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第14章 海洋国家を観光しながら生きていこう
幕間の物語120.ドライアドたちは右往左往する
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ドラゴニア王国の最南端に広がる不毛の大地に聳え立つ世界樹ファマリー。
その周囲には畑が円状に広がっていた。
円の中心に近づくほど、無秩序に植物が育てられている。
そんな畑の中を、ゆっくりと動き回る影がいくつかあった。
まだ朝日も昇っておらず、暗い畑の中をふらふらと歩いているのは、眠たそうに目を擦ったり、口元をむにゃむにゃと動かしている小さなドライアドたちだった。
ドライアドが全員歩き回っているわけではなく、頭だけ出して地面に埋まってスヤスヤと寝息を立てたりよだれを垂らしているドライアドたちもいる。
「ね……む……い……」
「いじょー……なし……」
「れもん……」
謎の侵入者襲撃事件が起きてからドライアドたちはピリピリとしていた。
だが、そのムードが続いたのは一週間くらいまでだった。
その後は夜間に侵入する者はおらず、植物もすくすくと育っていた。だからドライアドたちは全員でしていた見張りを交代でする事にした。
本来ドライアドたちは太陽が昇ったら活動をし始めて、太陽が沈むころに眠りにつく種族だったが、夜間の見張り番の時は根性で乗り切ろうとしているようだ。
朝日が昇るまで、しばらくのろのろとドライアドたちが決められたルートを歩き、時間になると埋まっているドライアドと交代して眠りにつくのを繰り返していると、朝日が昇った。
先程まで眠たそうにウトウトしながら歩いていたドライアドも含め、朝日が地平線の彼方から顔を出す頃には、全員目をぱっちり開けて、元気に活動し始めた。
「きゅーりいじょーなーし!」
「レモン、ぜんぶある!」
「トマトもうすぐしゅーかく~」
「なすもたべごろ!」
自分たちの育てている植物の生育具合を確認しながら、雑草は小さな手で抜いて一カ所に集めていく。
そのうち起きてくるはずのどこかの王女様が回収してくる予定だった。
「ばいと行ってきまーす!」
「いってらっしゃい!」
「ばいばーい」
シズトに『青バラちゃん』と呼ばれているドライアドが転移陣を使ってその場から消えた。夕方頃に彼女が戻ってくるまで、ファマリーの根元では小さなドライアドたちしかいない。
「ばいと、たのしそう!」
「やりたいねー」
「ちいさいとだめって」
「にんげんさんいじわるー」
「ねー」
「わたしたちにもできるのに~」
お喋りをしながら雑草を抜いては集めていると、長袖長ズボンを履いたドラゴニア王国第一王女のレヴィア・フォン・ドラゴニアが出てきた。その後に続いてメイド服を着た女性セシリアが姿を現す。
胸元の膨らみが異常なレヴィアは、顔の側面に装備されている金色のツインドリルと、規格外の胸を揺らしながらドライアドたちの元へとやってくる。その後をいつものごとくセシリアが走って追いかける。
「おはようですわー」
「ですわ~」
「ですわ!」
軽く挨拶をするだけで立ち話をする様子もなく、レヴィアは一カ所に集められていた草を腰につけていた小さなポーチの中に詰めていく。セシリアも黙々とその手伝いをしている。
容量関係なく集められていた雑草が延々と入っていくのは、そのポーチが魔道具だからだ。
レヴィアの婚約者であるシズトが、何度も草を運ぶレヴィアを見て作った雑草回収専用のアイテムバッグだ。
レヴィアは草を入れ終えると、別の場所で草抜きをしているドライアドたちの元へと駆けていった。セシリアが一つため息をついた後、黙ってその後に続く。
