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第17章 結婚しながら生きていこう
318.事なかれ主義者は夜の営みついて考えた
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パーティーを開いてくれた事に関して感謝の言葉を述べて乾杯の音頭を取った後はのんびりと過ごしている。
誕生日パーティーと言っても、特に異世界特有の何かがあるわけじゃなかった。
堅苦しいのは苦手だろう、と配慮してもらって立食形式のパーティーだ。
「私のパーティーを参考に企画しようと思っていたのですけれど、ラオたちに止められてしまったのですわ」
「パーティーに楽団は要らんだろう」
「音楽と踊りは大事なのですわ!」
レヴィさんがラオさんに抗議をしている。
とても楽しそうなレヴィさんの様子を温かい目で見守っているリヴァイさんたちは、各々好きな料理を食べていた。
ラグナさんは別館で生活しているドワーフのドフリックさんと酒の飲み比べをしている。
その近くでは父親を放っておいてもぐもぐと肉料理を堪能しているドロミーさんがいた。
別館で寝泊まりしている皆も僕の誕生日を祝うためにパーティーに参加してくれたんだけど、やっぱり偉い人がいるからか皆ちょっと離れた場所で各々過ごしていた。
アンジェラとそのご両親は、家族仲良く普段食べられない豪華な盛り付けの料理を楽しんでいるようだ。
アンジェラといつも一緒に行動しているらしいリーヴィアは、同じくロリエルフのジューロちゃんと何やら楽しそうに談笑している。
エルフのジュリーンとダークエルフのダーリアは、祝いの言葉と共にプレゼントをくれた。やる事はやったから、といった感じで二人ともゆっくり食事をしているようだ。
ただ、二人からのプレゼントは何やら怪しげなポーションだった。それぞれの故郷で伝わる精力剤を合わせたものらしい。効能の確認をしていないとの事だったので、丁重にアイテムバッグにしまっておいた。
アンジェラからは押し花を使った栞を貰ったので、最近読んでいる本をアイテムバッグから取り出して、その間に挟んでおいた。
ドフリックさんからは秘蔵のお酒を貰ったけど、あと二年ほどは飲まない予定だ。お酒は二十歳から!
他にも色々貰ったから、皆の誕生日の時にお返しを用意しておかないと。
そんな事を思いながらローストビーフを味わっていると、ランチェッタ様が近づいてきた。
彼女は室内を見て回りながら皆に話しかけていたけど、一段落したようだ。
「シズト殿の誕生日パーティだから不思議な魔道具がたくさんあるかと思っていたけれど、そうでもないのね」
「僕はパーティーの準備に全く関わってないからね」
「関わっていたらどんな物を作ったのかしら」
「んー……そうだねぇ。知らない人たちが大勢いるのは緊張するから嫌だけど、音楽は好きだから、音楽を流す魔道具とか?」
蓄音機みたいにするか、別の場所で演奏してもらってその音を流すか悩みどころだ。
皆の誕生日を祝うためにも近いうちに作っておいて検証しよう。
その後は何も問題が起きる事はなくパーティーは続き、夜も更けていった。
ドフリックさんとの酒飲み勝負に負けた面々は死屍累々状態だけど、まあ、自業自得だろう。
呆れた様子のパールさんがリヴァイさんとラグナさんを近衛兵に担がせる。
「そろそろお暇させていただくわ」
「あんまりお構いできずすみません」
「構わないわ。久しぶりにレヴィとたくさん話す事ができたもの。レヴィ、式はあなたの好きにするといいわ。今更関係を持とうとする輩はこちらで対処するからやらなくても大丈夫よ」
「分かったのですわー。またシズトと相談しておくのですわ!」
ドラゴニア王家の面々が退室すると、今度はランチェッタ様がお帰りになるそうだ。
「ちょっと城を空け過ぎたから明日にでもガレオールに帰るわ。いい息抜きになったわ、ありがとう」
「どういたしまして……っていっても、あんまり案内できなかったけど」
「見たい物は十分見せていただいたわ。それじゃ、表でディアーヌが待っているはずだから」
