494 / 971
第18章 ニホン観光をしながら生きていこう
331.事なかれ主義者は紛れ込んだ
しおりを挟む
結婚式から一週間ほどが過ぎた。
毎日違う女性と夫婦の営みをし続けている。
そのうち枯れるんじゃないか、なんて事を思うけど下半身は夜が来る度に元気だ。
この一週間の間は、世界樹の世話をしながら溜まりに溜まった魔道具の依頼をこなしつつ、気分転換に以前作った魔道具をいくつか追加で作っていた。きっと誰かが買うだろう。
作れば作っただけ売れるからお金の心配はまずしなくていい。
むしろどんどん使わないといけない。
と、いう事で訪れたのはニホン連合の端っこの国!
僕は背中に小柄な女の子を背負って、時代劇のような街の通りの真ん中に立っていた。
行き交う人は着物を着ている人もいる。
僕はそんな中で、世界樹の番人と同じ格好をしていた。
髪の色も瞳の色も、日本人っぽい顔立ちもすべて魔道具によって変えている。
今の僕は金色の髪に緑色の瞳で、耳も尖っている。
顔は元の顔立ちよりもはるかに整っていて、どこからどう見ても普通のエルフだ。
どうしてこんな格好で街の中にいるかと言えば、明に忠告されたからだ。
黒い髪に黒い瞳というだけで囲い込まれたり、攫われたりとトラブルに発展しやすいらしいから、馬車の護衛をしてくれていたエルフたちに混じる事にしたのだ。
木を隠すなら森の中、っていうし。
街に入る前からエルフたちの中に加わっていたけど、特に問題なく街の中に入る事ができた。
ドラゴニアの国王様に加えて、ガレオールの女王様からのお手紙を馬車の御者をしていたショタエルフジュリーニが門番に渡したおかげだろう、たぶん。
折角看破の魔道具に打ち勝つ変装用魔道具を準備したのに、しばらく試す機会はなさそうだ。
「それでは、クー……様。どちらに参りますか?」
「んー、じゃあ適当に歩き回って~」
「かしこまりました」
慣れない言葉遣いだけど、世界樹の番人ごっこと思えばできなくはない……気がする。
言葉遣いとか怪しいけど、ジュリウスが特に何も言ってこないので今の所大きな失敗はしていないんだと思う。
街を歩いていると、時代劇の世界に迷い込んだような気もする。建物だけを見れば。
ただ、町を歩いている人を見ると、人族以外も普通にいる。まあ、妖怪と頑張って思い込めば日本だと言えなくもない……か?
「お食事はどうなされますか? オススメの店を町の者たちから聞いてきましょうか」
「別におに……あんたは何もしなくていい。そこのあんた、良い感じの店探してきて」
「承知しました」
そう言ってその場から消えたジュリウスはすぐに戻ってきた。
近くに数軒の食事処があったが、とりあえずうどん屋さんに行く事にした。
まだお昼前という事もあり、結構空いていたのですぐに可愛らしい従業員さんに座敷に通された。
長机が四つ並んでいて、座布団が四つずつ置かれている。
窓際の一番奥の席に陣取ると、とりあえずクーを座布団の上に座らせた。
僕もその隣に腰かけると、クーがのそのそと動いて、胡坐をかいた僕の足の隙間にちょこんと小さなお尻を割り込ませてきた。空のように青い髪の毛が僕の鼻先をくすぐる。
「クー……様、どいていただけませんか?」
「やだ」
……そうっすか。
気を取り直してメニューを見る。
カレーうどんはなかったけど、肉うどんやてんぷらうどんだけではなく、味噌煮込みうどんもあった。
悩ましい……とメニューを見ていたけど、ジュリウスを見るとメニューを見る事なくじっとしていた。
「ジュリウス……様はもうお決まりですか?」
「ああ。かけうどんでいい」
「せっかく観光に来たんですし、いろいろトッピングしないんですか?」
「食事は手早く済ませた方が敵につけ入る隙を与えんからな」
なるほど。確かに護衛対象を守る事が最優先だから食事に時間をかけない方が良いか。
そう考えたら僕もジュリウスと同じくかけうどんにした方が良いかな。
…………天ぷらうどんとかおいしそうだったんだけど。
メニュー表を裏返してかけうどんにすべきか考えていると、クーがメニュー表を強引に裏返した。
「あーし、あんたらに守られるほど弱くないし、気にせず食べればいいじゃん。ほら、おに……おにーさん、さっきこれ見てたでしょ? これにすればー? あーしも分けて欲しいし」
ジュリウスをチラッと見ると、彼も頷いていて「護衛対象の我儘を聞くのも我々の務めです」と言ってきた。
……今後は皆を困らせないように、あんまり我儘言わない方が良いかなぁ。どれが我儘だったのか判断に迷う所だけど。
…………護衛に扮して観光している時点で今更か。
そんな事を思いながら、結局天ぷらうどんを頼んだ。
クーは味噌煮込みうどんを頼み、僕に食べさせてもらってご満悦だったけど、ちょっと僕のうどんが伸びた。
まあ、久しぶりに食べた天ぷらが美味しかったからいいか。エミリーに今度作れるか聞いてみよう。
毎日違う女性と夫婦の営みをし続けている。
そのうち枯れるんじゃないか、なんて事を思うけど下半身は夜が来る度に元気だ。
この一週間の間は、世界樹の世話をしながら溜まりに溜まった魔道具の依頼をこなしつつ、気分転換に以前作った魔道具をいくつか追加で作っていた。きっと誰かが買うだろう。
作れば作っただけ売れるからお金の心配はまずしなくていい。
むしろどんどん使わないといけない。
と、いう事で訪れたのはニホン連合の端っこの国!
僕は背中に小柄な女の子を背負って、時代劇のような街の通りの真ん中に立っていた。
行き交う人は着物を着ている人もいる。
僕はそんな中で、世界樹の番人と同じ格好をしていた。
髪の色も瞳の色も、日本人っぽい顔立ちもすべて魔道具によって変えている。
今の僕は金色の髪に緑色の瞳で、耳も尖っている。
顔は元の顔立ちよりもはるかに整っていて、どこからどう見ても普通のエルフだ。
どうしてこんな格好で街の中にいるかと言えば、明に忠告されたからだ。
黒い髪に黒い瞳というだけで囲い込まれたり、攫われたりとトラブルに発展しやすいらしいから、馬車の護衛をしてくれていたエルフたちに混じる事にしたのだ。
木を隠すなら森の中、っていうし。
街に入る前からエルフたちの中に加わっていたけど、特に問題なく街の中に入る事ができた。
ドラゴニアの国王様に加えて、ガレオールの女王様からのお手紙を馬車の御者をしていたショタエルフジュリーニが門番に渡したおかげだろう、たぶん。
折角看破の魔道具に打ち勝つ変装用魔道具を準備したのに、しばらく試す機会はなさそうだ。
「それでは、クー……様。どちらに参りますか?」
「んー、じゃあ適当に歩き回って~」
「かしこまりました」
慣れない言葉遣いだけど、世界樹の番人ごっこと思えばできなくはない……気がする。
言葉遣いとか怪しいけど、ジュリウスが特に何も言ってこないので今の所大きな失敗はしていないんだと思う。
街を歩いていると、時代劇の世界に迷い込んだような気もする。建物だけを見れば。
ただ、町を歩いている人を見ると、人族以外も普通にいる。まあ、妖怪と頑張って思い込めば日本だと言えなくもない……か?
「お食事はどうなされますか? オススメの店を町の者たちから聞いてきましょうか」
「別におに……あんたは何もしなくていい。そこのあんた、良い感じの店探してきて」
「承知しました」
そう言ってその場から消えたジュリウスはすぐに戻ってきた。
近くに数軒の食事処があったが、とりあえずうどん屋さんに行く事にした。
まだお昼前という事もあり、結構空いていたのですぐに可愛らしい従業員さんに座敷に通された。
長机が四つ並んでいて、座布団が四つずつ置かれている。
窓際の一番奥の席に陣取ると、とりあえずクーを座布団の上に座らせた。
僕もその隣に腰かけると、クーがのそのそと動いて、胡坐をかいた僕の足の隙間にちょこんと小さなお尻を割り込ませてきた。空のように青い髪の毛が僕の鼻先をくすぐる。
「クー……様、どいていただけませんか?」
「やだ」
……そうっすか。
気を取り直してメニューを見る。
カレーうどんはなかったけど、肉うどんやてんぷらうどんだけではなく、味噌煮込みうどんもあった。
悩ましい……とメニューを見ていたけど、ジュリウスを見るとメニューを見る事なくじっとしていた。
「ジュリウス……様はもうお決まりですか?」
「ああ。かけうどんでいい」
「せっかく観光に来たんですし、いろいろトッピングしないんですか?」
「食事は手早く済ませた方が敵につけ入る隙を与えんからな」
なるほど。確かに護衛対象を守る事が最優先だから食事に時間をかけない方が良いか。
そう考えたら僕もジュリウスと同じくかけうどんにした方が良いかな。
…………天ぷらうどんとかおいしそうだったんだけど。
メニュー表を裏返してかけうどんにすべきか考えていると、クーがメニュー表を強引に裏返した。
「あーし、あんたらに守られるほど弱くないし、気にせず食べればいいじゃん。ほら、おに……おにーさん、さっきこれ見てたでしょ? これにすればー? あーしも分けて欲しいし」
ジュリウスをチラッと見ると、彼も頷いていて「護衛対象の我儘を聞くのも我々の務めです」と言ってきた。
……今後は皆を困らせないように、あんまり我儘言わない方が良いかなぁ。どれが我儘だったのか判断に迷う所だけど。
…………護衛に扮して観光している時点で今更か。
そんな事を思いながら、結局天ぷらうどんを頼んだ。
クーは味噌煮込みうどんを頼み、僕に食べさせてもらってご満悦だったけど、ちょっと僕のうどんが伸びた。
まあ、久しぶりに食べた天ぷらが美味しかったからいいか。エミリーに今度作れるか聞いてみよう。
48
お気に入りに追加
414
あなたにおすすめの小説
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
スキル運で、運がいい俺を追放したギルドは倒産したけど、俺の庭にダンジョン出来て億稼いでます。~ラッキー~
暁 とと
ファンタジー
スキル運のおかげでドロップ率や宝箱のアイテムに対する運が良く、確率の低いアイテムをドロップしたり、激レアな武器を宝箱から出したりすることが出来る佐藤はギルドを辞めさられた。
しかし、佐藤の庭にダンジョンが出来たので億を稼ぐことが出来ます。
もう、戻ってきてと言われても無駄です。こっちは、億稼いでいるので。
加工を極めし転生者、チート化した幼女たちとの自由気ままな冒険ライフ
犬社護
ファンタジー
交通事故で不慮の死を遂げてしまった僕-リョウトは、死後の世界で女神と出会い、異世界へ転生されることになった。事前に転生先の世界観について詳しく教えられ、その場でスキルやギフトを練習しても構わないと言われたので、僕は自分に与えられるギフトだけを極めるまで練習を重ねた。女神の目的は不明だけど、僕は全てを納得した上で、フランベル王国王都ベルンシュナイルに住む貴族の名門ヒライデン伯爵家の次男として転生すると、とある理由で魔法を一つも習得できないせいで、15年間軟禁生活を強いられ、15歳の誕生日に両親から追放処分を受けてしまう。ようやく自由を手に入れたけど、初日から幽霊に憑かれた幼女ルティナ、2日目には幽霊になってしまった幼女リノアと出会い、2人を仲間にしたことで、僕は様々な選択を迫られることになる。そしてその結果、子供たちが意図せず、どんどんチート化してしまう。
僕の夢は、自由気ままに世界中を冒険すること…なんだけど、いつの間にかチートな子供たちが主体となって、冒険が進んでいく。
僕の夢……どこいった?
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ごめんみんな先に異世界行ってるよ1年後また会おう
味噌汁食べれる
ファンタジー
主人公佐藤 翔太はクラスみんなより1年も早く異世界に、行ってしまう。みんなよりも1年早く異世界に行ってしまうそして転移場所は、世界樹で最強スキルを実でゲット?スキルを奪いながら最強へ、そして勇者召喚、それは、クラスのみんなだった。クラスのみんなが頑張っているときに、主人公は、自由気ままに生きていく
全校転移!異能で異世界を巡る!?
小説愛好家
ファンタジー
全校集会中に地震に襲われ、魔法陣が出現し、眩い光が体育館全体を呑み込み俺は気絶した。
目覚めるとそこは大聖堂みたいな場所。
周りを見渡すとほとんどの人がまだ気絶をしていてる。
取り敢えず異世界転移だと仮定してステータスを開こうと試みる。
「ステータスオープン」と唱えるとステータスが表示された。「『異能』?なにこれ?まぁいいか」
取り敢えず異世界に転移したってことで間違いなさそうだな、テンプレ通り行くなら魔王討伐やらなんやらでめんどくさそうだし早々にここを出たいけどまぁ成り行きでなんとかなるだろ。
そんな感じで異世界転移を果たした主人公が圧倒的力『異能』を使いながら世界を旅する物語。
このステータスプレート壊れてないですか?~壊れ数値の万能スキルで自由気ままな異世界生活~
夢幻の翼
ファンタジー
典型的な社畜・ブラックバイトに翻弄される人生を送っていたラノベ好きの男が銀行強盗から女性行員を庇って撃たれた。
男は夢にまで見た異世界転生を果たしたが、ラノベのテンプレである神様からのお告げも貰えない状態に戸惑う。
それでも気を取り直して強く生きようと決めた矢先の事、国の方針により『ステータスプレート』を作成した際に数値異常となり改ざん容疑で捕縛され奴隷へ落とされる事になる。運の悪い男だったがチート能力により移送中に脱走し隣国へと逃れた。
一時は途方にくれた少年だったが神父に言われた『冒険者はステータスに関係なく出来る唯一の職業である』を胸に冒険者を目指す事にした。
持ち前の運の悪さもチート能力で回避し、自分の思う生き方を実現させる社畜転生者と自らも助けられ、少年に思いを寄せる美少女との恋愛、襲い来る盗賊の殲滅、新たな商売の開拓と現実では出来なかった夢を異世界で実現させる自由気ままな異世界生活が始まります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる