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第18章 ニホン観光をしながら生きていこう
334.事なかれ主義者は自分の目で確認したい
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食事が終わればお風呂の時間だ。
腰にタオルを巻いて浴室へ向かうと、今日のお世話係のドーラさんは既にいて、泡で遊んでいた。
いろんな物を作っていた彼女は、僕が入ってきた事に気が付くと、作業を中断して浴槽から上がる。
泡まみれの彼女は一見すると何も着ていないように見えるけど、ちゃんと水着を着ている……はずだ。
泡風呂の泡はもこもこで、結局僕が体を洗われるために椅子に座っても、後ろに立ったドーラさんについた泡は落ちなかった。
ドーラさんは手に着いた泡だけを洗い流すと、僕の髪の毛を濡らし、それから髪用の石鹸を魔道具『泡立て器』で泡立ててから僕の髪の毛にどんどんのっけていく。
「………」
「今日は何を作ってるの?」
「アフロ」
見たまんまだった。
この世界にもアフロってあるんだな。
まあ、奇抜な髪型な人をたまに見かけるからアフロがいても不思議じゃないけど。
今日はどれだけ大きなアフロを作る事ができるのか挑戦しているようだ。
石鹸の無駄遣いだけど、まあいいか。
されるがままにされていると、満足したドーラさんがシャワーを手に取って僕の髪の毛……というか頭の上に乗っかっている泡を洗い流した。
そこからは淡々と作業は進み、僕の背中と両腕は彼女に洗われた。
「後は自分で洗うから少し離れてて」
「ん」
ドーラさんはこくりと頷くと、泡風呂めがけて小走りで離れて行った。
僕も残りの部分をさっさと洗って泡風呂へと向かった。
一緒に泡で遊び始めてしばらくすると、ドーラさんが手を止めずに話しかけてきた。
「楽しかった?」
「カガワの事?」
「ん」
「んー、街並みが時代劇っぽいだけでそれ以外は普通だったかなぁ。和菓子とかないかなぁ、って思ったんだけど、うどん屋さんばかりで見当たらなかったんだよね」
「わがし?」
「僕の故郷の伝統的なお菓子の事だよ。日本人が数多く転移しているし、一人くらい伝えてそうだなって思って」
「そう」
「見つけたら買ってくるね」
「ん」
ドーラさんたちは加護を持っているという事で、ニホン連合には一緒に行かない事になっている。
万が一の事を考えると守るべき相手が一人の方が都合がいいんだとか。
その代わり、モニカやエミリーなど加護を持っていない子たちと行くという話になっている。
今日はまだ仕事の調整が出来ていないから、という事でクーとジュリウスだけだったけど、準備ができたら交代でついて来るそうだ。
レヴィさんたちは「私たちは今まで存分に楽しんだから次はエミリーたちの番ですわー」とニコニコしながら言っていた。
確かに、平等に接するっていう点で考えると確かに良い機会かもしれない。
冒険者として活動していたシンシーラやパメラ以外の面々のためにも、不測の事態に備えて魔道具を作っておこう。
ドーラさんよりも先にお風呂から上がって、自室のベッドの上でのんびりと過ごしていると、扉が開く音がした。
「ドーラさん?」
「ん」
この時間帯で来るのはドーラさんくらいだろう、と思って尋ねると、小さな返事が聞こえた。
パーテーションの向こうから姿を現したのは紛れもなくドーラさんだった。
短く切り揃えられた金色の髪は十分乾かしたのかいつも通りだ。
眠たそうな印象を持つ青い瞳で僕を見つけると、小走りで近づいてきた。
彼女がベッドの横でバスローブを脱ぐと、綺麗な白い肌が露になる。
起伏に乏しい彼女の体は、透けているネグリジェのせいでそのほとんどが丸見えだ。何も生えていない所までしっかりと見えてしまった。
