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第18章 ニホン観光をしながら生きていこう
348.事なかれ主義者は不自由してない
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世界樹トネリコのお世話は問題なく終わった。
お世話が終わると、今日は褐色肌のドライアドたちが集まってきて大量の収穫物を貰う事にはなった。
まだファマリーやユグドラシルに生息しているドライアドたちと比べたら可愛い物だけど、そのうち体に巻きついて来るのかなぁ。
……いや、向こうの子たちは最初の方から結構距離が近かった気がするし地域性? みたいなものかも。
ジューンさんはエルフ同士の話し合いがあるからこの場にはおらず、護衛としてついて来ていたジュリウスと二人でわらわらと集まってきたドライアドたちのお裾分けをひたすらアイテムバッグに入れ続けた。
もうお裾分けはこちらへ、って感じでアイテムバッグを置いておくのもありかもしれない、なんて事を考えながら一人一人ドライアドにお礼を言って頭を撫でては受け取り続けた。
「戻りますか?」
「そうだね。手伝ってくれてありがとね、ジュリウス」
最後の一人から受け取ったら早々に退散する事にした。
長居したらまたドライアドたちのプレゼント攻撃が始まりそうだったので。
まあ、食べ物に関しては町の子たちの分の食料と考えれば有難いんだけど。
転移陣でファマリーに戻り、こっちのドライアドたちが集まってくる前にそそくさと屋敷へと戻る。
昨日作った遊具にはちらほらとドライアドたちがいたけれど、遊んでいるというよりは遊具の上でのんびりと過ごしている、という感じだった。
「あ、やべ」
ジャングルジムのてっぺんでボーッと過ごしていたドライアドに気付かれた。
幸いそこそこ距離があったので急いだら追いつかれる事はなかったし、急いでいる様子が伝わったのかブンブンと手を振ってくるだけで近づいて来なかったけど。
手を振り返して屋敷の中へと戻る。
屋敷の中では護衛は不要だからとジュリウスとは別行動だ。
三階まで階段を上り、すぐ近くの部屋をノックするとしばらくして中から扉が開けられた。
「なんだシズト様かっ。ノックが聞こえたから何事かと思ったぞっ」
「流石に女性の部屋にノックも無しに入らないよ」
「女性は女性だけど師匠だからなっ。入っても問題ないと思うぞっ」
元気溌溂な小柄な少女はエルヴィスだ。
見た目からはそうは思えないけど、僕より年上の女性だ。
ドワーフの女性の見た目は大体こんな感じらしい。
年老いてもその美貌というか、若々しさはあまり変わらないんだとか。
ドワーフの国で合法ロリやロリババァがわらわらいると考えると、ロリコンにとっての天国なのかなぁ、なんてどうでもいい事を思った。
……そういえばドライアドたちも長生きだけど見た目幼女が多いな。この世界ってもしかしてロリコンの天国なのでは?
「入らないのかっ? 魔道具を作りに来たんだろっ?」
「ごめんごめん。ちょっとどうでもいい事考えてた」
室内に入ると、扉を閉めたエルヴィスが彼女用の作業机と戻っていった。その隣では僕が入ってきたのにも反応せずに男性が必死に作業をしている。
僕の視線に気づいた様子で、エルヴィスがポコッと彼の頭を叩いた。
「エイロン、挨拶くらいしたらどうなんだっ」
「いってぇな! 何すんだよ!」
「だから、シズト様に挨拶をしろって言ってんだっ」
「いてっ! だから、そんなポコポコ叩くんじゃねぇよ! あ、シズト様。ち~っす」
「ち~っす」
「もっとちゃんと挨拶しろっ」
「いてっ! シズト様が何とも言わなかったんだからいいだろ!」
先程まで静かだった室内が途端に賑やかになった。
邪魔しちゃってごめんね、と思いつつ僕も作業をしようと室内を見渡す。
ノエルの部屋にしては整理整頓されている。きっと僕が作業をすると聞いたモニカが手を回したんだろう。
窓際の一際大きな机では金色の髪の女の子がせっせと作業を続けている。髪の毛の間からニョキッと尖った耳が飛び出ている彼女はノエル。この部屋の主だ。
エイロンとエルヴィスの口論を気にした様子もなく、作業を続けている彼女の隣に真新しい椅子が一つ置かれていた。
「シズト様はその席だってノエル様が言ってたぞっ」
「教えてくれてありがと」
エルヴィスに言われた通り、ノエルの隣に腰かける。
一人用だった作業机を二人分並べただけの場所だけど、作業する分にはこれで十分だ。
僕が使わない時は大体魔道具が机の上にゴチャゴチャと散乱しているらしいけど、今日は机一つ分だけに留めている様だった。
ノエルの机の端の方には魔法を付与し終わった魔石が山となっていて、今にもこちら側に崩れてきそうだ。……いつまでもつかな、この山。
また一つ山に魔石が加わった。
ノエルを横から見ると、真剣な表情で魔石に魔法を付与しているようだった。
こうして黙って作業をしている横顔はすごい綺麗だ。エルフの血が混じっているから顔立ちが整っているのか、そういう家系なのかは謎だ。
「いつまでもこうしているわけにもいかないか。……暮らしが便利になる魔道具ってどんなのがいいかなぁ。……よくよく考えたら、ドランの屋敷に住むようになってからは自分の身の回りの事をほとんど人に任せてるし、何が大変かよく分かんないんだよな。とりあえず前世にあった家電とか参考に魔道具を作っていけばいいかな?」
うーん……分からん。
分からんけど、何もしないのはあれだからとりあえずお昼ごはんの時間まで考えながら魔道具を作ってみよう。
お世話が終わると、今日は褐色肌のドライアドたちが集まってきて大量の収穫物を貰う事にはなった。
まだファマリーやユグドラシルに生息しているドライアドたちと比べたら可愛い物だけど、そのうち体に巻きついて来るのかなぁ。
……いや、向こうの子たちは最初の方から結構距離が近かった気がするし地域性? みたいなものかも。
ジューンさんはエルフ同士の話し合いがあるからこの場にはおらず、護衛としてついて来ていたジュリウスと二人でわらわらと集まってきたドライアドたちのお裾分けをひたすらアイテムバッグに入れ続けた。
もうお裾分けはこちらへ、って感じでアイテムバッグを置いておくのもありかもしれない、なんて事を考えながら一人一人ドライアドにお礼を言って頭を撫でては受け取り続けた。
「戻りますか?」
「そうだね。手伝ってくれてありがとね、ジュリウス」
最後の一人から受け取ったら早々に退散する事にした。
長居したらまたドライアドたちのプレゼント攻撃が始まりそうだったので。
まあ、食べ物に関しては町の子たちの分の食料と考えれば有難いんだけど。
転移陣でファマリーに戻り、こっちのドライアドたちが集まってくる前にそそくさと屋敷へと戻る。
昨日作った遊具にはちらほらとドライアドたちがいたけれど、遊んでいるというよりは遊具の上でのんびりと過ごしている、という感じだった。
「あ、やべ」
ジャングルジムのてっぺんでボーッと過ごしていたドライアドに気付かれた。
幸いそこそこ距離があったので急いだら追いつかれる事はなかったし、急いでいる様子が伝わったのかブンブンと手を振ってくるだけで近づいて来なかったけど。
手を振り返して屋敷の中へと戻る。
屋敷の中では護衛は不要だからとジュリウスとは別行動だ。
三階まで階段を上り、すぐ近くの部屋をノックするとしばらくして中から扉が開けられた。
「なんだシズト様かっ。ノックが聞こえたから何事かと思ったぞっ」
「流石に女性の部屋にノックも無しに入らないよ」
「女性は女性だけど師匠だからなっ。入っても問題ないと思うぞっ」
元気溌溂な小柄な少女はエルヴィスだ。
見た目からはそうは思えないけど、僕より年上の女性だ。
ドワーフの女性の見た目は大体こんな感じらしい。
年老いてもその美貌というか、若々しさはあまり変わらないんだとか。
ドワーフの国で合法ロリやロリババァがわらわらいると考えると、ロリコンにとっての天国なのかなぁ、なんてどうでもいい事を思った。
……そういえばドライアドたちも長生きだけど見た目幼女が多いな。この世界ってもしかしてロリコンの天国なのでは?
「入らないのかっ? 魔道具を作りに来たんだろっ?」
「ごめんごめん。ちょっとどうでもいい事考えてた」
室内に入ると、扉を閉めたエルヴィスが彼女用の作業机と戻っていった。その隣では僕が入ってきたのにも反応せずに男性が必死に作業をしている。
僕の視線に気づいた様子で、エルヴィスがポコッと彼の頭を叩いた。
「エイロン、挨拶くらいしたらどうなんだっ」
「いってぇな! 何すんだよ!」
「だから、シズト様に挨拶をしろって言ってんだっ」
「いてっ! だから、そんなポコポコ叩くんじゃねぇよ! あ、シズト様。ち~っす」
「ち~っす」
「もっとちゃんと挨拶しろっ」
「いてっ! シズト様が何とも言わなかったんだからいいだろ!」
先程まで静かだった室内が途端に賑やかになった。
邪魔しちゃってごめんね、と思いつつ僕も作業をしようと室内を見渡す。
ノエルの部屋にしては整理整頓されている。きっと僕が作業をすると聞いたモニカが手を回したんだろう。
窓際の一際大きな机では金色の髪の女の子がせっせと作業を続けている。髪の毛の間からニョキッと尖った耳が飛び出ている彼女はノエル。この部屋の主だ。
エイロンとエルヴィスの口論を気にした様子もなく、作業を続けている彼女の隣に真新しい椅子が一つ置かれていた。
「シズト様はその席だってノエル様が言ってたぞっ」
「教えてくれてありがと」
エルヴィスに言われた通り、ノエルの隣に腰かける。
一人用だった作業机を二人分並べただけの場所だけど、作業する分にはこれで十分だ。
僕が使わない時は大体魔道具が机の上にゴチャゴチャと散乱しているらしいけど、今日は机一つ分だけに留めている様だった。
ノエルの机の端の方には魔法を付与し終わった魔石が山となっていて、今にもこちら側に崩れてきそうだ。……いつまでもつかな、この山。
また一つ山に魔石が加わった。
ノエルを横から見ると、真剣な表情で魔石に魔法を付与しているようだった。
こうして黙って作業をしている横顔はすごい綺麗だ。エルフの血が混じっているから顔立ちが整っているのか、そういう家系なのかは謎だ。
「いつまでもこうしているわけにもいかないか。……暮らしが便利になる魔道具ってどんなのがいいかなぁ。……よくよく考えたら、ドランの屋敷に住むようになってからは自分の身の回りの事をほとんど人に任せてるし、何が大変かよく分かんないんだよな。とりあえず前世にあった家電とか参考に魔道具を作っていけばいいかな?」
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分からんけど、何もしないのはあれだからとりあえずお昼ごはんの時間まで考えながら魔道具を作ってみよう。
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