それを見送ったドライアドたちは、「ですわ~ですわ~」と言いながら畑のお世話を続けるのだった。
畑の世話が一段落すると、ドライアドたちは寝転がって日向ぼっこをしていた。
だが、突如ガバッと全員が起きて、同じ方向を見る。
ファマリーを囲うように作られたファマリアから、こちらに小さな人影が侵入しているのが見えた。
「てきしゅ~~~」
「またきたー」
「おいかえせ~~」
世界樹の周囲の畑のそこかしこに散らばっていたドライアドたちが一直線に侵入者に向かって行く。
侵入者は、ファマリアで生活している奴隷の幼女たちだった。何やら雑草や小石を拾っている。
だが、ドライアドたちが血相を変えて迫っている事に気付いたのか、慌ててファマリアへと戻っていく。
町の敷地に入ると幼女たちは振り向いてドライアドたちを見る。ドライアドたちが町の敷地に入って来ない事が多い事をこれまでの経験から知っていた。
「わたしたちもおてつだいしたい!」
「だめ!」
「そうだそうだー」
「ちょっとだけ!」
「ダメなのー」
「わたしたちのおしごと!」
「ごぼうびもらうの!」
「ごほうび! わたしたちもほしい! シズトさまにほめてもらうの!」
「ダメ~~~!」
小さな子どもたちとドライアドの口論は、数の優位でドライアドたちが押しているようだ。
奴隷の幼女たちが何か言えば、倍以上で言葉が返ってくる。
だが、そんな口論も長くは続かない。
何かに気付いた様子で、全員ハッとして後ろを振り向くと、慌てて走っていく。
反対側の町から侵入者を感知したからだ。
「わたしたちのしごとー」
「ごほうび!」
「ししゅ!」
「いくぞ~~」
そんな事を口々に言いながら、侵入者が入ってくる度に全員で追い返しに行く。
彼女たちの司令塔である古株のドライアド青バラちゃんは、シズトからお願いされたアルバイトで不在だった。距離が遠すぎて念話も通じず、ドライアドたちは全員で東へ行っては追い返し、西に行っては口論していた。
結局、木の根元で微睡んでいたフェンリルがドライアドたちに指示を出すまで、その不毛な戦いは続くのだった。
その周囲には畑が円状に広がっていた。
円の中心に近づくほど、無秩序に植物が育てられている。
そんな畑の中を、ゆっくりと動き回る影がいくつかあった。
まだ朝日も昇っておらず、暗い畑の中をふらふらと歩いているのは、眠たそうに目を擦ったり、口元をむにゃむにゃと動かしている小さなドライアドたちだった。
ドライアドが全員歩き回っているわけではなく、頭だけ出して地面に埋まってスヤスヤと寝息を立てたりよだれを垂らしているドライアドたちもいる。
「ね……む……い……」
「いじょー……なし……」
「れもん……」
謎の侵入者襲撃事件が起きてからドライアドたちはピリピリとしていた。
だが、そのムードが続いたのは一週間くらいまでだった。
その後は夜間に侵入する者はおらず、植物もすくすくと育っていた。だからドライアドたちは全員でしていた見張りを交代でする事にした。
本来ドライアドたちは太陽が昇ったら活動をし始めて、太陽が沈むころに眠りにつく種族だったが、夜間の見張り番の時は根性で乗り切ろうとしているようだ。
朝日が昇るまで、しばらくのろのろとドライアドたちが決められたルートを歩き、時間になると埋まっているドライアドと交代して眠りにつくのを繰り返していると、朝日が昇った。
先程まで眠たそうにウトウトしながら歩いていたドライアドも含め、朝日が地平線の彼方から顔を出す頃には、全員目をぱっちり開けて、元気に活動し始めた。
「きゅーりいじょーなーし!」
「レモン、ぜんぶある!」
「トマトもうすぐしゅーかく~」
「なすもたべごろ!」
自分たちの育てている植物の生育具合を確認しながら、雑草は小さな手で抜いて一カ所に集めていく。
そのうち起きてくるはずのどこかの王女様が回収してくる予定だった。
