485 / 1,023
第17章 結婚しながら生きていこう
326.事なかれ主義者は夜更かしした
しおりを挟む
夕食を食べた後はお風呂の時間だ。
レヴィさんとセシリアさんに連れられてお風呂に入っている。
僕は腰にタオルを巻いただけの状態だけど、二人にはいつも通り水着を着てもらっている。
「寝る前にどうせお互い裸になるのですし、今更なのでは?」
「暗い所で見るのと明るい所で見るのとでは状況が違うのでぇ……」
見る方も問題が起きてしまいそうだけど、見られる方も正直無理だ。前世では絶対に露出狂にはなれなかったな。なるつもり全くないけど。
見られて興奮するっていうのはあるのかもしれないけど、まだその境地にまでは至れていない。
ホムラたちとした時は極力部屋を暗くしてもらったけど、じっくり観察されているようで恥ずかしかった。
「これはこれで、シズトにいろんな水着姿を褒めてもらえるからいいのですわ~」
「褒めると言っても、だいたい似たような内容ですけどね」
「女性の容姿を褒めた経験なんて数えるほどしかないからそんな期待されても困ります……」
可愛いとか綺麗とかセクシーな水着だねとかくらいしかいう事がない。
胸大きいねとか、お尻いい形だね、とか褒めるつもりで言ったとしてもどうしても気持ち悪い感じになりそうだし。
セシリアさんが魔道具を使って泡立てた石鹸をレヴィさんが手で掬うと、そのまま僕の背中に塗る。
セシリアさんは僕の両腕を担当する様で、丁寧に洗っていた。
正面に座られるとどこに視線を向ければいいか困るんですけど……。
ちょっと内股気味に座り、視線を他所に逸らすと、セシリアさんに伸ばされた手の甲に、何か柔らかく温かい感触を感じる気がしてきた。
……意識から逸らして、ひたすら鎮める事に専念した。
お風呂から上がると、しばらく涼んだ。流石にサウナにのんびりと入りすぎたと思う。
レヴィさんたちは僕の体を洗って少しの間一緒に湯船に浸かった後、早々に出て行ってしまったので僕一人だ。
魔動扇風機を回して涼んでいると、脱衣所の扉が開いてバスローブを着たセシリアさんが入ってきた。
メイド服を着ていない彼女はとても新鮮な感じがした。
「レヴィさんは?」
「先にシズト様の自室に行ってお待ちしておりますよ。髪を乾かしますね」
「ありがと」
以前何となく作った魔道具、一人掛けのマッサージチェアもどきから丸椅子へと移動すると、セシリアさんが僕のすぐ後ろに立った。
何となく良い匂いが後ろから香ってくるきがする。
大きな鏡越しにセシリアさんを見ると、彼女は魔動ドライヤーを準備していた。
魔力を流すと暖かい風がドライヤーの先端から出てくる。
髪の毛を優しい手つきで触られながら乾かしてもらっていると、セシリアさんが鏡越しに僕を見てきた。
「まだ夜伽には慣れませんか?」
「……慣れないっすね」
「左様ですか。……行為をするのが嫌ですか? 気分が乗らないのであれば拒否して頂いても大丈夫だとレヴィア様が仰っていました」
「嫌ってわけじゃないよ。レヴィさんたちの事好きだし。ただ……」
「ただ?」
「価値観はなかなか変えられないんだよね。僕たちの世界だとお相手は一人が当たり前だし。毎日違う人だとそれを強く意識しちゃって緊張するし……それに加えて今日は二人同時何だよね? そう考えると余計に緊張するというか……」
「なるほど」
ある程度乾かし終えたのか、セシリアさんが魔道具を操作し、ドライヤーから出てくる風を冷たい物に変えた。
「それに関しては申し訳ないとは思いますが……そういう内容を一通り教えてはいるのですが、実践はレヴィア様も初めてですので、何かあった時にサポートをするために私がいます。お手本があった方がやりやすいでしょうし、今まで何をするにしてもご一緒していたのにいきなり一人だと不安でしょうから」
「セシリアさんはその……経験あるの?」
「ないですよ? 貴族の家に生まれた娘は、初めては結婚した相手とするのが普通ですから、本物を使って練習はしません。男児であれば練習相手を用意して夜伽の勉強をする事もあるそうですけどね」
……なるほど。
「髪が乾いたようですし、そろそろ参りましょうか」
「……はい」
セシリアさんの後を僕は大人しくついて歩いた。
その夜は、結局寝る時間はだいぶ遅くなってしまったけど、安眠カバーのおかげで翌朝眠気を感じる事は全くなかった。
安眠カバーは寝不足も防止してくれるのかなぁ、なんて事を考えながらボーッとベッドの上で過ごしていると、すやすやと眠っていたレヴィさんが目を覚ました。
寝癖が所々ついていて可愛らしいけど、顔の横にある金色のツインドリルは健在だ。
ほんとそれどうなってんの。
「レヴィア様、部屋に戻って朝の御仕度をしましょう」
「分かったのですわ~……」
既にメイド服に着替えてしゃんとしているセシリアさんがとても眠たそうなレヴィさんにガウンを羽織らせて立ち上がらせる。
二人はじっと座っていた僕に何かを言う事はせず、部屋から出て行った。
……鎮まるまでもう少し時間がかかりそうだけど、ドーラさんが入ってくる前にさっさと着替えよう。
レヴィさんとセシリアさんに連れられてお風呂に入っている。
僕は腰にタオルを巻いただけの状態だけど、二人にはいつも通り水着を着てもらっている。
「寝る前にどうせお互い裸になるのですし、今更なのでは?」
「暗い所で見るのと明るい所で見るのとでは状況が違うのでぇ……」
見る方も問題が起きてしまいそうだけど、見られる方も正直無理だ。前世では絶対に露出狂にはなれなかったな。なるつもり全くないけど。
見られて興奮するっていうのはあるのかもしれないけど、まだその境地にまでは至れていない。
ホムラたちとした時は極力部屋を暗くしてもらったけど、じっくり観察されているようで恥ずかしかった。
「これはこれで、シズトにいろんな水着姿を褒めてもらえるからいいのですわ~」
「褒めると言っても、だいたい似たような内容ですけどね」
「女性の容姿を褒めた経験なんて数えるほどしかないからそんな期待されても困ります……」
可愛いとか綺麗とかセクシーな水着だねとかくらいしかいう事がない。
胸大きいねとか、お尻いい形だね、とか褒めるつもりで言ったとしてもどうしても気持ち悪い感じになりそうだし。
セシリアさんが魔道具を使って泡立てた石鹸をレヴィさんが手で掬うと、そのまま僕の背中に塗る。
セシリアさんは僕の両腕を担当する様で、丁寧に洗っていた。
正面に座られるとどこに視線を向ければいいか困るんですけど……。
ちょっと内股気味に座り、視線を他所に逸らすと、セシリアさんに伸ばされた手の甲に、何か柔らかく温かい感触を感じる気がしてきた。
……意識から逸らして、ひたすら鎮める事に専念した。
お風呂から上がると、しばらく涼んだ。流石にサウナにのんびりと入りすぎたと思う。
レヴィさんたちは僕の体を洗って少しの間一緒に湯船に浸かった後、早々に出て行ってしまったので僕一人だ。
魔動扇風機を回して涼んでいると、脱衣所の扉が開いてバスローブを着たセシリアさんが入ってきた。
メイド服を着ていない彼女はとても新鮮な感じがした。
「レヴィさんは?」
「先にシズト様の自室に行ってお待ちしておりますよ。髪を乾かしますね」
「ありがと」
以前何となく作った魔道具、一人掛けのマッサージチェアもどきから丸椅子へと移動すると、セシリアさんが僕のすぐ後ろに立った。
何となく良い匂いが後ろから香ってくるきがする。
大きな鏡越しにセシリアさんを見ると、彼女は魔動ドライヤーを準備していた。
魔力を流すと暖かい風がドライヤーの先端から出てくる。
髪の毛を優しい手つきで触られながら乾かしてもらっていると、セシリアさんが鏡越しに僕を見てきた。
「まだ夜伽には慣れませんか?」
「……慣れないっすね」
「左様ですか。……行為をするのが嫌ですか? 気分が乗らないのであれば拒否して頂いても大丈夫だとレヴィア様が仰っていました」
「嫌ってわけじゃないよ。レヴィさんたちの事好きだし。ただ……」
「ただ?」
「価値観はなかなか変えられないんだよね。僕たちの世界だとお相手は一人が当たり前だし。毎日違う人だとそれを強く意識しちゃって緊張するし……それに加えて今日は二人同時何だよね? そう考えると余計に緊張するというか……」
「なるほど」
ある程度乾かし終えたのか、セシリアさんが魔道具を操作し、ドライヤーから出てくる風を冷たい物に変えた。
「それに関しては申し訳ないとは思いますが……そういう内容を一通り教えてはいるのですが、実践はレヴィア様も初めてですので、何かあった時にサポートをするために私がいます。お手本があった方がやりやすいでしょうし、今まで何をするにしてもご一緒していたのにいきなり一人だと不安でしょうから」
「セシリアさんはその……経験あるの?」
「ないですよ? 貴族の家に生まれた娘は、初めては結婚した相手とするのが普通ですから、本物を使って練習はしません。男児であれば練習相手を用意して夜伽の勉強をする事もあるそうですけどね」
……なるほど。
「髪が乾いたようですし、そろそろ参りましょうか」
「……はい」
セシリアさんの後を僕は大人しくついて歩いた。
その夜は、結局寝る時間はだいぶ遅くなってしまったけど、安眠カバーのおかげで翌朝眠気を感じる事は全くなかった。
安眠カバーは寝不足も防止してくれるのかなぁ、なんて事を考えながらボーッとベッドの上で過ごしていると、すやすやと眠っていたレヴィさんが目を覚ました。
寝癖が所々ついていて可愛らしいけど、顔の横にある金色のツインドリルは健在だ。
ほんとそれどうなってんの。
「レヴィア様、部屋に戻って朝の御仕度をしましょう」
「分かったのですわ~……」
既にメイド服に着替えてしゃんとしているセシリアさんがとても眠たそうなレヴィさんにガウンを羽織らせて立ち上がらせる。
二人はじっと座っていた僕に何かを言う事はせず、部屋から出て行った。
……鎮まるまでもう少し時間がかかりそうだけど、ドーラさんが入ってくる前にさっさと着替えよう。
58
お気に入りに追加
417
あなたにおすすめの小説
異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい
増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。
目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた
3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ
いくらなんでもこれはおかしいだろ!
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~
樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。
無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。
そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。
そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。
色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。
※この作品はカクヨム様でも掲載しています。
異世界でタロと一緒に冒険者生活を始めました
ももがぶ
ファンタジー
俺「佐々木光太」二十六歳はある日気付けばタロに導かれ異世界へ来てしまった。
会社から帰宅してタロと一緒に散歩していたハズが気が付けば異世界で魔法をぶっ放していた。
タロは喋るし、俺は十二歳になりましたと言われるし、これからどうなるんだろう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる