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第15章 三本の世界樹を世話しながら生きていこう
272.事なかれ主義者はやっぱり下手
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くっついてくるドライアドたちをどけても乗ってくるので放置しておやつを食べる。
量が多すぎて食べきれるか自信がなかったけど、ドライアドたちが自分のお気に入りの果物を口いっぱいに詰め込むようにして食べてくれたので、そこまで問題にはならなかった。
加工の加護を使って即席でナイフを作り、切り分けたレモンを食べたらレモンちゃんも機嫌を直しニコニコしている。一口食べればドライアドたちは満足するみたいだ。最初からそうすればよかった。
パメラとアンジェラも僕がサクッと【加工】して作った椅子に座って机を囲んでいる。
パメラは何でも美味しそうにモリモリ食べるのでドライアドたちに人気だ。ただ、悲しい事に小柄な体格の彼女は、胃袋の容量は大きくない。
本人は「ま、まだ食べられる、デス……」と言っているが、アンジェラストップがかかって少し離れたところにあるソファーで食休みをしている。
一方、アンジェラはパメラよりも小柄だが成長期という事もあるのか、それとも甘い物は別腹なのか甘いクッキーや果物を結構な量食べている。お腹を壊さないかちょっと心配だ。
「あんまり食べ過ぎると夜ご飯食べれなくなっちゃうよ?」
「このあとパメラちゃんとうんどうするからだいじょうぶ!」
「それならいいけど……」
お母さんのシルヴェラさんに怒られないかちょっと心配だけど、本人がそういうなら大丈夫と信じよう。
アンジェラが「そうだ!」と言って、自分よりも小柄なエルフの女の子のリーヴィアの方を向いた。
視線を向けられたリーヴィアは果物の方が好みだったようで、ドライアドたちから渡されるがまま食べている。
「リーヴィアちゃんもいっしょにあそぶ?」
「……え?」
「それいい考えデース! みんなで遊ぶデス!」
「え、ちょっと!? え~~~~!?」
ガバッと起き上がったパメラがリーヴィアの返答を待つ事無く彼女を持ち上げると、外に飛び出して行った。
強引過ぎるけど、あの元気さは見習うべきかもしれない。
そんな事を思いながら、僕たちもパメラの後を追うために席を立った。
外に出るとドライアドたちは各々自由気ままに散っていった。
側に残ったのはレモンちゃんだけだ。膝の上に乗せていて、そのまま抱えて運んでしまったのでとりあえず下ろす。
けど、他のドライアドたちのように日向ぼっこしに行ったり、植物の面倒を見に行ったりはせずに僕の手を握ってボーッとパメラたちを見ていた。頭の上に生えている白色の花が風に揺られている。
「アンジェラ、遅いデス! あれ、シズト様たちも遊ぶデスか?」
「んー、まあ、成り行きでね」
「私はぁ、走るのとかぁ、運動は苦手なのでぇ近くでのんびり見てますぅ」
「うん、分かった。椅子作った方が良い?」
「大丈夫ですぅ」
ジューンさんは確かに走るのが苦手なイメージがある。
いつものんびりした動作なのもあるけど、胸が……うん。
一緒について来ていたジュリウスは、ドライアドたちと一緒に離れていき、今は屋敷の屋根の上にいる。あんなに高い所にいて怖くないのかな、と思うけど魔法で何とでもなるから怖いとかないか。身体強化をすれば高い所から落ちても問題ないらしいし。
「それで、今日は何をするデスか?」
「んー、そうだなぁ」
ちょっと休憩したしおやつも食べたからマシになったけど、ぶっちゃけ魔力使いすぎてだるいんだよなぁ。
でも、パメラに捕まっているリーヴィアと一緒に何かをした方が仲良くなれるだろうから何かはしたい。
出来ればあまり動き回らなくていいものをしたい。……なんかあったかな。
パメラとアンジェラからの視線を受けつつ首をひねって考えたけど、ボールがないし……。
……独楽遊びでもするか。
魔力の残量はまだ倒れるほどじゃないから、加工の加護を十数回は使えるだろう。試作品も併せていろいろ作って遊ぼう。
「パメラ、ちょっと僕のアイテムバッグ持ってきて」
「分かったデス!」
バサバサと飛び立ったパメラから解放されたリーヴィアは、ジューンさんの方へと向かって行った。
ある程度懐いてくれたようだ。同じエルフだし安心するのかもしれない。
とりあえず木製独楽でいいか。ベイゴマとか弾かれたら危ないしそもそも回せる気がしない。あと単純に魔力消費が少なくて済む。
普通の独楽も紐だと変な所に飛んでいく気がするけど……一応作るか。
「持ってきたデス!」
「シズトさま、なにつくるの?」
「独楽だよ。この世界にあるかな?」
「んー、わかんない!」
元気よくはっきりと答えるアンジェラ。
分からない事を分からないと正直に言えるのはすごい良い事だと思う。
彼女の頭を撫でるとよく分かっていない様子だが、嬉しそうに笑った。
とりあえずパメラからアイテムバッグを受け取って中から木の端材を大量に取り出す。
絵具とかあると絵を描いて楽しめるんだけど……流石に入っていないか。ホムラかユキに買っておいてもらおう。
何度か遊んだ記憶を頼りに作ってみたけれどうまくいかず、最終的には酒に釣られてやってきたドフリックさんに協力してもらって独楽を作り上げた。
独楽同士を戦わせるための舞台は鉄で作り、皆で一緒に回して遊んだ。
……みんな紐で回すコツをすぐにつかんで、結局一番下手だったのは僕だった。解せぬ。
量が多すぎて食べきれるか自信がなかったけど、ドライアドたちが自分のお気に入りの果物を口いっぱいに詰め込むようにして食べてくれたので、そこまで問題にはならなかった。
加工の加護を使って即席でナイフを作り、切り分けたレモンを食べたらレモンちゃんも機嫌を直しニコニコしている。一口食べればドライアドたちは満足するみたいだ。最初からそうすればよかった。
パメラとアンジェラも僕がサクッと【加工】して作った椅子に座って机を囲んでいる。
パメラは何でも美味しそうにモリモリ食べるのでドライアドたちに人気だ。ただ、悲しい事に小柄な体格の彼女は、胃袋の容量は大きくない。
本人は「ま、まだ食べられる、デス……」と言っているが、アンジェラストップがかかって少し離れたところにあるソファーで食休みをしている。
一方、アンジェラはパメラよりも小柄だが成長期という事もあるのか、それとも甘い物は別腹なのか甘いクッキーや果物を結構な量食べている。お腹を壊さないかちょっと心配だ。
「あんまり食べ過ぎると夜ご飯食べれなくなっちゃうよ?」
「このあとパメラちゃんとうんどうするからだいじょうぶ!」
「それならいいけど……」
お母さんのシルヴェラさんに怒られないかちょっと心配だけど、本人がそういうなら大丈夫と信じよう。
アンジェラが「そうだ!」と言って、自分よりも小柄なエルフの女の子のリーヴィアの方を向いた。
視線を向けられたリーヴィアは果物の方が好みだったようで、ドライアドたちから渡されるがまま食べている。
「リーヴィアちゃんもいっしょにあそぶ?」
「……え?」
「それいい考えデース! みんなで遊ぶデス!」
「え、ちょっと!? え~~~~!?」
ガバッと起き上がったパメラがリーヴィアの返答を待つ事無く彼女を持ち上げると、外に飛び出して行った。
強引過ぎるけど、あの元気さは見習うべきかもしれない。
そんな事を思いながら、僕たちもパメラの後を追うために席を立った。
外に出るとドライアドたちは各々自由気ままに散っていった。
側に残ったのはレモンちゃんだけだ。膝の上に乗せていて、そのまま抱えて運んでしまったのでとりあえず下ろす。
けど、他のドライアドたちのように日向ぼっこしに行ったり、植物の面倒を見に行ったりはせずに僕の手を握ってボーッとパメラたちを見ていた。頭の上に生えている白色の花が風に揺られている。
「アンジェラ、遅いデス! あれ、シズト様たちも遊ぶデスか?」
「んー、まあ、成り行きでね」
「私はぁ、走るのとかぁ、運動は苦手なのでぇ近くでのんびり見てますぅ」
「うん、分かった。椅子作った方が良い?」
「大丈夫ですぅ」
ジューンさんは確かに走るのが苦手なイメージがある。
いつものんびりした動作なのもあるけど、胸が……うん。
一緒について来ていたジュリウスは、ドライアドたちと一緒に離れていき、今は屋敷の屋根の上にいる。あんなに高い所にいて怖くないのかな、と思うけど魔法で何とでもなるから怖いとかないか。身体強化をすれば高い所から落ちても問題ないらしいし。
「それで、今日は何をするデスか?」
「んー、そうだなぁ」
ちょっと休憩したしおやつも食べたからマシになったけど、ぶっちゃけ魔力使いすぎてだるいんだよなぁ。
でも、パメラに捕まっているリーヴィアと一緒に何かをした方が仲良くなれるだろうから何かはしたい。
出来ればあまり動き回らなくていいものをしたい。……なんかあったかな。
パメラとアンジェラからの視線を受けつつ首をひねって考えたけど、ボールがないし……。
……独楽遊びでもするか。
魔力の残量はまだ倒れるほどじゃないから、加工の加護を十数回は使えるだろう。試作品も併せていろいろ作って遊ぼう。
「パメラ、ちょっと僕のアイテムバッグ持ってきて」
「分かったデス!」
バサバサと飛び立ったパメラから解放されたリーヴィアは、ジューンさんの方へと向かって行った。
ある程度懐いてくれたようだ。同じエルフだし安心するのかもしれない。
とりあえず木製独楽でいいか。ベイゴマとか弾かれたら危ないしそもそも回せる気がしない。あと単純に魔力消費が少なくて済む。
普通の独楽も紐だと変な所に飛んでいく気がするけど……一応作るか。
「持ってきたデス!」
「シズトさま、なにつくるの?」
「独楽だよ。この世界にあるかな?」
「んー、わかんない!」
元気よくはっきりと答えるアンジェラ。
分からない事を分からないと正直に言えるのはすごい良い事だと思う。
彼女の頭を撫でるとよく分かっていない様子だが、嬉しそうに笑った。
とりあえずパメラからアイテムバッグを受け取って中から木の端材を大量に取り出す。
絵具とかあると絵を描いて楽しめるんだけど……流石に入っていないか。ホムラかユキに買っておいてもらおう。
何度か遊んだ記憶を頼りに作ってみたけれどうまくいかず、最終的には酒に釣られてやってきたドフリックさんに協力してもらって独楽を作り上げた。
独楽同士を戦わせるための舞台は鉄で作り、皆で一緒に回して遊んだ。
……みんな紐で回すコツをすぐにつかんで、結局一番下手だったのは僕だった。解せぬ。
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