「ばいと行ってきまーす!」
「いってらっしゃい!」
「ばいばーい」
シズトに『青バラちゃん』と呼ばれているドライアドが転移陣を使ってその場から消えた。夕方頃に彼女が戻ってくるまで、ファマリーの根元では小さなドライアドたちしかいない。
「ばいと、たのしそう!」
「やりたいねー」
「ちいさいとだめって」
「にんげんさんいじわるー」
「ねー」
「わたしたちにもできるのに~」
お喋りをしながら雑草を抜いては集めていると、長袖長ズボンを履いたドラゴニア王国第一王女のレヴィア・フォン・ドラゴニアが出てきた。その後に続いてメイド服を着た女性セシリアが姿を現す。
胸元の膨らみが異常なレヴィアは、顔の側面に装備されている金色のツインドリルと、規格外の胸を揺らしながらドライアドたちの元へとやってくる。その後をいつものごとくセシリアが走って追いかける。
「おはようですわー」
「ですわ~」
「ですわ!」
軽く挨拶をするだけで立ち話をする様子もなく、レヴィアは一カ所に集められていた草を腰につけていた小さなポーチの中に詰めていく。セシリアも黙々とその手伝いをしている。
容量関係なく集められていた雑草が延々と入っていくのは、そのポーチが魔道具だからだ。
レヴィアの婚約者であるシズトが、何度も草を運ぶレヴィアを見て作った雑草回収専用のアイテムバッグだ。
レヴィアは草を入れ終えると、別の場所で草抜きをしているドライアドたちの元へと駆けていった。セシリアが一つため息をついた後、黙ってその後に続く。
それを見送ったドライアドたちは、「ですわ~ですわ~」と言いながら畑のお世話を続けるのだった。
畑の世話が一段落すると、ドライアドたちは寝転がって日向ぼっこをしていた。
だが、突如ガバッと全員が起きて、同じ方向を見る。
ファマリーを囲うように作られたファマリアから、こちらに小さな人影が侵入しているのが見えた。
「てきしゅ~~~」
「またきたー」
「おいかえせ~~」
世界樹の周囲の畑のそこかしこに散らばっていたドライアドたちが一直線に侵入者に向かって行く。
侵入者は、ファマリアで生活している奴隷の幼女たちだった。何やら雑草や小石を拾っている。
だが、ドライアドたちが血相を変えて迫っている事に気付いたのか、慌ててファマリアへと戻っていく。
町の敷地に入ると幼女たちは振り向いてドライアドたちを見る。ドライアドたちが町の敷地に入って来ない事が多い事をこれまでの経験から知っていた。
「わたしたちもおてつだいしたい!」
「だめ!」
「そうだそうだー」
「ちょっとだけ!」
「ダメなのー」
「わたしたちのおしごと!」
「ごぼうびもらうの!」
「ごほうび! わたしたちもほしい! シズトさまにほめてもらうの!」
「ダメ~~~!」
小さな子どもたちとドライアドの口論は、数の優位でドライアドたちが押しているようだ。
奴隷の幼女たちが何か言えば、倍以上で言葉が返ってくる。
だが、そんな口論も長くは続かない。
何かに気付いた様子で、全員ハッとして後ろを振り向くと、慌てて走っていく。
反対側の町から侵入者を感知したからだ。
「わたしたちのしごとー」
「ごほうび!」
「ししゅ!」
「いくぞ~~」
そんな事を口々に言いながら、侵入者が入ってくる度に全員で追い返しに行く。
彼女たちの司令塔である古株のドライアド青バラちゃんは、シズトからお願いされたアルバイトで不在だった。距離が遠すぎて念話も通じず、ドライアドたちは全員で東へ行っては追い返し、西に行っては口論していた。
結局、木の根元で微睡んでいたフェンリルがドライアドたちに指示を出すまで、その不毛な戦いは続くのだった。
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