慌ててドーラさんから視線を逸らすと、彼女がベッドの上に乗ってきたのか若干揺れる。
「慣れない?」
「慣れないかなぁ」
体を横にしたドーラさんは、僕に寄り添うようにくっついてきた。
子どものように小柄な彼女は体温が高く温かい。
ビクッと反応した僕を気にした様子もなく、足や腕を絡ませてきた。
小さな手が僕の上半身を撫でていたかと思えば、僕が着ていた寝間着のボタンを外し始めた。
ドーラさんの方に視線を向けると、彼女は少しだけ笑っていた。
「じゃあ慣れるまでする」
「……お手柔らかにお願いします」
昨日は夜遅くまで起きていたのに、いつもの時間に目が覚めた。安眠カバーのおかげだ。
ドーラさんは既に起きていて、室内にはいない。
僕はクリーンルームで体を綺麗にしてから速達箱の中に入っている手紙を確認した。
ランチェッタ様やライデンからは手紙が来ていたから後で返事を書かないと。
でも、もうみんな待っているだろうからまずは食堂へ行こう。
食堂では思った通り、既に皆揃っていた。
ドーラさんも着替えを済ませて席に着いている。
僕も席に着くと、エミリーが僕の前に料理を並べ始めた。
今日は洋風の食事のようだ。ニホン連合に行く事に配慮してそうしているのかもしれない。
準備をしてもらっている間に、壁際に控えていたジュリウスに視線を向けると、彼は想定していたのかすぐに近くにやってきた。
「クーたちから手紙は来てる?」
「いえ、手紙は来てません。ジュリーニからは定期報告が届きましたが、クー様は元気にしているそうです」
「そっか。それならよかった。………ジュリーニたちは元気にしてるの?」
「ジュリーニから報告はありませんが、怪我人や病人がいればそのように報告するはずですので問題ないかと」
「そう、よかった」
クーは元気にしているけど、他のエルフたちはボロボロです、とかありえそうだなって思ったけど考えすぎだったようだ。
何事もなかったようで良かった。……でもちょっと心配だし、和菓子とか着物とか買いたいし、今日もクーたちの所に行くか。
腰にタオルを巻いて浴室へ向かうと、今日のお世話係のドーラさんは既にいて、泡で遊んでいた。
いろんな物を作っていた彼女は、僕が入ってきた事に気が付くと、作業を中断して浴槽から上がる。
泡まみれの彼女は一見すると何も着ていないように見えるけど、ちゃんと水着を着ている……はずだ。
泡風呂の泡はもこもこで、結局僕が体を洗われるために椅子に座っても、後ろに立ったドーラさんについた泡は落ちなかった。
ドーラさんは手に着いた泡だけを洗い流すと、僕の髪の毛を濡らし、それから髪用の石鹸を魔道具『泡立て器』で泡立ててから僕の髪の毛にどんどんのっけていく。
「………」
「今日は何を作ってるの?」
「アフロ」
見たまんまだった。
この世界にもアフロってあるんだな。
まあ、奇抜な髪型な人をたまに見かけるからアフロがいても不思議じゃないけど。
今日はどれだけ大きなアフロを作る事ができるのか挑戦しているようだ。
石鹸の無駄遣いだけど、まあいいか。
されるがままにされていると、満足したドーラさんがシャワーを手に取って僕の髪の毛……というか頭の上に乗っかっている泡を洗い流した。
そこからは淡々と作業は進み、僕の背中と両腕は彼女に洗われた。
「後は自分で洗うから少し離れてて」
「ん」
ドーラさんはこくりと頷くと、泡風呂めがけて小走りで離れて行った。
僕も残りの部分をさっさと洗って泡風呂へと向かった。
一緒に泡で遊び始めてしばらくすると、ドーラさんが手を止めずに話しかけてきた。
「楽しかった?」
「カガワの事?」
「ん」
「んー、街並みが時代劇っぽいだけでそれ以外は普通だったかなぁ。和菓子とかないかなぁ、って思ったんだけど、うどん屋さんばかりで見当たらなかったんだよね」
「わがし?」
