら、様々なトラブルに巻き込まれていく。
「家族といたいからほっといてよ!」
※スキルを本格的に使い出すのは二章からです。
最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様
コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」
ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。
幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。
早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると――
「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」
やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。
一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、
「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」
悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。
なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?
でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。
というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!
巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
鑑定能力で恩を返す
KBT
ファンタジー
どこにでもいる普通のサラリーマンの蔵田悟。
彼ははある日、上司の悪態を吐きながら深酒をし、目が覚めると見知らぬ世界にいた。
そこは剣と魔法、人間、獣人、亜人、魔物が跋扈する異世界フォートルードだった。
この世界には稀に異世界から《迷い人》が転移しており、悟もその1人だった。
帰る方法もなく、途方に暮れていた悟だったが、通りすがりの商人ロンメルに命を救われる。
そして稀少な能力である鑑定能力が自身にある事がわかり、ブロディア王国の公都ハメルンの裏通りにあるロンメルの店で働かせてもらう事になった。
そして、ロンメルから店の番頭を任された悟は《サト》と名前を変え、命の恩人であるロンメルへの恩返しのため、商店を大きくしようと鑑定能力を駆使して、海千山千の商人達や荒くれ者の冒険者達を相手に日夜奮闘するのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる