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第18章 ニホン観光をしながら生きていこう
335.事なかれ主義者は内容が気になる
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ニホン連合に加盟している国の一つ『カガワ』を訪れた翌日。
フラグを立ててしまったような気がしてクーたちの様子が心配になり、今日もカガワを訪れていた。
ちゃんと変装用の魔道具を使っているので、周りの人からはエルフと思われているだろう。
「お兄ちゃん、おはよー。おんぶして」
「おはよう。おんぶしてもいいけど、その前にちょっと確認させて」
馬車の中で転移してきた僕たちを出迎えてくれたクーをじろじろと観察する。
クーはジッと大人しくしていた。
どこも怪我をしていないように見える。
服の下とかは流石に見る訳には行かないので分からないけど……。
変なフラグが立ったような気がしたけど、やっぱり気のせいだったかな。
「もういい? ほら、はやくおんぶ!」
「はいはい」
クーを背負ってからおんぶ紐で固定し、馬車から降りる。
僕の護衛としてついて来ているジュリウスと、狐人族のエミリーは先に降りていた。
ジュリウスは武装しているが、エミリーはいつも通りメイド服を着ていた。
狐だし和服とか似合いそうだと思ったけど、今日は我儘放題のクーの使用人という立ち位置で観光についてくる事になっていた。
まあ、主に彼女の世話をするのは僕なんですけど。
エミリーは僕と視線が合っても表情は変化しない。ただ、尻尾の動きは正直だった。
僕の視線の動きで気づいたのか、尻尾がピタッと止まる。
僕は視線を彼女からジュリウスへと向けた。
「お待たせしました、ジュリウス様」
「ご苦労。クー様、本日はどこへ行きますか?」
「別にどこでもいいけどー? おにーさん決めてよ」
クーはエルフ姿の僕の事を『おにーさん』と呼ぶ事にしたようだ。
普段呼び慣れている『お兄ちゃん』と似ているけど間違えないかな。
まあ、普段の呼び方で呼ばれてもこの国には知り合いがいないし大丈夫だろうけど。
「……じゃあ、今日はお土産になりそうな和菓子や着物を見て回りましょう」
自分用のお土産と、ニホン連合に来る予定のない人たちのためにいろいろ買っておきたい。
エミリーは皆の好みとか知ってそうだし、まずはお菓子とか食べ物系から見て回ろう。
高級旅館でのんびりとしていたジュリーニの話によると、老舗の和菓子屋は城の近くに多いそうだ。
街の中心にある城を目指してのんびりと歩く。
この国の城は日本風だった。他の建物よりも大きいから迷う事はなさそうだ。
城に近づくにつれて、この街の住民が増えてくるのか、和服っぽい恰好の人の割合が多くなってきた。
街を巡回しているのであろう兵士は普通の格好だ。侍のような恰好はしていないし、髪の毛もいたって普通だ。ちょんまげを見て見たかったからちょっと残念。
城の近くには王家御用達のお店がいくつもあった。
普通の平民は入店お断りのお店もあったようだけど、ジュリウスが何かを見せたら普通に入れて貰えたので問題ない。
お饅頭や団子を食べるだけじゃなくて、皆の分も大量に購入できた。
共有のアイテムバッグに入れようと思ったんだけど、エミリーがそれを止めた。
「つまみ食いをする子がいるので、まずは旅館に届けておいてもらいましょう」
「なるほど……それってパメラ?」
「今まではパメラだけでしたね。最近はリーヴィアも悪戯でするようになってきました。何度も注意はしているのですが、厨房に忍び込むスリルが楽しいのかもしれません」
「エミリー……様も大変なんですね」
今の僕の立場的にエミリーを呼び捨てにするのはまずいとは思うんだけど、やっぱり気を付けてないと普通に忘れる。
まあ、流石にニホン連合を観光している間に慣れるでしょ。
それよりも、リーヴィアの悪戯をそろそろ注意した方がよさそうだ。
今の所可愛らしい悪戯ばかりだけど、そういうのってだんだんとエスカレートするだろうから。
懐いている様だったし、なにより子どもの相手は慣れているだろうからジューンさんに注意してもらおうかな……? それとも別館の大人たちに任せるべきか。
……僕から言うのもありらしいけど、最近はほとんど話をしてないしなぁ。どうなんだろう。
「クー様、次はどちらに向かわれますか?」
「だーかーらー、今日はおにーさんに決めてもらうって言ってるでしょ~」
「かしこまりました。次はどこへ行くんだ?」
僕たちの前を歩いていたジュリウスが次の行き先を聞いてくる。
彼の手にはジュリーニから渡されていた街の案内図が握られていた。
お土産用の和菓子はたくさん買ったし、今度は着物かな。
そう思ってジュリーニのオススメである呉服屋に向かったんだけど……布の種類が多すぎてよく分からん!
……婚約者たちの好み知らないから、とりあえず置いてある種類すべてを少しずつ買った。
お金ならたくさんあるんですよ!
「おにーさん、それはお兄ちゃん用なの?」
クーが肩越しに僕の手の中にある物を覗き込んできた。
視線の先には先程買った紺色の甚兵衛がある。
「はい、シズト様にも何かしらあった方が良いかと思いまして」
自分の事を様付で呼ぶ違和感ヤバイ。
「ふーん……クーの分は?」
「え?」
「クーの分は??」
「……買ってきます」
先程の呉服屋に戻ったら、店主がニコニコ笑顔で出迎えてくれたけど、ごめん。今回買うのは甚兵衛だけなんだ。
最初は可愛らしい柄の物を買おうとしたんだけど、首に回された手の締め付けが強まったから、僕と同じ紺色の子ども用の甚兵衛を買った。
クーは満足したようだ。手の締め付けが緩まった。
今度から気をつけよう、と思いつつジュリーニたちが待っている旅館へと戻る。
馬車の前ではジュリーニが待っていた。
エルフたちはみんなお面を着けているけど、小柄な彼はすぐ分かる。
彼はジュリウスに懐から取り出した手紙を差し出した。
「カガワの国主、カガワマコトからシズト様へのお手紙を預かっております。いかがいたしましょうか」
「……一先ず、私が預かっておく」
「かしこまりました」
ジュリウスが手紙を受け取ると、すぐにアイテムバッグにしまっていた。
なんか面倒事な気もするけど、昨日も勘が外れたし大した事じゃないかな……?
フラグを立ててしまったような気がしてクーたちの様子が心配になり、今日もカガワを訪れていた。
ちゃんと変装用の魔道具を使っているので、周りの人からはエルフと思われているだろう。
「お兄ちゃん、おはよー。おんぶして」
「おはよう。おんぶしてもいいけど、その前にちょっと確認させて」
馬車の中で転移してきた僕たちを出迎えてくれたクーをじろじろと観察する。
クーはジッと大人しくしていた。
どこも怪我をしていないように見える。
服の下とかは流石に見る訳には行かないので分からないけど……。
変なフラグが立ったような気がしたけど、やっぱり気のせいだったかな。
「もういい? ほら、はやくおんぶ!」
「はいはい」
クーを背負ってからおんぶ紐で固定し、馬車から降りる。
僕の護衛としてついて来ているジュリウスと、狐人族のエミリーは先に降りていた。
ジュリウスは武装しているが、エミリーはいつも通りメイド服を着ていた。
狐だし和服とか似合いそうだと思ったけど、今日は我儘放題のクーの使用人という立ち位置で観光についてくる事になっていた。
まあ、主に彼女の世話をするのは僕なんですけど。
エミリーは僕と視線が合っても表情は変化しない。ただ、尻尾の動きは正直だった。
僕の視線の動きで気づいたのか、尻尾がピタッと止まる。
僕は視線を彼女からジュリウスへと向けた。
「お待たせしました、ジュリウス様」
「ご苦労。クー様、本日はどこへ行きますか?」
「別にどこでもいいけどー? おにーさん決めてよ」
クーはエルフ姿の僕の事を『おにーさん』と呼ぶ事にしたようだ。
普段呼び慣れている『お兄ちゃん』と似ているけど間違えないかな。
まあ、普段の呼び方で呼ばれてもこの国には知り合いがいないし大丈夫だろうけど。
「……じゃあ、今日はお土産になりそうな和菓子や着物を見て回りましょう」
自分用のお土産と、ニホン連合に来る予定のない人たちのためにいろいろ買っておきたい。
エミリーは皆の好みとか知ってそうだし、まずはお菓子とか食べ物系から見て回ろう。
高級旅館でのんびりとしていたジュリーニの話によると、老舗の和菓子屋は城の近くに多いそうだ。
街の中心にある城を目指してのんびりと歩く。
この国の城は日本風だった。他の建物よりも大きいから迷う事はなさそうだ。
城に近づくにつれて、この街の住民が増えてくるのか、和服っぽい恰好の人の割合が多くなってきた。
街を巡回しているのであろう兵士は普通の格好だ。侍のような恰好はしていないし、髪の毛もいたって普通だ。ちょんまげを見て見たかったからちょっと残念。
城の近くには王家御用達のお店がいくつもあった。
普通の平民は入店お断りのお店もあったようだけど、ジュリウスが何かを見せたら普通に入れて貰えたので問題ない。
お饅頭や団子を食べるだけじゃなくて、皆の分も大量に購入できた。
共有のアイテムバッグに入れようと思ったんだけど、エミリーがそれを止めた。
「つまみ食いをする子がいるので、まずは旅館に届けておいてもらいましょう」
「なるほど……それってパメラ?」
「今まではパメラだけでしたね。最近はリーヴィアも悪戯でするようになってきました。何度も注意はしているのですが、厨房に忍び込むスリルが楽しいのかもしれません」
「エミリー……様も大変なんですね」
今の僕の立場的にエミリーを呼び捨てにするのはまずいとは思うんだけど、やっぱり気を付けてないと普通に忘れる。
まあ、流石にニホン連合を観光している間に慣れるでしょ。
それよりも、リーヴィアの悪戯をそろそろ注意した方がよさそうだ。
今の所可愛らしい悪戯ばかりだけど、そういうのってだんだんとエスカレートするだろうから。
懐いている様だったし、なにより子どもの相手は慣れているだろうからジューンさんに注意してもらおうかな……? それとも別館の大人たちに任せるべきか。
……僕から言うのもありらしいけど、最近はほとんど話をしてないしなぁ。どうなんだろう。
「クー様、次はどちらに向かわれますか?」
「だーかーらー、今日はおにーさんに決めてもらうって言ってるでしょ~」
「かしこまりました。次はどこへ行くんだ?」
僕たちの前を歩いていたジュリウスが次の行き先を聞いてくる。
彼の手にはジュリーニから渡されていた街の案内図が握られていた。
お土産用の和菓子はたくさん買ったし、今度は着物かな。
そう思ってジュリーニのオススメである呉服屋に向かったんだけど……布の種類が多すぎてよく分からん!
……婚約者たちの好み知らないから、とりあえず置いてある種類すべてを少しずつ買った。
お金ならたくさんあるんですよ!
「おにーさん、それはお兄ちゃん用なの?」
クーが肩越しに僕の手の中にある物を覗き込んできた。
視線の先には先程買った紺色の甚兵衛がある。
「はい、シズト様にも何かしらあった方が良いかと思いまして」
自分の事を様付で呼ぶ違和感ヤバイ。
「ふーん……クーの分は?」
「え?」
「クーの分は??」
「……買ってきます」
先程の呉服屋に戻ったら、店主がニコニコ笑顔で出迎えてくれたけど、ごめん。今回買うのは甚兵衛だけなんだ。
最初は可愛らしい柄の物を買おうとしたんだけど、首に回された手の締め付けが強まったから、僕と同じ紺色の子ども用の甚兵衛を買った。
クーは満足したようだ。手の締め付けが緩まった。
今度から気をつけよう、と思いつつジュリーニたちが待っている旅館へと戻る。
馬車の前ではジュリーニが待っていた。
エルフたちはみんなお面を着けているけど、小柄な彼はすぐ分かる。
彼はジュリウスに懐から取り出した手紙を差し出した。
「カガワの国主、カガワマコトからシズト様へのお手紙を預かっております。いかがいたしましょうか」
「……一先ず、私が預かっておく」
「かしこまりました」
ジュリウスが手紙を受け取ると、すぐにアイテムバッグにしまっていた。
なんか面倒事な気もするけど、昨日も勘が外れたし大した事じゃないかな……?
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