「僕の故郷の伝統的なお菓子の事だよ。日本人が数多く転移しているし、一人くらい伝えてそうだなって思って」
「そう」
「見つけたら買ってくるね」
「ん」
ドーラさんたちは加護を持っているという事で、ニホン連合には一緒に行かない事になっている。
万が一の事を考えると守るべき相手が一人の方が都合がいいんだとか。
その代わり、モニカやエミリーなど加護を持っていない子たちと行くという話になっている。
今日はまだ仕事の調整が出来ていないから、という事でクーとジュリウスだけだったけど、準備ができたら交代でついて来るそうだ。
レヴィさんたちは「私たちは今まで存分に楽しんだから次はエミリーたちの番ですわー」とニコニコしながら言っていた。
確かに、平等に接するっていう点で考えると確かに良い機会かもしれない。
冒険者として活動していたシンシーラやパメラ以外の面々のためにも、不測の事態に備えて魔道具を作っておこう。
ドーラさんよりも先にお風呂から上がって、自室のベッドの上でのんびりと過ごしていると、扉が開く音がした。
「ドーラさん?」
「ん」
この時間帯で来るのはドーラさんくらいだろう、と思って尋ねると、小さな返事が聞こえた。
パーテーションの向こうから姿を現したのは紛れもなくドーラさんだった。
短く切り揃えられた金色の髪は十分乾かしたのかいつも通りだ。
眠たそうな印象を持つ青い瞳で僕を見つけると、小走りで近づいてきた。
彼女がベッドの横でバスローブを脱ぐと、綺麗な白い肌が露になる。
起伏に乏しい彼女の体は、透けているネグリジェのせいでそのほとんどが丸見えだ。何も生えていない所までしっかりと見えてしまった。
慌ててドーラさんから視線を逸らすと、彼女がベッドの上に乗ってきたのか若干揺れる。
「慣れない?」
「慣れないかなぁ」
体を横にしたドーラさんは、僕に寄り添うようにくっついてきた。
子どものように小柄な彼女は体温が高く温かい。
ビクッと反応した僕を気にした様子もなく、足や腕を絡ませてきた。
小さな手が僕の上半身を撫でていたかと思えば、僕が着ていた寝間着のボタンを外し始めた。
ドーラさんの方に視線を向けると、彼女は少しだけ笑っていた。
「じゃあ慣れるまでする」
「……お手柔らかにお願いします」
昨日は夜遅くまで起きていたのに、いつもの時間に目が覚めた。安眠カバーのおかげだ。
ドーラさんは既に起きていて、室内にはいない。
僕はクリーンルームで体を綺麗にしてから速達箱の中に入っている手紙を確認した。
ランチェッタ様やライデンからは手紙が来ていたから後で返事を書かないと。
でも、もうみんな待っているだろうからまずは食堂へ行こう。
食堂では思った通り、既に皆揃っていた。
ドーラさんも着替えを済ませて席に着いている。
僕も席に着くと、エミリーが僕の前に料理を並べ始めた。
今日は洋風の食事のようだ。ニホン連合に行く事に配慮してそうしているのかもしれない。
準備をしてもらっている間に、壁際に控えていたジュリウスに視線を向けると、彼は想定していたのかすぐに近くにやってきた。
「クーたちから手紙は来てる?」
「いえ、手紙は来てません。ジュリーニからは定期報告が届きましたが、クー様は元気にしているそうです」
「そっか。それならよかった。………ジュリーニたちは元気にしてるの?」
「ジュリーニから報告はありませんが、怪我人や病人がいればそのように報告するはずですので問題ないかと」
「そう、よかった」
クーは元気にしているけど、他のエルフたちはボロボロです、とかありえそうだなって思ったけど考えすぎだったようだ。
何事もなかったようで良かった。……でもちょっと心配だし、和菓子とか着物とか買いたいし、今日もクーたちの所に行くか。
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