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第14章 海洋国家を観光しながら生きていこう
254.事なかれ主義者は塩を作る
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ラオさんとルウさんに協力してもらって、アイテムバッグから転移陣を取り出してもらって玄関先に設置した。
ラオさんとルウさんがそれぞれ魔法陣の上に立つと、魔法陣が輝いて二人の姿が忽然と消えた。
それからしばらくすると、また魔法陣が輝いて二人が戻ってきた。
「問題なかったぞ」
「こっちも大丈夫だったわ。ドライアドちゃんたちが転移先に興味を示してたけど……って、噂をすればね」
ルウさんが転移陣から下りた後に、また魔法陣が輝いた。
こちらに転移してきたのは三人のドライアド。青バラちゃんのように大きくない。
赤色、黄色、青色のチューリップの様な花をそれぞれ頭のてっぺんに咲かせている。
「にんげんさんだー」
「こんにちは!」
「こんちは!」
「ここどこ~?」
「あなただれ~」
「ほかのこいないの?」
「しらないこばかりだねー」
ドライアドたちは軽く僕に挨拶すると勝手気ままに探索し始めた。植物に話しかけたり、どんな植物が生えているのかを見て回ったりと楽しそうだ。
ドライアドたちを見ていたラオさんが僕の方を見て、顎で彼女たちを示す。
「送り返すか?」
「んー、どうだろ? 畑のお世話をお願いしようと思ってたし、都合がいいかも?」
「じゃあお姉ちゃんが他の子たちも呼んできてあげようか? 日向ぼっこしてたから難しいかもしれないけど」
「来たい子だけでいいよ。……どうしたの?」
さっきまでそこら辺を歩き回っていたドライアドたちが戻ってきた。
なんだかちょっと元気がない。
「ここ、ちょっとにがて~」
「からい~」
「辛い? 潮風とか?」
「くうきもつちも!」
「土も?」
よく分からん。
ただ、今はまだしょんぼりしているだけだけど具合が悪くなったら困るので、ルウさんに目配せをしてドライアドたちを送り返してもらった。
「お姉ちゃんに任せて! ちょっと向こうで様子見て、大丈夫そうだったら戻ってくるわ! ラオちゃんがいるから大丈夫だと思うけど、あんまり危ない事しちゃダメよ?」
「はーい」
ルウさんは満足した様子で、両手で三人のドライアドを抱え込むと転移陣で帰って行った。
さて、どうしようかな。
土の中が辛いって、塩がたくさん含まれてるとか? 岩塩みたいな。
塩分が結構含まれてるなら、その塩分を抽出するような物を作ればいいかなぁ。
「うーん……できそう。材料は、まあ鉄とかでいいか。ラオさん、鉄のインゴット出して」
「わーったよ。何作るんだ?」
「んー……土の中の塩分を集めて塩作るやつ?」
水を生成する魔道具は、魔力から作り出す物もあるみたいだけど、大気中の水を集めて作り出す物もある。それの応用みたいな感じなんだと思う。
ラオさんは「ふーん」とだけ返事をすると持ってきていた鞄の中から鉄のインゴットをたくさん取り出して地面に置いてくれた。
そのいくつかを手に取って、これをどのような形のものにするのかを考える。
「……杭みたいな感じで地中深くに刺せばいいか。とりあえず試しに……【加工】」
細く長い形状に伸ばしていって先を尖らせ、地面の上に出る部分はボウルのような形にした。地中深くまでの塩分を集めるために二メートルほどの長さにしてみたけれど、もう少し長い方が良いのかな?
二メートルよりも深く根を張る植物があるなら考えるか。
「このくらいででいいや」
「それで、それをどうすんだ? 地面に突き刺せばいいんか?」
「うん。……あれ、結構重い?」
「お手伝いしますぅ」
地面に転がしていたそれを持ち上げてみようとしたがそこそこの重さがあるようだ。結構な重労働になりそう。
ジューンさんと一緒に持ち上げようとしたらラオさんがそれに待ったをかけた。
「先が尖ってて危ねぇからアタシがやんよ。どこら辺に刺せばいいんだ?」
「んー、とりあえずここら辺で」
ラオさんは、背丈ほどの長さがある魔道具を持ち上げると、僕が指定した場所に尖っている先端部分を突き刺した。それから、上から押し込む。
棒の部分が全て地中に埋まったところで止めて、【付与】で魔道具化をしておく。
「何もしてないのでぇ、私が実験しますぅ」
「いや、アタシがやる」
「ラオちゃんは護衛の仕事がありますしぃ、私の方が良いと思いますぅ」
「……まあ、そうだな。じゃあ頼むわ」
「任せてくださぁい」
「塩ができるだけだからそんな危なくないんだけどなぁ」
僕の発言は二人とも気にした様子もなく、ジューンさんがボウル状の魔道具に手を触れて魔力を流すと、そこに刻まれた魔法陣の中心に少しずつ白い結晶が出来上がる。
岩塩をイメージしていたからか、小さな粒じゃなくて一つの塊になっちゃったけど……まあ、いいか。
「上手くいきましたねぇ」
「そうだね。じゃあ、とりあえずこれを作れるだけ作っちゃうか」
ドライアドたちにお手伝いをしてもらうなら、塩対策しとかないとダメみたいだし。
この島にある建物のためにいろいろ作りたい物が山積みだけど、ちょっとずつ頑張ろう。
ラオさんとルウさんがそれぞれ魔法陣の上に立つと、魔法陣が輝いて二人の姿が忽然と消えた。
それからしばらくすると、また魔法陣が輝いて二人が戻ってきた。
「問題なかったぞ」
「こっちも大丈夫だったわ。ドライアドちゃんたちが転移先に興味を示してたけど……って、噂をすればね」
ルウさんが転移陣から下りた後に、また魔法陣が輝いた。
こちらに転移してきたのは三人のドライアド。青バラちゃんのように大きくない。
赤色、黄色、青色のチューリップの様な花をそれぞれ頭のてっぺんに咲かせている。
「にんげんさんだー」
「こんにちは!」
「こんちは!」
「ここどこ~?」
「あなただれ~」
「ほかのこいないの?」
「しらないこばかりだねー」
ドライアドたちは軽く僕に挨拶すると勝手気ままに探索し始めた。植物に話しかけたり、どんな植物が生えているのかを見て回ったりと楽しそうだ。
ドライアドたちを見ていたラオさんが僕の方を見て、顎で彼女たちを示す。
「送り返すか?」
「んー、どうだろ? 畑のお世話をお願いしようと思ってたし、都合がいいかも?」
「じゃあお姉ちゃんが他の子たちも呼んできてあげようか? 日向ぼっこしてたから難しいかもしれないけど」
「来たい子だけでいいよ。……どうしたの?」
さっきまでそこら辺を歩き回っていたドライアドたちが戻ってきた。
なんだかちょっと元気がない。
「ここ、ちょっとにがて~」
「からい~」
「辛い? 潮風とか?」
「くうきもつちも!」
「土も?」
よく分からん。
ただ、今はまだしょんぼりしているだけだけど具合が悪くなったら困るので、ルウさんに目配せをしてドライアドたちを送り返してもらった。
「お姉ちゃんに任せて! ちょっと向こうで様子見て、大丈夫そうだったら戻ってくるわ! ラオちゃんがいるから大丈夫だと思うけど、あんまり危ない事しちゃダメよ?」
「はーい」
ルウさんは満足した様子で、両手で三人のドライアドを抱え込むと転移陣で帰って行った。
さて、どうしようかな。
土の中が辛いって、塩がたくさん含まれてるとか? 岩塩みたいな。
塩分が結構含まれてるなら、その塩分を抽出するような物を作ればいいかなぁ。
「うーん……できそう。材料は、まあ鉄とかでいいか。ラオさん、鉄のインゴット出して」
「わーったよ。何作るんだ?」
「んー……土の中の塩分を集めて塩作るやつ?」
水を生成する魔道具は、魔力から作り出す物もあるみたいだけど、大気中の水を集めて作り出す物もある。それの応用みたいな感じなんだと思う。
ラオさんは「ふーん」とだけ返事をすると持ってきていた鞄の中から鉄のインゴットをたくさん取り出して地面に置いてくれた。
そのいくつかを手に取って、これをどのような形のものにするのかを考える。
「……杭みたいな感じで地中深くに刺せばいいか。とりあえず試しに……【加工】」
細く長い形状に伸ばしていって先を尖らせ、地面の上に出る部分はボウルのような形にした。地中深くまでの塩分を集めるために二メートルほどの長さにしてみたけれど、もう少し長い方が良いのかな?
二メートルよりも深く根を張る植物があるなら考えるか。
「このくらいででいいや」
「それで、それをどうすんだ? 地面に突き刺せばいいんか?」
「うん。……あれ、結構重い?」
「お手伝いしますぅ」
地面に転がしていたそれを持ち上げてみようとしたがそこそこの重さがあるようだ。結構な重労働になりそう。
ジューンさんと一緒に持ち上げようとしたらラオさんがそれに待ったをかけた。
「先が尖ってて危ねぇからアタシがやんよ。どこら辺に刺せばいいんだ?」
「んー、とりあえずここら辺で」
ラオさんは、背丈ほどの長さがある魔道具を持ち上げると、僕が指定した場所に尖っている先端部分を突き刺した。それから、上から押し込む。
棒の部分が全て地中に埋まったところで止めて、【付与】で魔道具化をしておく。
「何もしてないのでぇ、私が実験しますぅ」
「いや、アタシがやる」
「ラオちゃんは護衛の仕事がありますしぃ、私の方が良いと思いますぅ」
「……まあ、そうだな。じゃあ頼むわ」
「任せてくださぁい」
「塩ができるだけだからそんな危なくないんだけどなぁ」
僕の発言は二人とも気にした様子もなく、ジューンさんがボウル状の魔道具に手を触れて魔力を流すと、そこに刻まれた魔法陣の中心に少しずつ白い結晶が出来上がる。
岩塩をイメージしていたからか、小さな粒じゃなくて一つの塊になっちゃったけど……まあ、いいか。
「上手くいきましたねぇ」
「そうだね。じゃあ、とりあえずこれを作れるだけ作っちゃうか」
ドライアドたちにお手伝いをしてもらうなら、塩対策しとかないとダメみたいだし。
この島にある建物のためにいろいろ作りたい物が山積みだけど、ちょっとずつ頑張ろう。
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