「さよなら。お仕事程々にね」
ランチェッタ様はにっこりと微笑んで部屋から出て行く。
……返事しなかったって事は、程々にできないって事だろうか。
室内に残されたのは、身内だけだ。外部から来た方々がお帰りになり、ホッと一息ついている様子だ。
まだリヴァイさんたちが連れてきた侍女や料理人が多数いるようだけど、僕たちが全員出て行ったら片づけを始めるらしい。
どの料理も多少残っているけど、これ以上は無理。
「勿体ないから、お姉ちゃんたちが食べておくわ」
「シズトはもう部屋戻っていいぞ」
「美味」
大食いトリオのラオさん、ルウさん、ドーラさんはもう少し残って食べていくようだ。
「酒を全部持ってこーい!!!」
「パパン、飲みすぎ。迷惑」
「何を言うか! 用意された酒を全部飲まずして帰れるわけがなかろう! むしろ残す方が失礼に当たるぞ!」
なんか力説しているドフリックさんも残るようだ。それに付き合って残るらしいドロミーさんも、何だかんだ言ってワイングラスを持っている。ドフリックさんが片っ端から飲むから彼女のグラスの中は空っぽだけど。
アンジェラはだいぶ眠いみたい。筋骨隆々のアンディーさんに抱き上げられて運ばれていった。その後をシルヴェラさんがついて行く。
アンジェラと一緒にいたジューロちゃんも、ジュリーンに手を引かれて別館に帰っていく。
その後をリーヴィアを小脇に抱えたダーリアがついていった。どうやらパメラと一緒に何か悪さをしたらしい。パメラは部屋の端っこの方でエミリーとモニカに叱られている。
「それじゃあ、シズトちゃんはお風呂に行きましょうかぁ」
「……そう言えば、今日のお世話係はジューンさんだったね」
「そうですよぉ。時間がいつもよりも遅いですけどぉ、しっかり体を温めましょうねぇ」
そう言うジューンさんに手を引かれて食堂を後にする。
リヴァイさんたちとの雑談をしている最中に、孫の話とか諸々されたけど……今日はまだ心の準備ができてないし、しなくてもいい、よね?
いや、心の準備ができるまでって考えるといつまで経ってもできる気はしないんだけどさ。
ルウさんみたいに、したいけど僕の様子を見て待っているのかもしれないし……………どうしよう。
誕生日パーティーと言っても、特に異世界特有の何かがあるわけじゃなかった。
堅苦しいのは苦手だろう、と配慮してもらって立食形式のパーティーだ。
「私のパーティーを参考に企画しようと思っていたのですけれど、ラオたちに止められてしまったのですわ」
「パーティーに楽団は要らんだろう」
「音楽と踊りは大事なのですわ!」
レヴィさんがラオさんに抗議をしている。
とても楽しそうなレヴィさんの様子を温かい目で見守っているリヴァイさんたちは、各々好きな料理を食べていた。
ラグナさんは別館で生活しているドワーフのドフリックさんと酒の飲み比べをしている。
その近くでは父親を放っておいてもぐもぐと肉料理を堪能しているドロミーさんがいた。
別館で寝泊まりしている皆も僕の誕生日を祝うためにパーティーに参加してくれたんだけど、やっぱり偉い人がいるからか皆ちょっと離れた場所で各々過ごしていた。
アンジェラとそのご両親は、家族仲良く普段食べられない豪華な盛り付けの料理を楽しんでいるようだ。
アンジェラといつも一緒に行動しているらしいリーヴィアは、同じくロリエルフのジューロちゃんと何やら楽しそうに談笑している。
エルフのジュリーンとダークエルフのダーリアは、祝いの言葉と共にプレゼントをくれた。やる事はやったから、といった感じで二人ともゆっくり食事をしているようだ。
ただ、二人からのプレゼントは何やら怪しげなポーションだった。それぞれの故郷で伝わる精力剤を合わせたものらしい。効能の確認をしていないとの事だったので、丁重にアイテムバッグにしまっておいた。
アンジェラからは押し花を使った栞を貰ったので、最近読んでいる本をアイテムバッグから取り出して、その間に挟んでおいた。
ドフリックさんからは秘蔵のお酒を貰ったけど、あと二年ほどは飲まない予定だ。お酒は二十歳から!
他にも色々貰ったから、皆の誕生日の時にお返しを用意しておかないと。
そんな事を思いながらローストビーフを味わっていると、ランチェッタ様が近づいてきた。
彼女は室内を見て回りながら皆に話しかけていたけど、一段落したようだ。
「シズト殿の誕生日パーティだから不思議な魔道具がたくさんあるかと思っていたけれど、そうでもないのね」
「僕はパーティーの準備に全く関わってないからね」
「関わっていたらどんな物を作ったのかしら」
「んー……そうだねぇ。知らない人たちが大勢いるのは緊張するから嫌だけど、音楽は好きだから、音楽を流す魔道具とか?」
蓄音機みたいにするか、別の場所で演奏してもらってその音を流すか悩みどころだ。
皆の誕生日を祝うためにも近いうちに作っておいて検証しよう。
その後は何も問題が起きる事はなくパーティーは続き、夜も更けていった。
ドフリックさんとの酒飲み勝負に負けた面々は死屍累々状態だけど、まあ、自業自得だろう。
呆れた様子のパールさんがリヴァイさんとラグナさんを近衛兵に担がせる。
「そろそろお暇させていただくわ」
「あんまりお構いできずすみません」
「構わないわ。久しぶりにレヴィとたくさん話す事ができたもの。レヴィ、式はあなたの好きにするといいわ。今更関係を持とうとする輩はこちらで対処するからやらなくても大丈夫よ」
「分かったのですわー。またシズトと相談しておくのですわ!」
ドラゴニア王家の面々が退室すると、今度はランチェッタ様がお帰りになるそうだ。
「ちょっと城を空け過ぎたから明日にでもガレオールに帰るわ。いい息抜きになったわ、ありがとう」
「どういたしまして……っていっても、あんまり案内できなかったけど」
「見たい物は十分見せていただいたわ。それじゃ、表でディアーヌが待っているはずだから」
「さよなら。お仕事程々にね」
ランチェッタ様はにっこりと微笑んで部屋から出て行く。
……返事しなかったって事は、程々にできないって事だろうか。
室内に残されたのは、身内だけだ。外部から来た方々がお帰りになり、ホッと一息ついている様子だ。
まだリヴァイさんたちが連れてきた侍女や料理人が多数いるようだけど、僕たちが全員出て行ったら片づけを始めるらしい。
どの料理も多少残っているけど、これ以上は無理。
「勿体ないから、お姉ちゃんたちが食べておくわ」
「シズトはもう部屋戻っていいぞ」
「美味」
大食いトリオのラオさん、ルウさん、ドーラさんはもう少し残って食べていくようだ。
「酒を全部持ってこーい!!!」
「パパン、飲みすぎ。迷惑」
「何を言うか! 用意された酒を全部飲まずして帰れるわけがなかろう! むしろ残す方が失礼に当たるぞ!」
なんか力説しているドフリックさんも残るようだ。それに付き合って残るらしいドロミーさんも、何だかんだ言ってワイングラスを持っている。ドフリックさんが片っ端から飲むから彼女のグラスの中は空っぽだけど。
アンジェラはだいぶ眠いみたい。筋骨隆々のアンディーさんに抱き上げられて運ばれていった。その後をシルヴェラさんがついて行く。
アンジェラと一緒にいたジューロちゃんも、ジュリーンに手を引かれて別館に帰っていく。
その後をリーヴィアを小脇に抱えたダーリアがついていった。どうやらパメラと一緒に何か悪さをしたらしい。パメラは部屋の端っこの方でエミリーとモニカに叱られている。
「それじゃあ、シズトちゃんはお風呂に行きましょうかぁ」
「……そう言えば、今日のお世話係はジューンさんだったね」
「そうですよぉ。時間がいつもよりも遅いですけどぉ、しっかり体を温めましょうねぇ」
そう言うジューンさんに手を引かれて食堂を後にする。
リヴァイさんたちとの雑談をしている最中に、孫の話とか諸々されたけど……今日はまだ心の準備ができてないし、しなくてもいい、よね?
いや、心の準備ができるまでって考えるといつまで経ってもできる気はしないんだけどさ。
ルウさんみたいに、したいけど僕の様子を見て待っているのかもしれないし……………どうしよう。
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